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MONMO と 桃

「重いですよ。玄関の中へ入れましょうか」

顔なじみの配達員が、朝一番で大きな箱を届けてくれた。

姉想いの弟が送ってくれた箱の横には、大きな文字で「福島 桃」とある。

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箱の中には、ふっくらとした赤ちゃんのほっぺを思わせる見事な桃が並んでいた。

夏の終わりを告げる晩生の品種は、この「川中島」が美味しい。


ものづくりには、扱う人の個性が現れるという。

あの信じられない原発の打撃を受けてから、1年半が過ぎた。

しかし、何事にも真面目に取り組む努力を惜しまない福島の生産者は、例年に勝る桃を生み出している。

箱の周囲まで漂い出す香りの、なんとやさしいことだろう。

私は思わず、MONMOという言葉をつぶやいていた。

ローマ字で綴るとフランス語のようにもみえるが、MONMOは、れっきとした福島ことばだ。

ふるさとの福島は、昔から最高の品質を誇る桃の産地として知られている。

春にはあちらこちらに文字通り桃色の花畑が広がり、夏休みの頃のおやつはMONMOだった。

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興味深いことに、よその産地の桃はとろけるような食感とか、

皮がつるりとむける柔らかさをもって上等とされる。

しかし、福島ではしゃきっとした歯ざわりの、やや硬めのMONMOに人気がある。


私たち4人姉妹はそろって県外へ嫁ぎ、数十年を過ぎても夏の果物といえば桃ではなくMONMOだ。

語源を調べてみたが、今さらかしこまって語源というほどのこともない。

おそらく贅沢な果物の味に、親しみと感謝をこめて生まれた愛称ではないだろうか。

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MONMO がどれほど県民に愛されているかを現わすよい例が、この雑誌 MONMO だ。

サブタイトルに「福島を楽しむ大人の情報誌」とあるように、

暮らし全般にわたって質の高い情報を提供している、善意の塊のような雑誌だ。

隔月刊で、まもなく創刊8周年を迎える,

この足跡を残すことは、地方の出版社では容易なことではなかったろう。

この間には先の見えない景気の低迷や、予想もしない大震災や原発などの甚大な被害をこうむり、

継続の危機もあったにちがいにない。

最悪の状況の中で欠号を出さず乗り越えられたのは、社長を始めスタッフによる「MONMO精神」、

言い換えれば、自分のことよりも相手の立場を考え、損を承知で真面目な行動を続ける福島県人魂が、

頑張らせたのだと思う。


ありがとう、生産者の方!, おめでとう MONMO編集部 !、がんばろう 皆さん!


*monmo お問合せ先  TEL 024-593-0900、Fax  024-593-0400

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