やさしく微笑む秋の薔薇
暑い夏だった。
強い日差しを浴びると、くらくらっと眩暈を起こしそうな日もあった。
庭には例年よりも蚊が多く、水やりを終えると体中が蚊に食われた跡で赤くなっていた。
考えただけでも体がかゆくなる水やりは、私にとって大変なストレスだったが、
炎天下の草花やハーブたちも、さぞかし辛かったにちがいない。
夏の手入れがほとんどできなかったのに、自然のサイクルというものはありがたいもの。
バラの花がぽつぽつと咲き始めている。

「コ-ネリア」
アプリコットピンクの花が可憐な、小輪房咲き。
秋が深まるまで咲き続ける育てやすいつるばら。
アーチから外れた一枝は、秋晴れの青い空を見上げていた。

「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」
パリに本部がある世界的に有名な英字新聞社の名前を持つこの薔薇は、花の色が魅力的だ。
少々横道にそれるが、
高校生の時に見た映画で思い出すシーンがある。
ヌーベルバーグの代表作に、
ジャン・ポール・ベルモンドとジーン・セバーグが共演した「勝手にしやがれ」があった。
冒頭のあたりに、ベリーショートの金髪にストライプのシャツを着たジーンセバーグが、
肩から斜めに掛けたベルトに新聞を挟み、大きな声で新聞を売っていた。
たしか「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン」と言っていたような記憶があるが、
あのボーイッシュなスタイルは、今でも絵を描けるほど印象が強かった。

庭で咲いているバラの中から、色や花のサイズを考えて寄せてみた。
ふつうは大輪の立派な花が咲くバラでも、条件が悪いと小さな花をつけることもある。
そういう時こそ面白い組み合わせができる。

神秘的な「ミッドナイトブルー」と、イングリッシュローズの「グレイス」
どちらも初夏の頃は、もっと立派な花でデビューするが、秋口に見せるこんなやさしい表情も素敵だ。

中国生まれの緑色のバラを、加えてみた。
学名は Rosa sinensis viridis 。
ヴィリディスとはラテン語で、緑色の意味。
がくのように見えるのも花弁で、春から秋までよく咲き続けるが、
寒くなるとエンジ色を帯びることもある。
つづく
強い日差しを浴びると、くらくらっと眩暈を起こしそうな日もあった。
庭には例年よりも蚊が多く、水やりを終えると体中が蚊に食われた跡で赤くなっていた。
考えただけでも体がかゆくなる水やりは、私にとって大変なストレスだったが、
炎天下の草花やハーブたちも、さぞかし辛かったにちがいない。
夏の手入れがほとんどできなかったのに、自然のサイクルというものはありがたいもの。
バラの花がぽつぽつと咲き始めている。

「コ-ネリア」
アプリコットピンクの花が可憐な、小輪房咲き。
秋が深まるまで咲き続ける育てやすいつるばら。
アーチから外れた一枝は、秋晴れの青い空を見上げていた。

「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」
パリに本部がある世界的に有名な英字新聞社の名前を持つこの薔薇は、花の色が魅力的だ。
少々横道にそれるが、
高校生の時に見た映画で思い出すシーンがある。
ヌーベルバーグの代表作に、
ジャン・ポール・ベルモンドとジーン・セバーグが共演した「勝手にしやがれ」があった。
冒頭のあたりに、ベリーショートの金髪にストライプのシャツを着たジーンセバーグが、
肩から斜めに掛けたベルトに新聞を挟み、大きな声で新聞を売っていた。
たしか「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン」と言っていたような記憶があるが、
あのボーイッシュなスタイルは、今でも絵を描けるほど印象が強かった。

庭で咲いているバラの中から、色や花のサイズを考えて寄せてみた。
ふつうは大輪の立派な花が咲くバラでも、条件が悪いと小さな花をつけることもある。
そういう時こそ面白い組み合わせができる。

神秘的な「ミッドナイトブルー」と、イングリッシュローズの「グレイス」
どちらも初夏の頃は、もっと立派な花でデビューするが、秋口に見せるこんなやさしい表情も素敵だ。

中国生まれの緑色のバラを、加えてみた。
学名は Rosa sinensis viridis 。
ヴィリディスとはラテン語で、緑色の意味。
がくのように見えるのも花弁で、春から秋までよく咲き続けるが、
寒くなるとエンジ色を帯びることもある。
つづく