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愛を感じた小さな駅

わたらせ渓谷鉄道と聞いて、すぐにピンと来る人は、
鉄道ファンにちがいない。
群馬県の桐生市と栃木県日光市を結ぶ第三セクターの鉄道で、
わたらせ渓谷に沿っている。

夫が鉄道関係の撮影をしている間、私も近くの植物や動物などにカメラを向けることがあるが、これまで夫のテリトリーに入り込んだことはなかった。

ところが、この小さな駅には何かしらあたたかいものを感じ、
待ち時間に「鉄子」よろしくカメラを手に歩き回ってみた。




ゴミ一つ落ちていない清潔な待合室とホーム。

駅の構内からホームの端まで、季節の花で彩られている。
いわゆるガーデニングなどというような今風の植え方ではない。

愛情をかけて育てた苗を、真面目に植えてある。
無人駅なのに、誰が世話をしているのだろう。
おそらく、花の世話をしている人、掃除をしている人たちがいて、
きれいな駅をみんなに喜んでもらいたい、という気持ちが伝わってくる。



遠くの踏切から手前に向かって、線路の外側に植えた芝桜が美しい。
ホームの外れまで菜の花のカーペットが鮮やかに彩り、春を告げている
スイセンにチューリップ、雪柳、ムスカリ、葉ボタン、冬知らず、パンジー、矢車草、桜草・・・。
植えてあった花は、ノスタルジックな懐かしい花が多い。




元気に咲いていたムラサキハナナ。諸葛菜ともいう。

1時間に1本程度の列車運行で、乗り降りする乗客の影もない。
それなのになぜこの駅舎はこれほど大切に、きれいにされているのだろうか。
ちょうど、ゴミ袋にゴミを拾いながらこちらに来る年輩の方に伺ってみた。
「私が駅の右半分を世話してるんですよ。駅の前に住んでいるし、リタイアしたのでこれも楽しいですよ」

駅の左半分は婦人会のメンバーの世話だと聞いて、駅前の奥さんに聞いてみた。
「私たちが行ってるんですよ。声をかければ10人ぐらいすぐに集まって、作業ができます。何しろ大正元年にできた駅だから、大事にしなくてはね、といつもみんなと話し合っているんですよ」

なるほど、最初にこの駅を見たとき、あたたかいものを感じたのは、みんなに愛されているからだったのだ。
幸せな小さな駅の名前は、「上神梅」という。

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