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黄金色の食用菊

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24日に「もってのほか」という食用菊について記したが、黄色い菊もある。

写真は「安房宮」という名前で、近くのスーパーから求めたものだ。
このまま糸でつないだら黄金のネックレースよりも、魅力的ではないだろうか。
食べてしまうには、惜しいような美しさである。
調べてみたら、「安房宮・あぼうきゅう」というのは、
秦の始皇帝が菊の花をこよなく愛し、「安房宮」という宮殿に植えていたことに由来している。

少々気になるのは、私が以前に青森の産地から買ってきた「安房宮」とは、違う品種のようだ。
それは花弁がすーっとした直線で、中央が盛り上がるような咲き方をしていたように記憶している。
こうした昔から伝わる植物は本場といっても規格があるわけでもなく、
各地域でそれぞれに昔ながらの植物を育てているのだから、多少の変異はあるのがあたりまえだ。

菊の来た道をたどってみると、興味深いものがある。
はるかな昔、中国から伝わった菊の花は、平安時代に貴族に愛され、
今では日本の最高の位を誇る天皇家の紋所となった。

一方、庶民に愛された菊は、江戸時代に数多くの見事な品種が生まれた。
「国華園」を検索して、菊のカタログを見てみよう。
春のガーデニングのオープン時になれば、この何倍もアイテムが増える。

日本人は、菊の花とよくよく相性がいいと思う。
勲章の図案に菊、著名人が招待される観菊会、パスポートにも菊、
競馬の菊花賞、日本酒に菊正宗、50円硬貨の文様も菊の花だ。

香気に満ちた菊の花を、味わうなら今だ。

明日の夜は二男がテレビに出演

私には3人の息子がいる。
3人ともそれぞれ違う職業についているが、
二男の泉は父親の広田尚敬と同じ鉄道写真家となり、作品を発表している。

この泉が明日の夜、テレビの1時間番組に出演するので、どうぞよろしく。

日時 11月27日(土) 21:00~22:00    

テレビ局 BS12

タイトル;「鉄道写真物語」

撮影地: わたらせ渓谷鉄道

詳しくは、ネットの「鉄道写真物語」で検索を。

この番組は、タレントや有名人が撮影した鉄道写真を夫がジャッジするという趣向で、
全20回にわたる企画だ。

次週は広田尚敬が「江ノ電」を取材し、撮影の模様を放映予定。

詳しくは聞いていないが、作品を通して親子対決があるらしい。さて、軍配は?

以上、母心のなせるお知らせデシタ。

★   二人のHPは、鉄道写真.COM で検索を

薄紫の秋の味

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近頃あまり見かけなくなった花に、菊がある。
今日は朝早く家を出て、箱根方面へ出かけた。
紅葉狩りといえば風流だが、箱根登山鉄道を撮影する夫のお伴だ。

途中、車窓から古そうな住宅地や農家、別荘などを注意してして眺めたが、
ほとんど菊らしい花はなく、街中ではパンジーやストックなど春の花を植えた家もあった。

というのも、先日二人の妹から申し合わせたかのように、
食用の菊が届いたからだ。
京都に住む妹は、会津の友人から届いた「もってのほか」という食用菊のお裾分けを、
近くに住む末の妹も、山形出身の友人からいただいた「もってのほか」を、持ってきてくれた。


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なぜ「もってのほか」というのだろう。
聞いた話によると、皇室の御紋となっている菊を口にするのは,もってのほか恐れ多いから・・・。
2番目は、もってのほか=ことのほか 美味だからという。

主に東北地方から日本海側にかけて、菊を食べる習慣があるようだ。
盛岡市の神小田(みこだ)朝市、新潟市の新町か古市だったか?
金沢市の近江市場などに、山と積まれていた菊の花が印象深かった。

菊の花の料理で最もポピュラーなのは、酢の物だろう。
塩を加えた熱湯にさっとくぐらせ、水に放して冷ましたら軽く絞り、好みの酢で合える。
市販の「すし酢」はすぐれもので、手軽に使えるうえに美味しい。
酢によってワインレッドの汁が出て、とても美しい一品だが、
翌日になるとシャキシャキ感が消えて味が落ちるので、その日のうちに食べきることをおすすめ。

このほか、私は天麩羅や卵焼き、ちらしずし、サラダのトッピング、お吸い物などにも使っている。

これからの季節なら,道の駅JA直売所が狙い目だ。
気持ちよく晴れた秋の一日、ちょっと遠くへ出かけてみたい。そう、何度でも。

園芸家の首飾り

急に寒くなってきた。

いつもは木綿のTシャツなのに、今朝はセーターを出して着てみた。

大好きな色合いだが、何だか胸元が淋しい。
このネックレスではどうだろう。


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これはシルバーの手作りチエーンに、可愛らしいガーデニング道具をつけたもので、
歩くたびに何かミステリアスな音がする。
麦わら帽子やスコップ、鋤(すき)、フォークにバスケット、収穫した野菜などがとめつけられている。


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このユニークなアクセサリーは、アメリカのハーブ研究家、ホリー・シミズからのプレゼントで、
見ているだけでも楽しくなってくる。

バスケットはちゃんと編んだものだし、グローブの指先は滑り止めだろうか。
根ひげまでリアルにつけた二十日大根には、思わず笑ってしまった。
きっと作家もののアクセサリーにちがいない。


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これは、私の作った首飾り。
いかにも勿体ぶった言い方だが、ただパーツを麻ひもに結び付けただけの超簡単なレシピだ。
生なりのスモックや、紺のセーターによく似合う。

肝心のパーツは、表参道の「ラ・ドラグリー」で求めた。
パリに本店のある手芸の店で、小さなかごに買いたいものを入れてレジへ進むシステムだ。
あっという間に、とんでもない金額になってしまいがちなので、要注意!!!

また、空腹だとなぜかたくさんの買い物をしやすいので、食後に行くこと。

あら? 桑の実がまた採れる?

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異常気象のせいか、植物にもおかしなことが起こっている。

普通の花期は4~5月のトキワマンサクが、近所の3軒とも9月に紅色の花が咲いた。
春の到来を告げるのに、赤い花ならふさわしいけれど、
残暑がひどい真夏日に赤い花は暑苦しくて辛かった。

わが家では、桑の実が今ごろになって実り始めた。
初夏に実るこの果実については、
2010年6月14日と8月1日に「美味なる食材」のカテゴリーに記している。


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「変だ、おかしい」とはいっても、
前よりも実が大きくなって枝に下がっているのを見るたびに、にんまりしている。

しかし、実が黒くなって甘みが増す頃は、ヒヨドリとカラスの専用果樹園と化していることだろう。

眺めのいい部屋

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朝の庭は、小鳥のさえずりでにぎやかだ。
ヒヨドリ、オナガ、シジュウカラ、エナガに加えて、
今朝は鋭い鳴き声ですぐにわかるモズも来ている。

居間から眺める景色は、ようやく晩秋らしくなってきた。
昨夜の冷え込みで桜が急に紅葉し、風にはらはらと散っている。
わが家は公園を見下ろす位置にあるので、春の桜、秋の紅葉を、
借景としてマイガーデンのように楽しめるのがありがたい。


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黄金色に輝いているのは、ネグンドカエデの「フラミンゴ」。
銀座松屋デパートで行っていた「NHK趣味の園芸フェスティバル」で、
改良園の河原田さんから求めたものが、こんなに大きく育った。
春の芽出しもきれいだし、白とピンクの斑入りの葉も品があるこの樹は、
黄葉で秋まで楽しませてくれる。

腰の痛さもなんのその、バラのアーチの誘引や草花の植え替えで忙しい毎日だ。


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遠くからでもよく目立つ黄金色のネグンドカエデ。
今の季節は、来客にこの樹を目印として伝えることにしている。

右側の濃い緑は、マカダミアンナッツの樹。
ハワイ土産の種から育てて、13年目に開花し、実を収穫した大感激の樹である。


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左の裸になってしまった樹は、
南仏プロバンスからエールフランスで、我が家へやってきたセイヨウボダイジュ。
小鳥たちはこの樹が大好きで、いつも歌を歌っている。

今日は夕方から雨の予報だ。
水やりが要らないので、遅れていた宿根草の植え替えをすることにしよう。

美しいリンゴ 「さんさ」

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果物のコーナーを見て歩くのが好きだ。

今の季節はリンゴの種類が豊富で、
全部味見をしてみたい誘惑ににかられる。

今日もフルーツ売り場の前で品定めをしていたら、
この季節には不似合いなりんごがあった

「さんさ」は早生のリンゴで、
名前の由来は、太鼓の音が鳴り響く盛岡の「さんさ祭り」の頃に
旬をむかえることからきているとか。
このリンゴには北国の短い夏を謳歌する人々の、熱い想いが込められているのだろう。


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調べてみたらこの「さんさ」は、国際的な誕生をしている。
「あかね」の花粉をニュージランドへ送り、[ガーラ」と交配の結果生まれたのが「さんさ」なのだ。
サイズは小ぶりながら美しい色合いで、甘みと酸味の調和がよく、ジューシーなりんごだから、
現在は長野や青森などでも栽培をしている。

最近は上手に冷蔵する技術が進化していため、私が見たように秋でも店頭に並んでいたのかも・・・・。

秋口だから少し果皮が黄色っぽくなったのだろうか。
色違いのカラフルなタオルの上にリンゴをセットしてみた。

ブルーのほうはセザンヌの静物画のように見えるのだが、いかが?

フェイクなりんご

前回は校正ミスのうえに、分りにくい文ですみません。
読み直さずに、そのままでアップしたのがいけなかった。反省・・・。

要は4個のリンゴの写真の中で、
本物(生きているという意味だったが、品種という意味にも取れるので、この設問もNG )はどれか、
ということだった。

もう一度写真を見てみよう。

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見ただけではどれも本物に見えると思うが、正解は左から2番目。
これは若いアーティストが原木から彫り出して彩色したリンゴで、
20数年前にイギリスのマナーハウスにあった売店で見つけたものだ。

広いお屋敷の歴史ある部屋を見学し、ハーブや草花の庭を見て回った後だったので、
この赤いリンゴはいかにも美味しそうにみえた。

のどがかわいているのでガシッとかぶりついたら、
口の中はリンゴの果汁でいっぱいになるだろう・・・・。

オーナーに断って、古ぼけたバスケットに手を伸ばし、
リンゴを掴んだとたん、弾力性がなくつるっとしていて感触が違う。
そして、軽いことに気がついた。

オーナーがなぜかニヤニヤしていた意味がわかった。
これは、実物にそっくりの偽物だったのだ。

それにしてもよくできている。
へたのくぼみや、肩のふくらみからストンと落ちるシャープなラインは本物そっくり。
彩色もただきれいだけではなく、細い縞の入り具合や影が実物を感じさせている。
単なるお土産ではない。芸術作品とよぶのがふさわしいと思う。
あぁ、製作者の名前やリンゴの品種名を、聞いておけばよかった
あの時、手にとって見たおかげで、想い出のフェイクリンゴはいつも部屋のどこかで微笑んでいる。

ところで、私が日本支部の理事をしているRHS(英国王立園芸協会)には、
サリー州に広大な付属植物園がある。
ここには品種保存の補場があり、800本ではない、800品種のリンゴを栽培している。

ここから海を渡り空を飛んで日本へお嫁入りをしたのが、
信州小布施で栽培に成功した、青リンゴ「のブラムリー」という料理用リンゴである。

リンゴの季節は始まったばかり。
これから春まで何種類のリンゴを味わうことができるか、楽しみでならない。

どれが本物のリンゴ?

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秋も深まってきた。

果物売り場にはリンゴが山と積まれ、良い匂いを放っている。
リンゴが大好きな私は、いつもアンテナを高く立て、
新しい品種はもちろんのこと、懐かしい品種を探しては味わって、感激を新たにしている。

さて、問題です。
この写真のリンゴ4個のうち、本ものでないのはどれでしょうか。

正解は次回のブログをお楽しみに。

朝飯前の湘南ドライブ

「明日の朝、早く起きられるなら撮影に連れて行こうか」と夫。

「どこで撮影するの?」と私。

「夜明けの海と江ノ電を狙うから、4時起きだな」

「朝ご飯は?」

「早く終わったら、プリンスホテルで朝食をとろう」

「わぁ、すてき!」

というわけで5時15分に出発。
日曜の朝というのに、この時間帯は意外に空いていて、鎌倉高校前で夫の仕事は一段落した。


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さて、ホテルで朝食の段になった。
「こんなに気持ちのよい朝に、お行儀よくお食事なんてつまらない。
それより佐島の魚屋で、浜から揚がったばかりの魚を買いに行きたいな」

結局、セブンイレブンで、おにぎりとヨーグルトを買い、
駐車場から海を見ながらゴージャスな(?)朝食となった。

夏だったら人の波で動きが取れない海辺の道路もすーいすい。
逗子、葉山を過ぎて佐島へ。
佐島マリーナには素敵なヨットがたくさん繋留していて、眺めるだけでも楽しい。


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沖縄の県花となっているデイゴの大木。やはりこの辺りは温かいのだ。
開園当初の頃、ディズニーランドへの街路樹がこの樹だったが、今も元気だろうか。
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エキゾチックな真紅の花。
面白いことに、内地では「サクラサク〉が合格電報に使われるが、
琉球大学では「デイゴサク」とのこと。
それぞれの地方に根ざした心の花は、サクラだけではない。


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一年中暖かく、魚のおこぼれに事欠かない佐島には、猫があそこにもここにも・・・・。

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漁業組合といった感じの大きな建物の前にある魚屋で。
この店は何度も行ったが、店員の全部が親切で包丁さばきも美しい。
それに明朗会計なので一度も嫌な思いをしたことがない。

さて、初公開。ピンクのステッキをついているのが、腰痛で悩んでいる私。
腰や膝のトラブルは、中腰の作業が多いガーデン愛好家がなりやすいとか。
どうか皆様方もくれぐれも無理をしないように。

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カワハギの肝和えは、絶品。大きめのものをゲットして帰り、刺身で一皿、アラでお吸い物を。
立派な太刀魚はバタ焼きにしよう。

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貝もいろいろ。私は大粒のアサリを買った。
白ワインをふりかけて蒸し煮にし、バジルペーストで合えて、ゆでたてのスパゲッティにかけると、
あっという間に、プロヴァンス風の一皿に。


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魚屋の隣の小さなお店。畑から直行の野菜とお花。
葉物に虫食いがあったり、のびのびと育った花がとてもうれしい。

これだけの楽しみをして、帰宅したのが午前10時半だった。

早起きは三文の得

こんなにジャンボなガーリック

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南仏プロヴァンスの市場ではさまざまなガーリックが売られていたが、
こんなに巨大なのものは見たことがなかったような気がする。

先日、スーパーで見た時は、最初何だかわからなかった。

「ジャンボニンニク」という名前で売られていて、一片が卵とほとんど同じサイズだから、1球となるとソフトボールぐらいになるのだろうか。

薄皮はむきやすくまるで紙をはがすようだ。」切り口からの匂いはあっけないほど淡く個性がない。
もしかしたら無臭ニンニクとして売っているものと同じではないだろうか。

大きなサイズなので薄切りやみじん切りは簡単にできるが、
オリーブオイルで炒めてもやはり私にはもう少しパンチが効かないと物足りない。

1球だけは味見をしてしまったが、残りの3球はバラの根元近くに植えてみよう。

がーりックの匂いで害虫が寄りつかないという証明になるかどうか、楽しみでならない。

不思議な水

こういう話をすると、呆れた顔をする人やばかばかしいと笑う人が多い。
それを承知で、昨日起こった小さな事件を記しておこう。


市役所に用事があって外出し、帰宅したのは薄暗くなった4時半頃だった。
私よりも5分ほど早く帰宅していた夫が、玄関まで出迎えてくれた。

その時夫が目ざとく見つけたのは、タイル張りの踊り場に横たわっている干からびた金魚だった。
「あっ、大変!どうしよう」

相次いでやってきた台風の雨水であふれないように、金魚やメダカの鉢を一時的に軒下に避難させた。
さぞかしうっとうしかろうと、金網のカバーを外したのがいけなかった。
大きめの金魚がジャンププして金魚蜂から外へ飛び出してしまったのだ。
のたうちまわったらしく、体には土がつき,目は開いたまま。体もっ真っ直ぐで硬くなっている。

「そうだ、あの水、水」

駄目でもともと。近くにあった大きなこね鉢に水を入れ、
金魚をそうっと入れた。泥まみれの金魚は、横になったままぴくっともしない。
あわてて持ってきた「水」をスプレーすること4,5回。

「どうせ駄目だろう」と諦めてはみたがとても気にかかる。

30分おきに見に行っても、横になったままでびくともしない。

ところが、夕食後にのぞいてみたらそれまで横になっていた金魚が縦になり、尾鰭でバランスを取ってい
るではないか !!!
       
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すごい、活き返るかもしれない。
頑張れ,頑張れ!!

日付が変わって、寝る前の戸締りをしながら金魚鉢をのぞいてみたら、
静かに休んでいるようだった。胸鰭や尾びれがかすかに動いているのは生きている証拠だ。
また、少しスプレーをして私も寝ることにした。

長野県の諏訪市に不思議な水があることは、聞いたことがあった。

たまたま大宮のカタクラというホームセンターでその水を見つけた。
今年の夏は暑くて汗だく。アセモに悩むことになったがスプレーしてみたら、
あれほど辛かったぶつぶつが消え、かゆみもなくなった。
蚊に刺された時も小さな切り傷もこの水でよくなった

こんなこともあった。
マリコとよんでいたホームレスの猫が、けんかで負けたらしい。
耳の半分がえぐれた状態でわが家へやってきた。

まず、例の水を飲ませてから。傷口をあの水で洗い、
何度も何度もスプレーをしているうちに傷口はかたまり、雉虎模様のままに毛も生えてきて、
今ではどこを怪我したのかわからないほどだ。

もちろん飲んでもよいし、お風呂に入れることもできる。

この水でご飯を炊いたら、さぞかし美味だろう。

値段が高いのが玉にきずだが、こんな不思議な水を常備してあると心強いものだ。


小川八重子先生と御茶の花

今日から霜月11月というのに、まだ台風がうろうろしている。
天候が定まらないと庭仕事にもずれが生じ、
球根などまだ植え付けが始まらない状態で、少々焦っている。

雨上がりは土が柔らかいので、草取りがはかどる。
午前中は育ちすぎたサルビア類やオシロイバナ、カクトラノオなどを引き抜き、
来春の植え付けの場を作ることにした。

長い間腰の痛みに悩まされて病院通いをしているというのに、
こんなときには何故か腰痛をすっかり忘れてしまうのだから、おかしなものだ。

ばらのアーチの外側に、濃い緑色の茶の樹が見えた。
白椿のミニチュアみたいな花が、ほっこりと咲いている。
まん丸なつぼみの何んと愛らしいこと・・・。


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このお茶の木は、実生から育てたもので、植えてもう10年近くなるのにあまり大きくならない。
苗も簡単に入手できたのに、あえて実生にこだわったのは、
今は亡き小川八重子先生のアドヴァイスをいただいたことによる。

小川先生は、日常茶飯事の言葉のように毎日飲むお茶を「常茶」と名づけ、
大切に心して真によいお茶を飲むことを提唱し、実行なさった方である。

お目にかかったことはなかったが、私がある病院へハーブを送り続けていたことに対して、
電話をいただいたことがあった。

「入院中の方ばかりでなく、看護婦さんや見舞の方たちもハーブの香りに慰められていますよ。
ほんとうにありがとうございます」

思いがけない電話にどぎまぎしながらも、いろいろなお話を伺った中で忘れられないことがある。

それは「苦労して育ったお茶ほど深い味わいがある。
例えて言うなら、諸条件を満たして生産性を上げようとしているお茶の木の根は浅く、お茶にパワーがない。

反対に実生の御茶の木は、いかに悪条件の場所に種を蒔かれても努力して根を深く深く伸ばして水脈を自ら探り当て、雨風から身を守りながら生きてゆく。時間はかかっても、お茶畑の完全看護の御茶とは自ずからちがってきます」

このような含蓄のある内容だった。これはお茶ばかりでなくすべてのことに当てはまる真実で、

あの当時落ち込んでいた私には、これ以上にない励ましの言葉だった。

先生の御言葉のように、わが家の実生の茶の木は育ちが遅い。
きっと深く根を張って、生きる努力を続けているからなのだろう。

                    

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