必ず新年に咲くバラ

皆様、明けましておめでとうございます。
どうか今年もよき年でありますように。
新年のご挨拶を記しながら、私は今、庭を眺めている。
2013年の元旦は、霜柱で庭全体が真っ白に染まる寒い朝となった。
寒々とした枯れ草色の中で、ひときわ目立つのは優しいピンク色のバラだ。
北国では猛吹雪が荒れ狂い、大雪が人々の暮らしを妨げているというのに、
露地に植えたこのイングリッシュローズは、毎年のように正月に花を開く。
しかも、その名は「ヘリテイジ」といい、
「代々受け継がれていくもの」、あるいは「遺産」を意味する。
これほど新年にふさわしいバラがあるだろうか。
イギリスのデビット・オースチンが1961年から発表してきたイングリッシュローズは、
新旧ローズの欠点を互いに補い、優れている特徴をさらに生かした魅力的なバラのグループだ。
すでに225種のバラが発表されているが、
このヘリテイジは初期に作出された名花で今でも香りのよい品種の代表格として、一目置かれている。
初めてこのバラがわが家へ来た時のことを思い出した。
今でこそ、イングリッシュローズは簡単に買えるようになったが、
庭ができた20数年前はまだ代理店もなく、どこへ注文してよいかもわからなかった。
そこで、まずアメリカのハーブフレンドがイギリスへ注文し、
受け取った苗を米軍オフィサーのご主人が厚木まで米軍機に乗せてくれ、
国内ではクロネコ便が引き継いで、我が家へ到着したのだった。
ルドウテの絵から抜け出してきたような端正な美しさ、
ミルラの香り(と表現されるが私にはフル-ティな感じ)を持つ花、
名花アイスバーグの孫に当たる血筋の良さ・・・・・。
数え上げればいくらでも美点があるが、
正月に咲くバラというのが、何よりも嬉しい。
さて、あなたの庭ではいかがだろうか。