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アグネータさんへの花束

スエーデンの切り絵作家・アグネータ・フロッグさんの個展が、
今年も開催された。
いずれも力作なのに、制作の時間や苦労を感じさせず、
柔らかなヴェールでそっと包んでくれるような雰囲気の画風に、
しばしうっとり・・・・。

ワークショップに参加した人たちの笑い声は、
幸せなひとときのためのBGMとなって、
参加者から慕われているアグネータさんの人柄を物語っていた。

外国の女流アーティストの個展は、正直のところ数えきれないほど多い。
しかも日本人の美に対する目が肥えてきているし、景気はけっしてよくはない。
このような状況の中で4回目を迎えることができたのは、なんとすばらしいことだろう。

これだけでも稀なことなのに、
今年は銀座と新宿のギャラリー2か所で同時開催という快挙は、
アグネータさんの実力と人間的な魅力の賜物ではないか。

紙とハサミから生まれる彼女のファンタジーの世界は、
神話の神々や妖精たちを身近に感じさせ、甘い懐かしさを呼び寄せてくれる。


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私たち夫婦は昨年の夏至の季節、彼女のアトリエに滞在したことがあった。

森の中にたたずむ小さなコテイジの窓からは、
ワイルドフラワーの庭や古い果樹園が見えた。

自然が身近にある暮らしが、当たり前のようになっている人にとって、
大都会の東京はあまりにも刺激が強すぎるのではないか。

あいにく初日には都合が付かず、再会を喜び合うことが叶わないため、
庭から摘んだ花を箱いっぱいに詰めて会場へ届けることにした。

アオイロフジバカマとクレオメのパステルカラーの組み合わせ、
ほっそりとした秋咲きバラの花束、
クラブアップルとカラマンシ―のフルーツバージョン、
白い花がたくさんついたお茶の枝
アカマンマ、アキの出る花はこちら。

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ガイラルディアやジニアなどの鮮やかな色の花に、
バラの赤い実を寄せてみた。

嬉しい話を聞くのは、こちらまで幸せになる。
来年の暮れには京都で大規模な展覧会を行う予定だそうだ。
これからの1年間は作品制作で大変なことだろうが、
新宿のギャラリーで見たワスレナグサやダリア、リンネソウなどのような花の単体も、
ぜひ見せてほしい。

楽しみに待っていま~す。

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預かった小さな生命 ② マルタゴンリリー

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風が吹く度に、はらはらと落葉するネグンドカエデ。
その根もとにジップロックの袋を置いて、2年目になる。


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「長い間何も変化がなかったんだから、見ても無駄だと思うけど・・・・」

しかし、念のため密閉した袋の口をあけて、いつものように中をのぞきこむと、
粗い粒状の土の間に白いものが見えた。


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目を凝らしてよく見ると、おたまじゃくしのような形をした芽ではないか。

あぁ、嬉しい。2年前に蒔いたマルタゴンリリーのタネが発芽したのだ。
半ば諦めていただけあって、喜びも大きい。


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マルタゴンリリーは、ピレネー山脈からバイカル湖にかけたユーラシアに分布する原種ユリだ。

かなり以前のこと、
私はボタニカルアートでこのユリを知り、すっかりファンとなってしまった。
もちろんあらゆる手を尽くして庭に植え、可憐な花を毎年楽しんでいる。

昨年の5月25日の庭は、バラと開花時期が重なるこのユリがよくマッチして、
何度観ても飽きない絵になっていた。

このユリのチャームポイントは、天使の翼を思わせるようなくるりと反り返った花容が愛らしく、
花の色もこの微妙なオレンジ系だけでなく、バラエティーに富んでいる。


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私が一番好きな白花種。
ただし、美人薄命の譬えの通り、夏の暑さで消えてしまいがちなのが、残念でならない。
                                  
                                    2010.5.18 撮影



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古いオランダの静物画に描かれていたのはこのユリ?
クラシックな雰囲気が何とも言えない。
カナダのナ―セリ―から届いたものだが、日本の夏にも平気のようだ。

                                    2011.5.9 撮影



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マルタゴンリリーの種子。
花後、茎の先端に3部屋からなるカプセルが付く。
それぞれの部屋には、きちんと整理された種が収納されていて、
その数は見当もつかない。

百合の繁殖には長い年月を要するため、
現在は組織培養で短時間に確実な苗を作っているところが多いと聞いている。
素人がユリを発芽させる場合、
オニユリのように葉の付け根にできる木子(ムカゴ)を植えれば、かなり早く成長する。
しかし、マルタゴンリリーのこの小さな種子は、ただ蒔いただけではほとんど無理のようだ。

そのため、以前読んだイギリスの園芸記事をヒントに、次のような方法を試みてみた。
まず、ジップロックの密閉袋に山野草の用土と種子を入れて、よく混ぜる。
全体にしっとりするぐらいの水を加えて、袋を平らにならし、空気を少し残した状態で密閉する。

最初の写真のように木陰などの直射日光の当たらない場所に置き、時々袋をひっくり返す。
水気がなくなったら湿らせ、観察を怠らないことが肝心だ。


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長かった2年。
失敗したと観念していたときに授かったこれらの小さい生命を、どうしたら守りきれるだろうか。

うまく育ったら友達にプレゼントして・…、などと夢はひろがるが、
まずはポットに植えて球根を肥大させることだ。
直径5ミリあるかないかの涙の形をした球根を、「関西風土」という山野草向きの用土に植えてみた。


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残りの粒のような球根はまとめて平鉢へ。
カラスや猫に悪さをされないように、ごみ処理用の三角ネットを被せた。

後ろに並んでいる鉢は、マドンナリリーだ。
いつの間にか、私の庭には薔薇と百合、そして菫が集まってきている。
気が付けば、これらはみんな聖母マリアゆかりの花々・・・・・。

マルタゴンリリーの花が咲くのは、数年後になるらしい。
その時庭はどのようなエイジングを遂げているのだろうか。

預かった小さな命 ① 尻尾の長いおちびちゃん

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日に日に日脚が短くなってきた。


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夏の日の名残をとどめた庭の一画で、私は今日も小さな友達tと出合った。
背中を青く光らせて
ユーパトリュ―ムやガイラルディアと戯れているのは、あの子たちだろうか。


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熱帯夜が続いた7月。
いくらか涼しい早朝に草むしりをしていたら、
ラベンダーの繁みの間から、ちらっと白いものが見えた。
枝をかき分けてよくよく見ると、白いインゲン豆を3個並べたようだが、形も大きさも違う。
落ち着いて観察すると、1cmほどの卵型だ。
表面は硬質ではなく、柔らかそう・・・・。

それrなら何の卵?
蛇だったらどうしよう。私は巳年生まれなのに、蛇は大の苦手だ。
いやいや、蛇の卵はこんなに小さくはないはず。

とにかく飼ってみよう


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ということから、小さな生命を預かることになった。

3個の卵は発見した場所の土とともに、プリンの瓶に入れて
世話を忘れることのないように、いつも使っているテーブルの上に置いた。

飼育法といってもよくわからないので、土の表面が乾かないように霧吹きをする程度だったが、
観察を怠ることはなかったと思う。


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ジャーン! いよいよ時は来たれり!

8月にはいったったばかりのある朝、
例のプリンの瓶の端に何やら黒くうごめくものを見つけtた。

あっ、蛇の頭。だけど小さな手が見えるわ。
ということは、トカゲだったのね。

よく見ると一人前に爪も生えている・・・・

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すでに1匹目が孵化を済ませ、
電話の応対中に2匹目が誕生していた。
そして、いつの間にか3匹目がちょろちょろしている。

驚いたのは、この小さなカプセルの中にこれほど見事な尻尾が「格納」されていたことだ。
マジシャンでも難しい技ではないだろうか。

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あっという間にプリンの瓶は、尻尾の長いおちびちゃんたちに占領されてしまった。

そして、餌や住処の心配をするよりは、
彼らの母親が産み落とした場所へ戻してやるのが、一番の親切だと思い、
花の終わったラベンダーの根もとへ放した。

短い間だったが、トカゲの赤ちゃんと触れ合うことが出来て、
私の爬虫類アレルギーは改善の兆しを見せているようだ。





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