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美しきムラサキシキブ



散歩の途中で、ムラサキシキブを見つけた。
すっかり葉を落とした枝に付いている丸い小さな粒々は、
晩秋の弱々しい光を受けて、宝石のように輝いていている。

横浜市郊外のこの辺りは、多摩丘陵地帯で起伏が多い場所だ。
ニュータウン開発の波とともに宅地造成が進んでいるが、
思いがけないところに切通しや雑木林が残っている。

初夏の頃、この道を歩くと、ヤマザクラやエゴノキなどの下で、ムラサキシキブの花を見ることができる。
教えられないと見落としてしまうような、地味で小さな白い花なのに、
なぜこのように美しい実がつくのだろう。

和名は、優美な紫色の果実を平安時代の才媛・紫式部のイメージになぞらえて美化したものと、牧野博士の図鑑にある。
この名前からイメージするといかにも日本的だが、クマツヅラ科のムラサキシキブ属は約135種もあるのには驚いてしまった。
アジア、オーストアリア、北米、中央アメリカなどに分布し、

英語は Beauty berry,
中国名は  紫珠属
学名は Callicarpa japonika
属名は ギリシャ語の kallos「美しい」と、karpos「果実」に由来する。

やはり、洋の東西を問わず、美しいものを美しいと感じる気持ちは、同じようだ。


ピンク色の紅玉ジャム



青森県の黒石JAから、注文してすぐに箱いっぱいの紅玉が届いた。
「小さめ紅玉」が、28個も入っている。
まるで〈ぴかぴかの1年生〉が、お行儀よく整列しているようだ。
不思議なことに、眺めているだけで、嬉しくて幸せになってくる。

紅玉は、新鮮さが命。
まずは生食で、香りと酸味と歯ざわりをたっぷりと味わい、
次に焼きリンゴで楽しんだ。

紅玉は、意外に早くボケやすい。
ジャムを作るなら、ペクチンの働きが活発で、色も香りもフレッシュなうちに作っておこう。
5人家族の頃は大きな鍋でたくさんの量を作っていたが、今は二人暮らし。
ジャムの瓶に合わせて、4個の小さめリンゴで作ってみた。




作り方

1. リンゴはよく洗い、8等分する。皮付きのままで芯だけを取り、
鍋に並べて入れる。皮から色が出やすいように下の段は皮を下に、2段目は皮を上に並べるのがポイント。

2. 水を100CCほど入れ、ふたをして中火でリンゴが柔らかくなるまで蒸し煮する。途中で、上段のりんごをひっくり返して、皮を下向きにして色を出させ、弱火にする。林檎がほやほやと溶けそうになったら皮をていねいに取り出す。皮の裏側についているピンクの果肉もスプーンなどでこそげ取って加えると、ピンク色が濃くなる。

3. 色をさらに鮮やかにしし、はっきりと酸味をつけるためにレモン汁を大匙1加える。味を見ながら砂糖を何回かに分けて入れ、好みの甘さに仕上げる。




火加減はごくとろ火。しだいに煮詰まっていく甘酸っぱい香りが部屋中に漂い、しみじみと冬の訪れを感じるひとときだ。




当座のジャムは甘くしないで、早く食べきること。
パンにつけるだけでなく、ガラスの器に盛り、生クリームやアイスクリームをトッピングすれば、お洒落なデザートに。

保存用なら、砂糖をやや多めに入れると殺菌効果がある。
ただし、糖分過多になりやすいので、今年は瓶に骸骨マークを付けておこうかな・・・。

テラコッタ鉢よ、さようなら

今、我家のバックヤードには、見慣れない鉢が山と積まれている。



その鉢というのはプラスチック製で、底面にこんな切れ込みがある。

この切れ込みが重要なポイントで、スリット鉢の名称で流通している。そう、タイトスカートや細身のコ-トの裾などに入っている切れ目を、スリット(SLIT)とよぶのと同じだ。
蛇足だが、自動販売機のコイン投入口も、英語でスリットという。



横から見ると、長、短合わせて8箇所に、短冊状の切れ込みが入っている。




コレクションをしているローズマリーも、この鉢に植え替えた。





ライフワークとなった世界のトウガラシも、温室へ入れる際にスリット鉢に
すべて替えた。
ダークグリーンの鉢の色も葉の緑とあいまって、狭い温室の中がすっきりとみえる。


これまで、私はテラコッタ至上主義者だった。
通気性があり、気化熱による夏場の温度調節を自ずと行う。
重いので植物の転倒を防ぎ、見た目にも安定感がある。
自然素材が持つナチュラル感覚と、植物とのマッチングなどなど、
テラコッタには数々の長所がある。

経費もかなりかかるのに大革命をしたのは、
思いつきや衝動に駆られたわけではない。
1年ほど前に買ったスリット鉢植えのプティ丸金柑が、
伸び伸びと成長していることに気がついて以来、
茎が木質化するセイジやラベンダー、月桂樹などでテストをしてみた。
どうやらスリットにノウハウの秘密があるらしく、その結果、従来の鉢でよく見られた根が鉢の内側でぐるぐると回るサークリングがなくなり、ひょろひょろと徒長しなくなった。

しかし、それよりも決心を促した最大の理由は、「軽い」ことだった。
若くて元気な時は、大きな植木鉢の持ち上げ、持ち運びなど何でもなかったのに、無理が嵩じて今腰痛に悩まされている。
重い鉢ばかりでなく、このほかにも、
無理な姿勢、長時間にわたるハードな作業、慢性冷え症になる戸外の現場など、腰痛の原因は思い当たるだけでも、数多い。
せめて、少しでも軽い鉢に替えて、体をいたわってやろうと思ったのだった。

テラコッタの鉢は整理して、そのうち「御自由にお持ちください」の紙を張って、ガレージの横に出すつもりだ。
ただし、Whichford Pottery のコレクションは、大げさな言い方だが家宝として大切に伝えたい。

本日の「吹き寄せ便」





「吹き寄せ」とは秋風に舞い散る色とりどりの木の葉や、
木の実などが吹き寄せられた情景で、
雪が降る前の最後の彩りを表す、日本独特の演出法だ。

日本料理や和菓子などの秋の献立によく使われるが、
私は「吹き寄せ便」と名づけ、
ご機嫌伺い、あるいは季節の御挨拶として、
日頃お世話になっている方や、
入院中の友人などに宅急便でお送りしている。

アイテムをみると、前からこのページに立ち寄ってくださっている方たちには、「またこのテク?」と思われるかも知らない。
しかし、作る側としては何度作っても張り合いがあって楽しいのだ。
作り方は少しずつ変化しているし、
逆にまったく同じものを作れといわれても、それは無理というもの。

今日もお世話になっている先生から、お電話をいただいた。
「最初はお干菓子かと思いましたのよ。
それがまぁ、あなたさまのお庭の吹き寄せと知って、
びっくりいたしました。
それにしても何と美しいんでしょうねぇ。
当分飾っておいて、眺めることにしましょうね」

GODIVAのチョコレート6個入りの箱は、ちょうどよいサイズだ。
中身を広げてみると、けっこうな量が入る。

本日の内容を、右上から時計回りに紹介しよう。

1.四季橘(四季なりライム)

?台湾のトウガラシ紫炎、ブラジルのトウガラシ、熟したトウガラシ‘ブラックパール’

2.トウガラシの‘ハバネロ’、‘未熟のバルーン’、‘五色’

3.トウガラシの‘完熟バルーン’、‘ミニスイートイエロー’、‘オーロラ’

4.バラの実‘オールドブラッシュピンク’、‘ヘリテイジ’、ムラサキシキブ、タイのトウガラシ‘プリッキーヌ’

5.メキシコの‘サワーガーキン’

ところで、GODIVAのお菓子を買うと、
この箱が250円で分けてもらえるのを知っている人は、少ないと思う。
高いか安いの判断は、本人の価値観次第。

さて、明日の「吹き寄せ便」には、何を使おうかな。
これは作っている本人が、一番楽しんでいる秋の遊びである。


小さな瓜たち



山梨県に住む友人が、
長野県の佐久ナーセリーからもらった沖縄スズメ瓜を、
神奈川県の私に送ってくれた。

あまり可愛いので、
茨城県へ行ったときに藪から取ってきたカラスウリと、
メキシコのサワーガーキン(酸っぱいミニキュウリ)を並べて、
瓜尽くしの写真をパチリ。

カラー文字で分りやすく示してみたが、
たった1枚の写真の中に、何と6ヶ所も移動した植物たちの足跡が見て取れることは、たいへん興味深い。

サワーガーキンについてはこれまで何度か記したし、カラスウリもそう珍しくはない。



しかし、この沖縄スズメ瓜を見たのは初めてだ。
直径1.5~2cmの果実には、何ともいえない愛嬌がある。
一体どのような植物なのだろう。
山梨の友人は「この果実は緑から黄色、赤に変化し、毒があると聞いたけど・・・」と、申し送りをしてくれた。
毒があるのなら薬草かもしれないと、調べ始めた。
しかし、薬草事典にも沖縄の薬草専門書にも出ていない。
牧野植物大図鑑にもない。
ようやく、小学館の園芸植物大事典に、わずかな記述を見つけた。
ウリ科の一部の属や種は観賞用に栽培されており、日本には6属ある。
オキナワスズメウリ(Bryonopsis Arn.)はその一つで、
約15種が自生しているとのこと。

そうだ、沖縄の知人の翁長周子(おながちかこ)さんに聞いてみよう。
彼女は沖縄のハーブ研究家で、人望が厚い方である。
久しぶりの電話に話が弾んだが、オキナワスズメウリについてはほとんど
知らないという。
調べて教えてくださることになったが、どんなことが分るだろうか。

妙に気になる、沖縄のスズメ瓜だ。

とうとうサフランが開花!!!

居間の方から、花の香りが漂ってきた。
??? 何かしら?
かなり濃厚な香りだ。
頭がくらっとするような、刺激的、あるいは官能的といおうか、
草花のいわゆる{よい香り}とは、質を異にする。


待ちに待ったサフランの花が、いきなり満開になっていた!!!
あぁ、よかった。





蕾が透けて見え始めても、なかなか咲く気配を見せないので、とても気になったいた。

これまでの経験からいって、8月中に球根を植えれば、
11月3日に必ずといっていいほど開花していた。

調べてみたら、サフランの球根は高温期に休んでいて、
低温を感じると開花の準備を始める性質があるという。

なるほど、よくよく考えてみたら、今までの私の経験というのが庭植えの場合ばかりだった。
だから、千葉のべあさんの庭できっちりと咲いたのだろう。*A
そして、室内栽培の今年の場合は、外と違ってなかなか涼しくならなかったので、開花が遅れたというわけだ。

サフランは、高価なスパイスとして知られている。
なぜなら、1輪の花に3本しか付かない雌蕊(めしべ)を、
ていねいに手で摘み取って乾燥させたものだからだ。
このほっそりとした雌蕊は、乾燥させるとさらに紅い絹糸をほぐしたぐらいの細さになってしまう。
ちなみに、1kgのサフランには約50万本の雌蕊(約17万個の花)が必要だ。
加えて、乾燥した肥沃で広大な土地と、
一斉に花を開くので手摘みをする労働者の手が、必須条件となる。
昔から金と同じ値段だといわれているが、どうだろう。
ウイキペデイアによると、1g500円から1000に相当するそうだ。

さて、我家の小さな庭では、
雨に当ってしまうと、せっかくのサフランの質が悪くなったり、
溶けてしまって収穫が出来なくなる。
だから、今年は水をやらずにただ土の中に埋めておくだけの、
卓上園芸に切り替えたのだった。* B
これからは、庭植えの場合は11月初旬、室内栽培なら11月中旬に開花すると、覚えておこう。

これが20球のサフランから収穫した、雌蕊である。
ピンセットで1本1本数えてみたら、87本あった。蕾が2~3個残っているから、90本は越しそうだ。



サフランの産地は、スペインやフランスが有名である。
南仏プロバンスの朝市では、
麻袋に入った100種ぐらいのハーブとスパイスが並ぶが、
サフランだけはレジの内側の手の届かないところに置いてある。
万引きされないための自衛手段なのだろう。

昨年はスペインとインドのお土産に、サフランをいただいた。
「やはり産地は違うわよ。お安いの。本当のこと言っちゃうけど、これで500円、500円だったのよ。カンゲキー!!!」
あぁあ、また日本人がだまされた・・・。
よーく考えてみて。B4ぐらいのビニール袋に入ったサフランが500円のはずがない。
サフラン偽造は、ヨーロッパでも古くからあったらしく、
犯人は火あぶりの公開処刑という重罪だった。
現代の悪徳商人は、観光客に本物を見せておいて、
サフランそっくりに紅く染めて加工した、
細かいおがくずや何かの繊維、トウモロコシの毛先などを客に渡すのだ。
充分に気をつけてほしい。

もうすぐ自家製雌蕊が乾いたら、
サフランティー、パエーリャ、それともブイヤベース?
今から楽しみでならない。

*A 2007/8/23 サフランバスケット

*B 2007/11/3 サフランは咲いたか
   2007/11/ 5 サフランは咲いていた


いざ、秩父路へ

おはようございます

今は朝の4時半。
まだあたりは暗い。
これから、秩父方面へ[:カメラ:]に行く夫について、一泊旅行へ。
籠原辺りで朝日を浴びながら7時に撮影とのことだから、
2時間半で現場に到着できるか、どうか・・・。
こればかりは、行ってみなくてはわからない。

どうか、途中で事故などに遭遇しないように。
お天気もこの調子で続くように。。


それでは、行ってまいりマース

子供たちが好きな「肉バター」





子供たちの誰が言い始めたのか忘れたが、
「肉バター」を思い出した。
今は立派なオジサンに近くなった3人の息子たち・・・。
子育て時代を懐かしみながら、
久しぶりにリエットを作ることにした。

リエットとは、南フランスに伝わる家庭料理で、言いえて妙。まさに「肉バター」だ。
まずは、三枚肉をコロコロに刻み、厚手の鍋で月桂樹の葉、パセリ、タイムなどを束ねた「ブケ・ガルニ」とともに、とろ火で柔らかくなるまで煮る。

箸で崩れるようになったら、小さなすり鉢か乳鉢ですりつぶす。
脂身を入れるとねっとりとしてバターのようになるが、
少し粒々があったほうが子供たちの好みだった。
塩、胡椒で味を調え、隠し味にブランディーなどを加えると、
洗練された味になり、カナッペとしてオードブルにも使える。

彼らが、バターと同じくトーストにべったりつけて、むしゃむしゃ、パクパクと豪快に食べるシーンを思い出した。

私たちは、クラッカーやカリカリに焼いた薄切のフランスパンにつけ、
よく冷えた辛口の白ワインでいただく。
意外にボリュームがあるので、
サラダとチーズがあれば、ご飯はいらない。

保存するには、煮汁を一晩暖房無しの部屋に置くと、脂が浮いて白く固まる。
これを小鍋にとって熱し、
平らにならしたリエットの上を脂で覆うと、日持ちがする。

子供たちが食べ盛りの頃は、おかずが残ることなど皆無だったのに、
中高年の二人暮らしは、
残り物を上手に組み合わせる知恵が、必要とされるようだ。

秋咲きのマロウ





この可愛いマロゥ(だと思うのだけれど)は、
夏の間げんなりしていたが、
10月中旬からまた咲きだした。

ライラックピンクというのだろうか。
薄紙で作ったような華奢な花弁は見かけよりも強く、
強い雨に打たれても、
ほとんどダメージを受けなかった。

ムスクマロゥに似ているので、勝手にマロゥとよんでいるが、
正しい名前がわからない。
これは花屋のワゴンに入っていた名札無し苗を、
「おそらく助からないだろう」と思いながら、
見捨てることが出来ずに、安い値段で買ったものだった。

イギリスのカタログにあったような記憶があるが、
氏素性を知りたいものだ。

リンゴ リンゴ リンゴ



果物が好きだ。
その中でも、いちばん好きなのはリンゴ。
懐かしい果物も、やはりリンゴである。

私の生まれた福島市は、リンゴの主産地だから、
枝で熟した美味しいリンゴを、幼い時から食べ慣れてきた。
そのうえ、生家が禅寺なので檀家の方々が初物や、最もよく出来たりんごを、
仏様に、と持ってきてくださる。
お供えしたあとに、お下がりをいただくのは生き仏(?)の私たちだった。

そのせいか、スーパーなどに並んでいるリンゴを一目見ただけで、
私たち姉妹は食べてみなくとも、
即、美味い、不味いを判断することが出来るという(特技)を身に付けている。

リンゴの品種はかなり増え、1962年に青森県藤崎町から生まれたフジは、今や世界のフジとなった。
反対に静かに消えていく品種もある。
郷愁のリンゴ、もう一度食べてみたい懐かしいリンゴをあげてみよう。

  最も早いリンゴで、旧盆のお供えに使った。
皮が硬く、少し渋みの残る青いリンゴをかじると、
爽やかな香りが鼻腔をくすぐり、白い泡が口元に残った。

 夏休みの終わりごろに出てくる、不細工なリンゴ。色出しがまずかったのか、思い出に残るのは片方の頬が赤紫であとは緑だったり、いびつな形が多かったように思う。甘くて香りがすばらしかった。

印度 硬い果肉でひじょうに甘い。芳香性の黄緑色のリンゴ。形も揃っていないのが多く、なぜインドという名前なのか不思議だった。アメリカのインディアナポリスから導入したからと、あとで知った。
王林の親だと、黙っていてもすぐにピンと来る。

国光 さっくりとした食感のごくありふれたリンゴで、今にして思えばこれがリンゴの代表種だったのだ。今はどうしたのだろう。見なくなって、久しい。

スターキングデリシャス このリンゴで思い出すのは、美術の時間で写生用に使っていた瀬戸物のリンゴだ。肩が張り裾つぼまりのきれいな形、つやのある深紅色、
肩のあたりに星状の点々が入ったリンゴは、まさしくこのリンゴで描きやすかった。ただし、すぐにボケてバナナの匂いになるのが、特徴だった。

ゴールデンデリシャス 形もきれいな黄色のリンゴで、そばかすのような点々があり、果肉は最初の頃はぱりっとしていた。甘くて美味しいのになぜか途中で、食べ飽きた感じがするのはなぜだったのだろう。

紅玉 御存知の真っ赤な酸味があるリンゴ。一時伐採されてなくなってしまいそうだっだが、復活のきざしがあって嬉しい。アメリカのJonathan(ジョナサン)が日本で紅玉とよばれ、パイやジャムなどに無くてはならない、大事なリンゴだ。
私の好きなリンゴはこの紅玉で、バシッと歯を立てて丸かじりするのが最も美味しい食べ方だと思っている。

今日私は青森県黒石のJAタウンに、「小さめ紅玉」を注文した。
最終100箱限定だそうだが、約5キロで28個入り。送料、税込みで3,000円だ。

http://www.ja-town.com/shop/

タルトタタン、焼きリンゴ、アップルパイ、アップルジェロ、ジャム・・・、
さぁ、リンゴが届いたら、何から作ろうかしら。

最後のバジルで

冬型の気圧配置で、急に寒くなってきた。
昨日は仙台から北の方は雪となり、青森や秋田の積雪が報じられていた。
こちらも初霜がいつ降りても不思議ではない。
バジルの収穫を1日延ばしにしてきたが、
霜に当たったら一晩で真っ黒に霜焼けをしてしまう。
今日こそ、決行しなくては。




5本ほど残しておいたバジルの株から、緑の葉を茎ごと切り落としたら、
思いのほかたくさんの量が取れた。




その中でも元気な枝を数本選び、水差しに活けた。
日あたりのよい暖かな場所に置けば発根するので、室内用に植え替えて冬の間利用するつもりだ。

残りは全部、保存用にバジルのピストゥ(ソース)を作ることにした。下準備は、さっと洗って完全に乾かし、葉と柔らかい蕾だけ切り取っておく。




材料
バジル100g、ガーリック2~3片、松の実、粉チーズ各6g、塩少々、
オリーブ油カップ1

暑い季節の若いバジルは素直なのであくが少ない。
しかし、今頃のバジルはストレスも多く古株になっているので、色が悪くなりがちだ。そこで今回は緑の色がきれいになるように、パセリを1割ほど加えてみた。

作り方
1. ガーリックと松の実は粗く刻んでミキサーに入れ、塩とオリーブ油大匙3見当を加えて攪拌し、クリーム状にする。




2. 粗く刻んだバジルを?に加え、オリーブ油を数回に分けて加えながら
ペースト状にする。長く攪拌すると熱で変色したり、味が落ちるので、手早く行うこと。

3. スイッチを切ってから、粉チーズを混ぜてできあがり。




★ 空気に触れると色が悪くなるので、ファスナーつきの冷凍用ビニール袋に入れて冷凍し、使う分だけ折り取ると便利だ。

★ 冷凍庫で保存すれば、約2年は味が変わらない。

★ 小さな瓶に入れ、表面をオリ-ブ油2~3mmほどでカバーしても、
変色しにくい。

★ フイルムケースに詰めると、冷凍庫の場所もとらず、
ちょうど2人分のスパゲッティソースの分量に。

このピストゥとは、プロバンス地方に伝わるバジルソースのことで、
イタリアではペストという。
また、ジェノバ地方名産の松の実とオリーブ油を使ったソースのため、
ジェノベーゼソースの名前でも有名だ。

そうそう、肝心の美味しいヒントを書き忘れるところだった。

まず有名なのは、スパゲッテイに。
ゆで汁で少しゆるめたソースは、パスタにからみやすいので、ぜひおすすめ。

ピザやトーストに、肉や魚介、野菜などの焼いたものに、
ドレッシングソース、バターやチーズなどに混ぜて、
などなど何にでも合うのだ。特にトマトやチーズと相性がよいので、
いろいろトライしてみよう。

我家の今夜の晩御飯は、ピストゥチャーハンの予定だ。
ミキサーの中に残ったピストゥがもったいないので、
ご飯をミキサーの中に入れ、ソースを絡める。
ハムとタマネギのみじん切りを炒めた中へ、
ピストゥまみれのご飯を混ぜ、醤油少々を垂らして、
焦げ目が付くぐらい炒めれば、出来上がりだ。

喜ばれた手土産

初めてお会いする方や、
それほど改まった訪問でない時などに、
いつも私は小さな手作りの手土産を用意してきた。

主に庭でできたものが多く、
ハーブの花の季節には、
色とりどりの香り高いハーブを、ふんだんに使った花束、
果物が実る初夏から夏にかけては、フルーツバスケットを。
小さな箱にポテト・ミックスを詰め合わせた年もあった。

晩秋のこの季節には、庭も淋しくなり、
トウガラシを残すのみとなった。
そこで、昨日伺ったお宅への手土産は、
このようなペッパー・バスケットをお持ちした。



せっかく配色を考えてきれいに詰め合わせても、
そのままでは、ぐずぐずと動いてしまう。
黄色のバンダナで軽く包んでから、
手提げ袋に入れた。



最初にバンダナを開けた御主人からの質問は、
「これは何の蝋細工ですか?」

これまで見たこともない、
カラフルな色とユニークな形・・・・。
しかもぴかぴかと艶があるので、てっきり作り物と思ったそうだ。
これで緊張感がほぐれ、親しく話が弾んだのだから、
植物の力は大きい。

しかし、紙袋にトウガラシを入れて差し出しただけでは、
談笑までに至らなかったのではないだろうか。
バスケットとバンダナの小道具を用意しておいたから、
手土産の体裁となったと思う。

なーに、たいしたものではない。
二品合わせて、210円也だから。
このバスケットは、スプレーでオリーブグリーンに染めたものだ。
暇があるときに、
セイジグリーンやくすんだブルー、アイボリーなどに染めておくと、
ほとんどのギフトに重宝する。

1000円もあったら、手土産の小道具はいろいろ揃うこと請け合い。
ただし、例の店で。


カボチャのひらめき料理

ほとんどの女性は、ハプニングに対して動じないものがあると思う。
先日の経験は、かなりうまくいったので記してみたい。

*    *    * *

「それでは2時にお伺いします」

あっ、いけない。
前から約束をしていた方の来宅だが、ぎりぎりまで仕事が立て込んで、
お茶菓子を買いに行く暇がない。
こんな時に限って、気の利いた買い置きもない。

「遠くからみえるので、もしかしたら彼女はお昼を食べてないかもしれないわ。用事が終わるのが5時。帰りも時間がかかりそうだから、3時にはお菓子よりもちょっとしたおなかにたまるものはできないかしら・・・・」
時間はあと40分しかない。

考えてみて使えそうなのは、途中までくり抜きかけたカボチャ、
ベーコンとタマネギを炒め、さらに茹でたジャガイモと炒めて塩胡椒した、今朝の残りのジャーマンポテト、
昨夜の冷たい白いご飯。

よし、ひらめいた★ 素敵なのができそう!!!。
10分で準備し、オーブンで30分焼いたのが、あつあつのこのパンプキン・スタッフィングである。



事情が事情だけに、作り方というほどのこともないが、

1. くり抜いたカボチャにラップをかけて、電子レンジで10分。果肉をある程度柔らかくしておく。

2. その間に、ご飯とジャーマンポテトを混ぜ合わせ、塩、胡椒で味を整える。あればパセリかチャイブのみじん切りを加えると、見た目にも美味しそうに。

3. 1に2を詰めて粉チーズをかけ、180度の天火で30分焼く。フォイルを被せると焦げずに、まんべんなく熱が伝わる。



それぞれに好きなだけ、切り分けていただく。

まるで、下拵えをしていたようにうまくいった。
ほくほくしたカボチャの甘味と、ベーコンの香ばしさ、チーズの焦げた匂いがあいまって、まさにスペシャルクッキングの美味しさだった。

さて、大きなカボチャだったので、また余ってしまった。
今度はポタージュスープに、ヘンシーン!!!

カボチャの皮をこそげとり、5センチ角ぐらいに切って、ミキサーに牛乳とともに入れ、攪拌する。








ナツメッグ(なければシナモンも合う)少々を加えて温め、お気に入りのカップに注ぎ入れて、「まぁ、いいお味だこと」

米とジャガイモでとろみがついているし、タマネギとベーコンから美味しいだしが出ている。
それに北海道からいただいた、有機農法のカボチャだもの、美味しいはずだ。

失敗談が自慢話っぽくなってきたので、お仕舞い。
要は、窮地に立たされても、ひらめきによって何とかなるものである。

シトロンの果実



昨年植えたシトロンが、初めての果実を6個つけた。

初夏の頃に咲いたパープルがかった花は、
道行く人の足を止めるほど、ウットリするような強い芳香を漂わせた。

ぽちんと枝に付いた小指の先ほどの実が、
夏の間にふっくらと丸みを帯び、
いつの間にかテニスボールよりも大きくなった。
まだ細い枝は果実の重さに耐えきれずにしなり、
果実はかろうじて地面すれすれの空間にとどまっている。
植物事典によれば、果実の長さ10~18cm、幅4~5cmに生長するという。

これまで植物を求める場合は、
前もっておおよその知識があり、植える場所まで決めてからにしていた。
それなのに、近くの園芸店で、「シトロン」という名札を見ただけで衝動買いをしてしまったのには、こんな思い出があったからだ。

県立福島女子高校へ入学したばかりのある日の放課後、
体育館の方から優雅なワルツが聞こえてきた。
踊るような足取りで体育館へ近づき、入り口に佇むと、
音楽体操クラブの部員たちが、ワルツに合わせて練習を行っている。
そのとき流れていたのが、ヨハン・シュトラウス2世作曲による「シトロンの花咲くところ」で、私はその後毎日この曲と付き合うようになった。
なぜなら、入部してインターハイから、国体を目指して練習に励んだからである。

現実は厳しく、思うような結果にはならなかった。
けれども、「シトロンの花」と聞いただけでも、仲間とともに汗と涙を流した青春の日々がよみがえってくる。

シトロンというインド原産の巨大なミカン類を手に入れたが、
私のイメージの中に生きているシトロンは、
やさしい香りの白い花が咲き、黄金色に輝く南欧の果実だ。


リバティーの紅葉柄にそっくり?



今朝の冷え込みは、かなりきつかった。
青森では初雪、旭川では3センチだったか? 積もったようである。

まだ大丈夫だと思うが、露地に植えたままのバジルが心配で、
着替えをするなり下の庭へダッシュした。

セーフ! バジルはダメージを受けてなくて、あぁよかった。
初霜が降りないうちに、早く収穫してピストゥを作らなくては・・・・

庭を眺めると、冷え込んだせいで紅葉や黄葉が、かなり進んだようだ。
そこで、葉っぱを集めてパチリ。

右上から下へ、次に左上から下にという順に。
ネグンドカエデ‘フラミンゴ’、 プラム’ハリウッド’、
 柏葉紫陽花、唐辛子‘バルーン’、 
山芋、ブルーベリー、ヒビスカス・サブダリファ、イエライシャン、
プラム‘ハリウッド’ タデアイ。

* プラム‘ハリウッド’と ヒビスカス・サブダリファはもともと銅色。

こうして葉を並べてみたら、リバティーの布地に何となく似ている絵柄があることを思い出した。



うーん、似てるといえば似ているし、似てないといえば・・・。
イチョウにカエデ、プラタナス、ユリノキなどにまだまだ種類がある。

ロンドンのLiberty社の生地には、小花模様が圧倒的に多いが、
2006年の秋冬コレクションには、自然のモチーフが取り上げられた。
洋梨や野生のリンゴ、プラムなどの絵柄、
ドングリとミズナラの葉が散り敷く森の中、
そしてキューガーデンの樹木たちのパターンが、発表されている。

この絵柄もそのうちの一つで、タイトルはHORREL。
残念ながら我家の3冊の英和辞典には、載っていない。
SORRELなら、ハーブのスイバのほかに、
栗毛色とか栗色の意味があるのだが、
まさかミスプリントということはないだろう。

宿題として調べてみよう。

香り続けるジンジャー・リリー



いつもの年なら、もうすがれた状態になるジンジャー・りり-が、
ここ数日来の小春日和に、再び元気を盛り返した。

マレーシアやインドの辺りが原産地だから暑い気候を好むのに、
クリスマスも近くなった今頃まで生き生きと花を開き、
夕方になると甘い香りを漂わせているのは、
おそらく地球温暖化の影響にほかならない。

サーモンピンクや、紅い品種も持っていたが、
大好きな純白のこの花だけを残して、友達に上げてしまった。
ジンジャーリリーの白い花が咲くたびに思い出すのは、
日本のフラワーデザインのパイオニアで、
皇后美智子様が皇太子妃殿下の頃から、
お花の御用を勤めていらした村田ユリ先生のことだ。

ハーブのご縁で、
麻布の御自宅や御代田の広大な農園に通わせていただいたが、
その度に植物のことばかりでなく、
学ぶ、愛する、助ける、慈しむ、受け継ぐ、分かち合うことなどなど、
人生の中でとても大切なことを教えてくださった。

亡くなられる数年前の初秋、
御代田にはジンジャーリリーがなかったので、私の畑からお持ちすると、
涙を浮かべて頬ずりをするように深く香気を吸い込み、
「そう、思い出すわ、この花は夜に香るのよ」と、つぶやいた。
いつもは男勝りの行動力と決断力を持ち、ショートカットの見事な銀髪と、
マニッシュなスタイルできびきびと働く先生が、
熱帯の夜に香る花に女らしい一面を見せたことが、
不思議であり、なぜか嬉しかった。

「恋は大事よ。あなたも恋をしなさい。私のようにね」
ジンジャー・リリーの花の香りとオーバーラップして、
どこか遠くから、村田ユリ先生の声が聞こえたような気がした。

こぼれダネのミニミニキュウリ



秋風が立ってから、急に元気を取り戻した野菜がある。
こぼれダネから発芽した、このメキシカン・サワー・ガーキンだ。

長さ2CMになるかならないぐらいの、小さなキュウリで、
詳しくは2006/10/18 に、「キュウリの首飾り」、
2006/10/21に、「315個のサワーガーキン」のタイトルで記してある。

猛暑が続いたせいでほとんどの野菜やハーブは暑さに負け、今年はこぼれダネからのお恵みは断念しなくてはと思っていたから、嬉しさもひとしお。

さて、今年はいくつ収穫できるかな?
コリアンダーを効かせたピクルスを、作るのが楽しみでならない。


柏葉紫陽花のラストステージ

昨日に続いて、今朝もきりっと澄み切った空気が心地よい。

家の前にある公園の欅(けやき)は、枝先きまで黄金色に染まり、
朱色から臙脂(えんじ)に変わった桜の葉が、はらはらと風に舞っている。




一晩のうちに張り巡らせた蜘蛛の巣を払いのけながら、
金魚に餌をやるために小さな池へ近づくと、
光の翼が輝く大きな蝶の姿が見えた。




気を落ち着けてよくよく見ると、
朝の光を受けた柏葉紫陽花の葉ではないか。

あれは梅雨の頃、やや緑色を帯びた白いキャンドルのような花房ばかりが賞賛されても、
嫉妬すること無く、大きな葉は穏やかに花を引き立てていた。

そして今、これが最後の舞台と知っているのだろうか、
柏葉紫陽花の葉は真紅の衣装に身を包み、
誇らしげに主役を演じている。


家庭果樹に思うこと



今年は例年よりも、紅葉が2週間ほど遅れている。
従って落葉する時期も、さらに遅くなる見込みだという。
そろそろ、落葉樹の植え付けの季節が始まる頃なのに、
今年はイレギュラーな年になることは、間違いないだろう。

積荷の先端に「危険」を表す紅い布切れをつけて、
ゆっくりと走る作業用の小型トラックが、
前を走っている。



すっかり葉をむしり取ったこの根巻きの大株は、
植え付けの下拵えを済ませた、枝垂桜だろうか。

トラックには、我が家の近くの造園屋さんの名前が入っていた。
夕方のせわしない時間に、前の車ののろのろ運転に少し苛立ちを感じていたが、急に親しみを覚えた。

この造園屋では、さまさまな樹木を扱っている。
買い物の帰りにこの前の道を通ってしばらく車を止め、
作業を見学したことがある。
よく売れるタイプについて聞いてみると、
「この頃は、家庭に植える樹の傾向として、花もきれいで、実がなって、紅葉も楽しめる家庭果樹に、人気があるね」とのこと。

私も、ほんとうにそう思う。
わが家には、ジューンベリー、ブルーベリー、プラム、プルーン、ブドウ、リンゴ、アンズ、ブラックベリー、マルベリー、ポメロ、キンカン、シークアーサー、ライム、シキナリライム、オリ-ブなどが、ジグソーパズルのように植えてある。
全部が全部、紅葉がきれいというわけでもないが、
収穫が少なくても実のなる樹が庭にあることで、季節ごとに家族中が大きな幸福感を味わってきている。

この楽しみは、亡き父が子供たちに誕生木として、
リンゴ、モモ、プラムの品種を植えてくれたことに、端を発している。
そして、私の姉妹も、そしてその子供たちも家庭果樹を植えて、
子供たち(私にとっては孫)とこの喜びを分かち合っている。

食べてしまえば形はなくなるが、
心の中に生きているホームフルーツの味は、いつまでも消えることがない。


みちのくのタネマキざる

江戸川橋から六本木へ抜ける途中で、河田町の備後屋が近くにあることを思い出した。
備後屋は諸国民芸の品を扱う本格的な店で、
地下から4階の隅々にいたるまで、
用の美に裏打ちされた食器や布、紙、道具、郷土人形などなど、
よだれが出るものばかりが所狭しと、並んでいる。

結婚後二人で買った初めての皿は、この備後屋で吉のサインが入った
清水焼だった。
久しぶりなので店に寄ってみると、「見るだけ、見るだけ」のお題目も空しく、それぞれに買い物をしてしまった。

夫の新しい面を見たように思ったのは、彼が土湯系のこけしを求めたことだ。
土湯でこけしを作り続けた父親の若い時の作品と
土湯から出て東京の日野に工房を構えた息子の作品を並べてみると、
大胆な横縞の意匠に共通点はあるものの、
父親のほうの顔の絵付けが何んともいえずあどけない。

この2体のこけしは、私のパソコンの横に飾ってある。

さて、私が買ったものは、このざるだ。



口は丸いのに底は角張った形、低い位地にあるグリップ、桜の樹皮で裏打ちされたつくり、魚の鰓骨のように細く割った竹で隙間なく編んだ面、どれをとってもこれまで見たことがなかったざるである。





店の方に聞いてみると、
「これは宮城県の仙台に近いところで実際に使っている、種まき用のざる
なんですよ。ざるの中に種を入れ、取っ手を掴んだ手を左右に揺らしながら種を撒くのだそうです」

ロンドンのキューガーデンにある「種蒔く青年」の像は、片方の肩から提げた布の大きな袋から右手で種をしゃくり取り、前後左右に撒き散らすポーズだった。いかにも若々しい青年が広い大地に蒔いているのは、麦とかマスタード?

このタネマキざるは何を撒くのだろう。畝を作らないでばら蒔きにするもの・・・・とは?
ソバ、レンゲソウ、アブラナ、それとも・・・・?

考えているうちに、いつの間にか、「花咲科爺さん」がこのざるを持ったら似合うような気がしてきた。
犬の灰は残酷で可愛そうだが、昔の農家では囲炉裏や風呂場、カマドの灰を大切な肥料としてきた。
このざるの目なら、こぼれることもないだろう。いや、そのためにこれほどの細工を施したのではないだろうか。

私も、苦土石灰や化成肥料を撒く時に使ってみよう、と思った。
それが、道具のあるべき姿だと知っている。
でも、でもねぇ、もったいなくてまだ私には出来ない。

クコの効用



近所の原っぱで、クコの花が咲いているのを見つけた。
ふつうは初夏から夏にかけて開花し、
今頃は紅い小さな実をつけている頃なのに、
やはり地球温暖化の影響なのだろうか。

クコの実は、中華街の食材店などで見かける、
7~8ミリの皺のよった果実で、
スープや、詰め物、炒めもの、杏仁豆腐のトッピングなどに使う。
ドライフルーツと思う人も多いようだが、医食同源のれっきとした漢方薬だ。

中国の薬物書の古典「神農本草経」には、
「久しく服すると、筋骨をしっかりさせ、身を軽くして老いない」とある。
まさに来月66歳を迎える私に、ぴったりの薬草ではないか。

漢字で枸杞と表すクコは、ナス科の小低木で、
日本ではすでに平安時代に貴族の間で、愛用されていたそうだ。
果実には血行をよくする働きがあり、葉にはビタミンCが多い。
最近の中国の研究によると、疲労回復ばかりでなく解熱や咳止め、
利尿、消炎、血圧降下などにも効果があるという。

前に住んでいたマンションの近くにクコのヤブがあったので、
私は毎春柔らかな新芽を炊き込みご飯にしたり、
お浸しやお汁のあしらいなど使っていた。
果たして、効果があったのかどうかは定かではない。

なにしろ若かったから一晩ぐっすり眠れば、リフレッシュ。
クコのおかげもあったかもしれないが、毎日が新しい出会いや、わくわくする希望に満ち溢れ、夜の明けるのが待ち遠しい朝もあった。

クコは葉、果実、根の皮の全草が利用できる。
丈夫で手間要らずなので、今日にでも、一株通販で注文してみよう。

あぁ、いけない。クコ飯がもう目の前でちらちらしている。


山茶花の名前の謎



中学1年生の頃だったろうか。
新聞で山茶花の漢字を始めて見たとき、ミスプリントだと思った。
サザンカと読むのなら茶山花が正しいのでは?
大新聞社の間違いを見つけたと、鬼の首でも取ったような気持ちで、
念のために辞典で調べてみたら、やっぱり山茶花が正しいとあった。
あれ以来、腑に落ちない気持ちのまま、長い時間が過ぎた。

この季節に、住宅地を散歩すると目に入るのが、山茶花の花だ。
一重に八重、万重と花の形ばかりでなく、花の色もさまざま。
めぼしい花がなくなった秋から冬にかけて庭を彩る山茶花の美しさに、
名前の由来を改めて調べてみたくなった。
諸説あるが、以下は伊澤一男・星薬科大学名誉教授著の
「薬草カラー大事典」を、参考にさせていただいた。


山茶花は、日本原産の植物なので、中国にはない。
ただし、日本産のヤブツバキを栽培し、これに山茶花の漢名を当てている


中国の文化を手本としていた江戸時代のわが国では、
植物に中国風の名前をつけないと格式がないという考えがあった。
そこで、無理に漢字を当てはめた例がこの山茶花である。
初めて山茶花(サザンカ)の名前が出たのは、生け花の指導書「立華正道集」貞享元年(1684)だ。
その10年後、「養生訓」で有名な貝原益軒は著書「花譜」で茶梅花(サザンカ)の漢字を用いている。
その後は山茶花が一般的となった。

どうやら、最初の中国名がツバキとサザンカが一緒になってしまったあたりから、ややこしくなったようだ。

ちなみに学名は、Camellia sasanqua (ササンカ)という。


眺めるショコラ

病院へお見舞いに行くとき、悩むのが手土産である。

香りの強い花は病人の神経を刺激するので駄目。
鉢植えの花は、長期の入院患者にはタブーだ。根付く=(寝つく)に通じるため、年輩の方は気にする。
シネラリアの花は(死ね)に通じるので、サイネリアとよぶ。
また、不妊症の方に、梅〈産め)のお菓子や花はNGだ。

先週、食事制限がある友人を見舞った時の手土産が好評だったので、紹介しよう。




「あなたの大好きなゴディバのチョコレートよ。少しだけど、どうぞ」
「ありがとう。でも、私今は制限中なのよ」




「きゃー、かっわいー!!! きれいじゃない? これみんなトウガラシなの?」
「そうよ、これなら手が出ないでしょ。“眺めるショコラ”っていう名前なの」
「一つ一つの名前も教えて」
「いいわよ。右上の赤いのがギネスブックにも載っている、世界で一番辛いトウガラシのハバネロ。
その下が紫炎。すてきなネーミングね。
真ん中の上はミニ・イエローと五色トウガラシ、その下がブラジルの超激辛。
左の上がネズミの糞よ」

「うっそー、この小さいのがネズミのうんち?」
「ふふふ、詳しくはあとで。その下の丸々としたトウガラシが、メキシコ料理によく出てくるハラペーニョ。オレンジ色がネパールのものよ」




「このミニミニの可愛いのが?」

「これがタイのプリッキーヌ。「ネズミの糞」はあだ名なのよ。こんなに小さいけれど、辛さは半端じゃないわ」

手を出したくても、出せないチョコレート。
「眺めるショコラ」は、今入院病棟中の話題になっているそうな・・・。



道の駅の美味しい[鴨せいろ」

二人とも4時に起床。
天気予報を確かめてから、夫は5時に撮影に出かけることを決めた。
彼が準備をしている間に、私は朝食の準備を。
レーズンとクルミ入りのパンにベーコンとタンポポの葉をはさみ、
熱い紅茶で元気付ける。

夫は、日曜日に撮影しきれなかった関東鉄道へ出かけたが、
昼食を食べる時間があるだろうか。
ほとんどの場合、撮影現場の近くには食堂などない。
気がつくと飯抜き状態でがんばってしまう夫なので、いつも心配している。

私も一緒に行った4日の日曜日には、つくばに近い下妻で2時間ほど時間が空いた。
こういうときには、新鮮な野菜や土地の食べ物がある「道の駅」へい行くことにしている。
最寄の「道の駅しもつま」を104で調べ、カーナビで検索して、レッツ ゴー!



軽食や蕎麦どころ、農産物の売り場などが揃った「道の駅しもつま」。
駐車場もゆったりとしている。




農産物館内の写真は遠慮して、外側をスナップ。
畑から直送のみずみずしい野菜の数々はもちろん、
おいしそうな納豆類、手作り味噌いろいろ、地粉、新蕎麦粉、
足つき竹ざる、レンコンなどなど、ここでしか買えない手作りの品であふれるほど。
特筆すべきは、世界で最も辛いトウガラシのハバネロが、100円で売っていた。







農産物館の左隣は蕎麦どころ。
お昼に食べた「鴨せいろ」は、新蕎麦もうどん〈950円)も美味しかった。
ローストした合鴨がたくさん入った熱々の汁に、たっぷりのネギ、七味を利かせ、
麺をつけていただくと、体はぽかぽか。

今日も夫は、ここでお昼をたべてほしい。

野良の朝顔

空っ風とかかぁ天下で知られる上州は、
寒い土地柄だとばかり思っていた。

ところが、住宅地の露地で亜熱帯地方のブラッシュの樹に紅い花が咲いていたり、霜が降りてない証拠にナスタチュームが満開だったり、
思っていた以上に温暖な気候のようだ。

秩父線の籠原から小前田辺りの沿線には、
庭からエスケープしたと思われる園芸品種が、
道路沿いや線路の斜面、河川敷などで野良になっている。

中でも印象的だったのは、もうすぐクリスマスだというのに、
朝顔があちこちにかなり残っていたことだった。




20年ほど前、シンガポールや台湾などで見かけたこの花は、今、わが国でも琉球朝顔などの名前で流通している。ひじょうに濃い青紫で、夕方まで咲くのが、チャームポイントだ。




ちょうどクズのような旺盛なパワーではびこり、樹木に絡み付いてダメージを与えている。
線路の土手など、お茶の子サイサイ。来年はカーペット状になるかも。




駅の自転車置き場の陽だまりに咲く、白花種の朝顔。
遠目ではハマヒルガオのように見える。



住宅の垣根からエスケープしたのか、地面を這ってどこまでも伸びる空色の
朝顔。青の色はアメリカの朝顔、ヘブンリーブルーに似ているが、切れ込みのある花弁と、蕾の形が違う。




交配したのか、酸性雨などの影響で、ややピンクがかっている朝顔。
夏の風物詩だった朝顔も、このように長生きするのなら、歳時記にもかなり
の改訂が必要になるのでは、ないだろうか。

これも地球温暖化の影響によるものだと思う。

食べごろのタンポポ

♪♪~ (パッへルベルのカノン)
携帯電話の着メロが鳴り出した。
「もしもし、お姉ちゃん、お早う。C子だけど、今どこ?」
末の妹からの電話だった。

「お早う。朝早くうちを出発して、今、秩父なの」
「いいわねぇ、紅葉のぐあいはどう?」

「紅葉? さぁ、どうかしらね。秩父鉄道の撮影についてきたので、朝からずーっと線路のそばにいるか、駅の前なのよ」

私の夫は鉄道カメラマンだ。
締め切りをたくさん抱えていて、いつも超多忙。
今日は秋晴れの秩父路へ出かけるというので、同行した。

夫の仕事を手伝うといっても、たかが知れている。

それよりも、仕事の邪魔をすることなく、かまってもらえなくても不満をいわないことが、最も喜ばれる協力なのだ。言い換えると、撮影が終るまで「一人遊び」ができる「待ち上手」でないと、つとまらない。

その点、私は花丸付きの優等生だ。
今日も、撮影の邪魔をせずに、周辺を観察することで、半日が過ぎた。



夫が仕事をしている間、駅前をウオッチング。
晴れ渡った晩秋の昼下がり。乗降客が一人もいないフォームには、
菊の花が咲き、ときどき遠くから竿竹売り屋のスピーカーの声が聞こえてくる。

道の反対側に、広い空き地があったので足を踏み入れてみた。
そこは溝を越えた一瞬から、春の国へワープしたような錯覚にとらわれる不思議な空間だった。




広っぱには、タンポポの黄色や白い花が咲いていた。
ハコベは花も終わり、ぺんぺん草の語源となった三味線の撥の形をした種がたくさん付いている。
ハルノノゲシ、ヒメオドリコソウ、キュウリグサにセりの花も咲いていた。




もとは田んぼだったのだろうか。
肥料分が残っているらしく、どの草も元気な表情だ。
中でもタンポポのやわらかそうな葉は、ちょうど食べごろで美味しそう。

タンポポはフランス人の春1番のサラダに、よく使うワイルドハーブだ。
栽培もしているが、ソバージュといって野生のものはひときわ苦味と香りが強いので、珍重される。
この苦味成分は冬の間の酷使で疲れきっていた、肝機能や消化器系統に喝を入れる働きがあり、フランス語でピサンリ、英語ではダンディライオンという。利尿作用があるため、あまり食べ過ぎるとお漏らしをしやすいので、要注意だ。

タンポポのロゼットがたくさんある。ぽつんと離れた場所の単独ロゼットは、硬くなっていることが多い。しかし、込み合ったところなら株元まで日が差さないため、柔らかくてマイルドな味である。
シンプルなサラダやお浸しにすると、春の味が・・・、

あら、今はまだ秋。
ちょっと変な感じがするが、タンポポは美味しい。

咲いていた!サフランの花

撮影旅行から帰って、パソコンを開けると、
次男のお嫁さんが見つけた、ブログのアドレスが入っていた。

広田さんのブログを見て、早速サフランの球根を植えたら
本当に11月3日に咲いた!!!

千葉に住むその方が、実際に行ってみた結果がつづられていた。
私の紹介も入って面映い感じがするが、アドレスを記させていただく。

http://www.logbea.com

このホームページは、とても素敵だ。
地域の方たちとの心温まる交流、
喫茶店の場をギャラリーにしてアーティストたちを支援し、
自然と触れ合いながら豊かな暮らしを紡いでいる、べあさんの輪郭が見えてくる。

べあさん、はじめまして。サフランの開花、おめでとう!!!
これからも、どうぞよろしく。

However,わが家のサフランは、まだ咲いていなかった。

サフランの花は咲いたか

サフランの開花日を、11月3日と予想し、
10日前からカウントダウンに入った。

昨日は約束の日、青紫の花が咲き競うはずの日であった。
数人の知人、友人たちから「首尾はいかに?」と
メールや電話が入った。
おぼえていてくれてありがたい。

しかし、答えは「まーだだよ」



球根のすべてが生え揃った。
芽もすくすく伸びて・・・。



最も発育のよい茎の長さは、10センチを越している。
日に透かしてみると、うっすらと緑の芯が見えた。
もしかしたら、あっという間に咲き揃ってしまうのかもしれない。

今日と明日は、夫の撮影に同行することになった。
どうか、火曜日までは咲かないでいてほしい。

人間って、なんて勝手なのだろう、ネ。

道端のトロピカル・フルーツ

「あれっ、どうしたの? ほとんどなくなっている!!!」
ここは京浜東北線与野駅の近くにある、カタクラパーク。

夏に来た時、私はモールの歩道に置かれたコンテナの寄せ植えの前で足を止めた。
長方形のプランターに植えてある低木が、ただものではないのだ。
濃い緑の肉厚の葉が繁り、枝には球形の緑の果実がいくつも付いている。
フェイジョアに似ているが、わが家のフェイジョアは葉の裏が白いし、これほど肉厚ではない。

おそらく、これはトロピカルフルーツのグアバだと思う。
こういう場所の寄せ植えには、コニファーやオオムラサキ、シャリンバイなどが一般的だが、このコンテナのデザイナーは、何んとお洒落な植物のチョイスをしたことだろう。
この時はカメラを持っていなかったのが、残念でならない。

10月に通りかかった時は、ひどい暴風雨で撮影が出来なかった。
しかし、ピンポン玉の大きさの果実がたくさん付き、中には黄色実を帯びていたものもあったことを、目で確認している。

そして、今日カメラを持って張り切って近寄ってみると、
10個近くあるプランターには、ただ緑の葉が繁っているだけ・・・。



ようやく見つけたのは、この黄色い果実が1個。




そして、葉の裏に隠れていた緑色の果実も1個だけだった。




通りかかった清掃係の方に聞いてみると、
「どうも夜中に盗んでいく人がいるらしいんですよ。黄色になると無くなるので、美味しくなるまで待ってるんでしょうね」

やはりこのグアバを、知っていた人がいたのだ。
盗んだ熟れたトロピカルフルーツは、さぞかし美味しかったに違いない。

植物事典で調べてみると、フトモモ科に属する熱帯地方原産のグアバは、
ザクロに形や肌が似ているので、台湾ではバンジロー〈蕃石榴)、日本ではバンザクロ、またはバンジローという。
耐寒性があり、順応性に富むので、鹿児島や沖縄などで栽培されている。

私はスリランカや台湾、沖縄などで食べたことがあるが、
複数の果物の香りがミックスした独特の香りと、甘酸っぱさは、
初めて経験したエキゾチックなテイストだった。
世界中にはおよそ150品種があるそうだが、この果実は、川崎市のフルーツパークにあったキミノバンジローによく似ているような気がする。

誰かがフルーツパーティーをして楽しんだことの是非については、通りかかっただけの私がコメントすることではない。
しかし、このプランターで、これだけ立派に実がなるのを証明したことは、
たいそう友意義だったのではないだろうか。

我が家でも、ぜひ植えてみたいものだ。

山椒ものがたり



薔薇のアーチの後ろに、山椒の樹がある。
よほどこの場所が気にいったのだろう。
幼苗の鉢をたまたまその場所に置いたら、あっという間に鉢底から根を伸ばし、居ついてしまった。
腰にプラスチックのスカートをつけた山椒の樹は、無様といよりも滑稽で、いつかきちんと植え替えてあげようと思いながらも1日伸ばしになり、とうとう動かすには危ないという大きさになっている。

山椒の樹があると、四季折々に日本の味を感じる一皿を食卓へのせることができる。
桜の花が咲く頃、若緑の芽と若いタケノコの出会いは1年ぶりの春の喜び・・・。
木の芽和えも木の芽田楽も、何んと素晴らしい香りの料理だろう。

ハシリの頃は葉を少しづつ大切に摘んで、お吸い物や煮魚の香り付けに使い、たくさん摘める晩春から夏頃には佃煮や酢漬けにする。
若葉の頃の小さな花、続いて青い実はそれぞれに佃煮にして、保存しておく。
硬くなった葉は、夏場のぬかみそに加えると味がよくなるばかりでなく、腐敗防止にもなるので、私は忘れないようにしている。

秋になると実がはじけて、割り山椒の風情は日本画のように美しい。
私は最初、黒々としたエナメルのような実の部分を挽くと粉山椒になると思っていた。これは間違いで、正しくは皮の部分を少し炙り、ペッパーミルで挽けば、最高の味わいになる。

幼い頃「1日に10粒の山椒を食べれば病気にならない」と祖母から、よく食べさせられたが、今はすすんで実行している。
今日は、身欠きニシンの山椒煮を作ってみた。レシピは昨年の9月7日に記したので、御参考までに。

手首ぐらいの太さになったら、最高の山椒のすりこ木ができるという。
大事な可愛い樹だもの、私にはそんな気持ちはさらさらない。

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