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ニゲーラ

12日に記した[アメーラ]とのトマトつながりで、

今は亡き園芸家の柳宗民先生からいただいた、小さな小さなトマトを思い出した。

このトマトもちょうど今が旬で、10号のスリット鉢で元気よく育っている。


10年ほど前になるだろうか。

NHKのスタジオで、それぞれに本番や打ち合わせなどがあった。

一段落したときに、柳先生が目配せをなさっているのに気がついた。

「あら、なにか間違ったことをいってしまったかな?」

先生のところへ近寄ると、先生は生真面目な顔つきで、

「広田さん、あなたは今トマトに夢中のようだから、いいものをあげましょう」


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ポケットから取り出したのは、ビニールの小袋にに入った細かいタネだった。

[まぁ、ありがとうございます。これはどのようなタネでしょうか」

「これはね、大昔からアンデス山中に自生してたと言われているトマトで、

おそらく原種の一つだと思いますよ」

[まぁ、嬉しい。大事に育てますね」

あの時頂戴したトマトのタネは意外にと言おうか、やはりと言おうか、

丈夫で伸び伸びと育ち、毎年宝石のような実をつける。

写真の[アメーラ]は、大が私の小指の第一関節ぐらいで、小は小指の先端大だ。

一方、柳トマトは直径が1cmもあるのはまれに見る大きな方で、5~3mmがアヴェレージ。

まるでビーズのような紅い実もある。

ひと粒つまんで口に入れてみるとえぐいというのだろうか、苦みが残る。

さて、静岡弁では「苦いでしょう?」を、なんというのだろう。

きっと、「ニゲーラ」じゃないかな。

この駄洒落を聞いたら、柳先生はどんなリアクションをされただろうか。

きっと目を細めて静かに笑っておられるような気がしてならない。

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