HOME:広田せい子のハーブガーデン

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Sketch of Sweden 5  アイの種子と愛の種子

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「さぁ、楽しい種子蒔き始めましょ」
アグネータさんと私は、朝から何となくウキウキしていた。
種子蒔きというのは、藍染めをするためにアイの種子を蒔こうというのだ。
800坪もある庭に建てられたグリーンハウスの前で準備をしながら、
アグネータさんは嬉しそうに話しかけてきた。

「私は藍染めが大好きで、昔から布を集めているの。
だから、ぜひ自分で染めてみようと、前に徳島へ行ったときに、スクモを買ってきました」

スクモとは藍玉とも言い、収穫した藍を発酵させたものを丸い形で保存し、
藍染めの原料として用いるものだ。

「まぁ、すごい。それでどうでした? うまくいった?」
「駄目だったの。がっかりだわ。失敗しちゃったの」

「アイは生き物だから、本格的な藍染めは専門家でも難しいという話ですもの」
「そうなんですってね、どうしても諦めきれないでいたら、園子さんに見せてもらったあなたの著書に、
「アイの生葉染め」が載っていて驚いたのよ。これなら、生の葉があれば私にもできそうじゃない。
今度は生の葉から挑戦したいので、どうぞ教えてくださいね」

この小著とは,「広田靚子のNewハーブブック」《山と渓谷出版社)のことだ。

「遠い北欧の国に藍染めに興味を持っている人がいると聞いて、感激したわ。
だから、私も協力したくなって、種子を徳島から取り寄せて持参したんです。
がんばりましょうね」


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「ほら、これがアイの種子よ」
アグネ―タさんの掌に載せた種子は、
風が吹くと飛んでいってしまいそうな細かい粒々だ。


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東南アジアを原産地とするアイが、スウェーデンで育つかどうかはわからない。
しかもスタ-トが、日本と比べて2カ月近く遅れているし、日照時間がしだいに短かくなっていくこの地で
どこまで育つものだろうか。

「蒔かぬ種子は生えぬ」の諺もあることだし、あれこれ言わずに蒔くだけ蒔いてみよう。
もしも失敗したとしても、これがデータとして残れば、これからのアイ栽培の役に立つのだから。

大きめのプランターに培養土を入れ、筋蒔きにしている二人。


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最初のころはおしゃべりしながらの作業だったが、集中してくると次第に無口に・・・。
アイの場合は直播でなく、あらかじめ苗作りをしてから数本づつ束ねて定植する。


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それぞれ2~3列蒔いたところでストップ。
これ以上蒔きすぎると過密状態になって、ひょろひょろの苗になりやすい。
乾燥してしまうと発芽しにくいので、たっぷりと水をやること。

そう、アイは水が好きな植物だ。
だから、定植する場所はやや湿った場所とか、反日陰でもよいので乾燥しない所がよい。
もしも乾きやすかったら、水やりを多めにするとよい。


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母屋で仕事をしていたパールさんが、戻ってきた。

「どう? 順調に行ってますか。いつでも手伝うから、頼みたいことがあったらどうぞ」

「ありがとう、ちょうど今蒔き終わったところなの。
靚子と二人ですると早いわね」


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蒔き終わったプランターをハウスの中へ取り込む。
スウェーデンは春の訪れが遅いし、夏といっても気温が変わりやすいそうだ。
生活必需品のグラスハウスの中には、カボチャ、レタス、キュウリ、などの苗があった。


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半透明のプラスチックカバをかけたープランターと、
濡れた新聞紙をかぶせた《準備中》プランターを並べて、
どちらがどう育つか、実験、実験!

まるで生物の時間のように真面目に、
そしてちょっぴりわくわくしながら楽しんだ異国での種子まき。
あれからちょうどひと月になるが、うまくいったのかしら。

思い出していたら、園子さんからメールが届いた。

アグネータさんから、
「あなたと一緒に蒔いた庭のアイは、順調に育っています。
大きく育って収穫したら、ぜひ生葉染めを試してみます」と、
嬉しそうな伝言があったとのこと。

ふと頭に浮かんだのだが、
海を隔てても、こうしてお互いのことを想い、
小さな緑の葉に思いを馳せることは、大きな意味で愛とよぶのではないだろうか。

私がスウェーデンに蒔いてきた愛の種子も、元気に育ってほしいものだ。


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