みんなの好きな渋皮煮

夫は行事にことよせて客を招くのが大好きだ。
若いころは数日にわたってかなりの人数をもてなしたが、
今はファミリーで元旦を祝うことにしている。
嬉しいことに、息子たちが回り持ちで新年会をするようになり、私たちは御客となっている。
とは言っても招く側の苦労もよくわかるので、出来る限りのヘルプを惜しまないようにしてきた。
料理は3人の嫁と打ち合わせをして、ダブらないように役割分担をしているが、
毎年テーブルに乗り切れないほどのごちそうの山となる。
明日は暦が替わって、2014年の最初の日だ。
午後から長男の家で、ファミリーの新年の集いがある。
私が持参する料理は、小豆島から届いた天然の鯛の塩焼き、自家製ベーコン盛り合わせ、
慈姑(くわい)のサフラン煮、生キクラゲのピリ辛中華風、百合根イタリアン、
紫キャベツのガーリック風味サラダ、白菜のあっさり漬け、栗の渋皮煮、安納芋とリンゴのケーキだ。
私の得意の料理は、ハーブを活かした簡単なものが多い。
今回は、毎日が忙しい若い嫁たちに、高年だからできる時間と手間がかかる一品をと考え、
栗の渋皮煮を作った。。
孫たちもこの大粒の栗が大好きで、保存用のガラス瓶がカラになるのが嬉しい。
参考までに作り方を記しておく。

今年は山口県産の岸根栗(がんねぐり)を、取り寄せてみた。
何と見事な栗だろう。3キロ入りでL,Mサイズ。数えてみたら105個あった。

まず、内側の渋皮に傷をつけないように注意しながら、表皮の」堅い鬼皮を剥く。
鬼というだけあって非常に堅牢な皮なので、熱湯に10分ぐらい浸けると皮が柔らかくなる。
ナイフや包丁などでも出来ないことはないが、栗剥き専用の小刀を使うと安全で能率的だ。

白っぽい産毛に包まれた状態の渋皮。
ふーっ、ここまで剥くのがどれほど大変だったか・・・。
折り返し点はまだ遠いが、だんだん楽しくなるのだから面白いもの。

次は渋皮を取る下準備だ。
ボウルなどに栗の頭がかくれる量の湯と重曹一つまみを加えてかき混ぜ、栗を浸す。
冷めたら水で静かに洗っておく。

ああら不思議。
しっかりとしがみついていた渋皮が、重曹の力で軟らかくなり、指でこするとすべすべに。
しかし、白魚のような(?)手指はごらんのとおり。
筋の中に残っている焦げ茶色の細いひものようなものは、妻楊枝を使えばきれいに取れる。

ようやく甘味をつける段取りだ。
「作り方」には栗と同量の砂糖とあるが、私は60パーセントぐらいの赤ザラメを用いている。
まず、シロップを作ってこの中に栗を入れ、弱火で15分ほど煮る。
冷めたら栗を静かに取りだし、シロップだけ火にかけて弱火で煮詰める。
この作業を3回ほど繰り返して、しっかりとした風味や甘味をつける。

「こんなに手間がかかるのなら、来年はもうやめようかな」
と何度思っても、毎年作るのはなぜだろう。
栗の持つすべての魅力を凝縮させた何かが潜んでいるのに違いない。
トップの写真は、産毛を取ってつるつるの美肌にしたものだ。
上の写真はややラフなつくりだが、いかにも美味しそうだ。

どちらも手間と時間をかけて、靚子バーバが作ったものだから、
たくさんお食べなさい。
明日、持って行きますからね。