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ナチュラリストの二部治身さん


「もしもし、二部さん? 広田です」
先週木曜日の夕方、二部治身(にべはるみ)さんへ、ダイヤルをした。
彼女には、何と肩書きをつけてよいか迷ってしまう。挿花家、ナチュラリスト、自然愛好家・・・など、いろいろあるがどれももの足りない感じだ。

「あぁ、広田さん。どうしたん?」
豊かな声量の高松弁が受話器の向こうから、聞こえてきた。

「昨日、大宮の駅前に軽井沢の「茜」と同じ喫茶店があったのよ。美味しいコーヒーが飲みたくて入ったら、書棚に’銀花’のバックナンバーがあるの。70号特別記念特集に、あなたの作品と記事がたくさん載っていたので、嬉しくてお声が聞きたくなって」
'銀花’とは、自然、人の生き方、民芸品、骨董品など美しい物、芸術的な物を追求する雑誌で、創刊40年を過ぎた格式ある雑誌だ。

「よく電話してくれたわ。あれはずいぶん前のことだったものね。よう覚えているよ。野の花で100種類ぐらいの箸置きを作って・・・」

「1978年の出版だったから、約30年前のことね。おかっぱの二部さん、とても可愛かったわよ」

確か1975年前後に、駒場の民芸館と高樹町の骨董品店で、気になる花を何度か見かけたことがあった。自然の花材を花器でなく道具などとコラボレーションした作品で、生け花でもアレンジメントでもない、それでいて何かしら哲学的なものを感じさせる花だった。
後で知ったのだが、両方とも彼女が八王子の山から運んできた、枝ものや草花を活けていたのだ。
自然の素材を壷やざる、ガラスの容器などに伸び伸びと、あるいは繊細に、
また力強く、そして可憐に、自由自在に花を活ける人はそうざらにはいない。しかも、堅苦しい生け花のセオリーとか、流派のこだわりなどを微塵も感じさせない、堂々とした作品だった。

ある婦人誌に、二人が別々の企画で載ったことがあり、ユニークな花を活けていたあの人が二部治身さんということが分かった。
その後編集者にあらためて紹介され、お互いの家を訪ねたり、思いついた時に電話や手紙のやりとりをして、20年近くになる。きれいな色、美しい形に感動する彼女は、生真面目でシャイな反面、思い切り大胆な発想や行動もけろりとやってのける。
開発が進むニュータウンの自然を守るために努力し、長年耕して手入れをしてきた畑は、なめてもいいぐらいのよい土だと自慢する実践派だ。

旅行好きも半端じゃない。アフリカ、中国奥地、東南アジア、韓国、中南米などへ行くたびに、民芸品やら生活雑貨を買い込んでくる。
彼女が文化出版局から出した5冊と、合わせて7冊の著書を大切にしているが、それぞれの写真に写っている道具や家具の何と凝っていることか。
「宝もの見つけた」を見ると、その数はたいへんなものだ。いったいどうやって収納しているのか、教えてもらいたいと思う。

明日14日からは、上海へ出発の予定と聞いた。
無理をしないで、大いに楽しんできてほしい。
そして、私がリクエストした苦丁茶を、忘れないでね。
行ってらっしゃい!!!



二部さんの著書の数々。どの本を開いても、花の活け方ばかりでなく、
暮らし全般にわたって自然を慈しむ心が伝わってくる。


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