アメーラの謎

「かなり捜したのだけれど、やっぱり築地にもなかったわ。
ちょうどイタリアンのシェフが仕入れに来ていたので、
イタリアのトマトの ”アメーラ”はどこで買えますか、って聞いてみたら、
シリマセーンですって」
これは5~6年前の話である。
デザイナーのA子さんは、何事も新しいものを知らないと気が済まない性分だ。
自称グルメの彼女は、パーティーでつまんだトマトがあまりにも美味だったので、
「アメーラ」というイタリア語を頼りに、築地の青果市場まで捜しに出かけたのだった。
* これがアメーラの人気商品「アメーラルビンズ」。
アーモンドの菓子の「ドラジェ」に似た形で、一回り大きい。

[アメーラ」には、確かにイタリア語の響きがある。
けれども、日本語の「甘い」を連想させる二文字は、ちょっとできすぎではないだろうか。
疑問は間もなく解けた。
久しぶりに会った清水生まれのれのクラスメイトが、
これまで食べたことのない甘ーいトマトを、お土産に持ってきてくれたのだ。
「もしかして、これってアメーラ?」
「そうよ、さすがねぇ」
アメーラは何んと静岡弁で、[甘いでしょう?」という意味なのだそうだ。
これが5,6年前の話。
意表を突かれた形の[アメーラ]だが、これ以上親しみやすくわかりやすいネーミングがあっただろうか。
要は、アメーラは糖度が高い高級なトマトの総称になっており、それぞれ個性的なトマトが栽培されている。
会社も静岡県のほかに高知や長野にも系列の立派なファームができ、文字通り生長株だ。
願わくは、どうかもう少し安い値段で買えますように・・・。