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HOME:広田せい子のハーブガーデン

明日のテレビに夫が出演します

明日(3月1日)のCSテレビ朝日に、
夫の広田尚敬鉄道写真家 )が、30分番組に出演します
早朝と深夜なので、起きていられる方だけにお知らせします。

タイトル           時間
「拝啓!!鉄道人」    5:55~6;25
                25:30~26:00


*CSと入れるのを忘れてしまいました。
 早起きしてくださっ方たにはごめんなさい。
 

怪しい家?の素敵なLive

寒い朝だと思ったら外はみぞれ。
渋谷や赤坂では雪になったと、テレビが報じている。

今日は、1月22日と2月7日に記した、怪しい家、改め、
「お洒落なライブスポット」へ行く日だと思うと、仕事もはかどる。
午前中に原稿を1本書き終えて、メールで送った。

JAZZ SPOT INDIGO の演奏は夜の8時半からスタートなのに、
夫はいつも8時半、遅くても9時にはベッドへ入る。
演奏中に眠ってしまわないように昼寝をしてもらってから、いざ出発。
青山のブルーノートや、六本木のスイートベイジルへタクシーで行くとしたら、たいへんな金額になるが、
我が家からINDIGOまでは890円という近さだから、ありがたい。

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黒いドア、黒い壁の中に、小さなウインドウ1箇所にだけライトがついて,開店を告げていた。
演奏のない日(20数日間)は閉店したままとか。

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夜目にも金色に輝くアイビーは壁を覆い、この前より茂みが濃くなっているように見える。

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今夜のプレイヤー。ピアノとギターのデュオに期待がふくらむ。

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一歩店内へ足を踏み入れると、いきなりグランドピアノが目に入った。
右側のコーナーには、ドラムのセットや背丈を越すベースなどの楽器が無造作に置かれ、
今夜使うのだろうか。2種類のギターもすでに用意されている。
目が慣れてくるにつれて、室内の様子が見えてきた。
お世辞にも上等とはいえないテーブルのセットや、いまどき珍しい石油ストーブの暖房が、
なんとも居心地がよく、学生だった昭和30年代にタイムスリップしたようで、懐かしい気持ちになった。

演奏が始まった。ピアノが小林洋子、ギターは鈴木徹大。
最初はお互いの調子が合うまで、音の探りあいをしていたようだが、のり始めると呼吸が合い、
音がはじけ、絡み合い、追いかけては転がり、きらきらと輝いて・・・。

ほっそりとした華奢な指から、どうしてこんなにダイナミックな音が生まれるのだろうか。
鍵盤を叩き、くすぐると、力強い音から華麗なため息まで聞こえるのだ。
そして、ギター弾きはときおり呼吸を停め、口からあふれ出るメロデイを指先に歌わせる・・・。

セカンド、ステージが終わったのは、11時を過ぎていた。
夢のような音の饗宴は長いようで、短かった。

隣に座った方は、このデュオの自称「追っかけ」だそうで、
群馬県の桐生から、川崎北部のここへ車で4時間近い道を駆けつけたという。
川口に住む彼女の友人はやはりファンで、前回は終電に間にあわなかったため、
川口まで送り、途中道の駅で仮眠してから、桐生へ戻ったと語っていた。

今夜の音を聞いて、熱烈ファンの気持ちがよくわかった。
それにしても、私たちはなんとラッキーなことだろう。
こんなに近くに、質の高いライブハウスがあるのだから。

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今夜の演奏曲目

Sometime ago, Estate, A letter of Thanks, Love song, La consolation,
Alice in wonderland, Some other time, ETTT, At the park, Love for sale

手作りの小さな紙袋

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私がわずらっているビョーキのひとつに、
《 KAMI・HIMO・NUNO症候群 》という厄介な慢性病がある。
まだ小学校へ上がる前に発病して以来、
60数年の間、完治するきざしはない。
何しろ 《捨てられない炎 》と《ため込み熱》も潜伏しているので、
こまごまとしたモノが増えて増えて、困ったものだ
(と対外的にはふりをするが、実は困ってなんかいない)

それでも、「今日は少し捨てなくては・・・」と、
殊勝な気持ちから、古い雑誌や包み紙の整理を始めた。
ところが微熱が出始め、気がついたらこんな紙袋ができていた。

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これらは、和菓子の包装紙、イギリスの園芸誌、ハトロン紙などとリボンを組み合わせて作ったものだ。
リボンも、お菓子の箱に使われていたものや、短くなって使えないものなどでも、
小物になら充分使える。
 
私はよくこんな袋を作ってストックしている。
ちょっとしたものを手渡すときに、
どこにも売っていない手作りの小袋に入れて差し上げると、いつも喜ばれるからだ。
それよりも、作っているときの楽しさは、何といったらよいだろうか。

いけない。熱は下がるどころか、またぶり返してきたようだ。

命のかたち

野菜籠を整理していたら、
しわしわになったふがふがのダイダイが、隅っこに転がっていた。

使えないことはわかっていたが皮を剥いてみたら、
なにかが引っかかる感じがする。
明るい窓際へ持っていって、よくよく見ると、
しっかりとよりのかかった麻紐のような根がさのうを突き破り、
殻を破って緑色の双葉をのぞかせていた。

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ここには、目に見える命のかたちがあった。
そして、「倒木更新」という言葉を、思い出した。

北の国ではエゾマツ、南の屋久島ではスギ、本州でもブナなどが例に挙げられるが、
親の樹は自ら倒れて森の中に陽の光があたる場所を作り、
自分の体を腐らせて子供の苗の養分となる。
子供のために親はわが身を犠牲にして、命を繋ぐのだ。

考えてみたら、人間も同じ。
子供のために身を粉にして働き、子供を一人前にしてから朽ちて倒れるのだ。
我が家の三人の息子たちも、親の手を離れて何とか生きていけるようになった。
それを幸せと思いながら、
後は思い残すことなく倒木となる運命なのだろうか。

ダイダイの親から栄養を摂っていた小さな命を見て、
しみじみと考え込んでいる。


はいから丼

面白いことがあればあるものだ。

23日に、まったくの思いつき料理の“揚げかすの卵とじ”を、『タヌラン』として記した。
これは経済的な創作料理(といえるほどのこともない?)で、
私はひらめくままに作ったのだった。
ところが、浦和に住む妹とおしゃべりをしているうちに、「これ簡単で美味しいわよ」といったとたん、
「ああ、それってテレビで見たわよ。ハイカラ丼っていうんですって」
そばで妹の夫が「これが丼ものの原点だ」と、話しているのが聞こえる。

へぇ、知らなかったなぁ。
同じ発想をするひとがいるんだ。でも、ハイカラ丼のほうがぐんとおしゃれじゃない?
これからは、ハイカラ丼とうちでも呼ぶことにしよう。

ところで、関西ではキツネとタヌキきがややこしいようだから、ネットで調べてみた。

まず、油揚げののったのはキツネ丼という。
京都ではキツネのあんかけを、タヌキという。
大阪ではキツネそばを、タヌキという。
書き出してみたら、因数分解よりももっと難しくなってしまった。
めにゅーにある、「木の葉***」というのは、何だろう。
「刻み」というのもアヤシイ。

どなたか、教えてください。

へい、ベーコン屋でござい

告白するが、私は今、わる~いビョーキにかかっている。
潜伏期間が長かったが、
発病してから熱は上がりっぱなしで、つける薬がない状態だった。
病名は、「突発性燻製熱」といい、
北欧やカナダ、北米などでは、男性がかかりやすいという定説がある。
日本ではまだ症例が少なく、しかも女性というケースは、きわめて珍しいそうだ。

この病気の特徴は、なんでも燻製にしたいという強い「むずむず」がおこり、
急に発熱したら1週間ぐらいは下がらない。
時々うわごとで「へい、ベーコン屋でごさい・・・・」などとつぶやくこともあり、
アドレナリンも多量に出ていたらしい。

気がつくと、どっさり燻製ができていた。

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今回の「発作」はかなり強度だったが、燻製がうまくいったせいか、すでに熱は平熱に戻っている。

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なぜこんなに病状が悪化したかといえば、この前、知人に差し上げたベーコンに対して、
「美味しいチャーシューをありがとう。チャーハンに入れたら、いい味でした」
というお礼のメールが、燻製熱再発の心因性衝撃の原因となっていたようだ。 

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しかし、今回は風味も歯ごたえも生ハムに近い、会心の作だ。
「「へん、どんなもんじゃい」とチャーシューの君に、リベンジしたいところだが、
あのショックは忘れることにしよう。

ここ2~3日に我が家へ来た人は、いいお土産がもらえますよ。

タヌラン

どこへ行っても、聞こえてくるのは「ふけーき、フケーキ」の大合唱だ。
お勤めのオトーサンは、ワンコインのランチで、急場をしのいでいるとテレビで報じていた。
オフィスでは無理だが、休日のお昼の節約料理として、
取って置きの『タヌラン』をご披露しよう。

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① フライパンで、そぎ切りにした葱を炒め,しんなりしたらつゆの素を少々垂らす。

② 天ぷらの揚げ玉を加え、溶き卵でとじjる。

③ ご飯の上にかけて、揚げ玉の角がしゃりしゃりしているうちに、食べる。


これは、材料さえあれば3分もかからない、スピードクッキングだ。
超経済的な一皿のうえに、満腹感があるという私のケッサクである。

おすすめの揚げ玉は、小田原の「だるま」で天丼を食べ、お土産に買う一袋100円のものが最高!
いい油で揚げてあるので、匂いもなく、油切れもすこぶるよろしい。
しかもその量は、たっぷりと入っているので、タヌラン5人分はできそうだ。

関西とは違うかもしれないが、関東では揚げ玉のことを、「たぬき」という。
天ぷらだと思って食べたら揚げカス。きっとたぬきの仕業ということから、この名が生まれたのだろう。
だから、今風にたぬきランチ→「たぬらん」と命名した。

狸にだまされたと思って、一度お試しを。

*小田原のレトロな食堂『だるま』は、美味しいばかりでなく、
格天井や衝立の彫刻など、古き佳き日々を髣髴とさせてくれる雰囲気のよい店だ。
お寿司や刺身定食、特別天重などいろいろメニューもあるが、
ツウの人は、天丼(1050円)を食べている。
天ぷらの濃い色のたれが程よく衣とご飯ににじみ、甘辛の具合もまことにけっこう。
客層は、私と同じ中高年が圧倒的に多いようだ。


22.5日目のグレイトな薔薇

お待たせ。
これが昨日撮影した、切ってから早くても22.5日目の、神戸町のばらである。

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よく見てほしい。まるで2、3日前に飾ったばかりのようなみずみずしさではないか。
我が家の庭の薔薇は、切り取ってよく飾るが、こんなふうに長保ちしたことはない。

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見れば見るほど、神戸町の薔薇のパワーには驚かされる。
ここまで来たのだから、切花の寿命を見届けたい気持ちになってきた。
30日目には、どんな顔をしているか、文字通り、花のドキュメンテーションをお楽しみに。

岐阜の薔薇は凄い

細長い箱が届いたのは、2月2日の朝だった。

玄関先で宅急便を受け取った夫が、「はい、コウベからお花が届いたよ」と、
居間まで持ってきてくれた。
「コウベからお花?誰からかしら」
わくわくしながら、箱の横に入っている「岐阜のバラ」と「神戸町のバラ」というロゴを見たとたん、
すぐにぴんと来た。

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「神戸と書いても岐阜県ではゴウドと読むのよ。
これは「ローズ・オブ・ローゼズ」の大野さんからだわ」
思ったとおり、世界の薔薇の代理店で有名な「ローズ・オブ・ローゼズ」代表の、
大野裕朗氏が贈ってくださったのだった。

大野さんとのおつきあいは長い。
およそ20年前になるだろうか、宮城県にあるやくらいガーデンのプロデュースをしたが、
当時はまだ代理店が無かったので個人輸入のルートで、
イギリスからオールドローズやイングリッシュローズを取り寄せていた。
ところがもうすでにルートを開いていた方が、大野さんだったのだ。
おおらかで、行動的で、少年のような茶目っ気のある大野さんとは気が合い、
その後、「NHK趣味の園芸フェスティバル」や、
岐阜県可児市の「花フェスタ記念公園」などのほか、かなりのコラボレイトをした。
そのなかで最も大きな仕事は、西武ドームの初夏の恒例イベントになった「国際ばらとガーデニングショー」の立ち上げと、3回目までの製作だった。


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箱の中には、色とりどりの豪華な薔薇が2ダースも入っていた。
早速大きなガラスの花器に活けて、窓際に飾った。
花は明るいところへ出て、ほっと一息ついているようにみえる。


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普通、花を褒める言葉として、美しい、きれいな、豪華な、やさしい、かわいいなどの形容詞を使うが、この薔薇には、偉い、凄い、立派な、強い、パワフルな、元気なという言葉と花丸をつけてあげたい。

花屋を経営している友達に、「いいお花とは何ぞや」と質問したことがあった。
そのとき彼女は即座に、「花保ちがいいもの」と答えた。
「いくらきれいな、そして珍しい花でも日保ちがしないと商品価値はゼロと同じよ」
この薔薇を飾っているうちに、彼女の言った意味がよく理解できた。
窓際から居間に場所を移して、これがちょうど2週間目の花だ。


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我が家へ来る道中で1日、薔薇を切って出すまで半日、を加算すると、もう16日も経っているのに、こんなにぴんぴんとしている。

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信じられますか? きれいだけでなく偉いとほめてあげたい。

この後、3日間ほど伊豆へ出かけ、帰宅してもまだまだしゃっきりで驚いている。
今朝、つまり20日+1.5日経過の写真を撮ったのだが、うまくパソコンに入らない。

もう一度トライしてみるので、ぜひこの薔薇の熟女振りを見てほしい。
いったいいつまで艶めいて咲き続けるのか、興味津々だ。
さすがプロの仕事は凄いなぁ、そして薔薇もすごい!!!

大野さん、ありがとう!!! 

ミステリアスな百合根


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今日はいい買い物をした。
近くのスーパーの野菜売り場で、
この映像と同じぐらいのサイズの百合根が1個、88円也。
これが園芸店なら、この数倍の価格に違いない。

アメリカで「百合根は甘くておいしいし、栄養もあるのよ」といったら、
「まぁ、何と残酷 !!!」 とか 「かわいそう!」などと顰蹙をかった経験がある。

漢方では「百合(びゃくごう)」といって、
滋養強壮や解熱、咳止めなどに薬効があることで知られているし、
食材としても味わいが深い。
ふっくらと含ませ煮にしたり、茶碗蒸しの具材にしたり、
量が多いときはきんとんんするとすばらしい。
中でも、今、気に入っているのは、麟片をばらばらにほぐして、ベーコンと炒めた一皿だ。
べ-コンの塩味とスモーキーな風味が、百合根のもっちりとした食感と、妙に合うのだ。

しかし、アメリカ人ではないがこんなにきれいな球根を食べてしまっては、
やはりかわいそうだ。
もう少し暖かくなるのを待って、庭に植えてあげよう。
これまでに食用として買った百合根を何度か植えてみたことがあったが、
タケシマユリやクルマユリだった。
さて、これはどんな種類の百合なのか。

夏に解明する庭のミステリーが、ひとつ増えた。

桃太郎のお供

こんなことってあるだろうか。

河津桜の並木道がある川沿いのプロムナードを散策していると、
妹が押し殺したような声で「あっ」と、いった。
きっとフキノトウかノビルでも見つけたのだろう。
ところが、目配せをしながらそっと指差す方を見ると、
マサキの生垣で囲われた庭の中に、絵から抜け出してきたようなキジがいるではないか。
「ウッソー、まさか・・・」といいながらも目は釘付けだ。
金色の鋭い目、隈取をしたような目の周りは濁りのない緋色だ。
首の辺りのグラデーションは、首を動かすたびに光の加減で、
ダークパープル、エメラルド、ターコイズ、ライラックと変化し、各パートの模様も配色もすばらしい。
妹たちも、その美しさにうっとりと見とれてしまった。

どうしてこの鳥が、ここにいるのだろう。
飼っているのなら、飼い主に話を聞いてみたいものだ。
よくよく見てみると、どうやら、この家には人は住んでいないようだ。
作業小屋か物置に使っているらしい。
とすればこのキジはどこからか飛んできた野生のキジ?

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いつまで見ていても仕方がない。
名残を惜しみながら、山を越えて海のほうへ向かった。
その途中、「キジがいたから、あとは犬と猿がいたらお供は完璧! 私たちは桃太郎よ」などと冗談を言って笑いあった。
犬はともかく猿などはそうめったにいない。

ところが、ところがである。妹が「あっ、見て見て!」と、悲鳴に近い声をあげた。
指差すほうを見上げると、山を背にした民家の屋根の上で赤い顔の猿が2頭、何かを食べている!!!

何たるタイミングだろう。
信じられないながらも、「あとは犬だけね」

いそうでいないのが犬だった。飼われている犬にも出会わない。
ましてや、ふらふらしている犬など今時いるはずがないと思っていたら、
魚屋の前で首輪をしてないコーギーのような犬がすりよってきた。

たった3時間ほどの間に、犬、猿、雉のお供が揃うなんて・・・・。
嘘ではない本当の話である。

今度はいつか、エンヤラヤと曳いて持ち帰る宝物を乗せた荷車に出会いたいものだ。

河津桜の里で

汗ばむほどの陽気は、さすが伊豆。
河津町に入ると、道の両側に桜色ののぼりがはためいていた。
ボランティアの人たちはいそいそと交通整理をし、まるでお祭り気分だ。

kawadu11_MG_4834、090216、

川沿いに植えられた桜並木は濃いピンク色の花をびっしりとつけて、実に美しい。
今がピークかと思いきや、さにあらず。
意外なことに、花の盛りが1ヶ月に及んだ年もあったという。
鄙びた伊豆の山里に、観光という幸運をもたらしたのは、
昭和30年ごろに、今は亡き飯田勝美さんが散歩の途中で偶然見つけた実生苗を、
植えてみたことから始まった。
それにしても、なんと美しいのだろう。


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人混みの中の桜見物よりも、住宅地や近くのみかん畑などにも桜は咲いている。
ピンク色を目印に山道を登っていくと、ぽっかりと開いた空き地に満開の桜が枝を広げていた。
誰もいない、車の音も聞こえない静かな原っぱで、
聞こえるのはまだたどたどしい鶯の歌ばかり・・・・。

桜の花だけれど、桃源郷とよんでみたい場所だった。


伊豆稲取の吊るし雛

吊るし雛を初めて見たのは、伊豆の大沢温泉だった。
甲州武田勝頼の重臣・依田一族が居を構えた館が、今はホテルになっており、
太い梁や天井の木組みが見事な薄暗い空間に
絹の古布で作った愛らしい飾り物が、かすかに揺れていた。

あの時、吊るし雛が稲取地方独特の節句のお祝いだということを知ったのが、
今回の妹たちとの旅の目的となった。

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伊豆稲取は海に面した温泉のある穏やかな町だ。

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雛祭りも間近なこの時期は、町内の数箇所に吊るし雛の展示所が設けられている。
まずは海辺の「なぶらとと」という小さな建物へ。
入り口を入るなり、極彩色の万華鏡の中に入ってしまったような錯覚にとらわれてしまった。
段飾りのお雛様を囲むように、部屋の天井から数え切れないほどの赤い糸で繋げた小物が、
下がっているではないか。
よく見ると、すべて丹念に手作りされた飾り物で、赤い紐で巻いた丸い輪から吊り下げられている。
感じのよい係員の方の説明によると、この吊るし雛の風習は江戸末期にこの稲取地区で始まり、
お雛様を買うゆとりのない家では、余り布でさまざまな縁起物を作って、初節句を祝ったという。

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こちらは「むかい庵」。観光バスの駐車場がある立派な建物だ。
中には数個所のコーナーが設けられ、
それぞれ**家に伝わる雛飾りと吊るし雛を組み合わせた展示になっている。
生まれてくる子や孫のために、母や祖母が作った飾り物には、
幸せを祈るこんな気持ちもこめられていた。
たとえば猿は、苦しみや悲しいことが去るように。綿を入れた三角の物は薬を包んだ形、
桃は邪気をはらい幸せを呼ぶという。この3種類だけあれば、子はすくすくと育ってくれるもの。
なるほど、たしかに猿、三角、桃はかなりの数になる。

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一つ一つ見ていくと、判じ物のようなものもある。
やや左下にある空色のものはどう見てもセミに似ているのだが、
どんな願いが込められているのだろうか。
フクロウは福や不苦労、花は花のようにかわいらしく、
草履は足が丈夫になりますように、と親の願いが込められている。

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おかめさん、あるいはお多福があった。これは福を多く招く縁起物。
唐辛子は虫除けの効果があることから、娘に虫がつかないようにという意味。
枕は寝る子は育つを表している。

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這い這いをする赤ちゃん。二人とも、フリルつきの立派なよだれかけをしている。
このよだれかけは、恐ろしい疱瘡よけとのこと。
黒い髪の子は、絞りの高価な布で、首の周りを派手に巻いている。
お多福風邪にならないようにというためだろうか。

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昭和のお雛様とお人形たち。
当時としてはモダーンな、チューリップ模様のティーセットを誕生祝にもらったのでは?

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長崎の松浦家のお姫様が、興しいれのときに持ってこられた上等なお雛様。
確か、そうだったように記憶しているが、違っているかもしれない。
何しろ、押すな押すなの盛況で、ゆっくりと見られないコーナーもあったからだ。

この雛の吊るし飾りは、長らく忘れかけていた古きよき風習を婦人会の方たちが、
10数年前に復元させたもので、今では中学校の授業の一環としてもで受け継いでいるという。

春風の吹く伊豆の小さな町で、
母から娘へ、娘から孫へと伝わるとてもいいものを見せてもらった。
私たち姉妹は、幸せな気持ちで何度も微笑みあった。

続・弘美ちゃんの花

おとといの夜中の生ぬるい風と、昨日の暖かさで、
飼っている魚たちの動きが急に活発になった。

庭には大きめの鰭長鯉とコメットの水槽、中ぐらいの朱文金と鰭長鯉、コメット、和金の甕、
緋目高の大鉢、目高の赤ちゃんの鉢と、4つの水場がある。
下の庭に池があったときは全部同居していたのだが、
こうしてグループ分けをするとよく観察ができて面白いものだ。

容器の大きさにも関係するが、水温の上昇にもっとも敏感に反応するのは目高たちだ。
今年になって氷が何度か張ったが、寒い朝は水草の中に固まって隠れ、動く気配もない。
昨日はまぁ、嬉しそうに動き回って、いかにも楽しげに見えた。

こう温度が上がると、室内に活けてある花も傷みやすい。
2月8日にアップした弘美ちゃんから届いた花はどうだろうか。
毎日水を取り替え、茎の先端の空中切りをしていただけで、
1週間たった今でもこんなに見事に咲いている。

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首をうなだれて咲くアプリコット色のチューリップは「卒業」。
その代わりに渋いオレンジ色のモハラ(だったかな?)をプラスした。


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今年は緑色の花が流行りだそうだが、ミステリアスだけでなく葉の色と同じなので、
ごく自然に隣り合わせの花とも調和している。
手前のグリーンの花はラナンキュラス。右奥の緑の花はスイート・ウイリアムズ(だと思う)。
妖艶なダークパープルのヒヤシンス・・・・、言葉では表せないぐらいなんと魅力的なのだろう。

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ボタニカルアートから抜け出してきたような、ラナンキュラスの花。
初夏の庭を彩る薔薇のレダにも雰囲気が似ているような気がしたが、
やはりそれぞれに違う個性がすばらしい。

林芙美子は「花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき」といった。
しかし、ここに咲いている花たちの命は長く、楽しげに見えてならない。

*今日から、妹たちと伊豆へ旅行してきます。
  明日はお休み。明後日の土産話をお楽しみに。

またまた鯖の燻製

我ながらあきれることがある。
何か思い立ったら、納得するまでかなりこだわって、
ひとつの事を続けるヘキがあるのだ。

今日のこだわりは、2月9日に作った鯖の燻製がどうも凝り過ぎた味で気に入らない。
作ってすぐはおいしかったような気がしたが、冷めてからはハーブのにおいがしつっこかった。

どうしてもやり直しをして、少しでも満足がいくようにしたい。
よくよく考えたらいじり過ぎたばかりに失敗したのだから、
桜のチップだけでシンプルにいってみよう。

それにコンパクトでこんなにすてきなスモーカーがあるのに、使わない手はない。


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10数年前に買った、魚などの細長い素材に適したオーバル型の卓上スモーカー。
遠赤外線の効果でおいしくできるのが特徴だそうだ。


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ノ近くのスーパーで求めた、ノルウェイ産の鯖のフィレ。
ひと塩のちょうどよい塩梅の切り身を、水分を吸い取る効果がある「ぴちっとシート」に入れて売っていた。
下ごしらえはこれで100店満点。

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スモークする時間は20分。煙は上の写真のように線香の煙ぐらいに。
皮にうっすらと色がついたところで火を止め、ふたをしたまま30分放置してみた。
この前は作ってすぐにナイフを入れたからか、身が崩れてうまくいかなかったが、
今回は2日ほど常温でなじませたら、身が締まっていたのできれいに切れた。
それにスモークもマイルドになって、味わいが深くなっている。

何より嬉しかったのは、一口食べた夫が、
「うーん、イスラエルの味じゃないか。美味しいよ」と、ほめてくれたことだ。

やはり、ハーブの使い過ぎと時間を置かなかったのが原因だったのだ。
張り切りすぎを、反省、反省。

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薔薇のような芍薬

春を待つ今頃の季節、庭の草花はまだひっそりとしている。
目立ったところでは、ニオイスミレが3~4輪ほど咲き始め、
ヒヤシンスとムスカリの花頭が青紫に染まっているだけぐらいだろうか。

こんなとき、家の中にやさしい色の花があると、癒されるような幸せな気分になるものだ。


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玄関を入ったフォファイエに飾ってあるのは、籠に入れたドライフラワーだ。
ほとんどの来客が「まぁ、きれいな薔薇のドライフラワー・・・」と褒めてくれるが、
今まで誰もこの花を芍薬と当てた人はいなかった。


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ピンクと白の芍薬をガラスの花器に20本ほど活けたのは、お正月のときだった。
居間にいる人の目に付くように、2階へ続く階段の踊り場に、どーんと飾ったのが、
なんとも豪華で素晴らしかった。
室内が乾燥しているせいだろうか。
花が終わっても、咲いていたときの姿で花びらは軸についたままだ。
なんと美しいのだろう。
うつろっていくあえかな色を眺めているだけでも、気持ちがほぐれるような気がする。


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1月24日のブログで紹介した、リバティーの布でいたずらした花を置き合わせてみた。


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うーん、なくもがな、かな?
自然の色やテクスチャーは、どんなものにも優ることがよくわかった。


千葉の飾り巻き寿司

次男夫婦は、千葉県の山の中に住んでいる。
どのくらい山の中かというと、
一番近い駅までは20キロ(だったかな、たぶん)ほどあり、
最寄の駅は「道の駅」だという。

昨日、その「道の駅」で、こんな買い物をした。
テレビで見たことがある、房総半島に伝わる伝統料理の、
「飾り巻き寿司」がパック入りで並んでいたのだ。
かわいい桜の花、桃太郎に似合いそうな形の桃の果実、
かたつむり、お猿(?)などの絵模様入りの巻き寿司が、4個入りで370円なり。

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よく見ると図案を構成しているパーツのひとつひとつをのりで巻き、
すだれの上で正確に具材を組み立てて、
最後に太巻きの要領でのりで巻いてある。
これを切っていくと、金太郎飴のように同じ模様が出てくる仕掛けだ。
思わず「難しそう・・・・」とつぶやいたら、隣にいた私と同年代らしい奥さんが、
「なあに覚えるとできますよ。私は10ぐらいレパートリーがあって、
アンパンマンやドラエモンが得意なの」と、話しかけてきた。
驚いたことに、
「オバマの顔を作った人もいるの。面白いものよ」

昔は冠婚葬祭のたびに、この飾り巻き寿司で接待したそうな。
今日のお昼は、この寿司をいただいた。
きれいなおもちゃみたいな食べ物とあまり期待していなかったのに、
何の何の美味ではないか。

「冷めても美味しく、見た目もきれいで、日持ちもよい」

なるほど。弁当の三つの条件をクリアしている。
だからこそ、今に続いているのだろう。

和風ハーブの春一番

昨年までは、
今頃なら下の庭でフキノトウがぽこぽこ顔を出しているはずだった。
ところが長男の家を建てるために、すべての緑を失ってしまった。

後遺症は思っていたよりも重く、
今頃はプラムのつぼみがつき始める時分・・・・と思い出したり、、
月桂樹の花が咲いている夢を見たり・・・、
まだまだ、傷口が乾いていないようだ。

しかし、残っている上の庭で、昨日嬉しい発見をした。
まだ枯れ草状態の植木鉢の中から、春のしるしが顔を出していたのだ。

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庭の引越しもばたばたとして、
どこに何を移動させたか覚えてないほど、あわただしかった。

そうか、蕗はこの隅に置いた大きな植木鉢に移しておいたのだった。

今はまだごちゃごちゃしたままだが、
今年の庭仕事のテーマは、リニューアルだ。
日当たりも悪くなり、半分になってしまった庭を、
いかに気持ちのよい庭に作りなおすかが、大きな課題だ。
よく考えてソーニングをして、しかるべきところに蕗を収めよう。

春一番の和風ハーブだけれど、
今はもったいなくて使う気分にはなれない。


桜 咲いた 咲いた・・・・

働き盛りの人たちには、
季節の移り変わりに気づくゆとりなどないのかもしれない。

今日行った美容院のヘアードレッサーは、
「へえ、梅の花って今咲いているんですか。桜はまだまだだってわかるけどなア」

その桜の花が、家の前の公園でもう5分咲きになっている。
もちろんソメイヨシノではない。
1月24日のブログに「ほころび始めた・・・」と記したように、
河津桜がこの2~3日でピンクの色の濃さを増してきた。
まあ、写真をどうぞ。

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散歩の途中に足を止めて、しみじみと眺めている人もいれば、
しゃがんで桜を見上げ、カメラを向けている人、
オートバイに乗ったままで、パンをかじりながら見ている人もいた。
車庫の掃除をしていたら、
ホームのワゴン車で連れてきてもらった、お年寄りたちの嬉しそうな顔が見えた。
桜を指差しながら、乳母車の赤ちゃんに話しかけている若いママの声がやさしい。

花は自分のために咲くのに、
人々の心にも花を咲かせる不思議な力をも秘めている。

今度は鯖の燻製

B型は凝り性だという。
血液型など信用しないことにしているが、この点だけは当っているかもしれない。
B型の私は、今、燻製に凝っている。

ベーコンは自己流で大体マスターしたので、次のステップの魚介系へ


以前、イスラエルのホテルで、朝食に出た鯖の燻製の美味しさが衝撃的だった。いつか再現したいと思っていたので、試してみることにした。

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切り身として売っている鯖は、だいたい一塩で半乾き状態だ。これはたへんありがたい。
三枚におろす手間も、塩で身を締め、風に当てて乾かす工程も済んでいることになる。
というわけで、すぐにスモークというのも簡単すぎるので、せっかくだからエルブ・ド・プロヴァンスをまぶして生臭みを消すことにした。


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一晩置いて、簡易スモーカーへ。これは蓋が何処かへ行ってしまった裾すぼまりの鍋に、ちょうど合う網をはめたもので、鍋底に桜のチップとローズマリーの小枝を入れ、IHにのせたところ。
最初の5~6秒間は温度を中に合わせて煙を出し、その後は弱に。

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鍋を逆さにしてかぶせ、煙を線香ぐらいに調節して、スモークする。
鍋には空気調節のベンチレーターが無いため、小枝などを間にはさんで隙間を作るとよい。

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途中2~3回中の様子をチェックしながら、2時間ほどスモークしたら、火を止めて3時間ほど空気に当てて、熱とくせを取る。
付け合せのサラダには、きゅうりと玉葱のディル風味ソースがよく合った。

弘美ちゃんの花

チャイムが鳴った。
この時間なら、黒い猫が何かをくわえて、ドアの外にいるはず。
「お花のお届けものですよ」
案の定、ヤマトさんが大きな箱を抱えていた。

差出人は弘美ちゃんだ。

期待に胸を弾ませながら開けてみると、
ワザと皺を寄せた蝋紙に、ナチュラルな数色のラフィアで結んだリボンが見える。
ラッピングを外したとたん、アプリコット色のチューリップがこぼれ出て、
レモン色の粒々をつけたミモザの枝は、しなやかに揺れている。
緑色のラナンキュラス、真珠色のワイルドスイトーピー、クリーム色のキルタンサス、
純白とペイルブルー、濃艶な赤紫のヒヤシンス、バラのようなラナンキュラス、
絵に描いたみたいなイングりッシュローズ、きれいなピンクのソサエティガーリック、
小さな手のひらの形の葉を持つフユイチゴ、
切花用の茎の長いワスレナグサ、白にマゼンタのブロッチが入ったチューリップ、
エメラルドグリーンのヒゲナデシコ、ぷっくりと膨らんだほっぺが愛らしいマンテマ・・・・。

水揚げをしながら、花材を一本一本確かめているうちに、
微笑みながら春を待つ気持ちが、たかぶってきた。
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コンランのジャグニ活けて、何枚もシャッターを切ったのに、
残念なことにこの写真のほかは失敗してしまった。
しかし、何と雰囲気のある花束だろう。

実は弘美ちゃんは、フラワーアーチストなのだ。
彼女が近所の花屋さんで働いていたときに、
センスと技術が卓越していることを知り、何かと応援していた。
その一つは、夫がお見合い写真を撮ってあげたことだった。

うちへ寄ったときの普段着のままでノーメイクの写真が、彼女の運命を変えた。
この前の電話では、息子さんが今度3年生になるとのこと。

弘美ちゃんから届いた花は、
彼女の幸せな近況を物語っているようで、
今日もうれしく眺めている。

怪しい家 ②

気懸かりながらも、
あれからなかなか国道246を通る機会がなかった。
昨日、ようやく行きと帰りに、例の怪しい家を車窓から撮影することができた。

断っておくが、第一印象が不思議な感じの家だったので、このタイトルにした。
しかし、後で説明するように正体が判明してみると、
かえってお洒落な家といったほうがぴったりするようだ。
とりあえず、1月22日にアップした記事とすり合わせが出来るように、
家の概観を撮影してきた。

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246を渋谷方面ヘ向かって有馬病院入り口の信号を過ぎると、
蕎麦屋の増田屋がある。右側の運転をしている人は夫。

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駐車場の先の壁面に、ぺたっと何かが張り付いている。
これはアイビーのようだ。


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この家が、怪しい家、改め、お洒落な店の indigo。
この3カットは三田へ行く途中に撮影。走っている車なので、ファインダーを覗けない。
いずれもカンでシャッターを切ったもの。

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ここからは帰路に撮影した3カット。
今度は被写体が道路に面しているので距離は近いが、
車の流れがスピードを出して走っているために、速度を落とせない。
今回もファインダーを覗かずにシャッターを切った。
この家には窓が一つもない。よく見るとペンキの剥げかかった壁に、
かすれた手書きの文字で、JAZZと読めた。
しかし、走っている時は、認識ができない。

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LAZZはわかったが、まさかここでライブがあるとは誰も思わないだろう。
窓が無いのは、音が外へ漏れないため、
つまり防音対策ということが後になって判明した。


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古色蒼然とした壁面に取り付いて、
妙に生き生きと這い登るゴールデンの斑入りのアイビー。
もう機能していないネオンには、「パンドラ」という字がかすかに残っていた。
ギリシャ神話に由来するゆうめいな言葉に、
「パンドラの箱」あるいは「パンドラの壷」がある。
これは「けっして開けてはいけないもの」「災いを呼ぶもの」を意味する。
偶然とはいえ、あまりにもぴったりと合いすぎる。
窓の無い家の、しかもパンドラのドアを開けるには、かなりの勇気がいるものだ。

次回は、パンドラの中へ入った話を書く予定。お楽しみに。


ドンゴロスの巨大な封筒で

出かけていて帰宅したら、玄関のドアの前になにやら見慣れないものが立てかけてあった。

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近寄ってみると、ドンゴロス(粗い麻布)で作った大きな封筒の形をした小荷物である。

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ウーン、只者ではない、このセンス・・・
ピントが悪くて見えにくいが、麻布を接ぐため無造作に使っているリボンのような布は、リバティーのタナローンなのだ。


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中を開けてみよう。ひもをほどいてのぞきこむと、
唇の形にあいた袋の中には、サルナシの小枝が一杯詰められている。

「あぁ、やっぱりミーシャさんからだわ」
彼女が書いている「八ヶ岳南麓より」 のブログを、私はいつも楽しみにしている。
先日の日記に、サルナシが生い茂って処置無しといった状態のことを書いていたので、
「バスケットを編みたいので、おひまなときにでも送っていただけませんか」と、電話をしたのだった。
でも、こんなに早く着くとは思っていなかったので、驚いている。

サルナシのバスケットができたら、
このブログで紹介しよう。乞うご期待



コブミカンの葉とカりーリーブス

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高知のまるふく農園からのお土産は、
スプーンのほかにトロピカルな香りの葉っぱもあった。
「もしかして、これは?」と聞くと、
「そうなんです。前に広田さんからいただいた、
コブミカンとカリーリーフの苗が大きくなりまして・・・」

私の家へ里帰りした南の国のハーブたちは、
みどりの色も生き生きとして、元気そのものだ。
写真左上の翼を広げたような2枚の葉は、
タイ料理に欠かせないバイマックルー(コブミカン)といい、
強い柑橘系の香りがある。
トムヤムクンや炒めもの、魚介類のスープなどに加えると、
いかにもタイ風になるから不思議なものだ。
使うときは葉の真ん中に通っている葉脈を剥がすこと。
こうすればよりいっそう強い香りになる。

サンショウの葉に似た枝は、英語でカリーリーブス、
インドではカリパタ、スリランカではカルピンチャという。
ムンバイがまだボンベイだった頃、友人の家に滞在していたことがあった。
カリパタはインド人の台所の必需品らしく、
市場や道端でレモングラスとともに買っていく人が多かった。
スリランカでも、ホテルのビュッフェのテーブルでよく見かけたので、
料理にもかなり入っていたのだろう。

あるハーブの本に、カリーリーブスはカレーの香りがするので
これをカレーの調理に使うとあった。
カリーリーブスの葉は、指で揉んでも葉を千切っても、カレーの匂いなんてしない。
表現が難しいのだが青くさいというか豆に似たような香りがする。
コブミカンの葉は近頃入手がスムーズになったが、カリーリーブスはむずかしい。
料理のテストをしてみたくても、実物がないのでままならなかった。
これからは育ての親のまるふく農園にお願いして、
産みの(ちょっと違うが)親に送ってもらい、
カリーリーブスを使いこなせるように勉強たいものだ。

夫には、こくまろカレーを作って・・・・。(* 1月29日参照)



土鍋でオニグラ

この頃、いい年の人でもオニオン・グラタン・スープを
オニグラと略していう人が多い。
若い人たちが二子玉川をニコタマ、
下北沢をシモキタと呼ぶのと同じような感じなのだろう。

オニグラといえば、ファミリーレストラン「デニーズ」が美味しい。
たしか400円ぐらいだったと思うが、作り方を想像してみた。
とび色に炒めた玉ねぎをスープで延ばし、塩と胡椒で調味する。
こんがり焼いたフランスパンにチーズをのせ、スープに浮かべる。
200度のオーヴンで熱し、チーズに焼き色がついたら、できあがりだ・・・・。
この店では、熱々のスープを、オリーブ色の深めの専用カップで運んでくる。
しかし悲しいかな、量が少ない。
そして、いつも思うことは、「自分で作るしかないわね」だった。

ちょうどいい。1月23日に記した炒め玉ねぎのストックがある。
今夜こそ、たっぷりとオニグラを食べよう。
肝心の容器だが、小鍋立て用の小さな土鍋にしてみた。
これならオーヴンに入れても大丈夫だし、一人一鍋だからそれこそたっぷりの量だ。

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土鍋では少々ムードがないかなぁ。
写真を撮るのにぐずぐずしていたら、グリュエールチーズが冷めてしまい、餅みたいに見える。
だが、味は上々。
炊き立ての魚沼のコシヒカリのご飯もあったのに、オニグラだけでもう満腹。

ご馳走さまでした!!!

浅間山の灰

日曜の朝のことだった。
広間から庭へ出ると、右側にアカンサスが葉を広げている。
いつもはつやつやとした深緑色の葉なのに、どこかおかしい。
何となく白っぽく見えるのだ。
近寄ってよくよく見ると、粉よりはもっと大きく精製塩よりはもっと微細なグレーの粉末が、
のっている。
「なに,これ?」
いぶかしがっているところへ、朝のニュースが聞こえてきた。
「えっまさか。浅間山が噴火したんですって?」
それならこの白い粉は長野県から飛んできたのだ。

テレビの報道では、千葉県の木更津あたりでも灰が確認されているという。
軽井沢には友人知人が多いが、真っ先に頭に浮かんだのは、
薔薇研究家の大野耕生さんが情熱を注いで製作中の、「軽井沢レイクガーデン」のことだった。
浅間山のすぐ近くにあるこのガーデンは、園路やガゼボ、パーゴラなどから
あふれるばかりのイングリッシュローズが咲き競う、夢のような庭園だ。
降灰のダメージは大丈夫だったかしら。
株全体が雪の中に入って入れば、傷みは少ないけれど油断は禁物。

NHKの「趣味の園芸」で多くのファンを持つ彼とは、西武ドームの「国際薔薇とガーデニングショウ」や銀座松屋で開催されていた恒例の「趣味の園芸フェステイバル」で一緒に仕事をしたことがある。
また、岐阜の花フェスタ記念公園でも、コラボレイトしている。
父上の薫陶を受けた彼はたいへん研究熱心で礼儀正しく、よく体を動かしてさまざまな栽培法やデザインのスキルアップにチャレンジするハンサム青年だ。

浅間山は、ここのところ不気味に静まりかえっている。
何事もない様にと、ただ祈るばかりだ。

芳樟のスプーン第一号

昨日は、賑やかな一日だった。

私の単行本担当者のHさんが、湘南からの帰り道に寄ってくださり、
久しぶりで積もる話に花を咲かせていると、飛び入りで長男の家族四人が来宅。 
夕方には遠路はるばると高知から、素適な二人のお客様があった。

さて、高知から訪ねてくださったのは、
「アットイーズまるふく農園」の奥様、楠瀬朝子さんとお嬢さん。
ご主人と息子さんが市内でハーブ園を経営し、
朝子さんはハーブ料理教室を開いている、ハーバルファミリーだ。
それにしても、今まで聞いたこともない変わった店名ではないか。あらためてうかがうと、
「At easeとは英語で、「ごゆっくりどうぞ」という意味で、まるふくは屋号です。
どちらも、穏かで幸せなひと時を味わっていただけたらと思って、名付けたんですよ」

ハーブのご縁で楠瀬御夫妻と知り合って以来、何度となく土佐の高知を訪れる機会に恵まれた。
そのたびに感じるのは、みんなどうしてこんなに仲がよいのだろうと、羨らやましくなる。
もちろん、楠瀬御夫妻の暖かなお人柄によるものだが、
ハーブという摩訶不思議な磁石に吸い付けられるように人々が集まってくるのかもしれない。

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「今日は、この前送っていただいた芳樟の樹で作ったスプーンを、
主人からことづかってきました」
居住まいを正して、朝子さんがおもむろに取り出したのは、
出来立てのほやほやのスプーンだった。
昨年の12月25日に記したように、
香料植物の芳樟を伐って出た枝を「まるふく農園」へ送ったところ、
スプーンになって里帰りをしたというわけである。
「主人はこの第一号を、せい子先生にぜひ「捧げたい」といっています。
どうぞお使いになってくださいね」と、朝子さん。

わぁ、うれしい!!! 思わず両手にいただいて香りを嗅ぐと、
かすかにレモンに似た香りがする。
見事にカーブを描いたスプーンはフォルムとして美しいばかりでなく、実に使いやすそうだ。
持ち手のところだけ樹皮を残してあるのは、アクセントと同時に、
おそらく手が滑らないようにという配慮に違いない。
ご主人は「なあに素人の手慰みですから」と謙遜なさるが、
農園の大きな月桂樹で、ご主人はこれまで数多くのクラフト作品を生み出してきている。
昨年は「夢のかけ箸大賞」を受賞されたと聞いた。

わが家の下の庭へ降りる途中に、マートル(銀梅花)のかなり大きな樹があった。
しかし、長男の家を新築するために、ほとんど枝を下ろしてしまった。
「今度はこのマートルをお送りして、何かに利用していただこうかナ」
もはやアマチュアではないご主人は、マートルの樹で何を作られるか、今から楽しみでならない。


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昨日、こんなこともあろうかと、キッシュとチーズケーキに加えて、
リンゴのお菓子のタルトタタンも焼いておいてよかった。
昨年の12月10日に記した、ピンクレディーをつかってみたが、このりんごはすばらしい。
皮を剥かずに調理すると、やさしいピンク色のケーキになり、
程よい酸味と、火を通しても崩れない果肉、今までにない香りで、このお菓子には最適だ。

大人数の場合、お菓子類などは大きなままでテーブルにセットしておくと、
セルフサービスで遠慮なく切り分けてもらえるし、雰囲気が和んでうれしいものだ。

朝からスモークしていたベーコンが、夕方になってちょうど仕上がったのでお土産に差し上げた。
お口に合えばよいのだが・・・・。

イースターエッグの副産物

面白くて面白くて、
今日もイースターエッグ作りにはまり込んでしまった。
きれいに完成したのはいいけれど、
気がついたら溶き卵が15個分もボウルのなかに残っている。
さて、どうしたものか。
大きな茶碗蒸しにしても使う数はたかが知れているし、
それよりも夫が出張中だから作っておいても温めなおしになる。
プリンもいいが、牛乳を買いに行くのが面倒だ。
すると、突然電話が入り、午後から二組の来客があることになった。

それなら、ベイクドチーズケーキとキッシュはどうだろう。
よし、これにきめた。

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寒い日にオーブンを使うのは、気持ちがいい。
まずは、チーズケーキの出来上がり!
焼き色も美味しそうで、まぁまぁの出来かナと、味を見てみたら、
卵が多すぎたのか重たい感じがする。

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おまけに砂糖を意識して減らしたので、はっきりいって美味しくない。
これはたいへんだ。
ニュージランドのマヌカハニーに、柚子を漬け込んだシロップが合うかも知れない。
取って置きのリンゴのジェリーもトッピングに使えば何とかなりそう・・・・。

次は、パイレックスの長方形の大皿にキッシュを作る。
① まず、パイシートを敷く。
② 次に、タマネギ、ベーコン、レンコン、サッとゆでておいたホウレンソウを炒めて、
  塩、コショウ、ナツメッグで調味する。
  小さな専用のおろし金でナツメッグを削りおろしているとき、
  ちょっと「通」みたいに鼻が高くなるのは、私だけかしら。
③ ボウルに卵と生クリームを入れてよく混ぜ合わせ、具材も加えて軽く混ぜる。
④ ①に③を流し入れて、削ったグリュエールチーズをたっぷり散らす。
⑤ 180度の天日で20~30分焼いて、出来上がり。

うーん、これはおいしくできた。
自家製ベーコンの香ばしさと、
隠し味に入れたレンコンのシャリシャリ感が実にわが家風だ。

オーブンの調子もだんだんよくなってきた。
もう一つおまけに、タタンタルトでも焼こうかナ。

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