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香気に満ちたエルブ・ド・プロヴァンス

玄関のチャイムが鳴った。
ドアを開ける前から、爽やかな強い香気が漂っている。

宅急便の配達人も四角い箱を手渡しながら、
「いい匂いで車の中がぷんぷんとしてますよ。何でしょうかね」
と興味津々といった顔つきだ。

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すぐに思い当たったのは、京都のR子さんがパリから帰国なさったこと。
なぜなら、これは Herbes de Provense (エルブ・ド・プロヴァンス)の香りだからだ。

先日、お会いした時に、「もうすぐ、友達とパリに行くのよ」と語った彼女の言葉に、
思わずおねだりしてしまったのが、この複合調味料だった。

「プロヴァンス地方の香草」という名前のとおり、
陽光きらめく南フランスの丘陵地帯で育ったハーブたちは、
ひじょうにシャープな香りと風味を秘めている。
なにしろ夏の間はほとんど雨が降らないので、香気が高まるのだろう。

日本茶にも新茶があるように、エルブ・ド・プロヴァンスにも新ものがあると聞いた。
夏に収穫し、乾燥して細かく砕いた数種類のハーブをブレンドした袋詰めが、
ちょうど秋に出回るという。
R子さんのおかげで、今年も新ものが手に入って、嬉しい。

ブレンドされている主なハーブは、ロマラン(ローズマリー)、 タン(タイム)、 ソージュ(セイジ)、
サリエット(ウインタ-セボリー)、 バジリック(バジjル)などで、
市販のものはメーカーや、その年の天候などによっても、風味が異なるのだそうだ。
これをほんの一つまみ、シチュウやポトフに加えたり、
ハンバーグやバーベキューの下味付けとか、ソースに使うと、
レストランの味に近くなるのは、不思議なものだ。
また、ポークや子羊のブロックに塩とともにまぶしつけてオーヴンで焼けば、
それはそれは豪華なメインデッシュになる。

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感激したのは、ヒナゲシとラベンダーが咲き競う、南仏の田園風景が描かれたアルミの缶に、
パリの老舗のエディアールのもの、2種類のハーブ塩に、サントン人形など、
すべてプロヴァンスにゆかりのあるものが詰められていたことだった。
特に小指の先ほどのサイズで、一体一体に彩色した陶製の素朴なサントン人形を見たとたん、プロヴァンスのハーブ農場で研修をした日々を思い出し、なつかしさで胸がいっぱいになった。
この地方では、クリスマスの前後に各家庭でイエス降誕の聖劇を再現する慣わしがある。
その時に使うのがこの人形だ。
また、エピファニー(公顕祭)に欠かせない、ガレット・デ・ロワという王冠の形をしたケーキの中に、1個だけ入れておき、当たった人に幸せが訪れるという。
私は3軒の家によばれたが、3箇所とも大当たりで、笑ってしまったことも思い出した。

さぁ、このエルブ・プロバンスで今夜は何を作ろうかな・・・・・。


「おどろき」の運命

ブログ用に撮影をしておいた写真が、アップするタイミングを逸してしまうことがある。
この「おどろき」という桃も、ストック箱に入っていた。

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前にも記したが、桃の好みについて聞くと、
大部分の人は「桃は柔らかで皮がペロンと剥けるものでなくちゃ」派で、
「硬くてパリつとした果肉で、皮つきのまま食べたい」派はごく少数だ。
私は後者で、幼い頃に食べた「おおくぼ」へのノスタルジーによるものだと思っている。

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「おどろき」の特徴は、ジャンボサイズ。卵の大きさから推測してみてほしい。
硬くて甘い薔薇色の果肉も、もう最高!!!
8月末頃から9月に掛けて食べごろの晩生で、山形、福島、長野あたりが主な産地のようだ。

私は山梨の友人から送ってもらっていたが、
来年はどうなることやら・・・・・・。
というのは、友人がボランテアで縁もゆかりもない年老いた園主を助けて、
剪定や消毒、袋かけ、収穫,に発送まで手伝っていたのに、
園主が認知症を患い始めた。
日に日に悪くなっているらしく、この前はどろぼう扱いをされたという。
果たして、来年の「おどろき」はどうなっているだろうか。

考えてみると、「おどろき」のことばかりではない。
これは日本の農業全般に、そっくり当てはまることといえよう。
いつも後手後手になるいいかげんな農政、確たるビジョンのない農政、
先が読めない農業だから後継者が育たない。
きちんと食事をせず、甘やかされて育ち、
体を使ったことのない若者ばかりが増えている昨今、
日本の将来はあやうい、


*桃を載せたバスケットは私がいたずらをしたもの。

唐辛子のお嫁入り

のろのろ台風の20号がやっと高気圧に変わってくれたと思ったら、
またまた21号が南方で発生したとか・・・・。
この頃はおかしなことが多い。
10月も終わりというのに、まだ台風が来るのはイレギュラーだし、
花屋には、9月からパンジーやワスレナグサの開花株が並んでいた。
びっくりしたのは、ダリアの苗を先週見かけたことだ。
一体どうなってしまったのだろう。

今年は、庭のリニューアルが終わらないうちに夏になってしまった。
そのうえ、腰痛でドクターストップがかかったために、
あまり庭の世話ができなかったことが、残念でならない。
それでも元気にたくさんの果実をつけて、秋の庭を彩っているのは、唐辛子たちだ。
暖冬のおかげか、無加温のガラスハウスで生き延びたのは、30品種余り・・・・。
収穫しても二人暮らしの我が家では、使いきれない。
そこで、今年も唐辛子のお嫁入りの支度にいそいそとしている私だ。

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嫁ぎ先は、絵描きさん、辛いものが大好きな友人、唐辛子マニア、 料理家、理科の先生etc.
せっかくだからちょっとおめかしなどをして、送り出している。
例えば、今年はこんな感じ。
小さな仕切りの入った3段重ねの箱に、宝石のようにセットしてみた。
この頃は、唐辛子の大きさに合わせて、カルトナージュのテクニックで箱を作ることも多い。

興味がある方は、これまでのアーカイブスの10~12月あたりを検索してくださると、
自分で編んだ小さなバスケットに詰めたものや、唐辛子の首飾り、
唐辛子料理とパーテイなどが出てくるはずだ。

唐辛子の紹介は、この次に。

ヒーロー 凱旋す

朝食を終えた頃、孫息子が庭のほうからやって来た。

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土曜日に韓国へサッカーの試合に行ったと思ったら、
昨夜大雨の中を、無事帰国した。


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何と首には、金ぴかの大きなメダルを下げているではないか。
「チョコレートの金メダル?」と聞くと、
「ノーノー、本物だよ。僕たち優勝したの」と、得意顔。
オリンピック選手のように、かじって見せてくれた。
掌にのせてみると、ずっしりと重い。
かたわらのママも、誇らしげで嬉しそうだ。
あの氷川神社の霊験あらたかなお守りも、加勢してくれたのかも・・・・・。
(*10月24日のブログに関連記事)

チームに入って初めての試合が海外遠征で、しかも優勝!!!
勝ち抜き戦で、4戦4勝だったとのこと。
この試合は今夜韓国のテレビで、放映されるそうだ。

「ところで、豚のカルビ焼き2人前はどうだった?」
「うーん、量が多くて食べきれなかった」
「何が美味しかった?」
「韓国焼きのり」

欲がなくてかわいいヒーローに、拍手!!!

どうか、スポーツによるこうした国際親善で、
いつまでも世界が平和でありますように・・・・・。

気をつけて、いってらっしゃい!

木曜日は、悩んでしまった。

というのは、横浜F・マリノスのスペシャルクラスに入っている小学3年生の孫息子が、
韓国へサッカーの試合に遠征するのだ。
出発は土曜日の24日。祖母として何かしてあげたいけれど、何がいいのかわからない。

「9歳の子供にお餞別というのもおかしいし,
気持ちを表すのには一体何がいいのかしら」
堂々巡りをしているよりも、伝えたいことを要約してみると、
「試合ではベストを尽くして、がんばってね。
事故やインフルエンザ等に遭わないように祈っているわ」ということになる。

そうだ、お守りはどうかしら。
ちょうど、金曜日に大宮へ行く用事があるので、終わってから
氷川神社からお守りを授かることにすればよい。

この神社は2400年の歴史があり武蔵野国では大変格式の高いことでも知られている。
ケアキ並木の長~い参道を通り、神殿でお賽銭を奮発。
お願い事のお祈りをし、巫女さんからお守りをいただいた。
金色とブルーの綾織りのお守りは、
3日間でも、孫の安全を約束してくれそうな気がした。
帰宅後、お守りを渡しに隣の家へ。
「ばあ婆、ありがとう。この中に何が入っているのかな」
などと中を見たがる孫をたしなめながらも、
3人の息子たちがスポーツで、心身ともに大事なことを身につけたことを思い出していた。

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けさは、夫の運転で地下鉄まで送っていった。
9時に横浜駅のリムジン乗り場に集合とのことだから、今頃何をしているだろうか。
コーチから渡されたスケジュール表には、メニューのことまで詳しく出ている。
「どれどれ、今晩の献立は?
マァ、豚のカルビ焼きを一人2人前ですって・・・」

お守りの霊験あらたかなことを信じつつ、
「行ってらっしゃい!」


秋色の吹き寄せ

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今日は24節季のうちの「霜降」。
これは、初めて霜が降りることを言うが、温暖化のせいか昨年の初霜がいつだったか覚えていないぐらいだ。
庭の様子は、
霜よりもこの前の台風18号でダメージを受けた傷跡がまだ癒えないせいか、
どことなくぱっとしない。

そのなかでも、鮮やかなトロピカル色が際立っているのは、唐辛子の一角だ。
エナメルのような照りのある果皮にユニークな形・・・・・、辛さの度合いもいろいろで、
並べてみるのが楽しくてならない。

日本古来の文様に、「吹き寄せ」がある。
花や葉が風に吹かれて、入り混じった文様を指すが、
こうして唐辛子の吹き寄せを眺めていると、絵を描いたり、
生地に美しくプリントしてみたいと思う。
Ⅰ年をかけて、たくさんの種類を育てているのは、
この吹き寄せ遊びを、楽しみたいからなのかもしれない。

今日の日経新聞文化欄には・・・・

日経新聞の文化欄といえば、各界で活躍し、
国の内外を問わず、文化に貢献している人が登場する。
今日はこの長らく続いている有名なページに、夫の広田尚敬が、文を寄せている。

「鉄道撮り続け どこまでも」がタイトル、
*車両に加え車内の人も撮影して60年、時代の空気とらえる*
がサブタイトルだ。

幼い頃、母の背に追われて見た路面電車へのノスタルジィ^。
模型作りのディテールを得るために写真の道へ、
小遣いをやりくりしてフィルム代にした学生時代、
サラリーマンを1年だけ経験してフリーのカメラマンに・・・・・。
それからの活躍ぶりは、まさに男の花道といいたい所だ。
まもなく74歳を迎えるとは思えないほどの、エネルギッシュな作家活動が続いている。

数えてみれば、彼がカメラマンとして仕事をスタートしてから、60年の月日が流れた。
これを記念し、今年と来年で7~8冊の出版物を刊行することが決まっている。
第一弾として,小学館から9月に出版したのが「Fの時代」だ。
Fとは、すなわちニコンFのこと。
このカメラで切り取った、SLの白と黒の世界が、素晴らしい。

身内のことを褒めることは、日本ではマナー違反である。
それでも私は一ファンとして、ここに記してしまった。

あっ、そうそう、今夜10時からNHK教育テレビの「趣味悠々」のオンエアーがある。
「デジタルカメラで撮るローカル線の旅」の第8回目は、磐越西線が撮影地だ。
昼の再放送をすっかり忘れて、外出してしまったが、
テレビに紙でも張って、必ず見るとしよう・・・・・。
彼は夫であり、運命共同体だから。


トルコ土産をお福分け

トルコへワイルドフラワーを見に行ったすぐ下の妹から、
市場で求めてきたドライフルーツが届いたのは、夏服の頃だった。
パソコンの調子が悪くてアップしそびれていたが、とても美味しかったのでお福分けを。

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世界3大美食といえば、フランス、中国、それにトルコということになっている。
私はまだトルコへ行った事はないが、イスラエルのエルサレムで、
「あの建物はオスマントルコの頃のものだよ」と教えられたことがあった。
植物学者のガイドが指差すほうを見ると、赤と白の石を横縞のように積んだ建物が目に入った。
14世紀から20世紀にかけて中近東からロシア、東欧の近くまで支配したオスマン帝国の支配力の片鱗を垣間見たような気がしたが、
さまざまな民族の文化がミックスしているトルコの料理は、誰に聞いても美味だという。
バラエテイに富んだ素材の良さがその要因なのは、市場で求めたこのドライフルーツからでも伝わってくる。


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ふっくらと柔らかく干したイチジク。紀元前から栽培されていたというイチジクは、プロヴァンスに残るクリスマスの13種のお供えにも入っていた。


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左はたしかトルコ語でフンドクだったと思うが、生のハシバミ(英語でヘイゼルナッツ)。
この皮を剥く専用の道具があるのも、料理をはじめ、おやつなどにもよく使うからだろう。
早速皮に傷をつけて植えてみたが、まだ芽は出ていない。
右はナツメ? 聞いたはずなのに、忘れてしまった。

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ギリシャのオリーブも素晴らしかったが、さすがにトルコのリーブは絶品!!

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干し杏のなつかしい味にしばしうっとり・・・・。酸味と甘味のほどよいバランス。

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濃厚な蜂蜜の甘さを誇るデーツ(ナツメヤシ)。
イスラエルのホテルで、冷たく冷やした新鮮なナツメヤシのウエルカムサービスを受けたことがあった。疲れも取れ、生き返る心地がしたことも鮮明に覚えている。

ネルとフラノ

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初めて入った喫茶店は、妙に天井が高くて、音楽もない殺風景な雰囲気だった。
何か読むものがあれば時間もつぶせるのに、今日は小さなバッグにしたので何もない。

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仕方なしに室内を眺めていたら、壁にかけられた絵といおうかポスター(?)に、目が止まった。
それはコーヒーを淹れている図で、細かい泡が美しい。
コーヒーフィルターの足元に、Nel drip coffee と書き文字が斜めに入っている。

父もコーヒーに凝っていたので、ドリップ式が一番だと常日頃語っていた。
何故かというと、ネルという木綿は繊維が長い。
だから、こまかく挽いた珈琲豆をネルのフィルターに入れて熱湯を注ぐと、時間をかけて
美味しさを抽出することができるのだという。
それよりも、私は nel というスペルがあるのに驚いていた。
格子柄のネルシャツ、子供の頃着ていたネルのパジャマ、映画で見たネルの紅い腰巻・・・・。
なぜか合羽やカステラなどのように、オランダ語から日本語になった言葉か、あるいはどこかの方言などと軽く考えていたからである。


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帰宅するなり、すぐに調べてみた。
何とネルとは、英語だった。羊毛で織った flannel (フランネル)に似せて、木綿の織物を毛羽立たせた布地をネルというとある。
そして、ブレザーコートやスーツ、ズボンなどに使われているフラノ(Flannel)は、同じスペルでも耳で聞いた発音からの派生語で、羊毛のしっかりした織りを指す。

フランネルつながりで、これはフランネルソウ。
花弁や茎葉にうっすらと生えている産毛がフランネルの感触に似ているからつけられた名前に違いない。
第一印象ではキク科だとにらんだが、参考書にはセリ科とある。
本当かなぁ。


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洗面所に飾ってもうだいぶ経つフランネルソウ。
このまま行けば素敵なドライになりそうな感じだ。

バナナのその後

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10月8日に記したように、先週の台風18号で、バナナの樹が途中から折れてしまった。
直径15センチはありそうな幹だから、さぞかし伐るのは大変だと思い、
よく切れるノコギリや、大きなカッター、た限りバサミなどで整枝の体勢にはいったが、
拍子抜けするほど柔らかで、まるで草を刈っている感じなのには驚いた。

驚いたのはまだある。
最初はタマネギの切り口みたいだったのに、
じわ~んと、ゼリー状のドロンとしたものが湧き出ている。

何か味はあるのか。粘着性は?  
好奇心に駆られて、指につけたゼリーをなめてみると無色無臭で、粘り気はゼロだった。

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翌日、さらに驚いたのは、
バナナの芯が倭蝋燭のようなかたちに伸びているではないか。
2日目で約10~13センチは育っている。

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これが5日目。相変らずどろんとした水は出続けている。
人間なら出血多量で命が危うくなるのに、バナナは大丈夫なのだろうか。

チョコレート色のトウガラシ

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コロンブスが胡椒と間違えて、新大陸からヨーロッパへ持ち帰った唐辛子は、
わずか100年の間に世界中に広まり、
今や最も多くの人々が使っているハーブといわれている。

10月はトウガラシの収穫月。
我が家の庭で育った、ユニークなトウガラシを順に紹介していこう。

まず、ハンサムな Pasilla( パシージャ)を見てほしい。
上の写真にチョコレート色のトウガラシが横たわっているが、ほぼ実物大だ。
このメキシコうまれのパシージャは、
五弁の白い花が落ちた時から、変わった緑色の果実を結び、
成熟するにつれて、黒味を帯びたエメラルド色に変わる。


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唐辛子の色は、
生育期間中は緑色、成熟するとその大部分が橙や赤い色に変化するのが一般的だ。
ところが、パシージャは赤くならずに、つやつやとしたチョコレート色になるから面白い。
長さは15~18cm、直径2~3cmの大きめのサイズで、
色も形もハンサムなトウガラシだ。
メキシコではドライにして保存するようで、別名を 'Little Raisin' という。
しわしわになった焦げ茶色の表皮が、干し葡萄によく似ているからだ。

辛さが一番気になるところだが、中辛ぐらいかな。
もちろん、辛さが極端に激しい部位の、タネと胎座(わた)を除いての、ことだ。
「モレ」というソースには欠かせないようだが、
レシピを見ただけでも唐辛子が数種に材料が多くて、頭がくらくらする。
一度ぜひ南米を訪れて、味わってみたいものだ。

嵐が去ったその後は


昨夜は激しい雨音に、何度も目を覚ました。
ベッドのちょうど真上に天窓があるので、
月の光が射し込めばロマンティックなのに、
大型台風の雨粒はガラスを打ち破りそうで、じつに恐ろしかった。

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朝、カーテンを開けると、なぜか庭い。
台風の暴れた庭を一目見ただけで、その訳が分かった。
今までバナナの樹があったところがストーンとぬけて、道路の向こう側の小学校が見える。
樹高3メートルをとうに超したバナナの幹は、、地際から70センチほどの地点で折れていた。
下敷きになっている草花類はぺちゃんこになっているにちがいない。
あぁ、秋の薔薇がせっかく咲きそうなのに、折れている。
ニコチアナもバジルもつぶれている。
台風が去ったら、挿し木をしなくては・・・・。

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午前中の強い風は、突発的に吹き荒れ、
マカダミアンナッツとスパニッシュブルームの太い枝を引き裂いた。
下敷きになったハーブと草花が、さぞかし驚いたに違いない。
中でも一番私ががっかりしたのは、咲き始めたばかりのマユハケオモトの花に、
マカダミアンナッツの枝が直撃し、花を駄目にしてしまった。

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風が落ち着いたところで、隣家の久美さん(長男の妻)が後片付けに来てくれた。
バナナの太い幹はサトイモの茎を切るのに似て、水っぽい。
葉も茎もノコギリなど要らずに、鋏で処理できるのには驚いた。
「バナナの葉で、トロピカル料理をしようね」
などどいいながら、この幹がどのような回復をしていくのか観察できるのが、楽しみでならない


我が家はこの程度の被害で済んだが、自然の威力には太刀打ちできない。
日本列島を縦断した今回の台風18号の爪痕は、至る所に残された。
我が家なんて、たいした被害ではない。
収穫を目前に控えた東北の果樹園で、
散乱したリンゴを土に埋めている映像を見ていると、こちらまで切なくなってしまう。
山崩れや濁流に飲まれて家を失った人々の表情を見ていると、じつに辛い。
何とかしてあげられないものか。
貧者の一灯で、
わずかだが義捐金を送りたいと思っている。

ところで、この植物は正確にいうとバショウだと思う。
バショウ科に属し、学名を Musa basjoo、英名はJapanese fiber banana という。
だから、バナナといってもあながち間違いではないという人もいるらしい。
バナナとよく似た果実もなるが、食用にはならないとか。

ちなみに、松尾芭蕉の俳号がこのバショウである。

神秘的なチュベローズ(月下香)

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秋の彼岸を過ぎて、日脚が短くなってきた。
台風接近の影響もあるのか、今日などはカーディガンを羽織りたくなる肌寒さだ。

しかし、チュベローズの花は、日が翳る頃から夜にかけて特に強く香るので、
今夜もコートを着て庭に出た。

英名でtuberoseというこの花は,漢字で月下香と書く。
幸運にも、中秋の名月と十六夜には、
月が天空にかかった真夜中に、
極上の香を焚いたような花の香りを聞くことができた。

この花をはじめて知ったのは、
20数年ほど前に、インドのムンバイ(昔のボンベイ)を訪れた時のことだった。
ちょうどモンスーンの前に当たる2月は、日本の5月のGWのような爽やかな気候で、
トロピカルな花と緑が輝いていた。
街角には花売りの屋台が出て、レモングラスやキンマの葉、お供え用のレイ、などとともにこのチュベローズの束も積まれていた。
1ダースがいくらか忘れてしまったが、高価だったという記憶はない。

まっすぐな茎に乳白色の花弁が数段もつき、
下から咲き上がっていくチュベローズは神秘的な香りと、ゴージャスな雰囲気が素晴らしい。
お世話になった方の家にお礼として届けたり、訪問先へお土産にお持ちしたことがなつかしい。
この花で特に思い出すのは、滞在中に知り合った日本女性のSAKIKO さんだ。
バレリーナの彼女は今、どうしていらっしゃるだろうか。
バレェの勉強をするためにインドへ来ているとのことで、ひたむきな生き方に感銘を受けた。
その後東京での公演に招待され、2度ほど伺ったまま、時が過ぎてしまった。

日本へは江戸時代に渡来し、ジャガタラスイセンとよばれたという花・・・・。
色白でほっそりとしたスタイルながら、芯の強さを秘めたSAKIKOさん。、
チュベローズと彼女の踊る姿が重なって、なつかしい思い出にひたった夜だった。

ダニエルさんからの花束に思うこと

昨夜、夫は日付が変わったころに、上機嫌で帰宅した。
今夜は品川のキャノン本社で、ちょっと変わった形式のパーティがあったが、
ニコニコしながら上着を脱いでいるのは、うまくいった証拠なのだろう。

パーティの前半は、夫の写真家活動60周年を記念した立食のパーティで、関係者や友人、知人にファンも加わって、盛会だったという。
後半は、「鉄道写真バトル」と題して、夫・広田尚敬に7人の若手写真家が挑む!という企画だ。
広田 VS 挑戦者の対談あり、撮影現場ルポのほか盛りだくさんの内容だった。

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毎週木曜日にNHKテレビの「趣味悠々」で講師をつとめているが、
このブーケは、生徒役のダニエル・カールさんからいただいた。
真紅の薔薇にヒペリカムを添え、
ルビン・バジルの濃厚な香りでさらにバージョンアップした花束は、
チョコレート色でラッピングしたおしゃれな雰囲気だ。


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ありがたいことに、夫はこれまでの活動を記念して、
今年中に4冊、来年は3冊の写真集を出版する予定だ。
その第1冊目、「Fの時代」が、小学館より出版された。
このFというのは、ニコンF で撮影したことを意味し、オールモノクロの作品集だ。
SL全盛時代を鮮やかに切り取っている、白と黒の世界のすばらしさに、
今あらためて魅せられている。

よい仕事には健康が一番だ。
健康管理を受け持つ私としては、
たいへんな役だが、何とか支えたいと願っている。


斑入りのバジル

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歩いて5分もかからない所に、大きなホームセンターがある。
一階の広場が園芸関係の苗や肥料の売り場なので、
買い物を終えても、しばらくうろうろしている。

9月の初めなのに、花つきのパンジーやシクラメンが並んでいた時には、驚いてしまった。
「珍しがられるうちが売り時」とばかり、
競争のように毎年苗を店頭に出す日が早くなっている。

これとは反対に、地球温暖化を見越して耐寒性のないものでも店頭に並ぶことがある。
今までだったら、バジルの苗を9月末に売り出すことはなかったように思う。

11月に初霜が来ていたときだったら、10~11月と短い期間しか利用できなかっただろう。
しかし、住まいのある横浜では、数年前から霜が降りるのも、霜柱もほとんど無くなってしまった。
今から40数年前、渋谷区に住んでいた時は、
洗ったおむつを干している間にバリバリと凍ってしまう寒さで、
おむつを輪にして床に置くと、輪ッかのままで立っていたほどの寒さだったのに・・・・。

うろうろしていたおかげか、今日は珍しい「デイープアロマ」というバジルの苗を見つけた。
グレイがかった緑の葉に白い斑が入っている。
そっと撫でてみると思いのほか強い芳香だ。
熱を加えると色が飛んでしまうので、
サラダに混ぜたり、イタリアンのあしらいや、トッピングに使うと会話が弾むに違いない。

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春に植えたバジルは8月に切り戻しをした。
大きなバスケットに使いきれないほどの収穫だったので、ピストゥをたくさん作り、
プレゼントをしては喜ばれている。

写真のバジルは6月の末に挿し木をし、7月に植えたもので、こんなに元気だ。
切り戻しをした株から切ったりものと比べると、葉の柔らかさもまるでちがう。
それまで慣れっこになっていた古い親株と違い、じつに新鮮なフレーバーの葉に
あらためて感激をした。

来年からは、少しずつ植え時をずらしてみようと、思っている。

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