[日本の歌] に涙して

葉桜の頃、水色の封筒に入ったCDが届いた。
差出人は、シンガーソングライターの白鳥英美子さんだ。
封を切ってみると、オレンジ色の暖かいジャケットが目に飛び込んできた。
この前お会いした時に、「今ね、とても大きな仕事をしているのよ」
と語っていらした作品がとうとう完成したのだろう。
タイトルは うた景色 ー日本の叙情歌集ー 白鳥英美子

早速セットし、スイッチを入れると透き通るようなソプラノが部屋中に流れた。
冬景色、この道、夏の思い出、ちいさい秋みつけた・・。
収めれている歌は20曲。全部知っている歌ばかりだ。
いつの間にか、私は一緒に歌い始め、頬が涙で濡れているのに気がついた。
悲しいからではない。
合唱コンクールに出場のため課題曲に取り組んでいた小学生の頃、
晩春の夕暮れ時、母と子供たちが合唱しながら散歩をしたこと、
アルトのパートを思い出しながら、時には低音部を歌ってハモッてみたり、
思い違いをしていた歌詞の部分に、今頃になって気がついたり、1曲ごとに思い出すことが多い。
誰もがかつては暮らしの中で歌い、
歌うことによって季節を感じ、慰められ、勇気をもらった歌の数々。

白鳥さんと知り合ったのは、以前NHKのBS放送に出演した時のことだった。
[ハーブと歌のガーデンコンサート]と題し、札幌、仙台、名古屋、広島で、
私のトークと彼女の歌でステージを行ったのだが、とても楽しく意気投合したのがきっかけとなった。
その後もを通して仕事や遊びの交流があり、今日は庭へ遊びに来てくださった。

花盛りの庭でひとしきりおしゃべりをした後は、部屋の中でおしゃれ談議に花が咲いた。
私のパッチワークのスカートが10枚近くなったのでお見せしたら、
グレイ系のものが気に入った様子だ。
「いつになるか分からないけれど、出来たら電話するわね」
簡単に約束してしまったけれど、妹が一人増えたような気がしている。
*このCDは、キングレコードから2500円で発売中。
( KING RECORDS KICS-1755)