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HOME:広田せい子のハーブガーデン

うちのサカナクン

小さい時から、生き物の世話をするのが好きだった。

ハト、ブンチョウ、ジュウシマツ、セキセイインコ、ニワトリ、アヒル、ウサギ、アンゴラウサギ、
ヤギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、コイ、キンギョ・・・。
今まで飼ったことのある動物を書き出してみたら、懐かしくなってきた。
もちろん、私一人で飼っていたわけではない。
ペット的なものを除けば、それぞれに理由があった。
ニワトリは卵と肉のため、アヒルも卵を産んだが半分はペット用、
ヤギは双子の弟妹のミルク用、羊はセーター用、コイは日本庭園の観賞用だった。
結婚して住んだマンションのベランダには、息子たちの水槽や私の鳥籠があったが、
新しい家ができたとき、小さな池を作ることにした。
池には金魚や鯉ばかりではなくトンボのヤゴも棲み、ヒキガエルが愛を交わし、水面に薔薇の花影を映した。
しかし、この池もなくなり、
代わりに玄関先の踊り場にちまちまと甕や睡蓮鉢などが並ぶことになった。


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水面の写真を撮るのは、難しいものだ。
これはピントが合わなく、しかもブレているが、私は気に入っている。
ご覧のようにたいした魚ではないのだけれど、長年世話をしていると可愛いもの。
白い魚はコメット。


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黄色と黒の模様は鰭長鯉(ひれながごい)。朱色の和金はエサキン(熱帯魚などの餌用)を助けたもの。
そのせいか、とても人なつっこく、私の掌のくぼみに入って遊ぶのが好きだ。

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背中に日の丸を背負ったコメット。
コメットとは彗星の意味で、尾鰭が彗星と似ているからこう呼ぶようになったとか。


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勢揃いをしたサカナクンたち。
上から5番目のグレイっぽい魚は、朱分金。
黒や灰色、オレンジ、白、朱などがめちゃくちゃな模様を作っている、長い尾の金魚。
一見、不具合のようでも、なかなか渋くて魅力があり、私はひいきにしている。


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今年の夏に孵ったメダカの赤ちゃん。
初夏の頃、水温が上がると産卵するので、卵を見つけたら親に食べられないように隔離。
孵化した小魚はほんの1ミリほどなのに、元気そのもので見ていて飽きない。

上の赤ちゃんメダカは、10月近くに孵化したのでこのまま冬を越し、来春に生長する見込みだ。

ところで、田沢湖に生息していた淡水魚のクニマスは、とうに絶滅したと思われていたが、
山梨県の西湖で70年ぶりに発見されたというニュースがあった。
このメダカも外来のものや交雑してしまったものが多く、純粋のニホンメダカは数少ないという。
植物の世界も同様のことが起きている。
はてさて、どうしたらよいのだろうか。

大きなお芋

先日のポインセチアも大きかったが、
なぜか今日も、またまた大きなものを買ってしまった。

小田急線の柿生(かきお)から入った黒川の近くに、
「セレスモス」という大型農産物直売所がある。
農協のバックアップがあるのだろう、
新鮮で安全な野菜や果物が市販のものよりお安く並ぶので、
午前中は買い物客で長蛇の列だ。
ピーク時は大きなホールなのに、すれ違えないほどの人の波が押し寄せる。
掻き分け掻き分けしながらカートに野菜を入れてゆくうちに、
珍しいものを見つけた。
サツマイモ・紅アヅマとラベルに書いてあるが、
私の知っている紅アヅマはこんなに巨大ではない。


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帰宅してすぐに身体検査(?)をしてみた。
体重2kg、長さ60cm、


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お腹の周りは24cmだ。
正月にはファミリーがまた集まって新年会を行うので、
孫たちののおやつに焼き芋にしてあげよう。
オーブンに対角線にして入れても無理だから、残念ながら切らなくては・・・。

大きいことはいいことというけれど・・・。

果たしてどんな味がするのか、お楽しみお楽しみ。


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クリスマスプレゼントの反省

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                    *孫の背丈を越すジャンボなポインセチア。

その時は何と気の利いた行為だろうと、内心で自画自賛していても、
正気になると何でこんなことをしてしまったのかと、自分自身が嫌になってしまうことがある。
今年のクリスマスプレゼントが、まさにこのケースだった。

24日のイブは隣に住む長男の家に家族が集まり、
持ち寄りの夕餉を楽しむことになっていた。
何かプレゼントもあげたいと考えていたが、なかなか思いつかない。

そんな時、妹と近くにある大きな花屋へ行く用事があった。
クリスマスと正月は花屋のかき入れ時だ。
ごった返す店内で妹の姿を探していると、
壇の上から見下ろしているような、巨大なポインセチアの鉢があった。

最初は、造花? と思ったが、水切れによる葉のしおれ具合などから、本物だとわかった。
すぐ傍に貼ったチラシには、
黒々と「*万円のところ、50%OFF!!! 区内は配達無料」とある。

これは凄い。ここまで育てるのはさぞかしたいへんだったろう・・・。
と感心したのと同時に、ちょうど12月頃に外国で目にした、露地育ちのこの樹を思い出した。

まだ香港が英領だった頃、中国本土へ通じる列車の車窓から、
ネパールでもインドに近い聖地ルンビニーへの道で、
台北郊外の大きな邸宅の塀からはみ出した大木、
スリランカの植物園で、芝生のなかの独立樹として、
屋久島を一周する道路をドライブ中、琉球朝顔と一緒に・・・・。

想い出の中から拾い出したこの地で育つのだから、耐寒性はきっと大丈夫だ。
高額だけれど、エキゾチックな雰囲気のある観葉植物の値段にしては高くはない。
1年中真っ赤な花(実は苞)では疲れるが、短日植物なので濃い緑色に戻るので心配はいらない。

帰りの車の中で、妹も同じことを考えていたらしい。
夫に相談してみると、驚いたことに反対をしないばかりか
「誰かが買わないうちに、早く電話を」という。


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幸いにも、まだ売れていなかった。

暗くなってから、台車に乗せたままトラックに積み込んでポインセチアが到着した。
大の男が3人がかりで階段を運びあげ、玄関前にセット。

隣は全員留守だったので、帰宅したらみんなびっくりし、嬉しい悲鳴を上げることだろうと思ったのだが、
「何に、これ?」と、長男の妻から電話が来たきりで、誰からも「ありがとう」はなかった。

パーティでも話題に上がることはなく、
「どうしよう」と困っている状況が伝わってくる。

正気に戻った私も、真剣に考えてみると、我が家で引き取るのが一番スムーズな解決法だ。
しかし、この重さの鉢をどうしたらいいのだろう。
庭伝いにロックガーデンの細い道を運び込むのには、足場が悪いからかなりめんどうなことになりそう。
そのうえ、肝心の男手も暮れでそれぞれに忙しそうだから、調整するのが難しそうだ。

どうして、こんなことをしてしまたのだろう。
結局、年寄りのひとりよがりなのだ。
これからは、もっと気をつけなければ・・・・。



リバティのペアルック

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75歳の彼と、69歳の彼女のペアシャツ。
こうして並べてみると、照れくさいというか面映ゆいものがある。

10月28日のブログに、
「SEIKOという名のリバティプリント」というタイトルでエッセイを書いたが、
このページを読んでいただくと、ことのしだいがわかりやすいと思う。

最後のところに、
せっかくのチャンスだから、夫には色変わりのブルーで、
私にはフリルをつけたシャツを、誂えたいことを記している。

出来上がったシャツを撮影したのが、上の写真である。

「少しにぎやか過ぎるかな?」と心配していたが、
思っていた以上にやさしい雰囲気の服になった。
夫のシャツは、全然お揃いという感じがせず、
アロハっぽい仕上がりで、面白いものだと思った。


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前立てにつけたフリルとパールのネックレースがよく合い、我ながら嬉しい。

しかし、こんな失敗もしてしまった。
ブラウスに合わせるティアードスカートを手作りしたのだが、
ブロードのワインレッド色を選んだのが大きなミスとなった。
鮮やか過ぎる色のために、上下がしっくりなじまないのだ。
むしろ薄手のコーデュロイで、渋い茶系統などがよさそう・・・。

あるいはくすんだオリーブグリーンなどが案外似合うかも・・・・。

明日はクリスマス・イブ。
隣の長男の家に3ファミリーが集まることになっている。
そうだ。
せっかく作ったのだもの、ペアルックで出かけてみよう。

がんばれ! 唐辛子  ①

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  * 野性味が強い唐辛子といわれるテピン。小粒なので,鳥の餌となって各地へ運ばれた説がある。蝶激辛


唐辛子との付き合いは長い。
私の故郷の福島市ではナンバンといい、父の大好物だった。

父の嗜好ははっきりとして、時には激しいものがあった。

酸っぱいものが好きで、青梅に塩をつけてがりがりと食べ、
誰かが「毒だ」と制しても、「大丈夫、大丈夫」と平気な顔をして食べていた。

寺の住職なのでいつでも甘いものがあるせいか、甘いものを食べている父を思い出せないが、
辛いものに目がなく、ナンバンがまだ青いうちから自分で油味噌を作り、
その中にぶつ切りのナンバンを入れたナンバン味噌で、ご飯を食べるのが好きだった。

食卓にはいつも七味唐辛子があり、おつゆにパッパ、漬物にパッパ、・・・・だった。
汗っかきの父はナンバンを食べると、文字通り坊主頭に汗が流れた。
父の座る場所は上座といい、後ろが漆塗りの板戸だ。
これがいわゆる黒バックになり、冬には父の頭から湯気が立つのがはっきり見えた。
まるで漫画のひとコマのようだが、そんな父の御相伴をしていた私は、
唐辛子大好き娘となった。


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 *  レッドハバネロ 唐辛子ブームの火付け役となったが、「暴君ネロ」とは、何の関係もない。超激辛


唐辛子は、世界中で最も多くの人々が使っているハーブの一つといわれている。
幼い頃に親しんだこの赤い小悪魔をもっと知りたくて、
世界各国から種を集め、畑を借りてトウガラシに取り組んだことがあった。
とにかく、一人で始めたので一馬力で頑張り、5,6年後には約300種ほどの記録を取ることができた。
まだ道の途中だったが、高知県の牧野植物園からの依頼で唐辛子を展示し、講演を行ったことが懐かしい。

また、唐辛子ををテーマにホテル日航の島田総料理長とのコラボレーションで、トウガラシディナーを開いたことも、楽しい思い出と同時に、生きた勉強になった。

借りていた土地は地主さんの都合で返すことになったが、あのとき捨てきれないでポットに移し、庭で世話をしていたトウガラシが、頑張ってまだ生きている。
ガラスだけの小さなフレームに入れたこともあったが、数年前から冬は外に出しっぱなしだ。
原産地が熱帯アメリカなので耐寒性が無いはずなのに、このように越冬が可能になったのは、
やはり地球の温暖化のせだろうか。
                    (つづく)


種子が秘めた可能性

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小学生の頃から、種子を見つけるとなんでも蒔いてみたくなる癖(くせ)があった。
その癖は今でも治らない。
これまでに種子から育てた、いわゆる実生株でもっとも大きく育ったのは、マカダミアンナッツだ。

ハワイみやげの袋に入っていたコロンとした種子を、
土に埋めておいたら3年目に発芽し、13年目に花が咲いた。
この年初めて実がなり、20年目の今年は2階の屋根を越しそうに生長したが、
正直のところ困っている。

アボカド、グレープフルーツ、タチバナ、照手姫(ハナモモ)、ハシバミ、などの実生苗も大きくなった。
もう植える場所もないのに、薔薇の手入れの時に切り取った種子を捨てられないでいる。

この種子たちがどのような薔薇とで合い、受粉したかは全く知らない。
けれども、咲くまではどんな可能性を秘めているかわからないのだ。

私は薔薇の実生苗をこれまでたくさん発芽させたが、気に入ったのはたったの2点だけ。
一つ目は、野薔薇サイズの白い小さなバラで、ナナコバラに似ていた。

もう一つは、濃いワインレッドの一重の薔薇で、強い芳香があった。
どちらも病気に弱く、2度目の花を咲かせた後に枯れてしまった。

さて、どうしよう。
蒔くか、蒔かぬか。 
じっくり考える時間はたっぷりとある。



フィレンツェの薔薇水

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先日、お洒落な小包が届いた。

差出人は愛知県稲沢市の××××恵理子とある。
?、一瞬誰からだか分らなかったが、すぐに先月結婚したばかりの、姪だと分かった。
住所も名字も変わっていたので、すぐにはピンとこなかったのだ。

開けてみると、

「せい子おばさん、お忙しい中を結婚式に出席してくださり、ありがとうございました。
 イタリアへの新婚旅行から無事に帰ってきました。
 
 フィレンツェの、薬局みたいなハーブショップで、
 薔薇水をおばさんのために処方してもらいましたので、
 どうぞ、使ってみてください。
 どんな香りかしら。興味があります。
 これが特別な処方で作ったというローズウオーターだ。
 せっかくだから、庭でまだ咲いていた名残の薔薇で瓶の周囲を飾ってから、おもむろに蓋を開けた。

 
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まず、香り立ってきたのは、ダマスク系のいかにも「バラでございます」というニュアンス。
次にシトラス系の爽やかさと、スパイシーなきりっとした香りがからまりあって現れた。
ローズウオーターは、香水よりもオーデコロンよりも香りは数段淡く、
儚いほのかな香りを風呂上がりにまとったり、冷たく冷やしてパッテイングに用いたり、
お風呂に入れてよい夢を見るなどに使うものらしい。


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私がノーメイクのうえにいつも普段着なので、
やさしい姪はお洒落ごころを刺激してくれたのだろう。

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まずは、今夜の浴槽に加えてみようかな。
いやいや、もったいない。
今日は、姪の幸せを思いながらテーブルに置いて、眺めているとしよう。

誕生日の嬉しいプレゼント

1941年(昭和16年)の12月8日は、真珠湾攻撃とともに第二次世界大戦が始まった日だ。
そして、開戦から1週間後の12月16日、つまり今日は私の誕生日である。

さて、69歳になった私にずっしりと重たい箱が届いた。                   
中から出てきたのは、大きなパパイヤと美しい黄色のレモンがどっさり。


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この「 いてB 」とは、射手座生まれ、血液型がBの意味で、じつは私も射手Bなのだ。

ものの本で調べてみると、
何か興味のあるものを見つけると、
計算づくでなく、徹底的に探究するタイプで、
熱が冷めたらあとを追わず、また次のテーマに深入りする・・・、とある。

この素敵なプレゼントを送ってくださった楠瀬ご夫妻は、
高知のハーブ仲間で、まる福農園のオーナー。
いつのまにか家族ぐるみのお付き合いに発展している。

妹たちと高知の朝市を堪能したことが、2010年の楽しい思い出大1位に。                                
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農園のグリーンハウスで育ったパパイアは、赤ちゃんの頭より大きい。
レモンもLLLぐらいの大きさにびっくり!!!。

今夜は冷え込むので、早速美味しい飲み物を。
レモン汁にはちみつを加え、熱いお湯を注した「シトラスハニードリンク」を作った。
体がポカポカして、いい感じ・・・・。

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元気な人が育てると、元気な作物が採れるいい例。
白い筋が入っている葉は、パパイアの葉。
レモンの下に敷いた山椒のような葉は、カレーリーブス。

この大きなバスケットはまだ制作の途中だが、私の作。
材料のアケビのつるは、近所に住む友人の門村恵美子さんからいただいたものだ。

みなさん、ありがとう。

雨の日のリバティ遊び

夜半から降り始めた雨で、今日の庭仕事はお休み。

くるくる変わる毎日の温度に
いつもの年より遅めの、衣類の整理ををしていたら、
よそいきのニットのシャツに
シミがついていることに気がついた。

海島綿の上等なこのシャツは、
水色の細いストライプを生かしてセーラーカラーのイメージでデザインしてある。
それに何んといっても、手触りの優しさが最高だ。

点々と飛び散った飛沫のような茶色のシミに、がっくり・・・・。

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そうだ、いいことを考えたわ。
リバテイの端切れを入れた箱と鋏、それに布用の接着剤を持って、
ポカポカカーペットの上に座り込んだ私は、
綺麗な花や葉っぱを切り抜き始めた。

「わぁ、楽しい、楽しい」

青い勿忘草は Edenham    パープルの野薔薇は Betsy

ピンクの濃淡の薔薇は Elysian


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赤紫の薔薇は Felicite    あとはみんな Edenham


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置き合わせをして場所を決めたら、
裏に接着糊をつけて皺にならないように手早く貼り付ける。


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面白くてもっと貼りたいけれど、このへんでストップ。
糊が乾いたらアイロンをかけて、布の周りを細かい針目で縫いつける。

洗濯はぬるま湯で押し洗いし、濡れている間に叩いて皺をのばすとよい。

え? これは布の皺伸ばしです。人間には試さないで・・・。

12月の青い薔薇

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クリスマスももうすぐだというのに、庭ではまだ薔薇の花が咲いている。
この季節にチャイナ系の薔薇が咲くことは珍しくないが、
今年はいくつかの系統が返り咲きをしている。

この青みを帯びた薔薇の名前は、Blue bajou (ブルーバユー) という。
ドイツの有名なロザリアンのコルデスによって作出された青いバラで、
今から17年前の1993年にデビューしている。


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英語で Blue Rose といえば、impossible (不可能)の意味に使われる。
青い薔薇の作出は薔薇にかかわる人々の長年の夢であった。

その結果、1957年にアメリカのフィッシャーが「スターリング・シルバー」を、
同年にはドイツのタンタウが、「ブルームーン」を発表している。


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ブルーといってもフジ色やライラック色のように、明るい所で見ると魅力的だが、
この花だけを活けた場合は、どちらかといえば寂しげに見えるときが多い。
そんな時は、マゼンタ系のピンク色の薔薇を添えると、どちらも引き立って見えるから不思議だ。


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ほらね、きれいでしょう?

奇妙な足跡

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和室と玄関の間に、4畳半ほどの空間がある。

和室から見えるように、最初は坪庭を作る予定だったが、
メインの庭作りにかかりっきりになったことと、
肝心の和室が物置同様になってしまったために、
ここはいつの間にか、ジャスミンとジンジャーリリーがはびこり、
さらに小鳥が落としたヤツデやネズミモチ、ヤブコウジなどが生えた、
とんでもないミックスガーデンとなっていた。

思い立って、ジャングルを片づけてみたら、
地上にこんな記号のようなものが現れた。

物差しで測ったかのように等感覚で、一列に並べた褐色のボタン・・・・。
恐竜の歯型のような感じで、
全体の形を見ると、ハート形に見えなくもない。

この場所に植えてあったものはなんだっけ???

あぁ、そうだ、オレンジ色のジンジャーリリーだった。
そういえば、何年も植えっぱなしだった。

たった一株のジンジャ―リリーはどのようにして、こんな足跡をつけて歩いたのか。

ここはちょうどよい半日陰の場所なので、
整地してニオイスミレの群落を作ろうと思ったのに、
もう一年待って観察してみよう。

忙中閑あり・お芝居を見に

R子 様

街路樹の黄葉とともに、秋が深まってきました。
先日は美味なるお品をお送りいただき、ありがとうございます。

ちょうどあの日は夫と国立劇場へ歌舞伎を見に行く日だったのですが、
おかげさまで帰宅してからあわただしく食事の用意をする手間もはぶけ、美味しくいただきました。

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築地の歌舞伎座が改築中なので、ここ国立劇場は満員。
出し物は、討ち入りのあったこの月の定番「仮名手本忠臣蔵」です。
なにしろ11時半から4時半までの長い舞台で、オリジナルはさらに長いと聞きました。


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主君の仇打ちという大義名分があっても、そのままストレートな筋立てではありません。場所や名前、時間的設計のために少々あるいは大胆に手を加えたり、浄瑠璃や講談などを挿入するなど、観客を飽きさせないようにという演出家の苦労がよく分ります。

高麗屋の松本幸四郎,染五郎の親子が熱演。やはり人間性にルックスとスタイルがよく、そのうえ家柄もよい。それならスターになれるかといえば、海老象の例もあるのだから、大変な道ですね。

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歌舞伎はきらびやかな色遣いが多いようです。
この出し物で印象的だった色は、切腹のシーン。引き抜きでパっと白装束になりますが、
肩衣をつけています。淡い淡い黄緑の肩衣は、切腹前の緊迫した空気をやわらげるように思いました。
何となく気になったので、調べてみたらこの色を「水浅黄」といい、江戸時代には囚人が着る色だったとか。
思い込みには注意が必要ですね。

それから、お軽 勘平の道行きのシーンではお軽の着ていた振袖の何んと心に染み入ったことでしょう。
夜中に恋の逃避行をするはずなのに、舞台では富士山のふもとの菜の花畑・・・。
腰元のお軽は屋羽根模様の衣装を着るはずなのに、ワインレッド色の振袖に(たぶん)金糸で縫い取った御所解き模様のお洒落な作りです。
どちらも、命ににかかわる重たいテーマなので、どこかにほっとするようなシーンを考えたのでは?

舞台が終わって気がついたことは、涙が出ていました。
本懐を遂げた四十七士への感動!
しかし、それはとりもなおさず死を意味しているのです。
主君の仇を討つために家を捨て、家族と別れて命がけで戦った男たち・・・。
いいとか悪いとかの区別もなしに、私は泣いていたのです。
隣のご婦人も、しきりにハンカチで涙をぬぐっていました。

ロビーから外を見ると、もう、真っ暗。
南の空に細い三日月がかかっていました。
さぁ、早く家に帰って、
R子さんから頂いた例のもので、熱燗と行きましょう。

それでは、またね。                  広田せい子






キャス・キッドソンみたいな色遣い

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昨年3株だったクランベリー(ツルコケモモ)が、大きな株に育った。
植え替えたいが、植木鉢をいくつも並べるのは野暮だし、場所を取る。

ブルーのペンキを塗ったワイン用の木の箱があったのを思い出し、ゆったりと植えてみた。

思った通りのびのびと育ち、初夏に面白い形の白い花が咲いた。
小さなその花は、咲きだす前から反り返ったような複雑な形をしている。
写真を撮っていたのに、見つからないのが残念だ。
落ち着いて探して、ぜひお見せしたい。

調べてみると、蕾の状態形が鶴(Crane)に似ているので、
また、鶴が好んで食べる果実なので、Crane berry とよぶようになったという。

綺麗な紅色のつぶらな実をつけたクランベリーは、アメリカの沼沢地で栽培されている。
その収穫法というのが、じつにユニークだ。
周囲を固めたクランベリー畑に水を張り、樹を激しく揺する。
するとパラパラと実が落ちて水に浮いたところを
専用の作業車で集めて行くのだから、さすがアメリカはスケールが違う。


なつかしい思い出がある。
学生だった1960年代に、アメリカのセレスティアルという会社から、
カラフルな絵柄のハーブティがシリーズで売り出されていた。

その中に、クランベリーティがあった。
あいまいな記憶だが、箱には長いスカートにベストを着た少女が、描かれていた。
バックは湖(?)に、小舟を浮かべている絵だったような・・・。

説明文を辞書と首っ引きで読んだ記憶があるが、
覚えていたのはたったの二つだけ。

クランベリーには利尿作用があることと、
craneberry patch のパッチは小さな畑の意味で、
あの時点ではパッチワークのパッチと同じとは知らなかった。

この箱を選んだとき、頭の中にはクランベリーと水という潜在意識が働いたのだろう。

けれども、こうしてあらためて眺めてみると、キャス・キッドソンの色遣いによく似ている。

さらに、図案的にみると Liberty 社の定番となっている Wiltshire のモデルはこれではないか。

秋の夜長にああでもない、こうでもないと、素人が御託を並べているときが、一番楽しい。

Rosemary  夫人のアイデアを借りて

師走に入ってもこの汗ばむような陽気・・・。

夫の報告によると、
「おい、おかしいぞ。
鷺沼駅前の辛夷のつぼみが膨らんでいたよ。
ありゃ来週あたりに咲いてしまうな」

木枯らしでも吹けば、こうしちゃいられないと庭仕事ははかどるのに、
小春日和だと遊び気分で気が散って、まだ球根をぜんぶ植えていない。
というよりは、インターネットやカタログで好きなものを見つけると、植え場所も考えずに注文してしまう悪い癖があるため、いつまでたっても終わらないのだ。


注文していたチューリップの球根が今ごろ届いた。
さぁ、困った。
庭のほうは満員御礼、少々空いていているスペースは予約席の状態だ。

そこで思いついたのは、
今は亡きローズマリー・ヴェアリー夫人の庭で見たチューリップと勿忘草の混色花壇である。

イギリスで最も美しいカントリーと称賛されているコッツウオールド地方に、
バーンズリーハウスという花に囲まれた館がある。
いや、あったというべきだろう。なぜなら、夫人亡きあとはホテルになったと聞いている。

館の芝生を挟んで左側の花壇に、私がひじょうにインスパイアされたチューリップのコーナーがある。
それは一面の勿忘草の青い海の中に、
純黄色のウエストポイントというチューリップがすっくと立ち上がり、凛々しく咲いていた。
対をなして、
アメジスト(だったと思うが)というワインレッドのチューリップと勿忘草の組み合わせも、
印象的だった。

さぁ、このアイデアを頂戴して、大きなウイッチフォードのコンテナに2段式に植えてみよう。


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今は勿忘草の苗しか見えないが、チューリップの芽が出て花が咲く4月には、
さぞかしにぎやかな花のコーナーになることだろう。


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