続・秋の薔薇

静かな庭で手入れをしていると、耳が敏感になってくる。
落ち葉の舞う様を、「はらはら」と表現するが、ほんとうにそう聞こえるから不思議だ。
特にネグンドカエデ“フラミンゴ”の葉は、落ちてからも風が吹く度に『かさこそ』と音を立てる。
今朝はヒヨドリの甲高い声に誘われて庭へ出た。
メジロとシジュウカラのおしゃべりが聞こえる花壇には、
ちらほらと薔薇が返り咲きをしている。
手が届くバラを切ってガラスの水差しに活けてみたら、
何となく今日はいい日になりそうな気がしてきた。

「ハイ デ ハイ」 という変わった名前に惹かれて注文したら、
このように愛らしいミニのつるバラが届いた。
小さな花でも自己主張が強いというか目立ちたがり屋なので、
必ず来客に名前を聞かれる薔薇だ。

チャイナ系の銘花「香粉蓮・シャーフンレン」。
花弁の数が多いうえにしっかりと巻いているので、
寒くなってくるとエネルギーが少なくなるせいか、
花弁がなかなか開かないのが残念だ。
こんな時は、一番外側の花弁をそっと剥がす「外科手術」をすると効果がある。
開花した花は、小ぶりながらもまさしくオールドローズで、香りも強い。
初冬まで花をつける「スブニール・ド・ラ・マルメゾン」も、
同じ様に花が咲ききれないのが、かわいそうだ。

今年の夏はあっという間に過ぎた。
猛暑の夏をピリピリした気持ちで暮らしているうちに季節感は失われ、
返り咲きの薔薇で秋の到来を知った。

庭にはあの夏を乗り切ったワスレナグサが、もう咲いている。