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アート&クラフト 展へ

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上野の東京都美術館で、
1月から始まったアーツ&クラフツ展。
「最終日は4月5日だから、まだまだ日にちはたっぷりたっぷり・・・・」
などといっているうちに、もうすぐ4月だ。
ぼやぼやしていると、逃してしまうことになりかねない。
というわけで、27日は朝の6時半に家を出発。
会場の近くで朝食をとり、9時開場とともに館内へ。

産業革命後のイギリスでは、画一的な製品の製造や粗悪な商品があふれ始めた。
こうした風潮に対し、「生活の中に芸術を」と、
ウイリアム・モリスを中心とする若き芸術家たちが興した新しい波を、Art & Craft 運動という。
ラファエル前派やアールヌーボーなどの、芸術史に残る美術様式もこの時期に生まれている。


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会場には、ロイヤルアルバート美術館から運ばれた数多くの作品が展示され、
その範囲は絵画だけではなく、家具から食器、壁紙、タピストリー、衣服、刺繍、アクセサリー、ステンドグラス、本の装丁、カリギュラフィなどなど多岐にわたる。
作品を鑑賞しているうちに、当時の教養ある人々が、より質の高い暮らしへと目覚め、望んでいた思いも伝わってくる。

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静かな会場の中で、人だかりがしていたのは、ウイリアム・モリスが1883年にデザイン
した、Strawberry Thief の壁紙の前だった。
「いちごどろぼう」の和訳がうけたのか、
2羽の鶫がワイルドストロベリーをついばんでいるアールヌーボースタイルの意匠には、
日本にも多くのファンがいる。
というのは、リバティプリントの定番柄として、長い間愛されてきたからではないだろうか。
かく言う私も、ネイビーブルーのシャツとチュニックを持っている。

会場には、アーツ&クラフツ運動の影響を受けた、
日本の民芸運動の流れも展示してあった。
海のかなたの芸術家たちが行き交い
アートの新しい命を育み育てた時代を垣間見ることができた。
まさに「早起きは三文の得」。
そして、美しいものを見て「命の洗濯」ができた日だった。

最終日は4月5日。お忘れなく。

* 31日から4月3日まで、東北地方へ出かけてきます。
  お土産話をお楽しみに。

めでためでたの散らし寿司

朝10時、隣の新居へファミリーが越してきた。
運送屋が込み合っていて予約が取れなかったため、家財道具は10日ということになり、
まずはある道具でくらすことになったらしい。

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「最初の夜はジイジの味付けですき焼きだ」と長男は決めていたが、
どたばたで時間ばかりが過ぎてゆく。
そこで急遽、バアバの出番で晩御飯担当に。

できましたものは、
冷めてもおいしく、人数の増減に対応できる、総合栄養食の散らし寿司。
写真はあまり美味しくなさそうだが、
シラス入りの寿司飯の上に3センチほどの具がのっているのだ。
にんじん、ごぼう、たけのこ、しいたけ、しらたき、あなご、あぶらげ、しめさば、かにかま、えび、いんげん、たまご焼き、のりの14種類。
電気釜で2回炊いただけのことはあって、大好評だった。

メーンディッシュは、ハワイのレッドソルトだけで味付けしたローストポークと、
まるごとベイクドポテトをたっぷり。
お漬物は春キャベツときゅうりの即席漬けと、ひね沢庵。

ワインはイタリアのこっくりとした赤と、マスカットの香りがさわやかな白。

紅白の酒で引越しの宵はふけていきました。
めでたしめでたし。

三代目のプリムローズ

ここ2~3日、花冷えで寒い日が続いている。
咲いている庭の草花のアイテムも、ほとんど変わっていない。
それでも例の花遊びをしたくて、はさみを手に庭に出た。


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花の輪を形作りながら、外周に添えた黄色いプリムローズで手が止まった。
この花は、私で3代目になる古い株だ。
父の生家の円通寺へ母が嫁いだとき、すでにこの花は庫裏の庭で咲いていたという。
おそらく私の祖母のお万様が植えたのに違いない。

春が来るとこの花が咲くのは当たり前だと思っていたのに、
進学や就職のために東京で暮らすようになってからは、
植木鉢を置く場所も時間的なゆとりもなかった。

結婚して住んだアパートの、庭の片隅に真っ先に植えたのは、
実家からもらってきたプリムローズの苗だった。
その後、引っ越すたびに持ち運び、終の棲家の今の家で毎年春を知らせてくれている。


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隣の長男の家は明日、引渡しということで、職人さんたちが最後の仕上げに余念がない。
工事jが落ち着いたら、私の庭のリニューアルに入る予定だが、
どうもなぜかアイデアが浮かんでこない。
敷地が半分になったために、
ポットに上げておいた前の庭の分を植えるとなると2倍の植物数になり、
どう考えてもおさまりがつかない。
整理して、不要なものを捨てれば解決することは重々承知しているが、
こぼれ種で発芽していた花やハーブをポットに上げ、
大株は株分けなどするので、ますます収拾がつかなくたってしまった。

そうだ、このプりムローズの株を、孫たちと一緒に新しい家に植えることにしよう。
祖母、母、私、息子、孫・・・・。

プリムローズの系譜は五代続くことになる。

リバティプリントをヒントに ③

私は、大きなミスを犯していた。
「リバティプリントを真似て」,などといい気になっていたのが、じつに恥ずかしい。
この偉大なデザインは真似ることなどできはしない。パーフェクトだからだ。
こんなことはリバティに対して失礼なことだった。心から申し訳ないと思う。

それでも花を並べて遊んでみたいときは、
「リバティプリントをヒントに」としたら、失礼に当たらないのではないだろうか。
雪のちらつく庭から摘んだ草花で、こんな絵を描いてみた。

下の写真を見て、Field flower がヒントになっていると分かった人は、すごい。

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Field flower の絵柄は個体がもっと野性味のある植物で、
並べ方も天地が逆になっているものも入っている。
しかし、雰囲気は出ているような気がするのは、私だけだろうか。

振り返ってみたら、2008年の4月18日にも、青い花で同じような遊びを行っていた。
21日、23日に記されている春の草花はロマンティックで、
30日あたりには黄色のモッコウバラが満開となっている。

桜が咲いているのに、この寒さはどうしたことか。

こうした花遊びも、来年のための自然環境資料となると思えば、
花の並べ方にも力が入る。


イチローの二つの戦い

WBCの決勝戦が終わった。

おめでとう! SAMURAI JAPAN!

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今回のWBCでは、スポーツを通して国と国の戦いのほかに、
イチローの、凄惨なまでの己との戦いをみせてもらった。

貌が変わるほどの、苦しみや痛みに耐えて勝ち抜いた男イチローに、
再び笑顔が戻ってきてうれしい。

CONGRATULATION ICHIRO ! ! !

*写真はTBSテレビから


横浜よりSAKURA情報

桜情報が入り乱れている。

あっちで咲いた、こっちで満開とニュースが飛び交うが、
いわゆる桜の開花宣言というのは、
その地区の基本木のソメイヨシノに、5~6輪花が咲いたら、
「宣言」「発表」という段取りになっている。

桜はバラ科に属し、自然や人工交配によって、数多くの亜種が生まれやすい。
そのためさまざまなサクラがあちこちで開花するので、比較の対象にならない。
そこで、もっとも一般的な品種で、全国的に植えられているソメイヨシノを選んだのにちがない。

興味深いことに、同じソメイヨシノでも、樹の年齢、土壌の種類、日当たり、病気の有無などで、開花日は微妙に前後する。


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我が家の前は遊水池を兼ねたグラウンドになっているが、
ソメイヨシノとケアキを交互に植えた並木道が奥へと続いている。
右側の若葉は、すっかり葉桜になってしまった河津桜だ。

同じ時期に植えられたソメイヨシノの中でも、ちょうど斜め前の大木が一番早く開花する。
今朝はこの状態だったが、3時現在はさらに花の数が多くなっている。


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これで何分咲きというのだろうか。5分? それとも?
気象庁の話では、最初の1輪が咲いた後。1週間で満開になるのだそうだ。

3月末から4月初めにかけて、福島市の生家で父の13回忌の法要がある。
たしか、4月3日が福島市の開花予報だったと思うが、
両親とよく行った生家のすぐ裏手にある城山の桜を、ぜひとも弟妹たちと見てくるつもりだ。

67歳から61歳の5人姉弟が一人も欠けずに、
元気で桜の下に「全員集合」できることを、
しみじみとありがたいことだと思う。

リバティプリントを真似て ②

白と黄色は、ともに春一番の色だ。
たとえば白い花が咲く樹木では、ウメ、 コブシ、ユキヤナギ、 プラム、 ジューンベリー・・・・
黄色い花はマンサク、 サンシュユ、 キブシ、 ミモザ、 レンギョウ、 ウインタージャスミン・・・・・・

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「リバティごっこ」遊びは、楽しい。
ヴィンテージのスカーフに、これとよく似た絵柄があったような・・・・。
記憶を手繰り寄せて、今咲いている白と黄色の庭の草花で構成してみよう。

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スカーフの四隅のコーナーには、こんな感じはどうかしら。

地色に淡いオリーブグリーンを置き、
絵筆のタッチが残るようなクラシックな描き方で、全体をまとめたらきっと素敵。
白いスーツの襟元に、とてもよく似合うのでは・・・。

レンテンローズ、 カモミール、 プリムラ、 プリムローズ、 スノウフレークス、
「貴婦人のペティコート」ともよばれる黄水仙のブルボコテューム、 白い水仙。

リバティプリントを真似て ①

春先は花粉症で悩む人が多い。

しかし、私はもっとひどい病持ちだ。
慢性の「リバティ熱」に掛かっていて、
草花を見るとリバティのあの図案にあった・・・・、などと頭に浮かぶのだ。
冬の間は比較的微熱だったのに、
さまざまな花が咲き始めるこれからの季節は、熱が上がりっぱなしでつらい。

このリバティというのは、これまで何度も記したが、ロンドンのリバティ百貨店のことだ。
格調が高く、グッドデザインの家具調度品で有名な店だが、
リバティといえば、すぐに上等な木綿地のタナローンを思い浮かべる人も多い。
そして興味深いことに、ナチュラル感にあふれた草花の図案に好感を抱いた者は、
気づかないうちにリバティ病に感染している。


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重症患者の私は、この頃、
庭の草花でこんな「リバティごっこ」をして、遊んでいる。

ムスカリ、 ペリウインクル, ワスレナグサ、 ローズマリー、 アラビス、 
ヴァージニアンストック、 オーブレチア、 スイートヴァイオレット、
プリムラ3種。

ピンクからブルー、パープルの花を集めて。

春の香りを亡き友へ

Mさん、
今日は「秘密の丘」へ、行ってきました。
毎年、桃の花の季節になると鷺沼駅まで迎えに行き、
私の黄色いカブトムシで例の場所へ二人で通っていましたよね。
それなのに、Mさんは逝ってしまったので、今年は一人。
でも、なんとなくまだ傍にいるような気がして、
何度か「きれいねぇ、ほらあそこ」などと話しかけそうになりました。

「秘密の丘」に、二人で何年通ったでしょうね。
多摩プラーザの駅から柿生方面へのバス通りを、ちょっと左へ入っただけで、
そこは桃源郷。
丘の斜面に緋色や桃色、白などの桃の花が一斉に咲き始め、
土佐水木や日向水木が淡い色を添えていました。

顔見知りになった近くの農家へ寄ってみたら、
蕗の薹をこんなにいただきました。


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「アレ、いつも来ていたもう一人の奥さんは?」と、聞かれたので、
「あの友達は、今旅行中なんです」と答えておきました。

遠いところへ旅立ったMさん、
天国って本当に花が咲きみだれて、小鳥がいい声で鳴いているんですか。
もうお友達ができましたか。
俳句の吟行やステンシルなど、趣味を続けていますか。

今年は暖かい冬だったので、蕗の薹の伸びも早いようです。
蕗味噌や天ぷらにして、写真にお供えしましょう。

春の香りを楽しんでくださいね。

                        せい子

ヒヤシンスから教えられたこと

青い花にこだわって、
今までヒヤシンスは青い色しか植えたことがなかった。

ところが、テーブルに飾っているのは、
庭で咲いたピンクのヒヤシンスだ。
これは昨年の夏、
ゴミとして捨てられていた球根を拾ってきたもので、
何色の花が咲くかなど、ぜんぜん見当もつかなかった。


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冬の寒さの中でつぼみが上がってきた時から、
だいたいの見当はついていたものの、
実物のピンクの花を見たときは、本音で実に愛らしいと思った。


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ましてや、ほとんど干からびていた球根が息を吹き返し、
こんなに見事な花をつけたのだもの、
色なんて何でもかまいはしない。

年を重ねると、だんだん考えがかたくなになりがちだ。

「これからは、
気持ちを広く持って、感じたことをそのまま素直に受け入れるように・・・・」
生き返ったピンクのヒヤシンスから、教わったことは深い。

5年目のマンドラゴラ

こう暖かい日が続くと、庭に出ている時間が長くなる。
今朝はこぼれ種子で増えたマーシュを整理し、
宿根ロケットの定植と、ムスクランの種子まきを済ませた。

下の庭から移動した植木鉢の整理もしなくては::::。
ところで、あの鉢はどうなっているだろうか。

「あぁ、元気でよかった」
指を折りながら数えてみると、ある大学の教授から2株の苗をいただいて、もう5年になる。
これは西洋の本草学やハーブの歴史の文献には、
必ずといっていいほど第1章のあたりに登場する「歴史的有名ハーブ」だ。
学名はMandragora officinalum、英名はMandrake。
俗名はDevil’s apple(悪魔のりんご)、
あるいは Love apple(愛のりんご)などとよばれている。


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一見ただの雑草に見えるが、
このハーブほどおどろどろしい伝説を引き摺っているものはない。
株には雄と雌があり、それぞれ上半身は草の形でも、
土の中の下半身は二股に分かれていて人間に酷似している。
これを引き抜くときにマンドラゴラが発する身の毛もよだつような断末魔の悲鳴を聞いた者は、
瞬時にしてあの世へ逝ってしまうという。

それなら近寄らず触れなければ何のこともないのだが、
強力な麻酔作用と驚くほどの媚薬効果があるため、危険を冒してまで手に入れたい人は多い。
そこで、こんな方法が編み出された。

まずは、
何日間も絶食をさせておいた犬の首に、丈夫で長い紐を固く結びつけ、
一方の紐の端はマンドラゴラの株の根元にしっかりと結ぶ。
次に、犬から少し離れた場所に餌を置き、直ちにその場を離れる。

その数分後、息絶えた犬の傍らに転がっているマンドラゴラを手にすることができるのだ。
この話はたいへん有名で、数々の絵も残されている。
昔の人々は、まるで人間を思わせる二股のなまめかしい根に衝撃を受け、惧れを覚えるそうだが、
日本ではこうした回りくどい話にはならないと思う。
大根の発育障害による、もっとなまめかしい大根にでも、驚かないからだ。

ちなみに、3年目に植え替えるとき、根を注意深く観察したら、
パセリのような根がたしかに二つに分かれていた。


私の推理では、マンドラゴラの類を見ない麻酔作用だけは本当なので、
むやみに軽々しく取り扱ってはいけないという注意喚起のために創った話が、
受け継がれてきたのではないだろうか。

いずれにせよ、野放し状態にしては置けないハーブのひとつである。

植木鉢でワサビ栽培

「ワサビは温度が一定した清流でないと育たない」
どの参考書にも、こう書いてある。
一般にもこう言われているので、私も無条件に信じていた。
ところが、ところがである。
3年前から、植木鉢でも庭の畑でも育てているのだから、
何事もやってみなければわからない。


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最初は使い残しのワサビを、「だめもと」で畑の隅に砂を入れ、その中に植えてみた。
親指の太さで、長さは5センチほどあったろうか。
しばらくの間は大きくならない代わりに、枯れもしなかった。
翌年の早春の庭で、青々としたワサビの葉を見つけたときの嬉しさ・・・・。

今年も植木鉢で育てた株に、花が咲き始めた。
庭を整理したときに、世田谷に住んでいるアメリカ人の友達に大株をいくつか上げた。
これは残り株の小さなものだったのに、ごらんのとおり一人前の顔をしている。


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ほとんど手入れもしないのに,葉の数も増えて根もしっかりしているようだ。
根を食べてしまっては一巻の終わり!だ。
去年はたくさんの茎や葉を収穫できたので、粕漬けや漬物を作ったが、
香りも辛味もなかなかの味だった。

今年の株はまだ幼いので、葉と花のおひたしや盛り付けのあしらいに使ってみよう。

聞いた話だが、水辺で育つ本ワサビと、畑でつくる陸ワサビはもともと同じものだという。
栽培を経験してみて、
「なるほど、なるほど、うん、これは本当かも・・・・・」と、うなづいている私である。

夢見つつ ニオイスミレの タネをまく

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夢見る頃をとうに過ぎていても、
花咲き乱れる庭をイメージしながら種をまくほど、楽しいことはない。

昨日、今日の暖かさのおかげで仕事がはかどり、
ニオイスミレ34品種の種子まきを終えた。

スミレの播種にはコツがある。
発芽を成功させるのには、休眠打破といってタネを目覚めさせなければならない。
それには一度寒い状態にして冬と思わせてから、外気に当てると、春の気配にあわてて発芽する。
つまりタネをだますのだが、人為的に低温処理をして発芽を促すこうした方法を、 Vernalization (春化)という。
失敗しない私流のタネのまきかたを、記してみよう。


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① ノートをつくり、名札に名前を記入しておく。
消えることもあるので表と裏に油性ペンで書き、数が多い場合は整理番号もつけておこう。
同じに見えるタネなので、作業を中断して書き込むと、間違えるケースが多いから。


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② 小さく切ったペーパータオルにタネをのせ、
発芽を促す植物ホルモンのジベレリンを少々かけて包む。
これを少し湿らせてから、ファスナー付きのビニール小袋へ入れる。
小袋をまとめてさらにビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜入れで10日間ほど冷やす。


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③ 春化処理をして10日目のタネ。濡れてふっくらとふくらみ、
すでに根になると思われるひれのようなものが出ている。


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④ 用土は、保水性、排水性に優れた赤玉土の小粒が適している。
種類が多いので、苗床は場所をとらない連結製の苗作り容器にしたが、スリット鉢もお勧めだ。
名札を立てて水やりを済ませ、水気が切れたらタネをまこう。
まず、スペースの中で適当な間隔を取りながらタネを置きあわせしてみよう。
位置がきまったら箸や細い棒などで3mmほどのくぼみを作り、タネを落とし込む。タネが露出しないように注意深く土をかける。


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⑤タネマキ終了!名札の行列が墓標のように見えるが、
墓標にしないためには、発芽するまで乾燥させないこと。


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乾燥も避けたいが、困るのはスズメの土浴びだ。
さらさらした土があると大喜びで、めちゃめちゃにしてくれる。
せめて、土が落ち着くまでとタオルを掛けておいたら、
今度は近所の猫が、自分用のシートをありがとうとばかりに昼寝をしていた。

スミレの花咲く頃~♪

来年の今頃、順調に行けばニオイスミレの花は、咲いているはずである。

ペリウィンクルのミニバスケット

秋から冬にかけて、籠を編むのに凝っていた。
運転をしていても,買い物に行くときも、目をきょろきょろさせてはつるを探していた。

フェエンスにからまったヤマイモ、擁壁から垂れ下がったへクソカズラ、
樹に絡まったフジやクズ、アケビ、垣根に仕立てたポポー、棚作りのキーウィーやブドウ、
意外なところにあるスイカスラ・・・・。
いつも、外部に目を向けていたが、我が家には使っても使っても減らないつるがあった。

それはペリウインクル( Vinca major / ツルニチニチソウ)だ。
下草として植えたのがはびこり、根絶するのに苦労していたのだから、いくらでも使える。
3メートルでも5メートルでも伸びていき、しかも節が無くしなやかだから、扱いやすい。
そのうえ、乾燥しても色が褪せないのが長所といえる。
練習用にこれでミニバスケットをたくさん編んだが、
よくできたものから人にあげてしまった。


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ペリウインクルには、青紫の小さな花が咲く。
例年は桜のあとに咲くのに、今年は毎朝花の数が増えている。
一つだけ残っていたミニバスケットに花を活けてみたら、
サイズ的なバランスも色の調子もぴったりときた。
それもそのはず、分身なのだもの。

何も知らずに生まれてきた青い花と、
バスケっトに変身してしまったつるの会話で、何か童話ができそう・・・・。

室戸岬のハマアザミ

「もしもし、広田さんですか。高知の島田です。
今、家内と室戸の《道の駅》にいるんですよ」
懐かしい声が受話器の向こうから聞こえてきた。

島田さんは、ホテル日航高知旭ロイヤルの総料理長だ。
ハーブ料理に詳しく、テレビや大学で講師も勤めており、
素敵な奥様にもお会いするのを、楽しみにしている。
島田夫妻は、「道の駅」ファンの私のために、
何か特産品を選んでくださっているらしい。

「明日届きますから,楽しみにしていてください」


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宅急便のネットワークは、じつにすばらしい。
昨日の夕方高知から発送した荷物は,
昼過ぎに届いた。

わくわくしながら箱を開けると、でこポン、小春、小林柑、西山台地さつまいもが入っていた。
母親や親戚が送ってくれた小包のようで、暖かい気持ちが伝わってくる。
一番上に載っていたのは、「高知県室戸市産浜あざみ」のシールをつけた、
葉っぱの束だった。

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話には聞いたことがあるが、実物を見るのは初めてだ。

やや肉厚の葉の輪郭にははぎざぎざの刻みが入り、
直系3mmぐらいの茎は砂浜から抜いてきたせいだろうか、
太陽光線を受けないためにパープル系の茎の根元が白くなっている。
まず生で口に含み、前歯で噛んででみると、
「ニ、ニガ、ニガ~イ!!!」


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サラダはあきらめて、おひたし、酢の物、ピーナツ和えを作ってみた。
片口に盛ったおひたしは葉先を使い、醤油をほんの少し垂らして・・・。

草花文様の染め付けに入れたピーナツ和えは、花丸付きの好評だった。
硬い茎や根元の部位には、しゃきしゃきと歯ごたえがあって、
ピーナツの濃厚な味とよくマッチしている。
夫も「うん、これはいいね」と気に入ったようだ。

白磁の器には、酢の物を盛った。
酢のパワーで、茎が次第にピンク色に染まって美しい。


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調べてみたら、
ハマアザミの学名は、Cirsium maricimum。
キク科の多年草で、ゴボウに似ている根を食べることができるので、浜ゴボウともいう。
食用になる海浜植物だが、高知県では地産地消の「農産物」のカテゴリーに入れている。
私が作った料理のほかに、汁物、天ぷら、白和え、炒めものに適しているそうだ。
そうそう、島田シェフも「天ぷらが美味しいですよ」と言っていた。

伊豆以西の海岸や岩場に自生し、パ-プルピンクのアザミに似た花が咲く。
アーティチョークやカルドン、サルシフィともきっと近縁関係にあると思う。
茎には根が無かったけれど、赤玉土で挿し穂をしてみることにした。
花も見てみたいし、天ぷらも揚げてみなくては・・・・。

どうか、うまく発根しますように。

帰ってきたガマガエル

クロッカス、ムスカリ、ヒヤシンス・・・・。
庭のあちこちで、球根の花たちが目覚め始めた。
今年は春の訪れが早いのか、
たしか10年は過ぎているクリスマスローズの大株も、
今年はたくさんの花をつけている。

たくさん切って部屋に飾ろうと思い、花に近寄るとがさっと音がした。
???
大きなガマガエルがうずくまっている。

そういえば、夕べ夜中にふっと目が覚めた時に、
ころころと鳴く蛙の声を聞いたような気がした。
あれは気のせいではなかったのだ。

毎年この季節になると下の庭にあった小さな池に、
この場所で生まれたガマガエルたちが終結し、
古代の歌垣ならぬ、夜な夜な蛙の乱交パーティー(?)を繰り広げていた。
しかし、昨年の秋にこの場所は整地されて、池は跡形もなくなってしまった。
今は長男の家が完成間近で、土の部分もほとんどない。

そのような事情を知らない蛙は、さぞかし驚いたことだろう。
カメラを取りに家のなかへ入ったら、長電話や宅急便の邪魔が入り、
戻ったときには蛙の姿は消えていた。

毎年20匹ぐらいのガマが COMING HOME で帰ってきていたのに、
今年はどうなることやら。
上の庭に池を作るまで、3箇所に分散している甕や水槽へ入って、
あのどろどろの卵を産むのだろうか。

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信楽の大きな甕に移した鰭長鯉やコメット

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ガマガエルが入らないように、金網で蓋をしてみたものの・・・・。

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緋目高が29匹いる水鉢。このままでは無防備だから、何か対策を講じなければ。

長年の間にガマガエルに情が移ったせいか、心配している私と、
来なくなったらおたまじゃくしのどろどろの後始末がいらないのでほっとする私・・・・。

どちらにしても、複雑な気持ちだ。


春の使者を活ける

「3日間もブログがお休みだったでしょ?どうかしたの、だいじょうぶ?」と桐生のクラスメートから、
「心配しましたよ。ああ、何でもなくてよかった」と、新潟の知人から、
ほかにも数人から、私の安否を気遣った電話が入った。

これまで毎日のように書いてきたブログを、突然3日も休んだのだから、
何事かあったと思われてもしかたがない。
心配をかけて、すみません。単なるずる休みでした。

何をしていたかといえば、庭の草むしりやポット上げ、植木鉢の整理などで、
春が近くなるにつれて、体がひとりでに動き始める。
夕方には腰痛がひどくなるのを知っているのに、
庭仕事をやめられないのは、楽しいからだ。


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庭のあちこちから、咲いたばかりの花を少しずつ摘み取って、
北欧の「イッタラ」の花器に活けてみた。

背が高いピンクパープルの花がアラビス、
その下のよく似た薄桃色の花はヴァージニアンストックで、甘い香りがする。
銀の針のような葉に水色の花の小枝はローズマリー’ミス・ジェサップ‘。
勿忘草に、ニオイスミレ、白いサクラソウ、薄ピンクのヒヤシンス、
房状に見える黄色い花はオキザリス、
そして、中央のラッパ型の花は「貴婦人のペチコート」という名前の水仙だ。

たった一輪だけでも、こうして寄せて活けてみると、
春らしい雰囲気が出る。
そう、この花たちは春を告げる使者たちかもしれない。

36日も咲いているバラ

2月21日と2月22日に記したのは、
岐阜の大野裕朗氏から2月2日に届いたモダンローズのことだった。

信じられないかもしれないが、そのバラがまだ咲いている。
嘘だと思う方のために、今日撮影した写真をお目にかけよう。

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いまひとつ色調が冴えないのは、
今にも雪が降りそうな暗い天気だったことと、すでに4時を回っていたからで、
実物はこれよりもっと美しい。
それにしても、これらのバラは切ってから」いったい何日目になるのだろうか。
2月2日に着くには1日にカットしたことになる。
2月は28日だから、28日+8日=36日!!!
な、何と切ってから36日も咲き続けているのだ!!!

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淡いアプリコットと白、ライラックピンク2本がまだまだ生き生き状態、
パープルピンク1本がやや傷んでいるものの、風情豊かに咲いており、
味のあるキャラメルブラウンの2本が満開状態だ。
24本中元気組が7本だから、3.3割のヒット数になる。
さすがに香りは薄くなったが、葉はぴんとしていてわき目が出ている枝もあった。

一般に、品種改良を繰り返して作り上げたモダンローズは性質が弱い、といわれてきた。
しかし、今回の経験空考えて、これが例外とは思えない。
活けた私がしたことといえば、水を取り替える際に水揚げをし、涼しい所に置いた程度だ。
温度が低い冬季なので、バクテリアや雑菌が増えなかったこともあるだろう。

大野氏は今でこそイングリッシュローズやフランスのバラの導入の仕事で有名な方だが、
その前は20年にわたる切花用のバラ苗栽培の実績を持っておられる。
プロの育てた神戸のバラ自身が強いのか、栽培に何か特別なノウハウがあるのか。
ぜひとも知りたいところだ。

早く散った真紅のビロードのような花弁は、
色鮮やかなドライとなった。
オレンジの皮も素敵な香りに乾いてきたので、
クローブなどのスパイスとミックスしてポプリにしよう。

こんなにバラを楽しめたのは、大野さんのおかげだ。
Mr.Ohno,Thank you again!

ガレージの秘密

花屋の店先には、歩道まであふれるように花苗や鉢が並び始めた。
夫を駅まで送る途中、2箇所ほど気になる店がある。
運転しながら目線が横にそれるのを察知するのか、
その都度夫から「もう買うなよ」といつも釘を刺される。

「高価なダイヤモンドや、毛皮ではないのよ。勿忘草やヒナゲシの苗を買ってどこがわるいの?
しかも自分のお金で買うのに、文句など言わないでよ」
と、何度口答えをしてきたことだろう。
これは毎年、今頃の季節から始まる終わりの無い攻防戦だ。

こんな風に書くと、がちがちのけちんぼで、花などに理解を示さない夫と思われるかも知れない。
彼の名誉のために言っておくが、彼はノーマルな人で、私のほうが異常なのだ、きっと。

植物なら何でも欲しいというわけではない。
柄にも無く、ロマンチックな草花とか、香りのよい植物、
ピンクからブルー、パープルの花などが私の好みで、いくらでも欲しい。
だから夫は、同じものをまた買ってどうするのだ、と思うのだろう。

ところが、ザ~ンネンでした。
同じように見えても違う品種や色変わり、斑入りなどの場合もあるんですよー。

また、彼は庭仕事が腰痛をさらに悪くすると心配して、
「これ以上花やハーブを増やすな」と注意してくれているのもわかる。
ところがである。庭へ出ると痛みがどこかへいってしまい、
植え付けやポット上げのときでも腰痛を忘れてしまうのには、我ながら首をかしげている。

夫の職業柄、家で仕事をする場合も多い。
だから、内緒で花の苗を買ってきたときに、
運悪くバレる危険性がある。
それには、こんなくふうをしている。
40年近く乗っている私の黄色いビートルはリアエンジンで、
前のボンネットが荷物入れになっている。
第一段階はここに入れて帰宅し、様子を見てから荷物を家へ入れる。

次に、ボンネットに入らないものはガレージの隅に置き、
グリーンシートでカモフラジューをする。

今日はチュベローズとネリネの球根を、買ってきた。
これもガレージの中のある場所に、何気なく隠してある。
天気が回復したら、植えてしまえおう。そうすれば、わかりっこないはず・・・・。

我が家のガレージには、車だけでなく秘密もたくさん並んでいる。


塩味のリンゴ漬け

昨日と同じYさんからの山形グルメに、珍しいものがあった。
それは塩味のりんごで、ビニールの袋には「りんご漬け」というラベルが貼ってある。

真空パックに入っているりんごの色は、クリーム色というか、ペールグリーンにも見える。
包丁を入れてみると透き通った果肉が現われ、
一口味わってみたら、今まで経験したことが無いしゃきっとした食感だ。
塩味といっても軽いもので、りんごを切ったときに変色を防ぐため、
塩水につけた時よりもちょっと塩からいかな?という程度だろうか。
それよりも、冷たく冷やしたこのりんごには、
後を引く妙な美味しさがある。
ほどよい酸味と上品な薄甘さ、そしてかすかな塩味が調和するミステリアスな味なのだ。

ところで、このりんごの品種はなんだろう。
黄色のりんごには王林、ゴールデンデリシャス、シナノゴールドなどがあるが、
どうも違うようだ。
どうしても知りたい。
そこで、ラベルに記してあった生産者のTさんに、電話でうかがってみた。

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驚いたことに、このりんごの正体はフジだった。
穏やかに話してくださるTさんによると、

「今はほとんど無袋なのでフジは赤くなるが、以前は途中まで袋をかけていた。
太陽光線を浴びないと着色しないから袋の中の若いりんごは、緑色から次第に黄色になる。
この頃、着色させるために袋を外すのだが、失敗することもある。
この落ちたりんごを利用したのが「りんご漬け」というわけだ。

この漬物は戦前からあったようで、
私が小さいときはサッカリンとかズルチンという人口甘味料を使って甘い味だった。
だが、使用禁止になってからは塩だけでりんごを漬けるけるようになった。

りんごの熟し加減と漬けるタイミングが合わないと、できあがりがまずい味になる。
だいたい10月6日から8日までの間に漬け込むと美味しくできる。
しかし、4~5ヶ月寝かせておいて、食べ始めるのが2月だからたいへんな話だ。
塩の割合は7パーセントで重石をきつくかけることがこつ。
小さいときは楽しみなおやつだったし、今は食後に食べるのが美味しい。
炬燵に当たって冷たいりんご漬けを食べるのは、最高だね」

あぁ、いいお話だった。
しみじみと話してくださるTさんから、幸せそうな雰囲気が伝わってくる。

りんごが結んでくれたご縁に感謝したい。

さくらんぼのお漬物

「桐の箱入りさくらんぼ」の広告メールが届いた。
雛祭り終わったと思ったら、もう母の日のギフトの予約を急がせている。
なになに? へえー・・・・。

縦が6列、横4列。 
きれいに仕切りの入った桐の箱に、恭しくおさめられた24個のさくらんぼは、
言い古されているせりふだが、まるで宝石のようだ。
送料別でひと箱6000円のプライスだから、なんと一粒が250円なり!!!


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同じさくらんぼでも、妹が届けてくれたこの小瓶入りはさくらんぼのお漬物だ。
軸がついていなかったら、小梅とまちがえてしまいそうだ。
赤紫蘇で漬けてあるので見掛けは梅干とよく似ているが、歯ざわりが違う。
前歯を当てるとプリッとした食感がさわやかで、甘酸っぱい味がたまらない。



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山形出身のYさんという友達が取り寄せたものだそうで、
形が悪かったり小さな粒など、不揃いのさくらんぼを加工したものだという。
意外な発想というか、バラ科同士の共通点に着眼したのか、
さくらんぼのユニークなレシピに触れられて、面白かった。

似たようなことで、メロンを思い出した。
網目が入った高級マスクメロンは、高価すぎてふだんにはめったに食べられない。
しかし、摘果したピンポン玉よりやや大きめのメロンは、浅漬けでも塩漬け、醤油漬けなどにすると、お変わりの連続となる。

この頃、時間が早回りになってきたという感が強い。
お正月を終えたと思ったらもうすぐお彼岸だ。
早い早い・・・・・。
高価なさくらんぼのプレゼントは来なくても、
5月の母の日はあっという間にめぐって来ることだろう。


Monmo で新連載

今日、3月3日は桃の節句。
娘がいればお雛様を飾ったりするのに、
3人とも息子なので毎年特別なことはしてこなかった。
ところが、2月17日に記したように、
今年は東伊豆の稲取りに伝わる吊るし雛を見てきたせいで、
考えが変わった。

「すっかり忘れていたけれど、私は女性だった」ということに気がついたのだ。
な、なんとカナシク、オソロシイ話ではないだろうか。
というわけで、自分自身のために吊るし雛を作りたくなってしまった。
材料は、東寺の市で衝動的に買ってしまった、女児用の美しい友禅の着物がある。
今年は間に合わないから、一年かけて少しずつ作っていくことにしよう。
それに、父が私の初節句のために、あつらえてくれた掛け軸がある。
本職の絵師が、夫婦の立ち雛と桃の枝を描き、父が句を添えてくれたものだが、
床の間がないので仕舞ったままになっている。
来年の今日は、きっと思い出に残る日になりそう・・・・・。

さて、桃といえは、私が生まれた福島市では、「もんも」という。
Monmo と書くとなにやらフランス語のようで、
声を出して「モンモ」と言ってみると、
赤ちゃんになったような、ゆったりした気持ちになるから不思議だ。

今日、「Monmo」 に1回目のエッセイの原稿を渡した。
「Monmo」とは、福島を楽しむ大人の情報誌で、
四季を通して福島各地の魅力を、読み物とビジュアルなページで紹介している。

18歳で進学のため上京した私は、東京と横浜に約50年も住んでいるが、
ふるさとの、くだもの、祭り、川と湖、海の幸、登山とスキー、温泉、山菜、高山植物などなど、
思い出すことは多い。
東京駅から新幹線でたったの1時間半で着く、福島はきっと素敵に変わっていることだろう。
Monmoが届くたびに、新しい福島、懐かしい福島に出会えるのが今から楽しみでならない。

そうそう、私のページは「みどりの風のなかで」というエッセイで、
3月27日発売とのこと。
第1回目のタイトルは「忘れない愛された記憶」。
どんな展開になるかは、お楽しみ。

*問い合わせ先 株) エス・シー・シー Monmo編集部 Tel 024-525-2983


Libertyの草花 ①

リバティは、ロンドンにある老舗の百貨店だ。
しかし、私を含めて多くの女性たちにとって、リバティといえば、
ロマンチックな憧れの布を連想するにちがいない。

リバティ社のロングセラーアイテムに、タナローンという極上の木綿生地がある。
絹のようなしなやかな手触り、心ときめくやさしい草花の絵柄の数々、
使っているうちに肌になじむ極上のコットンの贅沢感・・・・。

このタナローンは1930年代から作り始めた、世界的にも有名なファブリックである。
今までにいったいどのぐらいのデザインが、発表されたことだろう。
それらの多くは、自然界にモチーフをとったもので、
一瞬輝いても消えてしまった図案もあれば、復刻されて再びよみがえる図案、
人気のある意匠が定番商品となって残ることもある。

今日は嬉しいことがあった。
1930年代スタイルとよばれ、今でもプリントされている現役図案のひとつに、花が咲いたのだ。

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これがMeadow という名称の長寿絵柄。
Meadow とは草原や牧場の意味だが、
牧場のあちこちに咲いている野の花から名づけたのだろうか。
ラフなタッチのドロウイングスタイルなのでさだかではないが,
レッドクロ-バーやカンパネラの仲間らしき植物の中で、ひときわ目立つ4弁の花がある。

一目見ただけで、この花はロックガーデンなどに適したアブラナ科の Aubrieta (オーブりエータ)だと分かった。しかし、同じ科のVirginian stock (ヴァージニアン ストック)に、似てないこともない。

そこで去年から準備をしておいたのだが、期せずして同時に咲いた。

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これがバージニアン ストックだ。とてもよい香りのするかわいい花が春から夏まで咲く。
花色はパープル、ばら色、白などがあり、学名は Malicolmia malitima
イスラエルの春、砂漠のはずれの斜面に、水が流れた跡そのままに薄紫のこの花が咲いていた。

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こちらがオーブリエータ。異名はAubrietia (オーブリエチア)。
ムラサキナズナ属の常緑性多年草だが、夏の高温多湿に弱い。これまで何度かロックガーデン風に石組みの乾燥した場所で育ててみたのに、難しかった。
ギリシャのクレタ島の岩場、本土でデルフィへ行く途中、切り立った崖を濃いピンクのこの花がカーペットのように覆っていたのが、印象的だった。


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さて、こうしてタナローンの生地の上に置いてみると、勝負あり!
四枚の花弁の開き方や丸みのある輪郭がそっくりではないか。


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長い間定番商品として人々に愛されてきただけに、
Meadow の色違いは多い。


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ほら、こんなに!!!
渋めの配色のワンピースに白い襟をつけた服は、良家のお嬢ちゃまに、
明るい華やかな色合いのブラウスは、お年を召した方に・・・・
老若を問わず着るのが楽しみな服地だ。

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