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よみがえった親友

「あの病院の先生の話では、
今年の桜は見られないはずだったのにね。ふふふ。
この前は福島の滝桜を見てきたのよ。
先週行った館林のツツジもきれいだったし・・・」

近くまで用事があったからと、親友が立ち寄ってくれた。
庭のテーブルでお茶をいただきながら、
明るいいきいきとした声と元気そうな声に、私は嬉しくなった。
日差しが強いので、私の麦わら帽子をかぶった彼女は、まるで少女のように若々しく見える。

いわゆる有名病院で、彼女が死の宣告を受けたのは、昨年の12月のことだった。
「肺がんであと3ヶ月の命です。桜が見られるかどうか」
家族とともに聞いたこの言葉に、彼女は納得がいかずもっと自分の病状を知りたいと思った。限られた時間の中、瀬戸際に立っても諦めないで、ほかの病院にセカンド、そして、サード・オピニオンを求めた。

早咲きの河津桜は2月に咲く。我家の前で咲いた桜を見せたくて、このテーブルでお茶をしたのはまだ寒い頃だった。

桃の花が満開の朝、夫の運転で近くにある秘密の桃源郷を一緒にたずね、海辺の町まで足を伸ばした。汗ばむような暖かい3月、窓を開けると流れるような柳の緑と、咲き始めたソメイヨシノが目に入った。

刻々と刻まれていく彼女の命に、私たちはただ祈ることしかできない。
せめて花を見て、慰めになればと思った。

ある日、嬉しい知らせが届いた。
「いったいあれは何だったんでしょうね。肺がんの細胞はみつかりませんでしたって。がんセンターでも、今すぐどうということもないのよ」

奇跡だったのか,誤診だったのか。
彼女は身をもって、大切なことを教えてくれた。
ネバー ギブ アップ! けっして諦めないことを。
それともうひとつ、山のようにもらっていた薬を飲むことを、いっさいやめた。
一時は、死んだとおなじだったのだから、薬はもういらない・・・・。
その結果、悩まされていた体中の痛みも不調もなくなったという。

だから今日の笑顔が若々しく、生き生きと見えるのだ。
死の淵から生還できたのも、彼女の本当の芯の強さがあってこそ。
Never give up !!!

生きている人に、春の草花はやさしく香り、小鳥も歌う。
そして、土も温かい。




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