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郡上の春の村祭り

「明日の朝早くから撮影に行くけど、一緒に出かけられるかな。
今年はまだ桜が咲いていてきっときれいだと思うよ」
夫のスケジュールは突然に決まったり、変わったりする。
特にアウトドアで撮影をする夫のようなカメラマンは天候に左右されるので、
今回も中止かもしれないという思いが、心の隅にあった。

ところが今回は、珍しく予定通り早朝に家を出発。
東名高速で名古屋を過ぎ、岐阜県の明知線で撮影をしたのち多治見のホテルに1泊。
翌朝も早朝出発で、長良川鉄道を撮影。

夫の仕事中、私は何をしていたかというと、ひたすら桜を見ていたということになる。
車窓から見える山々や高速道路の法面、家々の植え込み、川の堤防、小学校や役場、工場の周囲など、
行く先々に桜の花が咲いていない所はない。

「あれっ、ほら、お祭りみたいよ」


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住宅地に接した畑の中に、墨痕も鮮やかに「神明神社」と大書した幟がはためき、
子供たちの楽しげな声が聞こえてくる。


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杉の木立で囲まれた境内には、社殿と小石を敷き詰めた広場があり、
社殿では神主が祝詞を奏上しているところだった。
驚いたことに、氏子たちは全員黒の紋付に袴という正装で、白足袋がまぶしい。
社殿の脇には舞いの衣装をつけた男の子たちが、祝詞の終わるのをうんざりとして表情で待っている。

「長い祝詞だなぁ。ねんごろに祈ってくれてるんださ」
隣のお年寄りが、つぶやいた。


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祝詞奏上がようやく終り、いよいよ男の子の出番だ。
お父さんも励ましに近寄ってきたが、照れ隠しに花傘の紐を結び直してやっていた。


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「神明様のお祭りはこの春の大祭だけだ。神主様は隣から来てもらうんじゃが、
氏子の各家庭から男子ひとりを必ず出すことになっている。
今日は孫がこれから神楽に出るので、嬉しくて仕方がないんじゃよ」
先ほどのお年寄りが話しかけてきた。
その時、悠長な笛の音が響き、神楽の開始を告げた。
贅沢なことに、太鼓2名、鼓2名、笛5名の編成で、まさにライブ演奏である。
最初はみんな素人だったが、猛特訓を受けて出来るようになった人ばかりだそうな。


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ステージ上には、大きな布に獅子頭を着けた6人組のお獅子と、少年一人がいる。
少年は手にした竹製のささらを、竹の棒にぶつけるように力強くこすり、実にいやな音をたてる。
さぁ、この次はどうなるか。お楽しみに。

                      (続く)

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