HOME:広田せい子のハーブガーデン

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マルメゾンの薔薇

美しかった人でも、そのままの美貌で晩年を迎えることは稀有である。

薔薇も然り。華やかで魅力的な花が咲く薔薇ほど、終焉の美まで期待されることが多い。
幸せなことに、薔薇は秋に咲いたとしても花後の剪定、冬季の強剪定という儀式によって、老残の姿をさらさずに春を待つことができる。

ところが、今年の暖冬は薔薇の生理を狂わせてしまった。
古典的な薔薇の多くは1季咲きだが、このSouvenir de la Malmaison (スヴニール・ドゥ・ラ・マルメゾン)は花つきがすこぶるよいばかりでなく、秋にも数多くの花を咲かせる。特に昨年は肥料を変えたのが功を奏したのか、秋薔薇が次々と咲いた。

この大輪の薔薇は、開花期が梅雨の時期と重なるのが悩みのタネだった。
カップ咲きから平咲き、クォーターロゼットと咲いていくのだが、花弁の数が多いため、外側の花弁が濡れてくっついてしまうと、折りたたまれた花弁がほどけないことになる。開花しきれないかわいそうな花を切る作業は、梅雨の間続いたものだった。

ところが、昨年の秋から今年の冬にかけて小春日和が続き、雨のない暖かな冬となってからというもの、この薔薇は大喜び・・・・。小さめながらもしっかりとした花を開き、陽が射すとひときわ強い芳香を放った。
おそらく日本に来て初めて、このような気候に恵まれたのではないだろうか。
嬉しそうに咲く薔薇があまりにも可愛いので甘やかしてきたが、そろそろ強剪定で休ませないと夏に弱ることになる。

先週カットしたつぼみを卓上に飾った。
開く力のない薔薇だが、あえかな色の移ろい、甘い中にも何か主張したがっている残り香が、切なく伝わってくる。

マルチニック島出の既婚者で連れ子のいるジョセフィーヌは、若きナポレオンと結ばれた。しかし、子宝に恵まれないという負い目と政略的な事情から、皇妃の座をハプスブルグ家のマリー・ルイズに譲らなければならなかった。
失意のジョセフィーヌを慰め奮い立たせたのは、マルメゾンの城で始めた古典薔薇と原種の薔薇の蒐集、そして交配による新しい薔薇の作出などに力を注いだことだった。彼女の研究への熱意とと薔薇に寄せる愛情がなかったら、今日の薔薇の世界はなかったことと思う。

名花「マルメゾンの思い出」は、後にこの庭を訪れたロシアの貴族が持ち帰り、かの花園を懐かしく思い、命名したとか。



私が撮影したこの写真はよくないが、美しい薔薇は、最後まで気品がある。





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