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映画「マリー・アントワネット」

見所いろいろ

昨日封切の「マリー・アントワネット」を観に、有楽町へ。
ほとんど満席で、観客は圧倒的に老若女女である。

見終わってエレベーターを待つ列で、中年のご夫婦が揉めていた。
「なんだか、つまんなかったよ」
「私は面白かったんだから、ぶつぶつ言わないで」
「どこがよかったのかねえ、俺にはぴんと来ないなぁ」
「男には無理ね。ねぇもう止めてよ。ほら、みんな笑ってるじゃないの」
「わかったよ。2度とお前と映画なんか観にこないからな」

気まずい雰囲気のまま、エレベーターは降下したが、私にはご主人の気持ちがわからないでもなかった。
おそらく彼は、ドラマチックなフランス革命の嵐を想像していたのだろう。
若くして王位についたルイ16世と、名門ハプスブルグ家のマリー・アントワネットの政略結婚。ベルサイユ宮殿の豪奢な暮らしやアメリカへの援助などが財政を圧迫して、革命の引き金となり、二人とも断頭台の露と消えた史実を、期待していたのにちがいない。

アメリカの女流映画監督ソフィー・コッポラが描いたストーリーは、たしかにこの通りなのだが、男性ではせっかくの見所に反応しない人が多いのではないだろうか。
この映画は堅苦しい歴史などよりも、スクリーンの隅々まで楽しむエンタテイメントだ。もしも真面目に取り組みたい方には、私が若い時に感銘を受けた伝記作家ツヴァイクの、長編小説をおすすめしたい。

さて、見所は?
何といってもファッションが素晴らしい。
ヒロインを演じるキルステン・ダンストが、華奢な体に次々にまとうドレスの数々は、どれを採っても夢のよう……。
いずれも宝石や絹のリボン、デリケートなレースなどをふんだんに使い、下着や寝巻きから宮廷での正装、ウエディングドレス、朝まで踊り明かす遊び着、トリアノンの田舎屋での村娘風まで、いったい何着写っているのだろう。帽子とヘアースタイルのマッチングも、バラエティーに富んでいる。
ソフィー・コッポラは、「シャネル」のカール・ラガーフェルドに師事したそうだが、さすがコスチュームへの力の入れ方が光っていた。

見所は、まだまだある。ぜひ、脇役や群集まで目を凝らしてほしい。キャラクターに合わせて、例えばルイ15世の愛人デュバリィー夫人の下品な服、勇気と決断に欠ける駄目男ルイ16世のきらびやかな服、王妃の恋人フェルゼン伯爵は凛々しい軍服姿、宮廷に集う貴婦人や侍女たちの華やかなドレス…。
当時流行のヘアウイッグにもユニークな趣向が凝らしてあり、インテリアでいえば照明器具や家具、壁紙の模様まで見所が一杯。
料理は豪華な朝食のシーンのほか、石版画で見たことのある超クラシックなお菓子や、ピンクの彩りも愛らしいお菓子の数々に、館内からため息があがったほどだ。

屋外のシーンでは、緑滴る森の中やワイルドフラワーが咲く野原が印象的だった。
本物のヴェルサイユ宮殿で行われたロケーションも多く、広大な庭園の俯瞰撮影による幾何学的な庭や、ノットガーデンのデザインも出てくる。
この18世紀はまだオールドローズの時代なので、薔薇のシーンにも注目したが、古典的な咲き方のイングリッシュローズも混じっているようだ。
なぜなら全体を通していえることは、細かい時代考証よりも監督のイメージに合う素材を組み立てていく手法が随所に見られるからである。
音楽もしかり。クラブサンの雅な響きが宮廷に流れたかと思えば、ニューウェイブもテクノも混在していて何の違和感も無い。
監督自身が楽しんでいることが伝わってくる映画は、そうざらにはない
百聞は一見に如かず。どうぞごらんあれ。



映画パンフレットより
どのシーンも華麗なる衣装にアクセサリーなどの小道具が素敵。
左下はいつもいつも随身に囲まれての豪華な朝食。


映画パンフレットより
広大なヴェルサイユ宮殿の庭園。チューリップと勿忘草で縁取った
ノットガーデンを、そぞろ歩く夏着姿のアントワネット。


映画パンフレットより
夢のようなピンクのお菓子と薔薇の花の饗宴。一見オールドローズ
のように見えるが、おそらくイングリッシュローズかも。

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