指先の幸せ色

編み物・読書・ガーデニング。
この三つに共通しているのは、麻薬に似ていることだ。
すなわち、一度始めたら止めることができず、
あとちょっとだけ、もう少しだからといいながら次第に深みにはまってゆく・・・。
本物は知らないけれど、どうも似ていると思う。
今、私は編み物三昧の日を送っている。
こんなふうに書くと、大きな作品作りに取り掛かっているように聞こえるが、
そうではない。
毎日あわただしく過ぎてゆく暮らしの中で、
30分とか1時間のフリータイムを見つけた時すぐに編めるように、
私のマフラー2種類と夫の帽子、ソファーに置くブランケットを同時進行で編んでいるのだ。

野の花をつないで大きくしていくブランケットを編むのは、楽しい時間だ。
花の基本は同じで花と縁取りの色で変化をつけるのだが、
その日の気分が配色に現れるのも、面白い。
手持ちの残り毛糸に店から買った毛糸で編んでいるものの、思うような色が少ない。
探しているのはきれいなブルーの並太。
オンラインで見つけて注文しても、届いたものはちょっとちがう。
ピンクからパープル、ブルーの色を買いに行かなくては・・・。

モチーフといえば、私用のマフラーの1枚が、やはりモチーフつなぎだ。
日ごろずぼらな性格の私なのに、この時ばかりはしっかりと計画を立てた。
おしゃれな色の上等なモヘアが1玉ずつ6色ある。
ストライプではありふれているし、モノトーンでは分量が足りない。
そこで、以前フランスのファッション誌で見た素敵なマフラーを思い出した。
それは小さなモチ-フをつないだ細長いもので、中間色がいかにもシックだった。
うーむ、120センチの長さに16センチの幅だとすると、
4センチ四方のモチ-フなら 30枚×4枚で120枚が必要となる。
しかし、逆に1日4枚ずつつなぎながら編めば30日で完成するという計算が成り立つ。
途中何事かあっても、50日ぐらいで出来るのではないだろうか。

というわけで取りかかったものの、たちまちそうは問屋がおろさないことを知った。
なぜなら、あわただしい中にできた短い時間に、小さなものを編むのは、
べテランならいざ知らず、私程度のスキルでは毎回テがちがう。
せっかく編んでもサイズが狂えば仕上がりが見苦しい。
ほどきにくいモヘアなので、何枚も無駄にしたが、
あせらずに来年あたりを目標にしてゆったりと編むことにしよう。
毛糸を相手に遊んでいて1番楽しいのは、
糸を左手の人差し指にかけ、右手の針で一目一目を編み進んでいくとき、
指にかかった糸の美しさに見入るときだ。

モヘアやシルクの糸も素敵だが、NOROの糸の「ちょうちん」を使ってみて、
その微妙な色のミックスチュァとやさしい感触に、
しみじみと幸せを感じた。

NOROの糸はツイードと同じように、先染めした原毛をカーデイングし、
機械でも人の手で紡いだような仕上がりになっている。
これまで私は夜に編み物をすることが多かったが、この頃は昼に変えた。
美しい糸をよく見ることが出来るようにという思いからだ。

先日、ウルグアイのメリノ羊毛をナチュラルな感じで後染めにした、
手触りが柔らかいうえに暖かそうな毛糸を手に入れた。
Malabrigo 社の Rios というシリーズだ。
オリーブ色からオレンジ、サーモンピンクへのグラデーションが美し毛糸を、
夫の帽子のために選んだが、さて、デザインはどうしよう。
そうね、永遠の定番・ショウチャン帽にしましょ。
ほんの一枝ですが・・・
「プレゼント」といえば、贈られるほうが好きに決まっている。
私もそうだったが、いつ頃からか贈るのも好きになった。
小さな物でも、買ったら大した値打ちのないものでも、
これを受け取って「まぁ、嬉しい」と喜んでくれる人には、ぜひとも贈りたいのだ。

庭のはずれにカラマンシ―の樹がある。
聞きなれないこのカラマンシ―とはフィリピンのライムで、今年は生り年だった。
和名を「四季生りライム」というように、
まだ実が生っているうちに香気のある白い花が咲き、
次々に小さな青い実をつける。
完熟するとオレンジ色になり、大きさはピンポン玉ぐらいでも皮が薄いので,
レモンよりも果汁は多く摂れる。
我が家では朝食に紅茶を飲んでいる。
その度にカラマンシ―を枝からもいでくるのだが、二人で1個で十分だ。
昨夏は猛暑だったせいか、熱帯生まれのカラマンシ―は枝が折れるほどの実をつけた。
来客への御土産に、友人へのちょっとした贈り物に、
使っても使ってもまだまだ生っている。
3メートルはある擁壁の手すりすれすれに植えたので、
道路側へはみ出した分は取るのが難しいため、
手つかずのままだ。


黄金色の果実をつけた枝を見上げるたびに、
届けてあげたら喜こんでくれる友人たちの顔がちらちらする。
「そうだ、R子さんに」
彼女は、料理をするのも食べることが大好きな人だ。
たしか、この前「塩レモン」と同じように、
カラマンシ―で保存調味料を作りたいといっていたっけ。

それに、彼女の所には以前カラマンシ―の苗をプレゼントしているので、
この鈴生り状態をみたらきっと、生長ぶりが楽しみになることだろう。
ちょうどガーデンサービスの方がいたので、はしごをかけて切ってもらい、
夕方近くに段ボールに詰めた。

メモを入れる段になって
私としては「どう? たくさん生っていて凄いでしょう?」
と自慢したいところをぐっと抑え、
「ほんの一枝ですが、、、」と記した。
我ながらなんとつつましいセリフだろう。
正直いって、これは自慢の裏返しの遊び心から出たものだったが、
後で考えると、恥をかかずに済んだことを知ってホッとしている。
素人の私が一枝に20数個の果実が生ったのを鼻にかけたのは大間違い。
上には上がいて、プロでなくてももっと上手な人がいるにちがいない。
あぁ、恥ずかしい。
慢心がばれても、相手が話のわかるR子さんでよかった。
反省!
私もそうだったが、いつ頃からか贈るのも好きになった。
小さな物でも、買ったら大した値打ちのないものでも、
これを受け取って「まぁ、嬉しい」と喜んでくれる人には、ぜひとも贈りたいのだ。

庭のはずれにカラマンシ―の樹がある。
聞きなれないこのカラマンシ―とはフィリピンのライムで、今年は生り年だった。
和名を「四季生りライム」というように、
まだ実が生っているうちに香気のある白い花が咲き、
次々に小さな青い実をつける。
完熟するとオレンジ色になり、大きさはピンポン玉ぐらいでも皮が薄いので,
レモンよりも果汁は多く摂れる。
我が家では朝食に紅茶を飲んでいる。
その度にカラマンシ―を枝からもいでくるのだが、二人で1個で十分だ。
昨夏は猛暑だったせいか、熱帯生まれのカラマンシ―は枝が折れるほどの実をつけた。
来客への御土産に、友人へのちょっとした贈り物に、
使っても使ってもまだまだ生っている。
3メートルはある擁壁の手すりすれすれに植えたので、
道路側へはみ出した分は取るのが難しいため、
手つかずのままだ。


黄金色の果実をつけた枝を見上げるたびに、
届けてあげたら喜こんでくれる友人たちの顔がちらちらする。
「そうだ、R子さんに」
彼女は、料理をするのも食べることが大好きな人だ。
たしか、この前「塩レモン」と同じように、
カラマンシ―で保存調味料を作りたいといっていたっけ。

それに、彼女の所には以前カラマンシ―の苗をプレゼントしているので、
この鈴生り状態をみたらきっと、生長ぶりが楽しみになることだろう。
ちょうどガーデンサービスの方がいたので、はしごをかけて切ってもらい、
夕方近くに段ボールに詰めた。

メモを入れる段になって
私としては「どう? たくさん生っていて凄いでしょう?」
と自慢したいところをぐっと抑え、
「ほんの一枝ですが、、、」と記した。
我ながらなんとつつましいセリフだろう。
正直いって、これは自慢の裏返しの遊び心から出たものだったが、
後で考えると、恥をかかずに済んだことを知ってホッとしている。
素人の私が一枝に20数個の果実が生ったのを鼻にかけたのは大間違い。
上には上がいて、プロでなくてももっと上手な人がいるにちがいない。
あぁ、恥ずかしい。
慢心がばれても、相手が話のわかるR子さんでよかった。
反省!
スミレの花咲く場所

新年のご挨拶に「初摘みのスイートヴァイオレット」の写真をのせたら、
かなりの数の問い合わせがあった。
「スイートヴァイオレットが好きな理由は?」
「今頃咲くのは温室栽培ですか」
「容器栽培でないと育たないって本当ですか」
「露地植えならどんな場所が適していますか」
「苗や種の入手方法は?」
この香り高いロマンチックなハーブに、興味を持つ人は多いようだ。
こうした質問事項に一つ一つ答えるよりも、私の庭のスミレの居場所をお見せするので、
参考にしていただければと思う。

私がスイートヴァイオレット(ニオイスミレ)に惹かれたのは、
古代から高貴な香りをもつ薬用植物というハーブ的なアプローチからだった。
しかし、長い間この花と付き合っていると、
「庭のあちこちで雑草のように咲いているニオイスミレで、
可憐な花束を作り、友人たちに贈りたい」と思うようになった。
これが目的であり、夢でもある。
日本は世界的にも有名なスミレ大国だ。
幼いころの記憶をたどれば、生家の近くにある城山には約20種のスミレが自生しており、
父から借りた図鑑を見ながら、春の来るのが待ち遠しかった。
スミレはわがままというか、妥協をしないお嬢さんだ。
よい土や植え床を準備してやっても気に入らなときは枯れるし、
種が飛んで変な場所に着地しても、そこが好きなら見事に育つことが多い。

クリスマスローズの茂みの中で発芽したニオイスミレ。
手をかけなくてもにこにこと育ち、匍匐枝を伸ばして広がっている。
しかし、悩みのタネはオキザリスで、よく見ると大きな顔をしている。
聖域への招かざる客には、困ったものだ。

ポメロとハコネサンショウバラの足元にできた、
1畳分ぐらいのスペースのフレグラント・パッチ(パッチとは小さな畑の意味)。
直射日光でない優しい木漏れ日と、風通しのよい場所だからスミレたちは大喜びだ。
手前の株は、宿根性のワスレナグサ。
間もなくここはブルーとパープルの、文字通り小花模様となる。


今、一番ニオイスミレの花を摘める場所は、この大きなコンテナの中だ。
最初はバラだけを植えていたが、どこからか飛んできた種からニオイスミレが芽生え、
2月の中頃には植木鉢全体がパープルに染まってしまう。
中庭にあるコンテナガーデン。バラをメインに植えたコンテナを順に並べ、
テーマ性のあるハーブや草花を挿し色に植えこんだ。
ブルーグレイの細長い葉の植物は、ハーブとして有名な芳香性カーネーションのローズ・ド・メィ。
古典的な植物で、剪定をしなければ草丈は1メートルに伸びる。


耐寒性の強いスミレに温室はいらない。
容器栽培も露地植えも、どちらもOKだ。
テラコッタにもよく合うので、植えだしたら通路にも並べきれなくなってしまった。

東向きの壁に沿って、品種名がしっかりしている鉢を並べたコーナー。
こうして一個所に集めて比較しながら観察してみると、
開花期や花色、花の形などの違いがよくわかる。
このほかにも庭のあちらこちらで、細かいしわのあるあの丸い葉が芽生え始めている。
さぁ、これからがニオイスミレの季節。
まだ小さなブーケしかできないけれど、
甘い香りに包まれて大きなブ-ケを早く作りたいものだ。