HOME:広田せい子のハーブガーデン

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英国・癒しの旅② 秘密の花園

ブラックバードの歌うソプラノで目が覚めた。

[あ、ここはイギリスなのね」

ベッドサイドの時計は、5時を指している。

昨日から宿泊しているこのマナーハウスは、
ナチュラルテイストの庭を目指して、修復に全力を挙げていることが高く評価されている。
古い木製のドアを押して庭へ出たら、花の香りを含んだ空気が沈んでおり、
太陽が昇るにつれて、夜露に濡れた花の色は刻一刻と変化してゆく。

さぁ、庭を散策してみよう。


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紗をかけたような朝もやの中に、
うっすらと浮かび上がるオックスアイ・ディジーの群落


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金髪に似たグラスは、フォックステイル・バーリィ。
優しくうなづきながら、そよ風の通り道を示している


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丈高いゴ-ルデン・オーツの背後から射し入る黄金色の光線。
靄がきれるにつれてコーンフラワーの青が冴えていく


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太陽神アポロンのキスを受けて、頬を染めたフォックスグローブ


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丘の斜面を含む広大な敷地には、大小合わせて12のテーマガーデンが点在している。
緑のフレームの中に見えるのが、4分割した芝生を取り巻くフラワーガーデン


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「イングリッシュ フラーワーガーデンの父」とよばれるウイリアム・ロビンソンが、
このヨーク石を用いた館に住んでいたのは、約100年前のこと。
イギリスに自生する植物を自然な感じに植えた庭を提唱した園芸家であり、
作庭師、植物学者であった彼が、
ここで名著「ザ・ワイルド・ガーデン」を執筆したのだろうか。


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深い森の中から忽然と現れるマナーハウス。

エントランスに咲いていた薔薇は、華やかなモダンローズではなく、素朴な薔薇だった。
このチョイスは流石で、エイジングした建物とよくマッチしていた。


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暖炉のあるクラシックな居間には、
スモーキーな匂いが浸み込んでいて、なぜか郷愁をおぼえた。
庭から摘んだ花を飾った肖像画の婦人は、どなただろうか。


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室内や食卓はもちろん、館内のさまざまなコーナーに庭の花が飾ってあるのが嬉しい。
女性のスタッフが楽しげに花を切っていた。


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この館のたどった道は険しかったと思う。


第2次世界大戦後はっ荒廃の一途をたどったようだが、
マナーホテルとして開業するまでには、さぞかし紆余曲折があったことだろう。
オーナーはさる有名な庭園のへッドガーデナーを務めた人に修復と管理を依頼し、
庭が成熟するのを待って、オープンしたという。

自然風にというテーマだから、一見無造作のように植えてあのに、
風景の中からどこを切り取っても絵になるのがすごい。

フィバフュー、ルピナス、ポピー


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デザイン論を述べるよりも、まず植物の個体がキチンと育っていなくてはならぬ、
というのがヘッドガーデナーのモットーではないだろうか。
どの植物も伸び伸びと育っており、
目立たないように、個々のメンテナンスがされているのには感動をおぼえた。

いきいきと育っているニゲラ(クロタネソウ)。
乾燥した黒いタネを手でこすると、かすかながらも上品な芳香が漂う。

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ラテン語で天使の意味を持つアンジェエリカ。
まるでこの館の守護神のように、背丈を越すほど大きく育っていた。


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コロンバイン(オダマキ)

花の形が昔の糸巻きに似ているので、この名がついた。
園芸種では色も形もバラエティーに富み、丈夫なので花壇ではよく見かける。
交配しやすいので注意を、と参考書にはあるが、
私には交配の結果を見るのが何より楽しい。


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イギリス人が好きなルピナス。
ニュ-ジランドの街道沿いに、それはそれは美しいルピナスが咲いていた事を思い出す。
入植したイギリス出身の人たちが植えたのか、エスケープしたものか、何キロも続いていた。
毒性があるので、羊や山羊たちは本能的に食べないという。
北海道でも同じ様な話を聞いたことがある。


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バイパース・ビュグロス(?)
ワスレナグサやボリジが属するムラサキ科には、好みの植物が多い。
花も葉もちくちくする葉や茎の細いとげも、バイパース・ビュグロスそっくりなのに、
どこか違うようなのは花の色かもしれない。
この植物はアジサイと同じように、土のPHによって色が変わるからだ。
でも、そんなことはどうでもよろしい。
花は好きなように咲いているのだから。


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あぁ、なつかしい。このピエロポピーは母が大好きな花だった。

「フランスではコクリコというのよ」といいながら、
1日ですぐに散ってしまうこの花をガラスの水差しに活けていた。
ピエロというのは黒いブロッチが、道化師の服の水玉模様に似ているからだろう。
 


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エキウムにポピー、シャスターディジー、フォックスグローブ・・・・

すべての植物がよく調和し、夢のような色どりにしばし声も出ない。
おそらく、ウイリアム・ロビンソンは、
このようなシーンが集まった庭を作りたかったのではないだろうか。

私が勝手に解釈して勝手に感動しているので、ピントが外れているかもしれないが、
これはまだ庭の一部分なのだ。
現在はヘッドガーデナーの下に7人のガーデナーが働き、
その中の一人はヤングレディだとか。
もしも私が若かったら、食事だけでいいからここで働かせてほしい。

あれっ! 気がついたら杖をつきながらも、ずいぶん歩いているではないか。
車椅子では砂利道や石組みの階段とか、芝生には入れないからだ。

馬の鼻先にニンジンをぶら下げて歩かせるように、
私には花をぶら下げるのが一番よく効く「歩かせ薬」かではないだろうか。
とにかく、今までで一番歩いたような気がする。
それにやる気が湧いてきたことも確かだ。


この庭は誰にも教えたくない、
私の大切な秘密の花園だから。

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