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HOME:広田せい子のハーブガーデン

ニオイアラセイトウの花二輪



カレンダーが、今日の1枚だけになった。

思い返してみると、
この1年間一日も休まずこの日記を書き続けたことは、
私にとって生まれて初めての快挙である。

何事にも徹底して熱中するタイプの私は、
いつも何か新しいものに向かって、つき進んできていた。
だから、机に向かってこまごまと書き続けることより、
また新しい目的に向かって試行錯誤を続けることに、
喜びを見出していた。
ところが、ブログを書き始めてみると、
ハーブに限らず、何でも素材に見えてくる。

この素材はどんなふうに料理したら面白いか、
それには不明な点を、調べなくては・・・。
これを書いて、誰かに迷惑はかからないか、などなど
考えて書き綴った1年だった。

おかげで、季節の移り変わりがはっきりと見えてきたし、
イレギュラーなこと、アンユージュアルなことにも気づくのが早くなった。
さて、来年はどんな年になるだろうか。
気張らすに、無理をせずに、楽しみながら、書いていこうと思う。

明日は新しい年の始まり。
年賀状を見てから、千葉の次男の家へ出かける予定だ。
森の中にある次男の住まいは、まことに気持ちがよく、
ファミリーが集ってお正月を過ごすのに、ぴったりなのだ。
孫たちは犬のユンタと、猫のシャオちゃんと遊ぶのを楽しみにしている。
家事はお嫁さんたちに任せて、
私はストーブのそばでパッチワークでもしようかな。

今日はいかにも冬らしく、風が強い。
それでも、庭の落ち葉の下から、
もうニオイアラセイトウの花が2輪顔を見せている。

来年もどうぞよい年でありますように。

オキナワスズメウリ



「小さな瓜たち」と題して、
友人からもらったオキナワスズメウリについて、
11月26日のブログに記したことがあった。
直径1・5~2Cmほどのころんとした真ん丸い果実が、
細いつるに4個ずつついている愛らしい瓜だ。

くるくるとまとめてリースを作り、飾っておいたら、
1個だけそれはそれはきれいな真紅色に変化した。
これをみたら、子供でなくてもどんな味がするのか試してみたいところだ。
私もすぐに口にしてみるタイプだが、これはまだ食べていない。
この瓜には毒があるらしいと、友人から聞いたからだ。




前回、このオキナワスズメウリについてあまり情報がないことを記したら、二人の方から御連絡をいただいた。
一人は、沖縄在住のハーブに詳しい翁長さん。

「太陽の贈りもの 琉球弧 野山の花」監修/大野照好 南方新社
の中から、書き写してくださった。




もう一人は、私のクラスの元受講生の猪熊さん。
沖縄出身で、御主人と富山市にお住まいだが、
RHSJ・キッチンガーデンクラブの熱心な会員でもある。
彼女は、「沖縄植物野外活用図鑑」 池原直樹著
からコピーを取って送ってくれた。

お二人とも、どうもありがとう。
いつも思っているのだが、植物を介して和の輪が広がっていくのが嬉しい。

オキナワスズメウリについてはどちらもだいたい同じ解説で、
方言名はヤマゴーヤー。
学名が小学館の園芸植物大事典と違って、Diplocyclos palmatus.
石灰地帯に多く見られるつる性の1年草。ヤブや林縁などに自生。
夏に咲く花は白色で小さく、秋に鮮やかな真紅の果実をつける。
どちらにも毒になるということは書いてなかった。
めでたし、めでたし。

種子を採って、来年はぜひ植えてみたい。

12月30日の、おすすめテレビ

日本庭園は素敵だけど、何だか難しそう」と思っている方に、
明日の夜9時からぜひお勧めのテレビがある。
御節を作る手を止めて、一休みしながら見てはどうだろう。

現代から遡ること、はるか飛鳥時代まで、
1400年の歴史を持つといわれている日本庭園・
・・。
その魅力や見所をたった44分で、すべてが分るように解説したのが、
趣味の園芸放送40年記念「日本庭園 技と美を楽しむ」だ。
「趣味の園芸」司会者の、柳生真吾さんと宮本愛子さんが
京都造形芸術大学の仲谷裕先生をゲストに迎え、話を伺う。

NHK教育テレビ 2007年12月30日(日)21:00~21:44
         2008年 1月5日(土) 15:00~15:44

ぜひ、お楽しみに。
 

オレンジ色の柚子胡椒



食卓を明るくしてくれる調味料がある。
それは、オレンジ色の柚子胡椒だ。

一般的に作られている柚子胡椒は、
青唐辛子と青柚子の組み合わせで、渋いグリーンに仕上がる。
この頃は、大手メーカーも売り出し始めたが、
緑色の柚子胡椒を最初に味わったのは、20数年前、
大分県の「由布院玉の湯」だった。
この地方に伝わる、
柚子の香りのピリッと辛い塩味調味料は何にでも合い、
上品で刺激的なテイストで、食欲をそそる。
あれ以来わが家の必需品になったが、
紅い唐辛子と熟した柚子で作ると、
また違った趣きの調味料になる。

お正月に使うために、柚子の香りに包まれて作ってみた。




材料:柚子5個、唐辛子(肉厚の生の唐辛子。出来上がりの辛さに合わせて、種類と分量を加減する)、塩(出来たら、上質の天然塩)、
日本酒適宜。




唐辛子の種子を除く。種子の部分が辛いので、好みの辛さはこれで調節するとよい。
皮膚炎防止のために、ゴム手袋を必ずはめること。




ミキサーでまんべんなく攪拌できるように、柚子の皮の部分をへぎ取り、細く刻む。唐辛子も同様に粗く刻んでおく。柚子:唐辛子:塩の分量は、大まかな目安で 5:4:1 ぐらい。




ミキサーに柚子と唐辛子、塩、柚子の絞り汁と日本酒各大匙2を入れ、攪拌する。滑らかにせず、少し粒々感があるところでスイッチを切る。




こんなにきれいな、オレンジ色の柚子胡椒が完成!




清潔な容器に詰めて、冷蔵庫で保存する。出来るだけ小さな容器に小分けしておくと、早く使い切るので味が変わらない。冷凍にも適している。

さぁ、これさえあれば百人力!
ステーキをはじめ、刺身、焼き魚、お茶漬け、湯豆腐のほかいろいろな鍋物、漬物、納豆、バターと混ぜてトーストにつけたり、ドレッシングの隠し味などにもってこいなのだ。

♪早く、来い来い、お正月 ♪♪♪

おはじきの花



大掃除をしていると、懐かしいいろいろな物が出てくる。
パソコン用に使っている、古い机の引き出しから見つけたのは、
ガラスのおはじきだ。
掌ですくい取ると、ちゃりちゃりと涼しげな音がする。

幼い頃に遊んだ記憶がよみがえり、
掃除の手を休めて、いつの間にかおはじきで遊び始めてしまった。

右手で全部のおはじきを握り込み、勢いをつけてぱっとぶつけるように開く。
畳の上にぱらっと広がったおはじき2個の間を、触らぬように小指で線を引く。次に親指で弾いて反対側のおはじきにぶっつけ・・・・。

きりがないのでこのへんにしておくが、
おはじきの冷たい感触とガラスのすれる音が、たまらなく懐かしい。

そうだ、長男がはいはいを始めた頃、
拾って口に入れると危険なので、
あれ以来、引き出しの奥に封印してしまったのだった。

ガラス戸越しに冬枯れの庭が寂しげに見える。
花のつもりで飾ってみたら、なにやら楽しい雰囲気になった。
ビー玉もあったはずだから、探してここに加えてみよう。

もうおはじきをなめる子供はいないから、大丈夫。

あの疾風怒濤の子育て時代・・・・。
毎日がサプライズの連続で、何と張り合いがあったことだろう。
おはじきの音を聴いていたら、
いつの間にか、白昼夢を見たような・・・。

金色のちひさき鳥




イチョウは日の光を受けると、さらに美しい。
朝日を背負ったイチョウは神々しく、
夕日を受けたイチョウの樹は、神秘的な感じさえする。

金色のちひさき鳥の形して
いてふ散るなり 夕日の丘に

与謝野晶子のこの歌は、
そのまま頭の中のスクリーンに投影するだけでよい。
輝くようなイチョウの樹、鳥の形をした金箔のような葉が、
夕映えの中をきらきらと舞いながら散っていく様が、
目の前に見えるようだ。

彼女の生き方といい、作風といい、情熱の歌人というイメージが強いだけに、
こうした透明感のあふれた情景描写は、かえって強く心に残る。

ところで、私は、これまでKINIRONOとおぼえていた。
国語の教科書には、KONJIKINO とある。
おそらく教科書に載っているのが、正しいと思われるが、
KINIRONO には、シャープな金属性の響き、
KONJIKINO には荘重なフィーリングが感じられて、
つくづく言葉は面白いと思う。


今年のイチョウは、落葉が遅い。
ほかの街路樹はもうすっかり裸になっているというのに、
イチョウだけは、金色の衣をまとってまだまだ輝いていた。




東名川崎料金所入り口近くで、朝日を浴びたイチョウの街路樹。




東名用賀料金所近くにある、砧公園にもまだ金色の葉をつけたイチョウの大木が。




都内大塚駅にほど近い、仏法山西信寺門前のイチョウ。

カラスノカラス



我が家の前にある大きな公園には、桜と欅の並木道がある。
木枯らしが吹いた翌朝、すっかり葉の落ちた欅の梢に、
茶色の怪しげな塊が現れた。

前々から欅の梢近くに枝が差し交わした辺りで、
カラスが群れたり、バトルを繰り返していたので、
巣があるのでは?と、想像はしていた。

それはカラスの空巣だった。
直径50センチはありそうな球形で、けっこう大きい。
遠くからでははっきり見えないが、巣が茶色なのは主材料に、木の枝や葉っぱなどを使っているのだろうか。
夫が都内で見たカラスの巣は、クリーニング屋がくれる
針金のハンガーでできたカラフル・ネストで、
烏の技とは思えないアートだったという。

たしかにカラスの知能指数は高いらしく、
テレビのCM で見た、車に木の実を轢かせるカラスの話は、
ヤラセではなく実際にあった例だそうだ。
公園にはこれまで3箇所にカラスの巣があったが、
アスナロのかなり低いところにかけた巣は、
誰かが壊してしまった。
もう1本の欅のトップに作った巣は、棒も届かない高さで無事だった。
しかし、かなりナーバスになっていたのか、
やかましい鳴き声が顰蹙を買っていた。

カラスの空き巣は、使いきりかと思っていたら、
下調べのように数羽のカラスが出たり入ったりしている。
もしかしたら、カラスの世界にも「カラス不動産」とか「かぁかぁ地所」
などがあって、空き巣の斡旋業をしているのかもしれない。
春に結婚をするとしたら、出産、育児のためにもマイホ-ムハは必須条件だ。
なるほど、逆算すると物件めぐりの時期に当る。

食堂の窓の外に見えるカラスの空巣をみていると、退屈がしない。
青葉若葉で巣が見えなくなるまで、
これからどんなドラマが展開されるだろうか。

ハーブの芽生え・いろいろ

「冬枯れのハーブガーデンは、死んだように眠っている」
などと書くと、いかにもロマンチックな描写だ。
ところが、死ぬどころか寒さに強いハーブはかなり多く、
新しい命がすでに生まれている。

庭のあちこちを、注意深く観察してみよう。
こぼれ種子から芽生えた小さな命を、いくつも見つけることが出来る。
大掃除の勢いで、
除草鎌で庭もすっきりとしたい気持ちはわかるが、こんな芽生えもある。




ジャーマン・カモミール。
中央左下の、ほっそりとした葉がもじゃもじゃと生えている株が本命で、
周囲にある*印のような芽は、似ているようでも違うツメクサの仲間。

カモミールの種子は細かくて軽いので、靴の底等に種が付着し、
意外なところに運ばれることがある。

カモミールの花言葉は「逆境のエネルギー」というが、
私はこの命名者の観察眼に拍手を送りたい。
というのは、肥料分の多い場所よりも、
空き地とか駐車場、ごろ石だらけなどの道端などで育った方が、
アブラムシも出ず、花つきもぐんとよいのだ。
これは窒素肥料が多いと花つきが悪くなることが多く、
葉が繁りすぎて害虫が出やすいことを意味している。
もしも芽生えを見つけた場合、その場で育ってもよいようなら、
そのままにしておくとよい。
手間要らずで丈夫に育ち、
その場にきっと新しい景色が生まれることだろう。
ハーブガーデンとかコンテナに定植するなら、早いうちにするとよい。
このぐらいに育っていれば、ポット上げも定植も大丈夫だ。




ロースマリーの生垣で丸く囲った一画に、
夏に収穫したコリアンダーの枯れ枝を捨てておいた。
これは計算づくのことで、ここにコリアンダーを植えたかったからだ。
コリアンダーを含むセリ科のハーブは、
真っ直ぐな根が多いために、移植を嫌う。
すなわち、直かまきが適しているので、
意図的にこの場所に種子をこぼしておいたら、うまく発芽。
セリのような葉がコリアンダーだ。

これからもぞっくりと発芽するので、間引き菜を利用しながら、
よい苗を残して大きくしよう。




こんなに小さくても、三つ葉ということがすぐに分る。
セリ科のハーブの中で、三つ葉ほどこぼれ種子で発芽しやすいものはない。
初夏に咲く上等なレースを思わせる白い花が終っても、そのままにしておくと、
あちこちから三つ葉の赤ちゃんが顔を出す。
これも移植するなら、小さなうちに根を切らないように注意して行うこと。
半日陰を好み、一度植えるとこぼれ種子のリレーで、
店から買わなくてもよくなるのが嬉しい。

このほかにも、雑草と思って大事な芽生えを抜いてしまわないように。
それには、何といっても日頃の観察が一番、一番・・・。

冬のフェンネル



「前の土手に、ウイキョウの花が咲いていますよ」
散歩で通りかかった初老の夫婦が、教えてくれた。

「本当に? こんな寒いのにねぇ。」
などといいながら、驚いた顔をしてみせたが、
黄色いパラソルのような散形花序、アニスに似た特徴のある甘い香りの
このフェンネル(和名はウイキョウ)は、12月の初めから咲きだしている。




フェンネルは生長すると高さ、株張り共に1・5~2m近くの大株になる。
庭では場所をとるため、家の前にある公園の土手に植えたのが10数年前のこと。
肥料も水も消毒も無しで、すくすくと育ち、
道行く人々のフェンネル供給源となって久しい。

ゲートボールに来る元美女軍団は、
「ウイキョウは体にいいのよ」などといって漢方に使うため、
小学生の男の子は、キアゲハの幼虫の餌に、
乳母車を押した若い奥さんは、サラダや魚料理用に枝を切っている。



フェンネルには、代表種の宿根草と、
肥大する柔らかい茎元を利用する?年草がある。
この硬い茎は宿根草だ。

それにしても、今日はクリスマスだというのに、
なぜ、6~8月頃の真夏に咲く花が、今頃咲いているのだろう。

これは私の憶測だが、
旧のお盆前に、市役所がこの土手一帯を電動のこぎりで清掃した。
ちょうどその頃は連日の猛暑に次ぐ猛暑だったから、
地上部を切ってしまったことが、かえってよかったのだ。
おかげで炎天下の焦熱地獄のような日々は、
エネルギーを浪費すること無しにぐっすりと休息し、
文字どおりほとぼりが冷めた秋の涼しさを、春と錯覚したのではないだろうか。




先日、暮れの前の清掃が行われた。
ふつうなら全部一斉にさっぱりと刈り取るのが簡単なのに、
業者の人たちは、このようにフェンネルだけは残してくれた。

これには訳がある。
以前から清掃のチェエンソーの音が聞こえてくると、麦茶やお茶菓子を出して、
「みんなが楽しみにしているので、ここだけは残してくれると嬉しいんですけど」と、
頼んでいたからだ。
申し送り事項になったのか、
この頃はたまたま外出した日でも、ちゃんと残してくれるようになった。

冬の陽射しを受けて花を開き、ふさふさとした葉を繁らせているフェンネル・・・。
この冬は、いろいろな料理にフレッシュが使えて、嬉しい。


二人で1個



「お茶ですよ」
夫が家にいるときは、1日に最低3~4回はお茶を飲んでいる。
まず起きて間もなく日本茶、朝食はパンと紅茶、
10時にはお茶菓子によって、ハーブティーや日本茶、番茶、中国茶などに変わり、
3時に紅茶というパターンだ。

二人とも紅茶が好きで、ミルクはまったく使わない。
ストレートかレモンが主だが、わが家ではレモンでなく庭で採れる四季橘を
用いている。

たしか「四季生りライム」という名前で、通販で苗を購入したように記憶している。
この果樹は「ほんとうに植えてよかった」部類に入る、わが家の必需品だ。
南に面した擁壁ぎりぎりのところに植えたら、
消毒は10年来一度もしたことがないのに病気も出ず、
可愛い金色の実が数え切れないほど実って、まるでイルミネーションのようにみえる。

四季橘の名前の通り、この果樹には春から秋にかけて次々と爽やかな芳香の花が咲き、
順繰りに実をつけていく。
果実の大きさはピンポン玉前後で、皮は薄い。

半分に切って絞ればジュースは意外に多く、香りと酸味はレモンによく似ている。
紅茶に入れるのに一人1個づつでは果汁が余るため、二人で1個が適当な分量だ。
このほか、醤油に混ぜてポン酢として使ったり、
レモンケーキ、鍋物やカレー、シチューなどにも大活躍。
鶏肉や魚介類には、特によく合うようだ。
庭にはレモンの樹もあるが、使う用途と分量によって使い分けている。

調べてみたら、原産地は中国南部。東南アジアに広く分布し、
フィリピンではカラマンシー、和名はトウキンカンとよぶ。
日本へ渡来したのは、江戸時代の末期で主に長崎で栽培され、
耐寒性か、政治的理由か流通上の問題などか理由は定かではないが、
中国・近畿地方より東へは伝わらなかったという。

それが今、ネット通販で簡単に入手でき、
皮肉にも地球温暖化のおかげで(?)関東地方の露地でも、
こんなに元気に育っている。

時間と距離を超えて、カラマンシーがジパングで育ち、
1個のカラマンシーを二人で分けて、紅茶に入れる日本人の夫婦・・・。

植物の足取りをたどると、時には面白いものが見えてくる。

師走の庭のピンクの花々



昨日撮影しておいて、よかった。

今日は久しぶりに雨。
炎のような輝きを見せていた公園の桜と欅も散り、
我が家のめぼしい樹々も、葉をふるい落とした。
落ち葉が降り敷く庭には、もうほとんど花がない。
それでもまだ、点々と残っているピンク色の花を寄せてみた。

‘ラベンダー・ドリーム’ ‘ザ・フェアリー’ ‘クレール・マタン’
‘オールド・ブラッシュ・ピンク’ ‘スヴニール・ド・ラ・マルメゾン’
‘バレリーナ’
エキナセア、名称不明のマルヴァ
‘ ロサ・キネンシス・ビリディス’(最後列の緑色のバラ)

かろうじて咲いている名残の花たちよ、
充分に楽しませてくれて、ありがとう!
しっかりと守ってあげるから、冬の間ゆっくりとお休み。
そして、来年の春にはまたよろしくね。

ローズマリーはポケットがお好き



ロースマリーの花が、咲きだした。
このハーブは品種によって、一斉に咲くタイプと、
だらだらと引きずって咲きそろわないタイプがある。
日本では、だいたい秋から春にかけてぽつぽつと開花し、
わが家では3月ごろに美しい品種が多い。

イギリスでは5月ごろがピークのようだ。
今でもエクセターの学校の庭で、
鉢から青い水があふれるように咲いていた、
香りのよいローズマリーが忘れられない。
それは匍匐性の「カプリ」という品種で、
小さなテラコッタの植木鉢を、スカートのようにはいていた。
つまり、鉢穴から根が伸びてしまい、
そのまま放置された状態なのだ。
ということは、湿気が嫌いなローズマリーにとって、
ドライエリアの部分が根の辺りにあると、
うまく育つことを物語っている。




同じような例が、わが家にもある。 
これはストロベリーポットのポケットに棲みついた(?)、
樹齢11年目の老木「サンタバーバラ」だ。
上の開口部に植えた月桂樹が、これまたすこぶるつきの元気印で、
水も肥料もやらないのに、両方とも長生きしている。




ストべりーポットは、居間のすぐ外に置いてあるので、
雨が降っても、夜でも、いつでも摘むことができる。
ローズマリーは収穫を兼ねて整枝を繰り返し、
株張り1.3メートルぐらいをキープしてきた。
右上の赤いものは、露地でもまだ元気なトウガラシの「バルーン」。




今年の夏、ストロベリーポットのポケットに植えた3号鉢の苗が、
こんなに伸び伸びと育っている。

どうやら、ローズマリーはポケットがお好きなようだ。


あらっ、もうフキノトウが!!!

お正月ももうすぐ。

下の庭を片付け始めたら、フキノトウを発見!!!
それも一つや二つではない。
草丈は低いけれど、青々としたフキの葉の下を見ると、
落ち葉の中から、ころんとした丸いつぼみが顔を出している。




フキノトウは、春を告げる日本のハーブだ。
子供の頃は、苦味と独特の香りが苦手だったのに、
今はこの個性が魅力的で、春の来るのが待ち遠しい。

それにしても、これまでは霜柱が解ける3月頃にフキノトウが出るのに、
今年はまだ霜柱が立たないうちから、フキノトウが摘めるとは・・・。
これも地球の温暖化による環境異変の前兆なのだろうか。

それほど大げさではないかもしれないが、
ここ1週間で目にした、明らかに季節に合わない植物の生長ステージを記しておく。

★4月初めのように柳が芽吹いて、風に揺れる枝が淡い緑色にけむっていた。(多摩川の近くの街道沿いで)

★7月~8月に咲く、ヒオウギが咲いていた。(第三京浜入り口)

★6月頃に咲くムラサキツユクサが咲いていた。(調布で)

★3月下旬に咲くコブシの萼が膨らんで、もうすぐ咲きそう。(奥多摩で)

★9月頃咲くキクイモが満開。(小田急線沿線)

★ポリゴナム(ツルヒメソバ)が、奥多摩へ向かう道路の山側擁壁に、
数メートルも貼りつき、ピンクのカーペットのようだった。
通常の開花は夏から秋にかけて。

咲き急ぐ水仙たち





東側の陽だまりで水仙が咲き始めたのは、2週間前のことだった。

水仙は春一番の花というイメージが強い。
これまでは、いくら早咲きでも、ふつうは3月ぐらいに開花していた。
息子たちの卒業式や謝恩会の花束に、よく使っていたからはっきりと覚えている。
ところが、しだいに加速度が付いて開花が早まり、
昨年は11月24日のブログに、水仙の開花について記している。

地球の温暖化が原因と、何でも国のせいにするが、
ただあなた任せにしていた付けが、まわって来た感がある。

この純白の水仙が、「ペィパー・ホワイト」。
楚々とした清潔なフィーリングが、
聖母マリアをイメージさせるのか、聖地イスラエルの農場で栽培され、
クリスマス前に世界各地に輸出される。



大好きな‘マルチネット’。
えもいわれぬ強い芳香があるのは、
香水水仙ともよばれる?ジョン・クィル’の血を引いているから。

どちらも、15年前にアメリカから取り寄せた球根を植えたまま、
一度も掘り上げていない。
園芸のテキストどおりにしなくても、
毎年元気に育っている。

スペシャル桜

晩秋の青く澄み切った空の下、
夫の撮影についてJR青梅線へ朝早く出発。
調布や府中の辺りの街路樹は、イチョウ並木が多く、
朝日を受けて純金のように輝いている。

終わりに近いサザンカと、咲き始めたツバキも一緒に見られる季節なので、
車窓ウォッチングは右も左も忙しい。

目的の撮影を終えると、
待ってました! お昼の時間!

奥多摩地方は、手打ち蕎麦の店がじつに多い。
一応めぼしい店を2、3メモして行ったのだが、
青梅駅前を過ぎて奥多摩へ向かう途中、
何となくよさそうなたたずまいの店を見つけた。
50メートルほどバックして「蕎麦榎戸」へ。
入り口に置いた鉢には、黄色い蝋梅の花がさりげなく活けてあり、
季節を告げている。

予感どおり、大当たり!1!
店の雰囲気もよく、輪島塗の食器も品がよい。

夫は十割蕎麦を2枚と天麩羅盛り合わせ、
私はざる蕎麦と、こんにゃくの刺身、桜海老のかき揚げを注文した。
ねっとりした手作りこんにゃくは、
フレンチドレッシングとワサビ醤油でいただくが、
どちらもぴったりとマッチ。
衣がはぜて、花が咲いたように美しい桜海老のかき揚げもおいしかったのに、
食べにくいのが難点だった。
本命の蕎麦は、味にうるさい夫が「蕎麦の香りがする」とほめ、
もう1枚注文したのだから、かなり上位にランクされたと思う。

帰路は「道の駅」で、山の幸を買って帰ることにしたが、
なかなか見つからない。
相変わらず車窓からウオッチングを楽しみながらドライブしていると、
軍畑の橋を渡ったところで、右側に薄ピンクの花がちらちらと見える。
「梅の花? ま、まさか桜ではないわよね」と言いつつ近づいてみると、
やはり桜ではないか。







小さな祠の両側に植えられた桜は、どの枝にもびっしりと花が咲き、
冬桜とはまるでちがう。
冬桜といえば、数年前友人と鬼石の冬桜を見に、群馬県へ行ったことがあった。
日曜日はバスが運休で、往復タクシーを使う羽目になったうえに、
7000本もあるという冬桜があまりにも侘しすぎて、がっかりしたことを思い出した。
それに観光・人寄せの意図が見え見えだったから、興冷めしたこともある。
それに引き換え、小さな祠の神様にお供えした善意の優しい桜は、
花の色も濃く、花つきも格段に優る。
きっとこの地域の守り神様なのだろう。
それにしても、今頃こんな見事に咲く桜の品種名を、ぜひ知りたいものだ。

近所のお宅を3軒ほど尋ねてみたが、あいにく留守で残念。
自転車で通りかかったお年寄りに聞いてみると、
「冬に咲くからフユザクラだっぺ」

すると背後から「スペシャル桜」と、声がかかった。
振り返ってみると、アメリカの青年だろうか、
にこにこ顔でうなづいている。

「何でも詮索するのが私の悪い癖よね。スペシャル桜か、これ、いただきだわ。
これからは分らないことがあったら、スペシャル○○といって、にっこりしてみようかな」

車に戻って夫に話しかけると、彼は笑ってうなづいていた。

ローズマリーのクリスマスツリー





テレビの報道によると、
クリスマスのイルミネーションが大流行だそうだ。
700万円もかけて電飾ぎらぎらのお宅を紹介していたが、絶句!
この方はイルミネーターという職業を始め、本も出版されたという。
そして、デザインと制作と取りつけの注文がどっさりきているとか。

他人のことをとやかく言うのも気が引けるが、
本来は家庭内のプライベートな行事なのに・・・。
何だかおかしい、どこか違っているという気がするのは、
私だけだろうか。

息子たちは、3人ともローマンカトリックのサレジオ幼稚園に通っていた。
彼らにとって、クリスマスは待ち遠しい行事の一つで、
その意義も神父様やシスターから、教えていただいていた。
わが家でも小さなクリスマスツリーを飾って、お祝いをしたが、
誰かがサンタの存在を疑い始めた頃から、
飾りつけは箱に入れられ、押入れの中に仕舞ったままになった。

しかし、初孫が生まれたとき、
息子が着ていたベビー服や、おもちゃなどと一緒に、
思い出のクリスマスオーナメントも、新しい持ち主に引き継がれている。

久しぶりにわが家でも、クリスマスツリーを飾ってみた。
赤と緑が、クリスマスのシンボルカラーは、緑と赤だ。
永遠の幸福を約束する緑には、3年かけてツリー用に育てた常緑樹のローズマリーを使い、
キリストの血を表す赤い色には、ベルの形をした真紅のトウガラシ‘バルーン’を下げた。
紐もワイヤーも使っていない。
茎の付け根が鍵のようにカーブしているので、引っ掛けただけでよい。



ところで、聖母子とローズマリーには、このような言い伝えがある。
聖母マリヤが、幼子のイエスを抱いて追っ手から逃れる時に、
香りのよい白い花が咲く、緑の木陰で一休みをされた。
疲れも癒えて、枝にかけておいた青いマント(聖母のシンボルカラー)を外すと、
白かった花はマントの色に染まっていたという。
それからというもの、この樹には青い花が咲くようになり、
「マリアのバラ(聖母のシンボルフラワー)」とよばれるようになった。
また、ローズマリーはキリストの背丈と同じ180センチまで伸び、
イエスの寿命の33歳までは縦に、そののちは横に生長するといわれている。


どうだろう、このクリスマスにぴったりのアイデアは?
自慢じゃないが、いや、自慢です。

これは、うちでしか出来ないツリーだから・・・。


銀梅花とベリーのリース



今日は私の66歳の誕生日。

何となく朝からそわそわしていると、素敵なものが届いた。
素朴な木枠の中から現れたのは、
完全に乾燥しきっていないナチュラルテイストのリースだ。
マートル(銀梅花)と、ベリー類を組み合わせたシンプルなデザインなのに、
どことなく日本離れした雰囲気がある。
それもそのはず、これはトルコからの直輸入のもので、
密に繁った細かい葉に顔を近づけなくても、
爽やかな香りが立ちのぼり、部屋をうっすらと淡い緑色に染めるようだ。

地中海沿岸地方原産のこのマートルは、「祝いの木」といわれ、
幸せのシンボルとして、古代から多くの人に愛されてきたハーブである。
永遠に緑色が失せないつやつやとした葉は、不変の愛を表し、
初夏に咲く純白の花は、樹木全体が真っ白に見えるほど無数に咲く。
そのため豊穣や多産、繁栄の象徴として、花嫁の髪飾りとなった。
今ではオレンジの花が使われることがあるが、
沢山花がさくことから、同じ祈りが込められているという。

わが家の庭のマートルは、17歳になった。
斑入りの葉のこんもりとした樹形で、高さは4メートル近い。
ヨーロッパでは、芳香のある葉や、ダークブル-の小さな果実を料理に使うようだが、私はもっぱらリースや生け花に活用している。




さて、このべりーは何だろう。
オレンジ色のはバラでもないし、サンザシでもない・・・。
ほかの2種類も降参、降参。

細かく詮索するなら、
「祝いの日」に、「祝いの木」のリースを贈ってきた人は一体誰?

えへへ、それは私で~す。
たまたま、通販カタログでこれを見つけ、申し込んでおいたら、
偶然にも誕生日に届いたというわけ。



タネを明かせば、「な~んだ」ということになるが、
たまには自分自身へのプレゼントも、悪くない。

こんな木の枠に入ってきたので、御参考までに。


由布院の黄金の果実



今年も由布院玉の湯から、小包が届いた。

箱を開けなくても、中身は手に取るようにわかっている。
箱の隙間から漂い出した柚子の香りも、
箱の横に書き込んである Yufuin Tamanoyu の個性的なロゴも、長い間変わっていないからだ。



ゆったりと編んだ竹のかごにはみずみずしい葉付きの柚子と、
手作りの上品な「柚子ねり」が盛られ、
毎回変わるユニークな花のカードに、奥様からのメッセージが添えられている。
これが暮れの便、
初夏の便で届くのは、青々としたカボスと、桑や野いちごなどの季節のジャム・・・。

20数年前になるだろうか。ある婦人誌が紹介していたこの宿は、深く印象に残った。
大きな壷に、季節を切り取ったかのようにどーんと野の花を投げ入れた玄関先、
洗面所には小さな野の花をさりげなく・・・。
自然のやさしさ、美しさで旅の疲れを癒すもてなしの気持ちが、写真からでも伝わってくる。
私がいつも心がけていた花への想いが、ここではすでに具現化されていた。

由布院という地名にも、惹かれた。
由布岳を仰ぎ見る盆地、峠から見下ろすと霧に包まれて姿を消すという由布院・・・。
きっと黄金色に輝く柚子が実る里なのだろう。
いつか訪れてみたいもの・・・、と心のメモ帖に強く記した。

望めば,いつか叶うもの。
「趣味の園芸」の公開録画で、江尻光一先生と由布院へ行く事になった。
撮影終了後、玉の湯を訪ねたことはいうまでもない。
喫茶と食事が出来るハイセンスな雰囲気の「葡萄屋」でお茶をいただき、
経営者の溝口御夫妻にお目にかかった。
お二人とも、経営者というよりも芸術家タイプの方で、
生き方に何か強い信念をお持ちということが、伝わってくる。

このことがきっかけとなり、
日本ばかりか外国にまで知られる名旅館「玉の湯」に,
何度となく滞在し、由布院での講演やクラスを頼まれることとなった。
それにしても、駆け出しの私によくぞ目をかけてくださったものと、今さらながら感謝している。

玉の湯から学んだことは、数え切れない。

有形無形いろいろあるが、玉の湯で私がいつも感じるのは
「お客様が(みんなが)幸せに暮らせるように」という理念が行きわたり、努力を重ねていることが素晴らしいと思った。
それは従業員の細やかなサービスに現れて、由布院の街づくりまで発展している。
若くして溝口薫平氏から社長業を引き継いだ、長女の桑野和泉さんにもこの
血は流れ、
母親として、女性として、経営や地域のために尽くしている。
近頃は世界的な規模の環境問題にまで、取り組んでいるようだ。

黄金色に輝く由布院の柚子から、懐かしい思い出がよみがえってきた。
玉の湯の館内に、そして電話のBGMに流れるのはモーツアルトだけ・・。
今夜はモーツアルトを聴きながら、本を読むことにしよう。



そうそう、いつも暮れの便に入っているのが、正月用の青竹の箸だ。
濡れ布巾できつく巻き、
ジップロックに入れて冷凍しておくと色が変わらない。
とても使いやすい箸で、館内の「由布院市」にある(と思う)。

ここはじつに危険なショップだ。
アーテイストによる木工クラフト、ガラス、陶器、竹の籠、布、道具などと、地元の手作り食品など、ほしいものばかりが並んでいる。
宿泊しなくても、このほか ティールーム・二コル、ニコルズ・バーでお洒落なひと時を過ごすこともできる。

雪の由布院を思い出していたら、また旅情がわいてきた。

http://www.tamanoyu.co.jp/index.html


まだ咲いている夏の花





冬型の気圧配置となり、
関東地方の冷え込みも厳しくなってきた。
庭にはすでに何回も霜が降り、
西洋菩提樹やネグンドカエデ、黒ロウバイ、プラム、アンズの樹などは
葉が落ちて、裸となっている。
落ち葉が積もっていく庭の中で、一箇所だけそぐわないのが、
まだ咲き続けているこの花だ。
11月21日にアップした写真と比べてみても、
ほとんど花の状態も数も変わっていない。

夏咲きの宿根草が、
再び秋に開花して、冬までもつれこんだケースというのだろうが、
こういう例は今まで経験したことがなかった。
たまたまこうしたステージで咲いたとしても、
7.8.9.10.11.12.と半年近く咲き続け、
しかもこんなにデリケートでやさしい色の花は、貴重な存在だ。
「種子を欲しい」というメイルも入っている。
いつまで咲き続けるか、楽しみながら観察し、
うまく種子を採取しなくては・・・。

ところで、肝心の花の名前はまだ分っていない。




孫たちからのリクエスト







近くに住む、長男一家が遊びに来た。

薄暗くなっても、
二人の孫たちは家の前の公園でキャッキャッと遊んでいる。
母親が付き添っているから安心だが、
近頃は物騒な事件が後を絶たず、
たとえ家の前でも油断は出来ない御時勢である。

お腹も空いた頃合なので、みんなで晩御飯を食べに行くことにした。
隣駅の「センター南」にある、[ダブルハピネス・ダイニング」は、
海外で料理修業をした若々しいシェフが、
新しい感覚の中華料理を出してくれる、感じのよい店だ。

全部で何皿食べたのだろう。
お皿が出ると、ぱっと料理が無くなるのはうちのテーブルだけで、
小気味がよい。
それにしても育ち盛りの子供たちは、よく食べること、食べること。

5年生の美海は私の背丈を越し、すらりと長い足が素敵だ。
1年生のサッカー少年の尚は、背が高いので列の一番後ろだという。
二人とも仲がよく、子犬のようにじゃれあっている様子を見ていると、微笑が自然と浮かんでくる。

間もなくクリスマス。
美海からは、靴の後ろにつけて滑るローラースケートのようなもの(名前を聞いたのに失念)。
尚からは天体望遠鏡のリクエストが届いている。

美海はスポーツオーソリティーで、7千数百円だったと、リサーチをしてきた。
問題は天体望遠鏡だ。一体いくらするのだろう。
あぁあ、希望など聞かなければよかったと悔やまれるが、
これから調べることにしよう。




6年生の頃までサンタの存在を信じていた長男の晋と、嫁の久美さん。

小鳥からのプレゼント



植えた覚えがないのに、庭にはいろいろな植物が芽吹く。
ケヤキ、ネズミモチ、ヤブニッケイ、ユズリハ、ピラカンサ、などの樹木に加えて、
2~3年前から庭のあちこちにヤブコウジが生えてきた。

照りのある肉厚の葉は、小さなのこぎり状に縁取られ、
梅雨明け頃に、小さくて白い地味な花が咲いた。
花の後に丸い緑の珠が残り、
今では真紅の宝石のようなベリーをふさふさとつけている。

古くはヤマタチバナとよばれ、万葉集や源氏物語にも登場するこの美しい実は、
江戸時代には縁起物の正月の髪飾りとして、
かんざしのように小枝を用いたという。
江戸文化が花開いた元禄時代には園芸も活気を帯び、
斑入の葉や、変わった葉を持つヤブコウジがもてはやされたとか・・・。

小鳥は赤い実や、丸い実が好きのようだ。
10年ほど前のこと、居間のガラス戸の外で、こぼれ種子から発芽した、
チルテピンという南米原産の野生のトウガラシが、
3年間年越冬したことがあった。
これは耐寒性の点でひじょうに珍しい例で、アメリカのハーブ仲間で話題になったが、
私にはもっと興味深いことがあった。

それは、ジョウビタキがこのハバネロと同じくらいの、
超激辛トウガラシを、毎朝食べに来るのだ。
1年目のときは、辛いショックで死ぬかもしれないと心配していたのに、どこ吹く風。
果実は、小鳥の口の大きさに合った長さ約1.5cmのミニサイズ、
ポロリと蕚から落ちやすいことが、気に入ったらしい。
無数についていたトウガラシを食べつくした頃に桜が咲き、
ジョウビタキの訪れはなくなった。

2年目の初冬、
1.5メートルの大株に育ったチルテピンに、
まとわり付くようにして果実をついばむ、
ジョウビタキの姿を発見した時の嬉しさは、今でも忘れられない。
3年目もきっと同じジョウビタキだったと思うが、
株が枯れてしまったために、4年目の観察はできなかった。

さて、この膝より低い草丈のヤブコウジをプレゼントしてくれた小鳥は、
いったい誰だろう。
ヒヨドリかな、それとも?


勤勉な美しい蜘蛛



下の庭へ降りる石段のところに、
毎日巣をかけるきれいな蜘蛛がいる。

銀梅花(マートル)とつる薔薇の間に、
朝日を浴びてきらきらと輝く空中のレース編みは、
たった一晩で織り上げたとは思えないほど、精巧で美しい。

出来たらそっとしておいてやりたいが、
この通路を通らないと、下の庭へは行くことが出来ない。
蜘蛛の巣を払うたびに、ごめんね、と謝っている。

見事なレース編みのアーティストは、この蜘蛛だ。
おそらく女郎蜘蛛だと思われるが、
コントラストの強い配色とアンバランスな手足の長さが、
かえってチャーミングに見えてくる。
なまめかしい容姿と甘い言葉で男を迷わせ、
世の中の憂きことをしばし忘れさせてくれる女郎の名前を持つのは、
この魅力にあったのだろうか。

蜘蛛といえば、
歌舞伎や能楽でも「土蜘蛛」に代表されるように、
隈取も荒々しい蜘蛛の精が、蜘蛛の糸を空中に放つシーンが有名で、
あたかも悪の権化のように描かれている。
けれども、毎日せっせと糸を張り、几帳面に巣を編み上げ、
害虫をたくみに捕らえる真面目な蜘蛛もいることを、知る人は少ない。
これからの冬越しは、どうするのだろう。

観察によって、いつもの庭にさらに面白いものが見えてくる。

進化(?)した不思議な菊

皇室の菊の御紋章に始まり、
毎年秋になると各地で開催される菊祭りの、絢爛豪華な菊の数々から、
農家の庭先にひっそりと咲く小菊まで、
日本には家菊の種類が多い。

わが家にも数種類の菊があるが、
私が一番好きなのは、竜脳菊だ。
清清しい芳香とマーガレットを思わせる清楚な花容が、
セーラー服の女学生のようなイメージで、好ましい。
それにしても、なぜこのようにおどろおどろしい名前なのだろうか。

刻みの入った肉厚の葉を揉むと、樟脳に似た薬臭い匂いがする。
この匂いが熱帯アジア産の、竜脳という上等な香料に似ているから、
こう呼ばれるのだという。

よく、どこで買ったかと聞かれるが、買ったものではない。
今から20数年前、当時高校生だった長男の父母会に出席した帰り道、
TBS緑山スタジオ手前の農道の崖に咲いていた小さな野菊を、
数本手折ったことがある。
花が終った後に挿し木をしたら容易に発根し、
以来毎年晩秋になると花を開いてきた。

不思議なのは、最初花の直径が約2cm、草丈が20cmそこそこの素朴な野菊だったのに、ベランダの植木鉢から新居の庭に移し植えたら、
しだいに大きくなり、今では1mを越している。
花もいじけた感じがなくなり、花径4~6cmのおっとりした良家の子女然となってきた。

一説によると、今ある数え切れないほどの家菊のルーツは、昔中国から渡来した原種の菊と、このリュウノウギクの交配から生まれたという。
難しいことは分らないが、ここ20数年間の変化、いや進化のさまを見ていると、「なるほどね」と、信じたくなってきた。
また、薬草としても知られ、陰干しにして浴湯料に用いると、冷え症や神経痛、腰痛などに効果があるそうだ。

香り高い竜脳菊は、お正月まで咲いている。

リンゴジャムとサツマイモのホットパイ





「はい、どうぞ。熱いから気をつけてね」

庭のテーブルで夫とお茶を飲んでいると、
時おり、西洋菩提樹の葉がかさっと音を立てて落ちてくる。
見上げた樹の梢に葉はもうほとんど無く、
青い冬空が透けて見えた。

今日のお茶菓子は、焼きたての「ホットパイ」だ。
フィリングはリンゴジャムと、サツマイモ。
ジャムの甘味と程よい酸味が、
サツマイモのほくほく感とマッチして、
思いがけないコラボレーションとなった。

思いがけない、というのはジャム解消作戦の一環だからだ。
内緒だが、「慢性ジャム熱」患者の私は、
何でもジャムにしてしまう病気にかかって久しい。
特に秋は、突発性高熱を発し、リンゴ各種、柚子、ぶどうなどなどの、
ジャム作りに励んでしまうのだ。

二人暮らしだから、
食べる口は二つしかないことを重々承知していながらも、
ジャムの瓶は増えていく。
そこで、身内や友人たちへあげても、
まだ残っていたジャムを使い切るために、
こんなお菓子を思いついたのだった。

1. サツマイモはオーブンで焼き、皮を剥いて粗くつぶす。

2. リンゴジャムと混ぜ合わせ、レモン汁、ブランディー、シナモン、
  好みで蜂蜜を加えて、味をなじませる。

3. 冷凍のパイシートをパイ皿に合わせて伸ばして敷き、
フォークで空気穴をあける。

4. 3を平均にならしてのせ、もう1枚のパイシートで同様にふたをする。
  卵黄を水で溶き、薄く表面に塗る。
180度の天火で30分焼いて出来上がり。

パイ皿の大きさや、味の好み、ボリュウムなどで、
材料の分量が変わるため、敢て数字は入れないでおいた。
ある材料で、適当にできるし、そのほうが面白いからだ。


次は、2の次は寒天で固め、甘酸っぱい芋羊羹を作ってみるつもり。
もちろん、そのときは紫芋に決めている。

結果をお楽しみに。

湯豆腐の友

とてもまろやかな味のトウガラシ麹味噌が出来た。
しかも、とても簡単に。

あれは、まだまだ暑さの残る9月の末・・・。
葉唐辛子の佃煮を作るために、ヤツフサを抜いたが、
葉をむしり取ったあとの、青唐辛子が出た。
刻んで醤油や黒酢に漬け込んだり、形のまま味噌漬けにしたが、まだ残っている。

そうだ。麹と味噌と青唐辛子を漬け込んで、甘味のあるピリ辛味噌を作ろう。
ところが、残暑が厳しいあの頃だもの、どこにも麹は売っていない。

ひらめいたのは、麹が多めの味噌に漬ければいいのでは?
ということで、味噌を物色。
「日本海こうじ味噌」を買ってみた。
作り方というほどのこともないが、



青唐辛子をざくざく刻む。
少量の水を加え、ミキサーでペースト状にする。
これを麹味噌によくよく混ぜ合わせ、密閉容器に入れる。
辛さは好みで。
辛いものなら、他にいくらでもあるので、味噌6にトウガラシが4、
あるいは7:3ぐらいが、上品な味ではないだろうか。


冷蔵庫の上段で約80日熟成させたのが下の写真。



味見をしてみたら、うーん、これはイケル。
ほの甘い麹と上品な味噌の味が奥ゆかしいのに、あとくちにややピリッと来る刺激が意外な感じで、楽しいペーストに仕上がった。

日本酒が好きな友人が見えたら、まずはこれを肴にちびちびとやってもらおう。
蒸した里芋やふろふき大根につけたり、野菜のディップ、湯豆腐にもぴったりだ。

どうやら今夜は冷え込みそう。献立は、湯豆腐に決めた。



ハイビスカスのちらし寿司





沖縄のハーブ仲間・翁長周子さんのアドバイスをヒントに、
ハイビスカスのちらし寿司を作ってみた。

あらかじめ寿司酢を作り、3時間ほどシラスをつけておく。
これを、昆布を入れて硬めに炊いたご飯に、さっくりと混ぜ、
冷めたら、粗く刻んだ塩漬けのハイビスカスと三つ葉を、彩りよく混ぜる。
たったこれだけなのに、こんなにきれいにできた!!!

肝心の味の方も、自画自賛ながら及第点。
上等の昆布とシラスの出しが隠し味になったおいしい寿司飯に、
歯ざわりがよく少しとろみのあるハイビスカス、香りのよい三つ葉が、
シンプルで心地よいハーモニーをみせている。

飾りにあしらった花は、
しんなりとした塩漬けの萼の先端を外側に開き、
錦糸卵を雌蕊に見立て、三つ葉の葉をあしらった。




この塩漬けというのは、
下拵えをした(昨日の12月6日を参照)ハイビスカスに、
10パーセントの塩をまぶしたもの。
ファスナーつきのビニール袋に入れて、冷蔵庫で保存する。
3~5時間ぐらいで食べられるようになるので、
混ぜ寿司のほか、サラダやソース、付け合せ、漬物の色づけなどに。
酸味ととろみと歯ざわりが良いので、
そのまま漬物感覚で食べるのが、私には一番美味しい。






塩漬けの袋に、銀杏切りにして軽く塩でもんだ大根を入れ、
何回か上下を返しながら漬け込むこと6時間。
昼にセットすれば、夕ご飯のお漬物が簡単にできる。

* ローゼルという英名が日本でも使われてるが、
  私は欧米のようにハイビスカスという名前の方が好きなので、
  用いている。


ハイビスカス物語

沖縄のハーブ仲間から、
今年もフレッシュなハイビスカスが届いた。

ハイビスカスといえば、
ハワイの観光ポスターにあるような園芸品種の、
ハイビスカスを思い浮かべる人が多い。
しかし、アオイ科 Hibiscus(ヒビスクス)属の仲間は、
世界各地の熱帯、亜熱帯地方に約250種も分布している。

その中でハーブとして用いているのが、
ローゼル(英名)とよんでいる、
Hibiscus sabdariffa(ヒビスクスサブダリファ)だ。
アフリカ原産で、2メートルの高さに育つ。
暗赤色の茎葉にくすんだ朱色の花が咲く品種が多いようだが、
緑色の葉に赤紫の茎、黄色の花弁の中心部が赤紫のものもある。




箱を開けたとたん躍り出た、サブダリファの真紅の果実たち・・・。




オクラに似た花は1日花。
利用する部分は、このようなユニークな形の萼と総苞片だ。




下拵えとして、上のように下部にナイフを入れ、
箸か棒状のもので、下から押すと種子が取れる。
あるいは切り口を大きくすれば、簡単に種子が下に落ちる。

本州は気候的な点から栽培がまだ一般的ではないが、
11月下旬ごろが沖縄の収穫期だという。
12月中旬に屋久島のハーブガーデンを訪れた時は、
立派な株立ちのローゼルが、真紅色に輝いていた。
愛媛県の農業試験場では花材として栽培し、
白花の品種を初めて見たのもここだった。






初霜が降りた今朝のわが家の、ローゼル。
連作が悪かったのか、窒素肥料が多かったせいか、
ひょろひょろと徒長し、いじけたままだ。
これは一年草だから、寒さが来たら間もなく枯れてしまう。

来年は、大和農園通信販売部(0743ー62-1185)から、
「ハイビスカス・カクテルパープル」の種子(480円)を取り寄せて、
蒔いてみるつもりだ
                     つづく


キャラメル入りの焼きリンゴ

紅玉を見つけると、必ず作りたくなるのが焼きリンゴだ。
たくさん食べられるものではないが、
このデザートを作っているときの香りが、嬉しくて、
そして、いかにも外国のキッチンのような感じがするので、
シーズンには何回か焼いている。


以前はくりぬいたリンゴのセンターに、
グラニュー糖とバター、シナモン、ちょっぴりブランディーを詰めていた。
しかし、今は、下の写真のようにキャラメルを2粒入れるだけだ。



焼いているうちに皮が破れないように、
フォークを差して穴を開けておくのを忘れないこと。



リンゴの上にアルミフォイルを被せ、耐熱ガラスの容器にリンゴを並べる。このとき、
隙間にグラニュー糖とシナモン、あれば1~2個分の紅玉の皮を入れ、
水をやや多めに加えるとソース、控えるとジェリーができる。
天板にのせ、180度に熱したオーブンで25~30分焼く。




出来上がり!
熱々だとトロ~リとキャラメルのソースが溶け出し、りんごの甘酸っぱい味と渾然一体となって、オイヒィ!! ジェリーも一匙添えて。
このときは盛り付けたとたん、電話が鳴って少し冷めてしまった。

いい訳ついでに、もうひとつ。
180度で25~30分はふつうサイズのリンゴの場合の目安なのに、小さめサイズを忘れてしまった。だから、器量が悪い出来に・・・。

いい訳その? 見かけは悪くても、ホームメイドに優る味は無し。[:赤りんご:]




もってのほか





数年前、新潟で苗を分けてもらった「もってのほか」を、
収穫した。
山形や新潟で秋の市場に並ぶ、薄紫の食用菊である。
正式な名前は優美な「延命楽」というが、
土地の人々は「もってのほか」や「おもいのほか」とよんでいる。
天皇陛下の御紋章になっている菊の花を、庶民の私たちが
食べるとは、もってのほか(おそれおおい)、
あるいは、思いのほか(意外に)美味しい、からだそうだ。

青森に伝わる「安房宮」は、黄色の食用菊だが、
私はパープルピンクの「もってのほか」の方が好きだ。

使い道はいろいろある。
★ 花を活けて飾る。元々は普通の菊の扱いだったようだが、
花弁が筒状になっているのでしゃきしゃき感が好まれて、
食用になったと聞いた。
★ 花びらをほぐして、サラダなどにトッピング。
★ 塩を加えた熱湯にくぐらせて、軽く絞り、甘酢に漬けると紫色が濃くなる。これを巻き寿司の芯に、散らし寿司の彩りに、浅漬けの白菜などに。
★ 好みの酢の味で、酢の物に。
★ てんぷらは華やかできれい。葉のてんぷらもいける。

これは「おもいのほか」利用できる菊の花だ。

パリへ行ってきました



「パリへ行ってきました」とは真っ赤な嘘だ。

夫を駅まで送る途中、
昨夜の冷え込みで一気に色づいた雨上がりの街路樹が、
いかにもパリのよう・・・・。
あまりにも美しいので、こんな嘘をつきたくなった。

カメラを取りに家まで帰り、再び先ほどの場所へ戻ってパチリ。


左側に少しだけ写っているWVは、
37年間ワンオーナーで乗り続けてきた愛車である。
パリの街角に似たこの景色に、ぴったり似合うと思うが、親(?)馬鹿かな?



パリの街路樹は、プラターヌ(鈴懸)やティユール(西洋菩提樹)、マロニエ(西洋栃の木)などが一般的だが、
このトウカエデも、見かけたことがある。
ざらつきのある木肌に特徴があり、なかなか雰囲気のある樹だ。





リュクサンブールの公園にて。

これも嘘だけれど、
家の前にある公園は、
ソメイヨシノの落ち葉で、じつに美しい。

イブ・モンタンの歌う「枯葉」を、久しぶりに聴きたくなった。

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