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今宵も妖しく香る花

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猛暑が続いたせいか、明日から11月になるというのにイランイランの花がまだ咲いている。

熱帯地方が原産の香料植物として知られるこの植物は、

日本語に当てはめてみると、何ごとにも無欲な人のように思えるが、

フィリピンのタガログ語で「花の中の花」を意味しているという。


この花が少々変わっている。

鮮やかなエメラルドグリーンの細いリボンに糊をつけて,先端をちょっと摘まみ、

枝の付け根をひもでくくったような、形だ。

おかしなたとえだが「忠臣蔵」の中で、大石内蔵助が討ち入りの際、

吉良邸の門前で采配を振る名場面がある。

あの采配に似ているのだ。



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花が緑色の間はまったく香りがないが、

ひらひらとした花弁がくり-ム色からこっくりとした黄色に替わる頃から、

夕方になると不思議な香りを発し始める。

ある若い男性は、「たまらなくセクシーだ」といい、

また、年配の別の男性は 【亡き妻を思い出す香りで切ない】と、涙ぐんでいた。


え、私がどのように感じるかですって?

私は禅寺の娘だが、この花の香りをかぐと、本堂に漂う線香の匂いを思い出す。

そして、いつの間にか小学校の頃の私になっていることがある。

もしかして、上等な線香の原料にはイランイランが使われていたのかも・…。


霜が降りるまで、あと何輪の花が咲くだろうか。

アグネータさんに会いましょう

アグネータ・フロックさんは、スエーデンの著名な切り絵作家だ。

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一昨年の7月にNHKプレミアムで、

「アグネータと魔法の切り絵」と題した90分番組が放映されたのを、おぼえておられるだろうか。

彼女の手とハサミから生まれる夢色のファンタジーと、自然に寄り添う暮らしは、

反響が大きくリクエストも多かったために、今年の7月には、再放送があった。


この写真は、私がスエーデンの彼女の自宅で撮影したものだ。

庭から摘んだ野の花や野イチゴなどを編みこんで花冠を作ったら、

何とまぁアグネータさんによく似合うこと・・・・。

少女のような微笑みが、私たちを幸せにしてくれる。


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1941年生まれの彼女は私と同い年の72歳。

ハーブや草花が結んでくれたご縁で、白夜の季節にスエーデンを訪れ、

アグネータ宅に滞在する機会に恵まれた。

不思議なことに、初めてお会いしたのに、以前から知り合いだったような気持になり、

御主人やお嬢さんともすぐに打ち解けて、思い出深い日々となった。

ナチュラルな感じの庭でFIKA( フィーカ・お茶とおしゃべり)をしたり、

日本から持参したアイの種を蒔いたり、ダーラナ地方へ2泊3日のドライブ旅行をしたり・・・。

アグネータさんのファンには、嫉妬されそうな毎日だった。

まだまだ続ける予定だが、Sketch of Swedn の通しタイトルで、

旅日記をこのブログに書いている。ぜひのぞいてみてほしい。


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さて、ここからが本番。

アグネータさんがまもなく来日し、

10月31日から銀座で「アグネータ・フロック切り絵展」を開く。


日時 10月31~11月10日  *4日(月)は休み  11:00~18:00

場所  ギャラリー「祥」 (北欧の匠3F)
    東京都中央区銀座1-15-13 北欧ビル   Tel 03-5524-5657

企画  アクアビット・ジャパン  北欧の匠

好演  スエーデン大使館


先日の手紙には、新作ばかりで41点を制作したとあった。

今回のテーマは何だろう?

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嬉しい企画がある。

その① 「アグネータ・フロック 切り絵ワークショップ」 ¥5,000 (材料費込み・お茶付き)

★11月2日(土) 1回目 11:00~  クリスマスモチーフ
          2回目 15:00~  新年の干支モチーフ

★11月6日(水) 1回目 15:00~  クリスマスモチーフ 
          2回目 18:00~  新年の干支モチーフ


その②  「アグネータさんとFIKAを」  ¥3,000                   
   
★11月9日(土) 14:00~

FIKAとはスエーデン語で、お茶とおしゃべりを楽しむという意味。
スエーデンのお菓子とコーヒー、紅茶、をいただきながら、アグネータさんと親しくお話を。

上記のクラスは、完全予約制。満席になると締め切る。

★問い合わせ・申し込み先

メールで申しこむ場合   mail@aquavitjapan.com

タイトルを「アグネータさんワークショップ」にして、名前、電話番号、参加人数を記す。

電話の場合  03-3408-4778 (平日10:00~18:00)

詳しくはアクアビット社のHPを参照のこと。http://www.aquavitjapan.com


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ところで、左側に移っている黒いものは何だと思いますか。

切り絵の猫があまりにも体の線が楽しげなので、2,3度手に取って眺めていたら、

飼い猫の MARIKO がやきもちを焼いて、切り絵のそばでふて寝をしたところデス。

それでは、アグネータさんの展示会へぜひどうぞ。

ブラムリーのそっくりさん

できることなら、毎日でも通いたい農産物直売所がある。
小田急多摩線の黒川駅から近い「セレスモサ」だ。
近所の農家でその朝に採れた旬の野菜や果物が並ぶいわゆるファーマーズマーケットだが、
とにかくものがよいだけでなく値段もぐんと安い。

先日、このセレスモサで「あれれ」と声をあげてしまうほど、驚いたことがあった。
目の前に、ブラムリーアップルが並んでいるではないか。

めったにない緑色の肌、ずっしりと重い大きさ、
形がちょっと違うような気がするが、こういうのもあるかもしれない

セレスモサでは、イタリアンの野菜とか、こだわりのハーブなど、
珍しいアイテムが時々混じっているのが特徴でもあるが、
このあたりでブラムリーを栽培している人がいたとは、初耳だ。


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「そっくりさん発見」にわくわくしながら帰宅し、早速家にあったブラムリーと並べてみた。

左がブラムリー、右がそっくりさん。

うーん、やっぱり形が違う。
ブラムr-は扁平なのに、そっくりさんはお腹が丸くやや裾すぼまりだ。
肌のつやも違う。

そうだ。味を調べれば、一瞬にしてわかるはず。


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これで他人の空似ということが判明した。

左のリンゴに入っている透明な感じの結晶はブラムリー独特のもので、
強い酸味もこのりんごの証拠だ。

右のリンゴは中ぐらいの硬さの果肉で、なつかしいような甘い芳香がある。
まだ、若い果実らしいが、もっと甘くなりそうな感じがする。

青リンゴというだけで早とちりをしてしまったが、名前だけでも知りたいものだ。


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出荷ラベルには、確か記載がなかった。
それもおかしなことと、よくよく見たら薄いインクの文字がやっと読み取れた。
「静香」とある。

すぐに調べたらインドリンゴとゴールデンデリシャスの交配種で、王林や黄王とは親戚にあたる。
道理で、何となく知っている香りと感じたのかもしれない。

おかげで、新しいリンゴの品種をおぼえることが出来た。

静香ちゃん、はじめまして。どうぞよろしくね。


幸せなリンゴ

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不景気、自然災害、殺人事件、強盗、交通事故にオレオレ詐欺・・・・。

新聞を開けば、世の中には不幸なことばかり起きている。
けれども、ちょうど1週間前に出席した「ブラムリーを楽しむ会」では、
厳しい世相などどこ吹く風。
東京ステーションホテルの、おしゃれな宴会場・「ブランルージュ」には、
アハハオホホの笑い声と笑顔があふれ、
料理のおいしさとあいまって、何ともいえないほどの幸せな雰囲気に満ちていた。

メニューを眺めながら思い返してみると、
出席者は、本日の主役・ブラムリーなる青リンゴに魅せられた人たちばかりで、
いわゆるリンゴつながりの顔ぶれだ。
正確な数は聞いてこなかったが、総勢60~70人ぐらいだったろうか。

今回のスペシャルルゲストは、
遥かイギリスから来日したセリア・スチブンさんとファミリーだ。

彼女はブラムリーを初めて商品化した、ヘンリー・メリウェザー氏の曾孫に当たる方で、
同行した息子と孫娘を数えると、セリアさんが3代目だから息子さんで4代、お孫さんで5代目となる。
どんな職業でもそうだが、後継者がいないといくら立派な仕事でもその代限りとなって途絶えてしまう。
セリァさんの真摯な仕事が日本人に感銘を与えた現場を目の当たりにして、
二人はきっと Heritage (ヘリテイジ・継承、伝承 )の意義について、
深く考えたのではないだろうか。


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ロンドンの友達から聞いた話では、
「ブラムリーは誰でも知っているリンゴよ。
クッキングアップルといって、お菓子やジャム、肉料理などに気軽に使うのだけれど、
どの家でも植えているし、お安いから店でもよく売れているわ」

これほどまでに普及するのに、約200年の月日が流れた。

しかし、これほど歴史がはっきりとわかっているリンゴも珍しいに違いない。

日本に導入されてからの歴史はまだ浅いが、
このリンゴの持つ不思議なパワーが、人々の心に何かをうったえるのだろうか。
急テンポの動きを見せている。

まず、個人の熱心なファンが生まれ故郷の自治体に働きかけ、
数々の試行錯誤を重ねて生産を始めると、
第三者の立場でファンクラブが出来た。
フルーツが大好きな女性tリオの熱心な活動は、
日本国内のネットワークだけでなく、イギリスまでも結んでしまったのだ。

今回のセリアさん来日は、最初の大きめな果実を収穫したともいえる。
まだまだ枝にはたくさんの果実がついているのだから、
これからの展開が楽しみでならない.


それにしても、多くの人から愛されるこのブラムリーは、何と幸せなリンゴだろう。


* 料理の内容や詳しいことは、「ブラムリーファンクラブ」のブログをどうぞ。

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