fc2ブログ

HOME:広田せい子のハーブガーデン

静かな初秋の昼下がり

[出かけるぞ。行きたかったら10分後に出発だ。水を忘れないように」

いつものとおり、突然の指令にあたふたと戸締りと猫の餌の確認、それからそれから・・・。

出発に何とか間に合って、富士急の撮影現場へ同行。

以前にも来たことがある小さな神社脇の踏み切りで、列車を待つ。


P1170002_convert_20120912125559.jpg

目の前の休耕田では野の花が風に揺れ、まるで上等な花模様のハンカチをひろげたよう。


P1170011_convert_20120912132057_20120912132943.jpg

空の青を映した露草のブルーは、儚い命の代名詞なのに昼を過ぎてもまだしっかりと青い。


P1170017_convert_20120912133518.jpg

点々と水玉模様をつけたのはヒメジオン?


P1170008_convert_20120912133122.jpg

イタドリの花は、こんなにエレガントだ。
白いレースの服がよく映える。

P1170018_convert_20120912133757_20120912134416.jpg

休耕田のとなりの田には、丹精込めて育てたコメが豊かに実っていた。

時おり響くスズメ脅しの空砲が効いているのか、スズメの数は思っているより少ないようだ。


P1170022_convert_20120912134534.jpg

稲作の水管理は、たいへん難しいと聞いている。

水を落として、稲刈りの日を待つ田には、ペアの赤トンボが舞っていた。


緑の小瓶

月の光が、冴えてくると思い出すことがある。


中学校の頃の運動会には、必ずといっていいほどフォークダンスがあった。。

「オクラホマ・ミキサー」、「マイムマイム」、「茶色の小瓶」など、

メロディをかすかに聴いただけでも、涙が出てくるほどなつかしい。

好意を寄せていた「男子」と手が触れただけでもどきどきし、

順番がまわってくるのをそれとなく数えたものだった。

擦り切れた練習用レコード、鉢巻に運動着・・・、

そして、未来を信じて耀いていた私がいた。


昨日活けた花のタイトルは、「茶色の小瓶」ではなく「緑の小瓶」。

夏も終わりになると、花の数も少なくなってくる。

その代わり、花の形や色は小さめながらも完璧にちかい。

何とかして飾ってあげたいときに登場するのは,

かねてから集めていた小さな瓶や容器のたぐいだ。

大小をつけて瓶を選び、あとは摘んだばかりの花を挿すだけ。

P1160857_convert_20120910210134.jpg


千日紅、ユーパトリウム、薔薇、トレニア、ツルバキア、クレマチス、露草、バジル・・・。

こんなふうに取り留めのない花の組み合わせでも、

小さいというだけで可愛らしい花材となる。

花を生けたガラスの小瓶は、緑色だけでなく、すみれ色や褐色、こげ茶色、ブル-、青紫、

気泡入りの淡黄色など、ロマンチックな色も多い。

私は洋酒のサンプル瓶や香水瓶、薬瓶、実験器具、玩具、ミニチュア食器などから見つけたが、

ゴミになる寸前でセーフとなったものもある。


明日は、青い小瓶に活けてみようかな。

MONMO と 桃

「重いですよ。玄関の中へ入れましょうか」

顔なじみの配達員が、朝一番で大きな箱を届けてくれた。

姉想いの弟が送ってくれた箱の横には、大きな文字で「福島 桃」とある。

P1160907_convert_20120902032509.jpg


P1160898_convert_20120831111345.jpg

箱の中には、ふっくらとした赤ちゃんのほっぺを思わせる見事な桃が並んでいた。

夏の終わりを告げる晩生の品種は、この「川中島」が美味しい。


ものづくりには、扱う人の個性が現れるという。

あの信じられない原発の打撃を受けてから、1年半が過ぎた。

しかし、何事にも真面目に取り組む努力を惜しまない福島の生産者は、例年に勝る桃を生み出している。

箱の周囲まで漂い出す香りの、なんとやさしいことだろう。

私は思わず、MONMOという言葉をつぶやいていた。

ローマ字で綴るとフランス語のようにもみえるが、MONMOは、れっきとした福島ことばだ。

ふるさとの福島は、昔から最高の品質を誇る桃の産地として知られている。

春にはあちらこちらに文字通り桃色の花畑が広がり、夏休みの頃のおやつはMONMOだった。

P1160901_convert_20120901145944.jpg


興味深いことに、よその産地の桃はとろけるような食感とか、

皮がつるりとむける柔らかさをもって上等とされる。

しかし、福島ではしゃきっとした歯ざわりの、やや硬めのMONMOに人気がある。


私たち4人姉妹はそろって県外へ嫁ぎ、数十年を過ぎても夏の果物といえば桃ではなくMONMOだ。

語源を調べてみたが、今さらかしこまって語源というほどのこともない。

おそらく贅沢な果物の味に、親しみと感謝をこめて生まれた愛称ではないだろうか。

P1160940_convert_20120902033112.jpg


MONMO がどれほど県民に愛されているかを現わすよい例が、この雑誌 MONMO だ。

サブタイトルに「福島を楽しむ大人の情報誌」とあるように、

暮らし全般にわたって質の高い情報を提供している、善意の塊のような雑誌だ。

隔月刊で、まもなく創刊8周年を迎える,

この足跡を残すことは、地方の出版社では容易なことではなかったろう。

この間には先の見えない景気の低迷や、予想もしない大震災や原発などの甚大な被害をこうむり、

継続の危機もあったにちがいにない。

最悪の状況の中で欠号を出さず乗り越えられたのは、社長を始めスタッフによる「MONMO精神」、

言い換えれば、自分のことよりも相手の立場を考え、損を承知で真面目な行動を続ける福島県人魂が、

頑張らせたのだと思う。


ありがとう、生産者の方!, おめでとう MONMO編集部 !、がんばろう 皆さん!


*monmo お問合せ先  TEL 024-593-0900、Fax  024-593-0400

HOME : TOP

Monthly