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山羊のミルクとヨーグルト

懐かしい飲み物

小諸の宿で、久しぶりに山羊のミルクを飲んだ。
かすかに青い草の匂いがする、真珠母色の濃厚な液体・・・・。
口に含むと、幼かった日々が懐かしく蘇ってきた。

私は5人姉弟の長女だ。
次女、三女と続き、そして戦後間もない昭和22年に、弟と妹の双子が生まれた。当時の食糧事情は逼迫しており、双子たちに飲ませたい牛乳などは、手に入れることが難しかった。
どこを探しても無理ならば、山羊を飼ってミルクを、ということになり、ある日山のほうから連れてきたという白い山羊が、家族に加わった。
メエメエと鳴くので、名前はメエコに決まり、温室だった場所が山羊小舎となった。
餌にする草取りは子供たちの当番制。夕方の乳搾りは母がしたが、ミルクの缶を山羊が引っくり返さぬように,絞り終えるまで山羊の後ろ足を持っているのは、子供の役目だった。
とくとくと音を立てて鍋に移したミルクを弱火で加熱すると、クリーム色を帯びたミルクの表面に、さざ波のような皺ができる。これがクリームだ。周囲の目を気にしつつ、指でひょいと絡めて口に運ぶスリルと、口中に広がる豊かなコクが、麻薬のような魅力だった。


この中棚荘は、夫が以前泊まったことがある。料理ももてなしもよかったので、ぜひ今度は一緒にと、連れてきてくれたのだ。
小諸の懐古園に近く、大正の雰囲気をただよわせている島崎藤村ゆかりの日本旅館は、夫の言ったとおり季節の食材をたくみに取り入れた料理が、美味しかった。ユニークなサービスとして心に残ったのは、フロントで山羊乳のとろりとしたヨーグルトを振舞われ、朝食には山羊のミルクが作家物のマグカップで出たこと。
健康的な若女将も、チャーミングな方だ。山羊のことから話が弾み、子育てやら古民家移築の嬉しい話、等などに花が咲いた。

敷地の中で山羊のさくらの他に丸々と肥えた豚のポー、合鴨にチャボ、犬などが飼われている。
驚いたことに豚はリボンが似合うペットだったそうで、あれよあれよという間に肥って巨大豚になってしまったとか。
私の経験からいって、山羊の赤ちゃんの可愛らしさといったら・・・。横っ飛びに走る様は無邪気そのもの。1日中見ていても見飽きることがない。
若女将の話では、2007年4月28日が出産予定日だという。感動的な出産シーンはともかく、5月頃に行けば小山羊を抱かせてもらえるにちがいない。
24日は孫の美海のピアノ発表会だ。
お土産に頂いた山羊のミルクとヨーグルトを、持って行ってあげよう。
何とも滋養に富んだ、素敵な飲み物ではないだろうか。




今年のJR東日本のキャンペーンで、吉永小百合が旅人となったポスター。
大正ロマンの漂うここ中棚荘で撮影した。

山の斜面に建てられた中棚荘客室。信州小諸の懐古園の近くにある。
島崎藤村ゆかりの宿、として知られている。





季節感をもりこんだ12品の献立は、食前酒からスタート。




凌ぎの「蕎麦茶碗蒸し」。地鶏にあられ餅、焼き葱、軸三つ葉、
叩き梅の具にあんをかけてあるので、あつあつが身上。

替鉢は信州牛ステーキ。人参、椎茸、茄子、胡麻のソースにチャービルを添えて。
メリハリをきかせた献立と程よい料理の量に、客への心配りが感じられる。




お土産に頂いた山羊のミルクとヨーグルトを、自宅の庭のテーブルで。
ミルクは大正時代の切子のコップ、ヨーグルトは英国シェリー窯の紅茶茶碗に。



中棚荘
http://www.komoro.co.jp/

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