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山古志村の神楽南蛮

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「山古志村には、カグラナンバンというピーマンそっくりの形で、辛いトウガラシがあるんです」

新潟の湯沢から私のクラスへ通っていたWさんから、

珍しいトウガラシの話を聞いたのは、10数年前のことだった。


江戸時代に日本へ渡来したトウガラシは各地へ伝わり、それぞれ特徴のあるトウガラシが生まれた。

高知県にある牧野植物園で、平賀源内による「蕃椒]譜」を見せていただいたことがあった。

果実の形を基に分類してあり、トウガラシ類が実物大で描かれている。

形の大部分はひも状で、このようなぽっちゃりタイプは少ないようだった。

70数種の彩色画の中にカグラナンバンが描かれていたかどうか、残念ながら覚えていない。


湯沢で仕事を済ませた後、Wさんのお宅へ近所の奥さん方に集まっていただき、

ヒアリングによる資料を取らせていただいたことがあった。

奥さんたちは歴史や種類などにはあまり気にせず、漬物や調味料などに使っている。

興味深かったのは、

自家採取のタネを蒔いていたら、何だか違うものになってきたようだ、と話す人もいた。


その数年後、長岡市へ行った際に青果市場を訪ねたことがあった。、

所長さんの案内で山古志村のカグラナンバンの栽培地へ行ったが、

この辺りは傾斜のきつい山で、道路の両脇の平場は貴重な耕作地だ。

日当たりと水はけがよいので、トウガラシは元気に育ち、つやつやと輝いている。

真田収穫量は数少ないが、珍しさもあって主に築地へ出しているそうだ。


あの日も猛暑で、ひどく疲れた。

所長宅の座敷でご馳走になった冷たい玉露の美味しさは、まさに極上の甘露であった。

お茶をいただきながら、カグラナンバンの由来をうかがった。

カグラは神様を喜ばせるために、神社などでお面をつけて踊りを奉納すること、

ナンバンは南蛮渡来の意味を持ち、おもに東北や北海道一帯で使われている方言だという。

ここまではわかったが、何故カグラなのかが今一つ分からなかった。



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ところが、10年以上たった今、収穫した山古志のトウガラシを見て、

「あっ、そうか。そうだったのね」と納得した。

このてらてらと光る真っ赤な顔は、赤鬼にそっくりではないか。

果実を顔に見立てると、皺の陰影が憤怒の形相になったり、恫喝する表情をみせたりする。

「神楽」は神様を護る、強いガードマンの意味もあったことだろう。


この写真をよく眺めていると、さまざまな表情が見えてくるのが不思議でならない。。

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