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ローズマリー夫人の’Four o'clock’

夏の終わりに、庭中を甘い香りで満たす花がある。
夕方の4時頃から翌朝の4時まで花を開くので、英語ではFour-o'clock、
あるいはBeauty-of-the-night ともいう。
日本では,オシロイバナ。黒い大粒の種子の中に、白粉(おしろい)のような細かい粒子が詰まっていることから、こうよばれている。
原産地が熱帯アメリカで、江戸時代に渡来しているせいか、白粉草(おしろいぐさ)、夕化粧、金化粧、銀化粧、野茉莉(のまつり)、紫茉莉(むらさきまつり)と呼び名も数多く、ロマンティックだ。


photo by Seiko Hirota


今、我が家の庭はオシロイバナガーデンと言ってもいいほど、この花が咲き乱れている。夕暮れ時、バス停から家路を急ぐ私を風に乗った甘い香りで迎えてくれたり、庭に干した洗濯物を取り込む時優しい香りに包まれるのは、この上もなく幸せな気持ちだ。

オシロイバナには思い出が多い。
新婚時代を過ごした「千駄ヶ谷アパート」のエントランスに植えたのは、白花種だった。道路から入った5メートルほどの通路脇に,夜目にも白く浮き上がる花の美しさと香り・・・。まだあの頃は勤めていたので、くたびれて帰宅する私を慰めてくれた白いオシロイバナには、特別な思い入れがある。

今、庭をバラ色に染めているオシロイバナは、イギリス生まれだ。
何を隠そう。園芸界でこの方を知らない人はモグリだと言いわれるほど著名な、ローズマリー・ヴェアリー夫人から直接いただいた種子なのだ。
バーンズレイの館に住む夫人は、子育てが一段落してからほとんど独学で
ガーデンヒストリーや造園学などをマスターし、広大な自邸の庭を作り上げた。この事例が昨今のイングリッシュガーデン・ブームの、呼び水となったと言っても過言ではない。
1985年に最初の訪問をしてから、何度となくこの庭を訪れ、夫人から多くのことを教えていただいたが、庭における色彩計画やキッチンガーデンのプランニングなど、今でもゆっくりと話す声と共によみがえってくる。
オシロイバナの種子は、ボーダー花壇の前で採取し、差し出した私の両の掌にあけてくれた。
「学名はミラビリスというのよ。とても美しいと言う意味だけれど、ミラクルと言い替えたいほど、元気なパワーがある花です。きっと驚くわね」

1988年にいただいたミラビリスは確かにミラクルだった。
元気で元気で、根はダリヤのような芋状になり、ざらざらとこぼれ落ちる種子は庭中のあちこちで芽を出し、抜いても抜いてもまた発芽するのだ。
ローズマリー夫人は旅立たれ、あのお屋敷はホテルになった。
これまでは近くのスワンホテルに宿をとっていたが、今度はバーンズレイホテルに宿泊してみたいものだ。

時計を見たらもうすぐ4時。そろそろ思い出のミラビリスの香りが漂い始める時刻だ。


photo by Seiko Hirota

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