いと紅き薔薇の新芽

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春の雨は慈悲深い。
お湿りの後は、どんな植物でも信じられないほど一晩で大きくなる。
雨に洗われた草木の、芽生えたばかりの葉は食べてしまいたいほど愛らしい。
ふつう、葉の色は緑色という概念にとらわれやすいが、
薔薇の新芽には、小枝の先まで紅みを帯びる品種が意外に多い。
このブラック・バカラの葉が赤黒いように、
花も見つめていると眩暈を起こしそうな妖しいダークレッドで、
黒薔薇のなかで最も黒いといわれている。
濃艶で強い芳香もほかにはない。
葉の色は、寒かった先週のほうがもっと深い紅色を湛えた色だった。
しかし、外気温が上がるにつれて、葉の赤黒みが薄くなっていく。
おそらく、アントシアニンなどの色素が関係しているのだろう。
同じような葉の色を持つ薔薇は、レデイ・ヒリンドン、ヨハネ・パウロ2世、紫玉、
チャイナ系の葡萄紅・・・・・。
それから…、ええと、庭へ出てみてきますネ。