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庭からの贈り物

「セイコサン、 また会えて嬉しいわ」
「アグネータさん、ようこそ。お待ちしていたのよ」
久しぶりに握手した彼女の手は、暖かだった

この夏スエーデンでお世話になったアグネータさんが、銀座で個展を開いている。
彼女は夢と幻想に満ちた独特の世界を、紙とハサミとハートから創り出す切り絵作家だ。
初日にはぜひとも駆けつけて、「おめでとう」のごあいさつをしたいもの・・・。
さて、どんなお土産がよいだろうか。


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今度で3回目の展示会だから、プレゼント持参のファンはたくさんいるはず。
ダブらないものがよいに決まっているが、なかなか思い浮かばない。

春から初秋までなら、庭に咲く花やハーブでいくらでも花束が出来たが、
端境期なのでめぼしい花がほとんどない。
それでも集めてみれば何とかならないかと、庭を回って作ったのがこのバスケットだ。
思っていたよりも素材は多く、いざ作リ始めてみると、
あれも入れたい、これはどうかしらと、アイテムが増えて、
店には売っていない、私だけの「庭からの贈り物」が出来た。


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★ ばらの花とハーブの葉で作った香りの花束「タッジー・マッジー」。

円形の四方見なので、前と後ろから見たところを撮影した。

用いた花: ばら(ボウ ベルズ、コーネリア、グル―テン ドルスト、フンショウロウ、
      グリーン アイス、スイート シャリオット、ラベンダードリーム、
      ホワイト マザーズ デイ、ペルル ドールなど)。
      プランパゴ、ワスレナグサ、カリガネソウ、イワシャジン、ユーパトリウム、
      サルビア アズレアなど。

用いた葉: ローズゼラニューム、ブロンズフェンネル、タイム、カントンニッケイ、
      スペアミント、ローズマリー、フレンチラベンダー、オキザリス、ベアグラス、
      キッショウソウ、レモンバビ―ナ、レモングラスなど。

こうして書き出してみると、見た目よりも意外に品種数が多い。
大輪の薔薇は小さめのつぼみを使い、主にポリアンサやミニチュア系のバラを選んだ。
花の優しい色合いと、渾然一体となった自然の香りで、
アグネータさんの旅の疲れを癒してあげたいと思う気持ちを、花束に込めた。

        
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バスケットの横幅が広いので、タッジーマッジーを入れてもまだまだスペースがある。
そこで、全体のバランスを考えながら、次のようなアイテムを添えてみた。

★ビタミンCを多く含むカラマンシ―をどっさり。
カラマンシ―はフィリピンの柑橘で、ピンポン玉よりもやや大きめ。
日本ではまだ珍しいようだが、20年になる我が家の樹は今年も鈴生りだ。
さわやかな酸味があり、たくさんの果汁が摂れるので、リフレッシュにぴったり。
お風呂に入れたり、リンスにもお勧めだから喜んでもらえそう。


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★ バラの実に託した季節感
自然が豊かなスエーデンで育った彼女は、
季節感が乏しい大都会・東京に10日も滞在するのは、つらくないだろうか。
そんなとき、故郷の家の庭や垣根を赤く染めるローズヒップが慰めになってほしい。
さまざまな形のばらの実は、見ているだけでも創作意欲が湧いてくるようだ。

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★ お茶の花を一枝添えて
今はちょうどお茶の開花期。
日本茶好きの彼女は、テ・キネンシスの花の香りを知ったらどんなに喜ぶだろう。
想いをこめて、ほっこりと咲く白い花を切り、バスケットに加えた。

        ★                ★                ★

銀座にあるギャラリーにはアグネータさんの新作41点が飾られ、
ファンの人たちが詰めかけていた。
いずれも力作ぞろいで、目が釘付けになった作品も多く、
気に入った絵がすでにソルドアウトなのにも、がっくりしてしまった。

ユニコーンやペガサスなどが登場するこれまでのキャラクターの作品もあったが、
大型のサイズの「インディゴ」は彼女の新境地を見る思いだった。
古伊万里の染付を思わせる色調で、幻のような花と生命力を表す茎が絡まりあうさまには、
なぜか心惹かれた。

アグネータさんは「庭からの贈り物」をとても気に入ってくれたようで、ほっと一安心。

此の個展が、どうか大成功になりますように。

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