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? ? ? な商品 その4

茄子の葉の粉

晩秋の一日、中仙道を江戸に向かう途中、
磯部温泉の手前で大きな道の駅に似た建物を見かけた。
一度通り過ぎたが、後ろ髪を引かれる思いがする。
どうしてものぞいてみたいと夫に頼み込み、ユーターンをしてもらった。
その代わり、「30分だけ」という時間制限と、「買わないで見るだけ」の約束を交わしてから、大きな体育館のような建物へ突入。

いやぁ、こんな広さでは、30分で回るのは無理というもの・・・。
でも、気を取り直して見てまわろう。
ここの特徴は、プロの商品とアマの手作り品が同じ場所に並んでいる。客のほうは、気兼ねなく自分の好みで品選びができるというわけだ。野菜も新鮮、漬物も美味しそう。特に葱は下仁田や深谷の有名ブランドの生産地に近いので、ただネギと書いてあっても、例の太くて短くて甘いやつだ。しかも3~4本の束で、たったの80円!
お惣菜あり、おやき、手作りケーキ、パッチワークの手芸品まである。
建物の半分は農作業用関係の道具なのに、時間がない。

変わったものを見つけた。





「茄子の葉の粉」と書いてある。ビニールの小袋の中に入っているのは、
くすんだ緑色をした粉末だ。なぜか、100円の上に150円のシールが
貼ってある。通りかかった人に聞いてみたが、さぁと首を横に振るばかり。ようやく5人目の老婦人が教えてくれた。
「沢庵を漬ける時に混ぜるのよ」
しかし、その方も知ってはいるものの、まだ作ったことはないのだそうだ。


家に帰ってから、さぁ、実験。
まず舐めてみた。何の味もない。
沢庵のたるの中は、発酵しているのだから酸っぱいはず。
薄めた酢に粉を入れたら何か変化が? 結果として何も変わらなかった。
香りは酢の匂いだけだ。
やはり沢庵を漬けてみないと、分からないのかも知らない。
その後、知っていそうな数人の友達に電話で聞いてみたが、
全員「なあに、それは。分かったらぜひ教えてね」

たまたま三重県の友達から電話があったときに、同じ質問をしてみた。
「知ってるわよ。うちのほうでは昔から茄子の葉を干して粉にしたものを、
米糠、砂糖、柿の皮、トウガラシ、ウコン、塩、昆布と混ぜて糠床を作るのよ。時間がたつにつれて発酵するのやけど、茄子の葉入りのほうがよく熟成して、香りが違うのよ。できたら送るから、待っといて」

知らないことを知るのは、嬉しい。
三重県の食文化が、群馬県へどのような経緯でつながってきたのか。
答えは、意外にも三重県から群馬県へ嫁入りした人がいたから、かも・・・。
江戸時代から明治の中ごろまでは、こうした食文化や習慣、行事などが伝わった足取りを追跡できたが、現代ではそうはいかぬ。
人々の交流、物流、本やテレビなどが地球規模の津々浦々まで、瞬時のうちに情報を運んでしまうからだ。

いずれにせよ、茄子の葉仕込みの沢庵の味見をする日が待ち遠しくてたまらない。

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