レディ・ヒリンドン様へ

親愛なるHILLINGDONの奥方様
あなた様は1917年生まれとお聞きしています。
日本では大正7年になりますが、この年はロシア革命が起こった年です。
それにしても、よく海の果ての日本までいらっしゃいましたね。
おそらく、南回りの長い船旅だったと思われますが、さぞかしお疲れだったことでしょう。
大正3年生まれの父も9年生まれの母もすでに旅立ちましたが、
来日後95年のあなた様はますますお元気で、日本各地の庭に明るい希望の色の花を咲かせ、
優しい紅茶の芳香で幸せをあたえてくださいます。
両親とも昔は「金華山」とお呼びしていましたが、
華やかでお目出度い雰囲気がぴったりの日本名で、
誰にでもおぼえやすかったのではないでしょうか。
私の庭へいらしているのはつる性の奥方様で、おしとやかな雰囲気とは大違い。
何んともやんちゃでちょっと目を離したすきに、2階の屋根近くまで登ってしまわれました。

元気にアーチをよじ登ってキきたヤマホロシと、
バトルにならないようにお助けするつもりですが、
せっかくのお顔がこれでは遠すぎます。
来春はお顔も香りもどちらも楽しませていただけるように、
上手に剪定をしましますので、2月ごろまでお待ちくださいませ。
秋空に映えるアプリコット色のドレスが、よくお似合いですこと…。
それではまた、明日。
SEIKO