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HOME:広田せい子のハーブガーデン

緑のヴェールを身につけて

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朝1番の楽しみは、庭の西洋菩提樹の芽ぶきを見ることだ。
裸だった木の枝に、上等な緑色の服を着せている奇特な神様がいらっしゃるのだろうか。
青空を背景に、ぱちり!


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枝先のほうから、全体に緑のヴェールをかけてもらい、見違えるようなハンサムに。


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フランス革命250年を記念して、
南仏プロヴァンスのビュイレバロニ―から、私に贈られた20本の1本がこの樹だ。

九州から北海道までの幼稚園や公民館、幼稚園、植物園などに寄付をした19本は、
健在だろうか。

横浜市南区にある「こども植物園」へプレゼントした、西洋菩提樹はかなり大きく育っている。



この芽何の芽 ?

この春は例年に比べて、降雨量が多い。
雨の降りやんだところへ高温の日が続くので、
適度な湿り気と温度をもつ土中の種は、
発芽したくて発芽したくてたまらない状態でいる。

今、実験をしているのは、さまざまな土づくりをして、
発芽との関連を調べているのだが、

さぁ、ここで問題です。
以下の写真に写っている植物は、何でしょうか。正解は下の段に


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ピントが悪くて、すみません。


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正解  ① ブラムリー(りんご)     ② ロケット、ミツバ、シソ、ハコベ、

    ③  ディル           ④ コリアンダー
 
 いかがでしたか。初級入門のテストでした。  

春のしるし、一袋200円也

ソメイヨシノが葉桜になり、
ある種のさみしさを感じる頃、豪華な咲き方をするのが八重桜だ。
八重咲きの桜を一般的に牡丹桜とよぶようだが、
重なり合った牡丹の花びらを思わせる美しさには、心の奥深いところを揺さぶられるような何かがある。

近所の農家にみごとな「関山」の古木があり、
花の季節には買い物に行くのにわざわざ遠回りをして八重桜を垣根越しに眺めたこともあった。

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「お姉ちゃん、はい、お土産よ」
小田急沿線に住む妹がドライブがてら箱根方面へ出かけ、山北の農作物販売所で求めたものだとか。
ざるにあけてみたら、入りきれずにこぼれ落ちるほどの量が入っていた。


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塩漬けにして自家製の桜湯を作ろうかしら。
それとも、しばらくぶりにポプリでも作ろうかしな・・・・。・

ただ眺めているだけでも嬉しい春のしるしを、ありがとう。

私にも花束を

身内のKさんが無事退院した。

外科的な手術だから激しい痛みはもちろんのこと、留守中のペットの世話を考えると、
寝台に横たわっていても、かなりつらい思いをしたことだろう。
入院中に旅先からお菓子を届けたが、たぶん好みではないようなお菓子だった。

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退院してからでも、暮らしが軌道に乗るまでが大変だと思う。
せめて気が晴れる様にと、花を贈ることにした。
花屋には山ほどの美しい花が並んでいたが、
あれこれ迷わずに決めたのはラナンキュラスだった。


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優しい色のオーガンジーを幾重にも重ねて作ったようなこの花を見ていると、
心が自然と和んでくる。
コロンとしたつぼみが、また特別にかわいらしい。


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注文していいる間に、
ふだん花を贈る機会は多いのに、私自身はあまりいただことは無いのに気がついた。
そうだ、私にもこれと同じ花を、私から贈ってみようかな・・・。
理由は「毎日、お疲れ様」とでもしておこう。

というわけで、
居間のテーブルの上では、
セイコさんから届いたラナンキュラスが微笑んでいる。

ほら ネ

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昨日は25度となり、夏を思わせる暑さだった。
こんな日があと1日あれば、西洋菩提樹の全身が若緑に変わる。

ところが夜半から冷え込んで、雨もかなり強かった。
さて、どうなっているだろうか。
おっとりカメラで、パシャ。

雨の朝、まだ薄暗い6時の状態は?
シルエットになっている枝の先端をよく見てほしい。


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写真が逆さなのではない。
樹の下から見上げた枝だ。


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これは横に張った枝を見上げたもの。
ほらネ。どちらも芽ぶきが始まっている。

暑い日が1日だけだったから、このように部分的になったと思われるが、
芽吹きが100パーセントになるのを待つ楽しみも、また一興。

芽ぶきの予感

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芽ぶきにもいろいろなタイプがある。

わが家のシンボルツリーの西洋菩提樹は、
もう間もなく、若々しいライムグリーンの葉を身にまとう。
これまでの経験から、20度を超えた日が2日も続くと、一斉に芽吹くのだ。

今日は暑くなりそうなので、もしかしたら・・・・。
記録として、撮影しておこう。

右隣の花が咲いている枝は、ネグンド楓の ”フラミンゴ”。
初々しい緑の枝は、ソメイヨシノ。

Spring has come

イギリスには、「3月の雨と4月の風が5月の花を持ってくる」という諺がある。

さて、日本ではどうだろうか。
3月28日のわが家の庭を振り返ってみよう。
比べ絵みるとあれから1か月もたたないのに、
隅々まで春がやって来たしるしがこんなにも多く刻まれている。


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庭の東西にビスタを通し、薔薇のアーチの中心にフォーカルポイントの妖精を。
ただしこれはコンセプトだけで、曲線を用いてカジュアルな感じに崩している。
ホームガーデンだもの楽しくしなければ・・・・


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マートルの樹の下が妖精の棲みか。

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去年のこぼれダネの勿忘草が庭をブルーに染めて・・・。
薔薇を引き立てるこの感じが気に入っている。
次の出番を待っているのは、おなじくこぼれダネで発芽したシノグロっサムだ。


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ブルーによくマッチする花を選ぶのは楽しい。
花が終わると宿根草はスリット鉢に植え替えるか露地に植えて、来年を待つ。


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居間から見える三角地帯はコンテナガーデンに。
今年はサクラソウの仲間を中心にコレクション。カラースキムはブルーを引き立てる色を配している。。


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並んだ、並んだ、かわいい花が・・・。

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隣の長男の家へ行く石段にも、クリーピング性の野草をさりげなく。
去年植えたベロニカが、大きな株に育った。
夏になると、オジギソウや松葉牡丹などの花で選手交代の予定。


白い花畑が語ること

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「ねぇ、あそこだけ真っ白なのはなぜかしら」と、私はつぶやいた。
ここは三浦半島の三崎にある野菜畑だ。

気持よく晴れた日曜日、庭仕事をしていたら妹夫妻がドライブに誘ってくれた。
いつものように湘南方面へということになり、
パステル画のような新緑の山や雑木林を眺めながら佐島へ行き。
浜から揚がったばかりの新鮮な魚を買った。
日曜なのに思いのほか道路が空いていたので、次は三崎へ行くことにした。

妹のリクエストで車を止めたのは、キャベツや大根などのなだらかな畑が続く場所で、
相模湾を挟んだ対岸は千葉県の木更津だ。
時おり車の走行音が聞こえるだけで、何んと静かな昼下がりだろう。
空のかなり高いところからひばりの鳴き声が聞こえてくる。

小学校の時に暗唱させられた、 R・ブラウニングの
「片岡に露みちて 揚げ雲雀なのりいで、蝸牛枝に這ひ、
神そらにしろしめす。すべて世は事も無し。」
にぴったりの光景ではないか。

「本当に真っ白ね。春そばの花にしては整然としすぎだし、マーガレットの花でもないし、もしかしたら種子取り専用のニンジンかなぁ。車で近くまで行けません?」と私。
「カ―・ナビに道は出ていないし、見たところ農道もないようだな。こりゃ無理だよ」と義弟。
 

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こうなってくると、どうしても知りたくなってきた。
妹も同様らしく、通りがかりの地元の人に聞いてみた。

「あぁ、あれは大根の花だよ。
あの家の長男坊の畑なんだが、あいつに不幸があって・・・・。
収穫する人がいなくなってしまったから、大根に花が咲いてもそのままなのだよ。
おれたちも見るのが辛くて・・・」

気をつけてみると、真っ白な畑は飛び飛びだが4か所ほどあった。
その中の1枚の畑は、収穫している途中だったのか、3分の1ほど花が咲いている。
よほど急な死だったのだろう。

白い花には、悲しみが詰まっていたのだった。
好奇心で開けてしまったパンドラの箱・・・・。
その畑を振り返るのが辛い。
しばらくの間私たちは前方だけを見ながら、帰途に就いた。

 ♪ 雪に歌えば ♪

目が覚めたら、天窓が曇っている。
「いえ、違うわ。何かがのっているけれど、いったいなぁに?」
まだ寝ぼけている意識を集中し、目を凝らしてヨーク見ると雪ではないか!

ひじょうに寒かったので、夜半から雨が雪に変わったらしい。

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あわてて飛び起き、庭に下りたらもう雪はあらかた消え、土のくぼみを白く染めている程度だ。

それにしても、昨日の雨は、ひどかった。
鉢物を避難させなくてはと思うほど、かなりのものだった。

右端に並んでいるガーデンオーリキュラはひさしの下に入る。
そのうえ、2段積みのレンガの上にのせてあるから、雨でダメージを受けることは少ない。
しかし、まだ小さな鉢や小さな花にはかわいそう・・・。
こんなこともあろうかと、激しい雨脚でハネが上がり、葉や花を汚さないように高い場所に置いた。、
それでも心配で、傘を差しかけておいたのが功を奏し、無事でよかった。
「雨に歌えば」のミュージカルで有名なジーン・ケリーも、
この雨傘の使い方にはびっくりするのではないだろうか。


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植物の世界は、実に面白い。
ハーブのカウスリップがきっかけとなって、以前からサクラソウの仲間に興味を持ち始めた。

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少しだけでも紹介しようと思ったが、急にこれから出かけることになった。
プリムラ類については、近日中にもっと詳しく記す予定だ。

北の国の花っこ

盛岡に住む花友達から、メール便が届いた。中には、
北の国の花っこという大判の雑誌が入っていた。

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「あらっ、この庭に見覚えがあるわ。そうそう、去年の夏に見学したヒロガーデンよ」
表紙の写真を見たとたん、懐かしさがこみあげてきた。

この雑誌は、表紙の隅にガーデニングとばらのことと書きこんでいるように、テーマがはっきりとしているのが、読者側ことってはこちよい。

ガーデニングといえば、実践は後回しでムード優先のほわほわした内容とか、
いわゆるパクリ記事が多い。
しかし、経験と美的センスを基にした知識を、
出し惜しみせずに公開した及川ひろ子さんのページがためになった。
例えば、耐寒性がある花として、開花期間が長くロマンチックな花のプルモナリアを紹介し、
老後に向けてのガーデニングでは、
各所になるほどと感心させられる場があり、たいへん参考になった。

また、伊藤幸男先生と漫画家の佐香厚子さんのコラボレーションで、
漫画による「つるバラの剪定」を取り上げたのが、とてもわかりやすかった。
木を植える話、クレマチスの話、ローズガーデン紹介などと盛りだくさんな内容の中で、私は
「ガーデンめぐりのマナーとエチケット」について記した。
これは、イギリスのガーデニングを身近な楽しみとして具現化し、
知る人ぞ知る、チャールス皇太子の師でもあったローズマリー・ヴェアリー夫人からお聞きしたものだ。

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圧巻は2010年の、公開庭園ガイドマップである。
これだけの個人庭園があり、園芸のレベルが高いのは、
岩手県の生活文化度がいかに高いか、を物語っているといえよう。
ばらの写真がさりげなく、あるいはこれでもかというほど、各所にちりばめられているのも、
ばらファンにとってはたまらない楽しみである。

問い合わせ先  http://buchi18.cool.ne.jp

★及川さんの庭については、2009年8月2日のブログをどうぞ。

★上の写真に添えた薔薇は、今年初めて開花したチャイナ系の濃淡。
濃い色は村田ばら園で求めたつる性の庚申薔薇。
薄い色は近所の農家に古く伝わる、「義姉さんからもらったばら」という名の、チャイナ系。
この辺りでは、同じ名字の家に必ずと言っていいほどこの薔薇が咲く。

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ど根性ローズマリーが開花

何年か前に、ど根性大根が大流行した年があった。
悪条件に耐えて日に日に生長してゆく姿に、人々は大感激したが、
身近なところにも似たような例があった。・

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わが家の隣の擁壁に身を寄せて、空中で育っているのはローズマリーだ。

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誰もこんな場所に苗を植え付ける人はいない。それに植え付けること自体がかなり難しい。
それなら、風で飛んできた種子がこのコンクリートのくぼみに着地して、
幸運にも育ったものと考えられる。

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夜でもコンクリートの温度が下がらない焦熱地獄のような夏場、
冬は冷え切ったまま温度が上がらない冷蔵庫のような寝床で、
いったいどうして過ごしたのだろうか。
水を上げたことも肥料を施したこともないのに、じっくりと伸びて、
1週間ほど前に、初めての花が咲いた。
青みを帯びたパープルの中に、
かすかに薔薇色が潜んでいるロマンチックな花の色から推測すると、
近くに植えてあるマリンブルーとマジョルカピンクが両親ではないだろうか。
香りは、凛とした気品のあるグリ-ンノートだ。

挿し木で増やすときは、「ヴィオラヒル」という名前はどうだろう。
この町の住所が「すみれが丘」だからだ。


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この根張りを見ると、植物の生命力の強さが伝わってくる。
誰に教わったわけでもないのに、
根をコンクリートの割れ目の中に延ばして、水分を吸い上げているのだろう。

コンクリートの中の石灰分が、ローズマリーの故郷の土と似ているのかもしれない。

がんばってね、ど根性ローズマリー!

続 ・ 郡上の春の村祭り

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生バンドというか、ライブの演奏にのって、少年はささらの音で獅子をおびき寄せるかと思えば、
獅子頭の大きな口に噛まれぬように、ひらりひらりと身をかわす。

一方、獅子の側としてはたまったものではない。
大きな布の下には6人の男たちがいるのだが、外が見えるのは、先頭の獅子頭を持つ男だけだ。
目立たないようにあけた獅子の頭の上の小さな穴から、見えるしかけになっているものの、
後の5人は勘を頼りに右往左往するのだから、こけそうになったり、足袋が脱げかけたりして、つらそうだ。

これが10番を超えると、少年も獅子頭組も足元がおぼつかないようになってきた。
家内安全、五穀豊穣を願う神楽奉納もなかなか大変なものだ。

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ようやく、神楽の奉納が終わった。
神前で舞いを舞ったのか装束を着た少女たちや、ふえてきた参拝の人々はどうやら何かを待っている。


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人々がぞろぞろと移動したのは、満開の桜の下に設けられた台の前で、
間もなく「餅まき」が始まった。
しかも餅には、家庭用品が当たる券が付いていて、張り切って拾う元気なおばさんが多い。
ぼやぼやしている私に、にこにこしながら
「奥さん、よかったらどうぞ」と、せっかく拾った餅を下さる方がいて、4個も集まってしまった。

隣のお年寄りの話では、
郡上の町ではこうした集落ごとの村祭りは100年も前から続いていて、
一家の当主は、正装で必ず出席することになっているという。

さまざまな配役や準備、進行、後片付けも皆で行い、
先輩が後輩に教えていくうちに、自然にコミニュテイができるのだそうだ。
特に今は、新しく土地を買って家を建てた人が多い。
新参者などと言わずに、こうした祭りを一緒に行っていると、
自然にこの土地を守りたくなってくるものだと、語る。

「奥さんが、可愛いわ、頭がよさそうな子ねぇと褒めてくれた孫は、小学2年生で名前はリョウタ。
爺さん思いのいい子だよ」

通りすがりに立ち寄った村祭りで、私は何とも言えない暖かいものをいただいた。
ありがとう、仲間に入れてくださった皆さん。

郡上の春の村祭り

「明日の朝早くから撮影に行くけど、一緒に出かけられるかな。
今年はまだ桜が咲いていてきっときれいだと思うよ」
夫のスケジュールは突然に決まったり、変わったりする。
特にアウトドアで撮影をする夫のようなカメラマンは天候に左右されるので、
今回も中止かもしれないという思いが、心の隅にあった。

ところが今回は、珍しく予定通り早朝に家を出発。
東名高速で名古屋を過ぎ、岐阜県の明知線で撮影をしたのち多治見のホテルに1泊。
翌朝も早朝出発で、長良川鉄道を撮影。

夫の仕事中、私は何をしていたかというと、ひたすら桜を見ていたということになる。
車窓から見える山々や高速道路の法面、家々の植え込み、川の堤防、小学校や役場、工場の周囲など、
行く先々に桜の花が咲いていない所はない。

「あれっ、ほら、お祭りみたいよ」


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住宅地に接した畑の中に、墨痕も鮮やかに「神明神社」と大書した幟がはためき、
子供たちの楽しげな声が聞こえてくる。


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杉の木立で囲まれた境内には、社殿と小石を敷き詰めた広場があり、
社殿では神主が祝詞を奏上しているところだった。
驚いたことに、氏子たちは全員黒の紋付に袴という正装で、白足袋がまぶしい。
社殿の脇には舞いの衣装をつけた男の子たちが、祝詞の終わるのをうんざりとして表情で待っている。

「長い祝詞だなぁ。ねんごろに祈ってくれてるんださ」
隣のお年寄りが、つぶやいた。


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祝詞奏上がようやく終り、いよいよ男の子の出番だ。
お父さんも励ましに近寄ってきたが、照れ隠しに花傘の紐を結び直してやっていた。


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「神明様のお祭りはこの春の大祭だけだ。神主様は隣から来てもらうんじゃが、
氏子の各家庭から男子ひとりを必ず出すことになっている。
今日は孫がこれから神楽に出るので、嬉しくて仕方がないんじゃよ」
先ほどのお年寄りが話しかけてきた。
その時、悠長な笛の音が響き、神楽の開始を告げた。
贅沢なことに、太鼓2名、鼓2名、笛5名の編成で、まさにライブ演奏である。
最初はみんな素人だったが、猛特訓を受けて出来るようになった人ばかりだそうな。


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ステージ上には、大きな布に獅子頭を着けた6人組のお獅子と、少年一人がいる。
少年は手にした竹製のささらを、竹の棒にぶつけるように力強くこすり、実にいやな音をたてる。
さぁ、この次はどうなるか。お楽しみに。

                      (続く)

一瞬の夕映え

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今年は花冷えがきついうえに、天気がすぐれない。
今日も空は灰色で、寒々としていた。
このまま暮れてしまうのだろうか、
散水機のホースを片づけながら、もの寂しさを感じていた。

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その時、目の前が急に明るくなった。
西の空へ沈みかけた太陽が、最後の力をふりしぼって、
桜のために照明ををつとめてくれたような気がした。


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夜の帳が降りる前に、
春の女神の佐保姫様のお出ましがあってもおかしくないほどの、
なんと見事な舞台装置だろう・・・。
わが家の庭は、まさしくSS席だ。

往く春の、一瞬の夕映えに、私は思わず手を合わせていた。

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