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オマーンのサヤインゲン

「ローストポークの付け合わせを何にしようかな」
スーパーの野菜売り場で立ち止って、考え始めた。
ソースは、ブラムリーで作っておいたアップルソースに決めてある。
付け合わせねぇ。さっとゆでて青々としたブロッコリーもいいし、ニンジンのグラッセも美味しそう。
料理も食べるのも大好きの私だから、お皿に盛ったイメージが次々にわいてくる。

「あ、これに決めた」
手に取ったのは、ほっそりとした早採りのサヤインゲンで、緑の色がとても若々しい。
このインゲンには、思い出がある。
まだ若かった頃、イギリスで「ガーデニング」のサマーセミナーを受講したことがあった。、
宿舎で毎日のように大皿で供されるのが、この幼いサヤインゲンだった。
ただ塩ゆでしただけのそれはシャキシャキと歯触りがよく、
緑の血となって、勉強疲れの私をどれほど癒してくれたことだろう。
何回目かのお代わりの時に、夏なのにいつもウールのカーディガンを着ている女主人が、
「これが初夏の味ですよ。たくさんお食べなさい」と微笑みながら、皿を手渡してくれたっけ・・・・。

夕方、インゲンの筋を取ろうとパックのフイルムをはがそうとして、驚いた。
シールに打ち込まれた原産国は、「オマーン」とあるではないか。

オマーンといえば、中近東の国で、首都はマスカット。
確かサッカーが強いのではなかっただろうか。
へえ、あんな遠い国からねぇ。船の長旅だったら腐ってしまうから、飛行機で運んでくるの?
農薬や病原菌などのチェックは、大丈夫? 

今や巷には外国産の食材があふれ、国産のものだけで暮らすとしたら、
ひじょうに高くつくか不可能に近い。

小麦、豆はもちろん、主食のコメにしても自給率は極めて厳しい現状だ。
例えば、100人分を養うための農家はたったの3軒で、
その3人のうち2人は60歳を超えているという危機に瀕している。
一度休耕田にしてしまったら、復元するのに5年かけてももとには戻らないのだ。

こういうレッドカードを突きつけられても、
砂上の楼閣に住んでいるという危機感が、全くゼロの人たちがあまりにも多い。
いざ、何かのトラブルで経済封鎖に、あるいは天変地異で物資が乏しくなった時を考えてみよう。

付け合わせのインゲンから、話が飛躍してしまったが、とても大事なことだ。
国会議員に、ぜひお願いしたいこと。
政治と金の問題を、何日間も汚い野次交じりでつつきあっていても、何も解決はしない、
国民の命がかかっている農業政策を、場当たりでなく基本的なレベルから立ち上げてもらいたいと思う。

そして、「蒔かぬ種子は生えぬ」の諺通り、
アクションを起こさないと実りがないことを、肝に銘じてほしい。

よく考えてみたら、まだ冬なのに初夏の野菜を平気で買った私にも問題があった。
こういう感覚がマヒしていたことを、反省している。

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