グラバリーフ

この不思議な動物の、背中に生えている植物は何だろう。
小さな花器を居間のテーブルの上に飾っておくと、来客は何となく気になるようだ。
私は少しもったいぶって、
「学名は Graptopetalum paraguayense(グラプトペタルム パラグアイエンセ)、
英語では Ghost plant (ゴースト プラント)といいますの」と言った後に、
「日本では〈おぼろ月)とよばれている多肉植物なんですよ」と付け加えると、
「なぁんだ。何んとなく知っている感じがしたからね。そうか、多肉のあれだったか」と、
ぐんと親近感を現す方もいた。

群馬県の道の駅で「グラバリーフ」という名前の野菜を見つけたのは、昨年の暮れのことだった。
パック入りで、これで100円。付いていたシールには、
カルシュームとマグネシュームが豊富で、さわやかな酸味があり、サラダや付け合わせに最適、とあった。
苦みが美味しいアロエも薬効がある多肉植物だし、食用になるサボテンもある。
早速試したくなり、3パックをカートに入れた。
口に入れるものなので調べてみると、健胃や整腸、二日酔い、美肌などに効果があるようで、
少なくても毒ではないことが分かった。
さぁ、食べてみよう。
味はしゃりしゃり感があり、確かにほのかな酸味もあるのだが、
私はもっとはっきりとした酸っぱさが好きで、青臭さいのがちょっと気になった。

余った葉はお正月の飾りに使える。
傍らにあった置物に入れたはよいものの、そのまま忘れてしまった。
そして今日、片づけものをしていたら、
赤ちゃんをいっぱい背負ったおしゃれ豚がオルガンの飾り台から出てきた。

赤い糸のような細根で、古い葉から栄養を吸い取っているのが見える。
幼いながらなんとたくましいことだろう。
近所に、おぼろ月が玄関前の庭石に盛り上がるようにびっしりと張り付いている家があるが、
何の手入れもしていないそうだ。
これだけ新株が増えて、どこに植えようか。
左の鉢植えは、確かめるために買ったおぼろ月のスタンダード。
ちなみに、このなまめかしいおしゃれ豚(?)は、イスラエルの作家もの。
アトリエでいろいろな作品を見せられ、気がついたら買っていたものだが、
見れば見るほど妙なインパクトがある。