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桃源郷へ

毎年、桃の花の季節になると、
心を許した友人や身内ともに、「秘密の丘」へ通っている。
昨日は妹と夕暮れに、今日は夫とまだ明るいうちに行ってきた。

そこはまさしく「桃源郷」。
細い山道を登ると、突如パノラマのような空間が開け、目に入るのはゆるやかな丘に咲く桃の花、花、花・・・。
手前の斜面で彩りを添えるのが、風に揺れる房アカシアやほとんど白に近い
彼岸桜、淡黄色の土佐水木などだ。
暮れなずむ丘の光景は、まるで小磯良平が描くパステル画のよう・・・。

そこは、我が家から住宅地を抜けて4キロほどの場所なのに、
「小さな旅」をしている錯覚に陥ることがあった。
車でたった10分ほどで、日常とまるで異なる世界へ連れて行かれるのだから、タイムスリップといったほうが、適切かもしれない。

私がこの桃源郷を「発見」したのは、今から20数年前のことだった。
毎シーズン、初めて訪れる日は
「もしかしたら消えてしまったのでは・・・」と、いつもどきどきしている。
このあたりは開発の波が激しく押し寄せ、桑田変じて海となるどころか、大げさにいえば一晩のうちに山が消えてしまうこともあるからだ。











この写真は私が撮影した。
正直のところこんなにきれいに撮れるとは思いもしなかった。
やはり自然の偉大な力と栽培者の深い愛情が、この地に働いているおかげだろう。

今まではこの場所を教えることはしなかったが、美しいものを分かち合うことはよいこと。それに、いつの間に知れ渡ったのか、訪れている人の数も増えている。
そこで、理想郷シャングリアを探すためのキイワードをいくつか、記してみよう。

★ 田園都市線 ・ たまプラーザ ・ バス通り ・ 保木入り口

ただし、これだけは守って欲しい。
ここは観光施設ではなく、花屋の切花用圃場だ。エチケットを守り、けっして中に入ったり枝を折らないこと。酒や弁当などを持ち込んだり、大声で騒がないこと。ごみの持ち帰りも、忘れずに。

このやや寒い気候が続けば、18日の日曜日ぐらいまでは見ごろ。

ちなみに桃源郷の出典は、陶淵明の「桃花源記」に由来する。
晋の時代、ある漁師が道に迷い、美しい桃の花が咲く村にたどり着く。
たいへんなもてなしを受けて帰ってきたが、どこにあるか分からず、誰も2度と訪ねることはできなかった。
こうしたユートピア思想は中国では古くからあり、桃は悪霊を追い払う力がある美樹として、尊ばれているという。



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