バスケット作りの季節

12月になると、車の助手席に座るときの目付きが変わる。
窓越しにバスケット作りの材料になるフジやアケビ、ペリウインクル、へクソカズラ等がないか、
と目を凝らして捜すからだ。

身近にある自然の素材で籠を編み始めて、数年になる。
そのきっかけは、アメリカの雑誌で見た味のあるバスケットの写真だった。
手作りをテーマに特集を組んでいたなかに紹介されていた写真には、
「どんな素材でも、まず試してみよう。あなただけの何かを見つけることができるかもしれない。
諦めてはだめ。Try again !」
とキャプションが添えてあった。s
g

クズ、ブドウ、ヤマブドウなどでも試してみたが、
作業の点で曲がり具合と言い、仕上がりの見栄えのよさで、
私にはへクソカズラの2年生か3年生が適しているようだ。
ところが、へクソカズラはどこにでもあるとおもったら大間違い。
雑草扱いで、除草剤や市役所の清掃課や緑政課などの「お世話」で、
〈きれい〉な街になっているからだ。

最近、私は新しい素材を見つけた。この小さなバスケットがそうだ。
駅前のグリーンの植え込みにはびこっているカズラフジとおぼしきつる性植物で、
この小さなバスケットを作ってみた。
採集したては、しなやかでひじょうに細工しやすく、濃い緑色も素敵なのに、
若いつるは乾燥すると細くやせてしまう欠点がある。
どこかにもう少し太いつるがないか、
私のきょろきょろ目線はマダマダ続きそうだ。

じつは、私は重度のバスケット・フェチで、これまでに数多くのバスケットを収集してきた。
ダイヤや毛皮のコートは持っていないが、
バスケットを使う楽しさ、眺める喜びを毎日味わっている。