芳香水仙ジョンキル

水仙の分類ほど複雑なものはない。
一度は覚えようと試みたが、いつの間にか花の観察を楽しむことになった。
水仙の花暦は、11月下旬に開花する純白のペーパーホワイトからスタートする。
そして今は私の大好きな、いや、一番好きなジョンキルの強い芳香が庭の端まで届いている。
山椒は小粒でピリリと辛い、というが、この花も小さな花弁のシンプルな花なのに、
香りの点ではひらひらとしたフリルつきの豪華なラッパ水仙などに負けてはいない。
あぁ、私は何んとボキャブラリーが貧しいのだろう。
この花の香りを言い表す言葉を持っていないのだ。
甘い、強い、混ざりけのない、純粋な、鋭い、直線的な、自己主張などという単語を足して、
単語の数で割ったら、ヒントが出てくるかも・・・・。
雨が降る前に切ってきた一握りのジョンキルに、
私はしばし語りかけていた。