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スイカズラのお茶

一昨日スイカズラのことを書いたが、
うちにはちょうどいただいたばかりの「金銀花」のお茶がある。
それは、挿花家の仁部治身さんが、中国から買ってきてくださったものだ。
お礼の電話をすると、
「おそくなってごめん。怪我してしもうて、大失敗や。
それでも中国へ今年は5回行ってるんよ」



何たるバイタリティー!!!
いつも損得など考えず人の幸せを祈り、ひたむきに生きる彼女には、偉大な仏様か神様がつきっきりで守ってくださっているのにちがいない。。

「私は腰痛で、この頃は外出もしなくなったでしょ。今日なんかまだパジャマでごろごろしてるのよ」
「あかん、あかん、それは駄目や、広田さん。ちゃんと服を着なくちゃ」
「それはわかってるんだけど・・・」
「私はなぁ、昨日はバシッとおしゃれしたで。真っ白いスカートに、ショッキングピンクの帽子でな」
「素敵でしょうね、見たかったわ。今度写真ちょうだいね」

二人とも忙しい忙しいといいながら、ずいぶん長いことおしゃべりをしていた。
持つべきものは、よき友達だ。
さて、スイカズラのお茶は、「金銀花」と大きな文字で、
透明な袋に書いてくださったので、すぐわかった。



乾燥した蜂蜜色の花弁には、日向くさいといおうか、夏休みの頃の夕方の匂いがした。
一つまみポットに入れ、熱湯を注いで待つことしばし。
頃あいを見計らってポットを傾けると、金色のお茶がよじれるようにして飛び出してきた。



小さかった頃、スイカズラの花弁を吸って遊んだものだった。
あのぐらい甘いのかと期待していたら、香りはSweet でも、Tasteは甘くはない。
漢方の参考書には、花のお茶には解熱作用があると書いてある。しかし、私には直感でリラックス効果もあるように思えた。
嬉しいことに,葉や茎をお風呂に入れると、腰や間節の痛みに効くという。
庭ではびこっているスイカズラも、これで役にたつというもの。
自然の恵みは、なんとありがたいことだろう。




元気なハバネロ



元気がよいものを見ていると、
元気がもらえるというのは本当だと思う。



このハバネロを眺めていると、
つくづく実感する。
昨日より今日のほうが果実が大きくなり、
果肉に厚みが出てきたことも、
毎日見ていると、
自然にこちらまで伝わってくる。

色づきも日に日に濃くなって、
真っ赤に染まった果実もいくつも出てきた。



子育てや仕事にてんてこ舞いの時は、こんな余裕はなかった。
なくても、朝起きると元気が満ちていた。

今は緑に元気をもらい、助けられている。

リバティプリントのハーブ柄 ?

Honysuckle

ハーブが好きな人は、たいてい布や糸が好きな人が多いようだ。
初対面の人でも、何かの加減でリバティーなどと、ちらっと口からこぼれると、あとは「ためぐち」で、いつまでも布談義に花がさく。

昨日から広間で、いろいろな物の整理を始めた。
結果としては整理どころか、引っ掻き回してさらにひどい状態になり、手のつけようがない。なにしろ好きで集めたものばかりだから、ゆっくり眺めたり触れたりするにはいいチャンスだ。本、、バスケット、文房具、紙類、リボン、ボタン、布・・・。
 中でも、リバティーの端切れの箱を開けたのが、間違いの元。「片付け作業」とやらは、これでストップ状態になってしまった。
りバテイーの図案には、抽象的なものや幾科学的なものもあるが、やはり圧倒的に多いのが植物関係のものだ。
前から気になってたのだが、この中にはハーブの柄がかなりある。
少しずつピックアップしてみよう。



Honysuckle (すいかずら)と題したウイリアム・モリスの作品。1874年。
オリジナルは刺繍のための図案だったようだったが、バーミンガム美術館所蔵の作品を、今私たちが手慰みに使えるのはなんと言う贅沢なことだろう。

この図案をよく見ると、妖しいまでにあでやかな阿片芥子(オピウムポピー)、高貴さを表す瓔珞百合(クラウンリリー)、背景の細かい枝は西洋一位(イユー)が描かれているが、主役はスイカズラだ。
イギリスのどこにでも生えて、あらゆるものにまとわりつき、夕方になると甘い切ない芳香を漂わせる。

私は、モリスの夏の館のケルムスコットを訪ねたことがあった。
この頃の彼は妻の裏切りと、複雑に絡み合った人間関係に悩んでいた。それをこのデザインに表したのでは? と感じたのは、なぜか3階にある刺繍で飾られた、天蓋つきの彼の寝台を見たときだった。それは、意外に小さな人だなと思わせる華奢なサイズだったから。



スイカズラは、ペルシャから唐草模様のパターンとなって、シルクロード経由で日本へも伝わっている。冬でも葉を落とさないので忍冬(にんとう)とよび、葉や茎を刻んであせも、肌荒れなどの浴湯料に。漢方では白から黄色に変化する花を乾燥させて、金銀花としてお茶にしている。

5種類のガーリック

外国のカタログを見て、
何が羨ましいかといえば、ガーリックの品種がたくさんあることだ。
例えば、私が会員になっているアメリカの Seed Savers Exchangeには、色も形も異なるガーリックが、たくさんのっている。





薔薇色の薄皮がきれいな Georgian Crystal, 
紫の筋が入ったGerman Extra Hardy,
シルクロ-ドを髣髴とさせるSamarkand(Persian Star)など、
植えてみたい気持ちが、そそられるではないか。
しかし、これらは植物防疫の点から、日本へ送ってもらうことは出来ないことはないが、かなりむずかしいようだ。

ガーリックをよく使うので、自家製がなくなるとほとんど買っている。けれども、」中国製だけは買ったことがない。
まさか段ボールが入ってはいないだろうが、何をしているか分からない国のものを口に入れるのは、要注意だ。

近くのホームセンターで、野菜の種子コーナーをのぞいたら、ガーリックの
品種が5種類ほどあった。日本の園芸カタログでもこのぐらいはのっているが、この暑さでは申し込むのが面倒くさい。

結局買ってしまった種類は、(トップから時計回りに)



「ホワイト6片ニンニク」 ニンニクの代表種。麟片が大きく貯蔵性あり。

「紫ニンニク・紫々丸」 暖地向きの早生種。香り、辛味、香りが最高。

「島ニンニク」 沖縄で人気の小粒ニンニク。葉もよい香りで利用できる。

「上海ニンニク」  原種に近いといわれ、中華料理によく合う。

「葉ニンニク」 沖縄でニラのように使われている栄養満点ガーリック。

1種類の植え付け目安はプランター1個分とあるので、今植えてあるものを何とかして・・・・。問題は土作りだ。赤玉土の小粒を2袋、腐葉土と牛糞
を各1袋買わなくては。涼しい夕方にでも買いに行こう。

来年の夏は、二人ともニンニク臭で嫌われているかもしれない。

このリンゴはきっとブラムリー

朝早く撮影に出かけた夫は、
この猛暑の中をひどくくたびれて帰ってくるだろう。

お風呂、ビール、食事、のあと「何か甘いものを少し」というコースになるが、今日はお菓子を買いに行く気が起きないほどの、残暑だ。

粉もバターもあるし、果物もある。
簡単なリンゴのお菓子でもと思い、
昨日ここに書いた大原先生の本を開いてみた。
スコーン、ソーダブレッド、パンケーキ・・・。これは朝の感じのお菓子だわ・
アップルオレンジケーキ、アップルレーズンケーキ、アプリコットクランブルケーキ・・・。わぁ、美味しそう。
材料と作り方を読んでいくうちに、「あら、もしかして」



“イギリスにはリンゴを使ったお菓子がたくさんありますが、リンゴ自体が日本のジューシーで甘いものとは違い、かためで酸味があり、焼き菓子に向いています”(ママ)
というくだりに、思い当たることが・・・・。
「かためで、酸味があり」というキーワードが、ブラムリーの特徴そのものではないか。
事後承諾の形となったが、
ブログへの引用のお詫びとお礼の挨拶をと思い、ダイヤルをした。

すると、留守番電話が「9月3日まで夏休み中です」と、告げている。
きっと、ロンドンか田舎でゆったりと英国の夏を、エンジョイなさっているのではないか。

それでは来月の5日あたりに、イギリス生まれの料理用りんごを送ってみよう。きっとびっくりして、「どうして? このリンゴが日本に?」と電話をくださるだろう。

先生の驚いた顔が、見えるようだ。


お茶が飲みたくなる本



大原照子(しょうこ)先生から、
新刊のご著書を送っていただいた。

タイトルは「お茶ほど楽しいものはない」。
表紙は生成りのアンテイークなドレスで、
ティトレーを手に微笑んでいる大原先生と、おいしそうなお菓子・・・。

思わずページをめくると、
朝は一杯の玉露から、ポットはひとつでいい、
ハーブティーは私の常備薬など、
興味をそそる小見出しが目に入ってきた。
写真は、気軽に作れて滋味のあるお菓子やジャム、コンポートなどなどが、
多彩なお茶のいれ方に対応した形で、紹介されている。





洗練された清潔感とでも言おうか、
シンプルで上等なお菓子の数々を見ているうちに、熱々のミンントテイーが
飲みたくなってきた。

大原先生が料理研究家としてデビューされたのが、たしか60年代だったと思う。その頃私は講談社の「若い女性」という月刊誌の編集者で、新進料理研究家の青山のお宅へ何度かうかがっていた。大原先生は小柄な体にエネルギーを秘め、仕事の進め具合もポイントを掴むのも早く、クレバーな方という印象が強かった。その後、私は育児のために退社。1974年に、先生はイギリスへ留学なさった。

その当時、女子大生の留学でもめったにないことだったのに、結婚して子供がいる婦人が仕事を全部休んで、イギリスへ語学留学。しかも4年間の長さに、私たちは大ショックを受けたものだった。けれども、先生の快挙に脱帽しながらも、いつの日か私も・・と、ゴール設定をし直した人も多かったにちがいない。

帰国後、留学の成果を生かした仕事をなさった後に、再び留学。
普通の人は学習だけで精一杯なのに、イギリス滞在中にアンティークの歴史を学び、帰国後「英国骨董の店おおはら」を開店。

美的センスは生き方のセンスにも現れる。常日頃、先生はライフスタイルをもっとシンプルにと、提案されていた。言うだけは誰にもできるが、実行できる人は数少ない。
先生はスーツケースひとつで留学し、リュックサック一つで世界旅行を優雅に楽しむエキスパートだ。だから、台所を3分の1に縮小し、道具類も調味料も絞りに絞り込んで、ゆったりと暮らすことを実践している。

「思いっきり手抜き料理」や「一つのボウルで焼ける菓子」、「簡単一人料理」「55平方メートルの暮らし替え」を読んでいると、口だけではないことが、ひしひしと伝わってくる。

ああ、大原先生の正反対の極にいる私は、ライフスタイルの簡素化から先ずスタートしなければ。本棚から本はあふれ、道具類はもはや引き出しに収まらない、マグニチュード7・5の激震地区を思わせる広間を見たら、何とおっしゃるだろう。

とりあえず、ま、お茶にしましょ。


ドライトマトを作ろう

房なりのミニトマト、シシリアンルージュは、
次から次へとよく実がつく。
生ではちょっと食べ飽きたので、ドライトマトを作ることにした。
5日前のことである。



ミニトマトは洗って水気をふき取り、縦半分に切る。種子を取る人もいるが私は種子にも味があると思うので、取らない。



ざるか箱などに、切り口を上にして並べる。軽く塩、胡椒を振り、オリーブオイルを1~2滴たらす。

強い日差しを探して、トマトを移動し、乾燥させる。
水分が出たらテイッシュに吸わせて、乾燥しやすいように。



これまでの猛暑の日3日間で、このくらいのしわしわドライトマトができた。少し数が足りないのは、お味見で我慢が出来ず食べてしまったため。

この自家製ドライトマトは、適度な酸味と甘味、塩味がたまらないハーモニーで、歯ごたえも魅力だ。
未熟な青いトマトや黄色のミニトマトも、ドライにすると個性的な味に。

このままおつまみとして、チーズやオリーブなどと盛り合わせたり、
スパゲッティに混ぜると素敵なアクセントになる。

まだまだ残暑が続きそうだ。
天火で台所を暑くすることなく、こんなに簡単にできるんだもの、
ミニトマトを見つけたら、今度はもっと作るつもりだ。



サフラン・バスケット

そういえば、雨音を忘れかけていた。
葉っぱを濡らし、屋根を洗い、土を潤し、心に沁みこむ雨・・・。
本当に久しぶりに、雨が降って嬉しい。

こんな日は、ゆっくりとしたいものと思いながらも、
じっとしていることが出来なくて、
サフランを植えることにした。

面白いことに、
これまでの経験から、
8月中に植えれば、11月3日に必ず開花する。
昨年は庭植えの収穫と悪天候が重なって、
もったないことをした。

というわけで、今年は卓上栽培に切り替えてみよう。
球根自体に栄養も水分も含んでいるので、
はっきり言って、転がしておくだけでも発芽し、開花するのだ。



バスケットの内側にネットを敷き、赤玉土の小粒を少々入れた。



サフランを隙間なく、平らに20球植え込み、
球根が隠れるように赤玉土を盛った。
左下の茶色いものは、応援に駆けつけたガーデンキャットのマリコ。





11月3日。このバスケットは青紫のサフランの花でいっぱいになるはず。

ちなみにサフランは、ガーデンセンター「お徳用」で20球735円、
バスケットは例の店で105円。
合計840円也のお楽しみだ。



エルサレム・アーティチョーク

八ヶ岳の南麓に住むハーブ仲間のブログを呼んでいたら、
こんなことが書いてあった。


                        M・Mさん撮影

2年ほど前のこと、植えたおぼえがないのに、きれいなキクのような花が咲きだした。
ぐんぐん増えてほかの植物を駄目にしてしまうので、あの時一掃したはずなのに、また生き返ってしまった。
いったいこれは何だろう・・・とある。


同じような質問を秋田県、栃木県、長野県などに住む方からいただいたことがあるが、これはキク科ヒマワリ属のキクイモだ。
学名はHelianthus tuberosus. 和名は、菊に似た花で芋のような根、というひじょうに分かりやすいネーミングである。原産地は北アメリカで、飼料用、観賞用として導入したのが、エスケープして野生化し、帰化植物となっている。
ひじょうに強い植物で、北海道では各地で群落が見られる。
この根茎にはイヌリンという蔗糖が含まれ、ネットでひいてみると健康食品として「本当に大丈夫なのか」と眉にツバをつけたくなるほど、数多くの「商品」を売り出し中になのには、驚いてしまった。
百科事典の「Wikipedia」で調べてみると、これまた、体によいことがいろいろ書いてあるから、いくらかは本当なのだろうか。

効果は置いておくとして、65歳以上の人の中には、キクイモ恐怖症の人がいるはずだ。
それは戦争中に食べるものが無くなり、菊芋の根を食べた人たちの話を聞いたことがあるからだ。主に疎開してきた人が、土地の人が手をつけないイモを見つけ、煮たり蒸かしたりして食べたという。その味はひじょうにまずく、いくら煮てもがりがりと硬い。中には下痢をして苦しんだ人もあったという。

戦争中の耐乏生活は、日本ばかりではなかった。
南仏プロヴァンスで研修をしていたある冬のこと、私はハーブの先生のヨーランド夫妻とクリスマスも間近な市へ出かけた。古い城壁の内側も外側も、年の瀬の買い物で大賑わいだ。何にでも興味を示す私の足は、少しも進まない。ハーブやスパイスの売り場で私の足は止まってしまった。生姜やニンニクなどと一緒にキクイモが並んでいるではないか。やはりハーブとして扱われているようだ。手にとってしげしげと眺めていると、夫のモーリスが両手を広げて「勘弁してくれよ」と、いうではないか。
「どうして?」と聞くと、「戦争中は孤児院で育ったので、毎日キクイモばかり。もう2度と見たくもない」と苦々しげに語ってくれた。

フランス語は忘れたが、英語では「エルサレム・アーティチョーク」というキクイモ。
飽食の時代では、高価なダイエット食品となっているこの黄色い花・・・。見るたびに、こんな思い出が蘇ってくる。


贔屓のハバネロ

贔屓にしているハバネロがある。
この株は苗の段階から、
ほかの苗とは1歩も2歩も差をつけて自己主張をしていた。

色が濃く、しっかりとした肉厚の葉、
ずんぐりとした幹の太いこと・・・。
こういう苗は手間要らずで、丈夫に育つのだ。
それならいい植木鉢に植えてあげなくては。
ほら、フィッチフォードのコンテナがよく似合い、何
となく風格まで出てきた感じではないか。





やはり、果実も美しいシェイプでつやつやとしている。

庭や畑、小さなテラコッタに植えたハバネロには、
こんなに堂々とした感じがないのは、なぜだろう。

この暑さでそろそろ色づいてもよい生長ぶりである。


仙人草は「旅人のよろこび」

連日の猛暑で、からだがだるい。

用事があって外出したが、
帰り道は大通りでなく、いつもは通らない裏道を通ってみた。
古墳かもしれないと思っていた小高い塚のそばを通ったとき、
一瞬目の前が、真っ白になった。
言葉の綾で、このフレーズはよく使われるが、
今日は本当に文字通り、美しい白だった。





それは花盛りの仙人草で、まるで土手の斜面にレースを被せたように見えtた。
センニンソウはクレマチスの原種で、見れば見るほどアーマンデイにそっくりの花だ。ミニチュアのような小さな花が固まって咲く愛らしさには、くたびれも忘れて思わず微笑がこぼれる。

あっそうか。
英語でセンニンソウを traveler’s joy (旅人の喜び)というのは、
きっとこんな情景なのではないだろうか。

歩きつかれた旅人が、花の香りにふと立ち止まった。
目線をあげると、愛らしい白い花がが咲いていた。
花を見ただけで疲れが消え、どれほど慰めになったことか。
さあ、もう少し先を急ごう。

センニンソウは、新興住宅地や古いお屋敷町などの、生垣や藪などでも見かけることがある。今が花のピークで、探すのには絶好のチャンス。
花のあとは、銀色のほわほわとした綿毛になって空を飛ぶ。
まだ試したことがないが、このタネを蒔けば発芽すると思う。



2メートルを超したトウガラシ

「インドみたいに暑い国では、
トウガラシは木になってるんですってね」
「それじゃ、木の枝にトウガラシがぶら下がっているというわけ?」
「へー、一度見てみたいわね」
こんな話を友だちとしたことがあった。

トウガラシの原産地は、熱帯アメリカである。
だから、冬に零度以下になる場所が多い日本では、
ほとんどのトウガラシがダメージを受ける。
事実これまで40年近くトウガラシと付き合ってきたが、
昨年のように、露地でらくらくと冬を越した年は無かった。



このバルーンというトウガラシは、
面白い形をしている。
チューリップを逆さにしたような形からチューリップとよばれ、
謎の未確認飛行物体に似ているので、UFOともよばれている。
去年は鈴なりに朱色の果実を、数え切れないほど実らせた。
みかけが奇異だから、味もチョウ辛と思いがちだが、それもどでもない。
wingとよぶ突き出した部分は空洞で、種子がないためほ辛くはないのだ。
辛い部位は胎座とよばれるワタの部分と種子が曲者なので、

来客のたびに空洞の部分を食べてみせ、あとはご想像にお任せ。
そんなことをして遊んだトウガラシが、冬を越して今私の庭で元気に生長している。
小枝の先端を伸ばしてみると、私の背丈をはるかに超えて2メートル以上はありそうだ。

今は8月。楽しめる日々はまだまだ残されている。


ブラムリー、届きました!

暗闇の中で、あるいは目隠しをされて、
香りだけであるリンゴを識別するテストをした場合、
あなたは得点できるだろうか。

きっとこのブラムリーだけは、誰でも正解だと思う。
ゴールデンデリシャスのように甘く熟したエチレン系の香りと違い、
このイギリスの料理用リンゴ・ブラムリーには、爽やかな若葉の香りがある。とにかく箱を開ける前から、ぷんぷんと香りが漏れて、存在感をあらわしているから、すぐに分かる。



長野県の小布施町から、今年もブラムリーが届いた。
去年は大豊作で、ブラムリーファンを殖やすためのイベントや、食事会などを催して、今年を待った。
しかし、世の中はそれほど甘くはない。果樹には生り年の表の年と、裏の年がある。今年はちょうど裏の年に当ってしまい、計画どおりにはいかなかった。だから一個一個が大事で、皮も捨てられない。



肩のところで切ってみると、水晶のような結晶が入っている。
不二などの蜜と同じものなのだろうか。調べてみよう。

今夜は、寝室の窓辺に青リンゴの籠を置き、香りに包まれて眠ることにした。どんな夢を見られるか楽しみでならない。

追記
ブラムリーに関して以下の日にも記している。よろしかったらどうぞ

★06/9/14 イギリス生まれのクッキングアップル

★06/9/22 ブラムリーは美味しい

★06/9/28 青リンゴによる至福のひととき

★06/10/11 尚サンのアップルパイ

この他に、確か「ブラムリー再び」というタイトルで記したページもあるはずだ。アーカイブスで探してみてほしい。

マンゴゥの味がする黄色い桃

ミーシャさんから、黄金桃が届いた。
同じ農園の中に、この黄色の桃がなる果樹が数本あるという。





完熟してしまうと柔らかくなり過ぎて、送れなくなってしまうのでまだ少し硬いようだが、味を見て欲しいとメモが添えられていた。

黄色い桃と聞いて真っ先に脳裏に浮かんだのは、果樹園を経営していた祖母の生家で過ごした夏休みのことだった。伊達郡伊達町は、リンゴと桃の栽培が盛んなところで、私と妹は泊りがけで「手伝い」と称して、農園で暗くなるまで遊んだものだった。

祖母の家で収穫した、キントウと呼ぶ黄色い桃は晩生だった。缶詰工場へ出すので丁寧に扱うことと注意を受けたが、色が奇麗なわりに味が単調で、私はあまり好きではなかった。

さて、こちらの黄金桃はどうだろう。
見かけは桃というよりネクタリンの大きなサイズといった印象で、私はプロバンスの朝市で求めては、何度も丸かじりしたことを思い出した。
果肉はまだ固いが、すでにマンゴウのような熟した香りを放っている。

この桃のルーツは日本でなく、ヨーロッパ系ではないだろうか。
台所に置いたシーンを思い浮かべてみよう。
古くてがっしりしたテーブルに、無造作に置かれた古いバスケット。昼のデザートにこの黄色い桃をそのまま出して、 残りはコンポートにでもしようか・・。洗いざらしの格子縞のクロスは水色。台所に立つ主婦は、イタリアかフランスの女性がよく似合う。

こんなイメージを描かせる果物は、数少ない。
私は日本の主婦だけれど、この黄金色の果実を充分に楽しみ味わわせてもらおう。

硬くて甘いピンクの桃

18歳から、東京に住むようになった。
この広い大きな街には、何でもありそうに思えた。
私の生まれた福島市は、フルーツ天国で柑橘系以外は何でもできる。特に桃の美味しさは格別で、夏休みの帰省時には生家でたくさん食べて来るのを楽しみにしていた。
私が好きな桃はピンク色の中型のサイズで、果肉が硬いうちに食べるのが最高だ。白くてつやのある桃に歯を当てると、パキッと口の中ではじけ、桃のジュースが咽をを通る・・・。
「大久保」というこの桃は、オールドファッションでもうないのだろうか。私が硬い桃にこだわる原点はここにある。

自立した20歳の夏は一つ勉強をした。
「硬い桃ありますか」と八百屋で聞くと、馬鹿にしたような態度で、
「うちにはそんな安物の桃なんて置いてないよ。失礼しちゃうねえ、まったく」と、何か不吉なものでも見たような、剣幕だ。
何軒もまわって聞いても、桃は岡山の水蜜が一番で、皮がひとりでに剥けるほど柔らかい白鳳などが、贈答用に麗々しく飾られていた。





あれから40数年。大げさだが、ついに幻の桃を発見した。
しかも山の家へ行く途中にあったのだから、今まで誰も気づかなかったのが
不思議だ。

きっかけは、青リンゴの「ブラムリーファンクラブ」のブログで、ファンとしてLinksしていた「八ヶ岳南麓より」のDiaryにあった。そこには硬い桃の「おどろき」で悪戦苦闘している姿が、綴られていた。
桃といえばぷよぷよの果肉で、皮が手で剥けないのは桃にあらずという概念が人々の頭の中に刷り込まれている。こうした先入観や地域性の葛藤などと戦いながら、桃の世話をしている女性がいた。しかも彼女は園主ではない。この猛暑の中を、縁もゆかりもないお年寄りのために、果樹園のボランティアをしているのだ。
想いは深い。せっかく実った自然の恵みを無駄にしたくないことと、一人でも多くの人に「おどろき」という桃をわかってほしいという気持ちが、ひしひしと伝わってくる。

それよりもこのミーシャさんは、何と私の知人だった。私が関係しているRHSJ〈英国王立園芸協会日本支部)のキッチンガーデンクラブのメンバーで、とても熱心な方だ。
早速注文して送っていただいたのが、なつかしの硬い桃。予想に反して、「おどろき」は立派な桃で、大型。果肉はきめが細かくパリッとした歯ざわりが心地よい。それに何と奇麗な桃の色だろう。皮を剥かずにそのまま食べるには、よく洗うのだが、短い産毛がつるりと取れてしまうのも嬉しい。果肉の色もほんのりピンク色だが、追熟させるともう少し濃い色になるそうだ。
「おどろき」とは、最初ずいぶん大胆なネーミングだと思ったが、ぴったりの名前のように思えてきた。おそらく、「おどろき桃の木、山椒の木」から発想したのだろうが、嬉しい驚きがまだまだありそうだ。

ブラムリーファンクラブ   http://blog.livedoor.jp/apple5555

八ヶ岳南麓より  http://plaza.rakuten.co.jp/cottagegarden/

ミーシャさんの連絡先    mwsyq098@yahoo.co.jp



赤ちゃんサボテン物語?

まだ寒いころだった。
サボテンの種子をガラスの器にまいたら、
芽が出ただけで有頂天になったことがあった。
3本目だったか、緑の点がぽちっと見えただけで、
「楽勝」という気分になってしまったのが、まちがいのもとだった。

あれ以来、ぜんぜん発芽しなくなったことと、
冬景色から花の季節に変わって、外仕事が忙しくなったことが
サボテンから離れてしまった要因だったと思う。
もう一つは、水をやってはいけないと参考書にあったので、最初の頃に霧吹きで湿らせたことがあったが、それっきり。

あまり変化が無くてつまらないので、駄目で元々とばかりに赤玉土の微塵を抜き、一番細かい土を少し足した。そして、ひたひたになるぐらい静かに水をかけてみた。紙を被せて窓際に置いた。
それから数日後紙を外してのぞいてみると、「わぁー、嬉しい!!!」
緑のぽつぽつが7個とパープルの芽が2本出でいるではないか。





まさにサボテンの赤ちゃんだ。よく見ると大きめな株には、一人前に頭に毛をはやしている。
命の水というが、いくらサボテンでもかわいそうなことをしてしま
った。
これから、毎日チェックしてあげるから、ごめんね。



毛虫のその後

先月は、虫について3回も記した。
7月7日は「虫愛ずる姫君」のタイトルで、ナミキアゲハのこと。
7月23日は「グルメ虫はクチナシがお好き」
そして7月27日は、「サイケデリックな毛虫」のことを書いた。
いずれもどんな成虫になるのか楽しみと、
簡単に考えていたが、それは物知らずだった。

自由に食べまくっている幼虫を、ケースや飼育箱などに入れずに観察するのは至難のワザ。
勝手気ままにあっちこっちでする糞を頼りに、2~3日は居場所を突き止めていたが、ある時から杳として姿が見えなくなった。いよいよさなぎに変身するのだろう。
さなぎも人の目に付かないところに体を固定する。
蛍光灯の縁とか食堂の椅子の内側、玄関のドアノブなどの、思いがけないところで見つけたことがあった。
ところが、今日は2匹のチョウとなって、庭を飛びまわっていた。





このマカダミアンナッツの枝で羽を休めているのは、ツマグロヒョウモン。何と赤と黒のあのサイケデリックな毛虫が変身したのだ。
食草はスミレなどで、寒さに弱い。地球温暖化で北国でも棲めるかも知れないと、注目されているそうだ。



こちらはキアゲハ? それともナミキアゲハ?
これから調べてみよう。
何よりも嬉しかったのは、昆虫たちが姿を見せに来てくれたことだ。

それにしても、チョウが羽を開く速度とシャッタースピードをシンクロさせるのには、どうしたらよいか。

「虫愛ずる婆君」は、写真の難しさを痛感している。

ヴェルヴェーヌのお茶

人間の好みとは、いいかげんなものだ。
私自身にしても、思い当たることが多々ある。

例えばハーブティー。
初めてレモンバームのお茶を飲んだ、40数年前、
世の中にこんな美味しい飲み物があるとは、信じられなかった。

それから10数年が過ぎ、インドでレモングラスのフレッシュティーを飲んだ。それはショックを受けるほどのテイストで、今までのお茶は何だったんだろう、と考え込んでしまうほど、レモングラスが一番好きなお茶となった。



そして今、最も気に入っているお茶はレモンバビーナだ。
細長い葉にちょっと触れただけでも、
あたりを緑に染めるシトラスの香りがすばらしい。
フランスではヴェルヴェーヌ(Verveine )とよんで、多くの人々のお気に入りとなっている。この琥珀色の神秘的なティザーヌ〈ハーブティ)には、身も心も癒してくれる何かがある。

レモンバビーナは、クマツヅラ科の落葉性小低木だ。南米が原産地なので耐寒性があまりない。しかし、昨年の暖冬で露地植えもコンテナーの数株も、ダメージを受けることなく冬を越した。
しかし、葉を全部落として来春までの耐久レースに備える姿は、ほとんど枯れたように見える。実際に枯れ死してしまったと誤解して、捨てた友人もいた。こんなときは、茎を切って切り口の色で確かめればよかったのに、と思う。





冬に備えて、今日は朝から葉の収穫をしている。
レモンバビーナの長所は、すぐにきれいに乾燥することだ。
風通しのよい日陰に置いておくと、美しい色のまま半日でパリッと乾く。

葉の摘み方には、二通りある。
寒さが来る前にもう一度多めに収穫したかったら、枝から葉っぱを摘みとるとよい。すると間もなく葉のあった場所から、3枚もの新芽が出てくる。

もう一つの方法は、3分の2ぐらいを切り取り、葉をしごき取る。
茎は直ちに水揚げをして、赤玉土の小粒に挿し木をする。
挿し木もそう難しくはないから、プレゼントにして喜ばれている。

ちなみに英名では、Lemon verbena と綴る。ほとんどの日本のハーブの本ではレモンバーベナと表記しているが、外国ではヴァビーナといわないと通じないことが多い。しかし、ただ一冊だけがヴァヴィーナと表記した本があった。
それは「世界のスパイス百科」(T・ストバース著、辻 静雄監修、小野村正敏訳、}という昭和56年の本で、今ではぼろぼろになっている。
さすが、早稲田の仏文科を出られ、読売新聞社で記者生活を送り、あべの・辻
調理師専門学校の校長だ。しかも、ワインや文学、アートなどのエッセイもすばらしい文学者でもある。

さぁ、朝から菩提樹の木陰に広げておいた、レモンヴァビーナがもうそろそろ乾く頃だ。 

炒め玉葱を作ろう

立秋は過ぎたというのに、猛暑の日が続く。
でれ~んと過ごしているよりは、
こんな日にこそ、大汗をかく仕事を始めてみよう。

何も今日でなくてもいいし、頼まれたわけでもないのだけれど、
炒め玉葱作りはどうだろう。

幸い今日は、何の約束もない。
それはそう。お盆休みでみんなヴァカンス気分。
気のせいか、道を歩く人影も少ないようだ。

とても美味しい淡路島の玉葱を、
たくさん取り寄せたことも大きな動機だが、
この炒め玉葱があると便利で、オニオングラタンにスープやカレー、
シチュウなどのベースとして、さまざまに応用が利くのだ。







半分に切って薄切りにした玉葱5個は、けっこうかさがある。
オリーブ油100ccほどを深めの鍋で熱し、玉葱を中火で炒める。
こういう仕事のときは、焦げ付かないテフロン加工の鍋と、温度設定や微調整が利く電磁調理器が便利だ。

一気に炒めてしまいたいところだが、ゆっくりと炒めるのがコツ。
途中3~4回蓋をしてしばらく休ませると、蒸し煮状態になり、組織が溶けてねっとりと甘くなる。
部屋の中のおいしそうな匂いは、外まで漏れてくる。
今回は砂糖を加えたように、驚くほど甘~く仕上がった。
出汁の素と思って、スープやカレーなどに少量を使ってみよう。

冷房のない部屋だからおかげで汗の出ること、出ること。
まさにサウナのごとし。
あぁ、冷たいビールが欲しい。
もしも本音がダイエットだったら、元の木阿弥だ、

ちなみに、狐色の炒め玉葱を瓶の中に詰めてみると、ほんのこれぽっち。
玉葱5個がこれだけになってしまうとは、とほほ。
さぁ、これで何を作ろうか。



オシロイバナもいいけれど



前にも記したが、我がのオシロイバナは、
イギリスの女流園芸家として著名な、
故ローズマリー・ヴェアリー夫人からいただいた種子だ。

それがどうした?
それがですね、それが・・・困っているのです。

あぁ、最初が肝心だった。
こんなことになるとは想像もつかなかった。
由緒あるグロースターシャーのバーンズレイハウスで育った花が、
我家の庭で咲くとは、何と光栄なことだろう!
と大事に甘やかしたのがいけなかった。

最初の年か翌年あたりで、種子のコントロールをして、
一粒もこぼさないこと、芽を見つけたらすぐ抜くことを、
徹底すればよかったのに、気づいたのが遅かった。

もの凄い生命力で、抜いても抜いてもせせら笑うかのように、
あるいはもぐら叩きのように、メキシコ原産のこの花は庭のあちこちから顔を出してくる。
このまま放っておいたら、来年はオシロイバナ畑になってしまいそうだ。

素敵な花だから、大事にしたのがよくなかった。
英名の Four o'clock が物語るように、午後4時ごろになると甘い香りが庭中に満ち、翌朝4時ごろまで香り続けるのだ。
今はちょうどオシロイバナの最盛期。
庭にこの花が咲いていたら、花が散ってすぐにつく黒い大粒の種子を採取することをおすすめしたい。
これをしないと、私のように泣くことになる。

朝の涼しいうちに、今日も種子退治をするつもりだ。


早朝のセミたち

南仏プロバンスのお土産屋やドライブインなどで、
よく目にするのはセミのモチーフのものが多い。
安物ののキーホルダー、灰皿、ワッペンなどセミばかりだ。
パリからリヨンあたりまでは、寒くてセミが棲めないから、
セミが鳴く南仏へバカンスへ行ってきた証拠のお土産なのだという。
地球温暖化の今でも、そうなのだろうか。

梅雨が開けてから、我家の庭は24時間セミ時雨のステージと化した。
夜干しをしたキルテイングから飛び立ったセミ、
ようやく羽化を終えたセミ、
葉にしがみついて羽が伸びるのを待つセミ、セミ、セミ・・・・。
鳥に狙われない夜のうちに、しっかり体を作って、
思う存分生きて・・・。

今朝はもうカナカナも鳴いている。





清らかなジンジャーリリー

朝早く目が覚めると、空気も景色も風もみんな新しい。
私はだいたい4時半には起きて、水やりをしている。





今朝、ジンジャー・リリーが清らかな花を開いた。
目を閉じて花の香りを聞くと、東洋の海の向こうの方角から、強い芳香が漂ってくるような気がする。
陽があまり高く昇らないうちに、深呼吸をたくさんしておこう。


ハバネロの花咲いて

今年の春にタネから育てたトウガラシが開花し、愛らしい実をつけ始めたのは7月の半ば頃だった。
一見したところ、このぽてッとした幼い果実がどんな氏素性か、見当もつかないことだろう。
日ごとにランタン型の果実が大きさを増して、9月初旬から11月にかけてオレンジ色に実る。


生まれはメキシコのユカタン半島。
名前はHabanero 。スペイン語なので正しくはアバネロだが、ハバネロの方がよく知られている。意味は“from Habana”。
そう、世界で一番辛いトウガラシとしてギネスブックに載るほど、世界的に有名になったのがこれだ。

ところで、某社ではこの名をもじって、「暴君ハバネロ」というキャラクターの激辛ラーメンを作っているが、いかがなものか。
年代も地理的にも、増してや内容もまるで一致点がないもの同士を、ネロという単語だけでイメージを転嫁すると言う乱暴なネーミングに、いささか腹が立つのは私だけだろうか。何も知らない小さな子供たちには、歴史上のネロがどんな形で、刷り込まれていくのだろうか。





連日の暑さで、見る見るうちにハバネロの果実がふっくらとしてきた。
色づき始めるのは、もうすぐだろう。
ハバネロといえばオレンジ色が有名だが、真紅の‘レッドサビーナ’やチョコレート、白、ピーチなどの色の品種を、栽培したことがある。
それぞれに面白い形で、特にチョコレート色の果実が枝もたわわに実る大株と、小粒の白い果実が花のように見える品種は素晴らしかった。

ひじょうに強い辛さは毒に通じるので、気をつけている。
それよりもハバネロの魅力はあの香りにある。
よく物の本には、オレンジ系の柑橘類の香りがすると出ている。しかし、私には燻製に似たようなスモーキィーなフレイバーが感じられるのだが。

香りを確かめられる日も、そう遠くはない。


トマトソースはサン・マルツァーノで






近くのK農園から、SAN・MARZANO がどっさり届いた。
数あるイタリアントマトの中でも、ソース用として知られるこの品種は、
ナポリ近郊のサン・マルツアーノ村で最初に採れたので、こう呼ぶようになったそうな。

それにしても、何と美しいトマトなのだろう。
梅雨明けの強い太陽光線をはね返して、ピカピカと輝いている。

あるとき、こんな声がテレビから聞こえてきた。(私はほかの仕事をしながら、ラジオ代わりにテレビを聴いていることが多い。)。
「あぁ、このトマトはまずいのよ。粉っぽくて、味といったら甘いんだか酸っぱいんだか・・・・」
グルメで通っている某有名女史が、サン・マルツァーノをこてんこてんにけなしていた。どうやら、サラダなどにして生で食べたらしい。

日本ではトマトを食する歴史が浅く、桃色系統の生食に適したトマトがこれまで主流だった。このグルメ女史は、サン・マルツァーノが加熱して使うクッキングトマトで、ソース用トマトの代表格とは御存じなかったらしい。

このトマトは肉厚で、タネが少なく皮がむけやすい。色は鮮やかな赤で、加熱すると酸味と甘味のバランスが取れたしっかりした味になる。イタリア産のホールトマト缶は、大部分がこの品種だ。

私は考えた末、当座に使うトマトソースを作り、そのほかの大部分は冷凍保存をすることにした。
ファスナーつきの専用パックに入れて冷凍するだけなのだが、1個1個解凍が出来、皮がひとりでに剥けて調理が簡単である。しかもじっくりとにじみ出てくる透明なジュースは、冷凍トマトを使い終わった時のお楽しみだ。





当座のトマトソースは、玉葱いっぱいの甘いソースで、大瓶を夫と二人で空けてしまった。
作り方は大きめのフライパンにオリーブ油60ccを熱し、玉葱の粗みじん切り1個分、ニンニクのみじん切り5片をよくよく炒める。玉葱が透きとおったらトマトを入れて、木杓子でつぶしながら、月桂樹の葉1枚、フレンチタイム3本、バジルの小枝2本、種を抜いた赤唐辛子1本を加え、中火で煮詰める。
塩と胡椒で味を調え、できあがり。



トマト栽培は、容易ではないが楽しい。
2枚上の写真で鈴なりのトマトは、やはりイタリア産のシシリアン・ルージュ。ずいぶん利用したが、まだまだ採れそうだ。
ソースにも生で食べるのにも適しているが、皮が硬い。
この特性を活かして、ドライトマトにしたらどうだろう。
テストの価値は、充分にありそうだ

リバティープリントのちから

テレビ出演の話が決まると、
誰でも「何を着ようかな」と、迷うのではないだろうか。



1985年、「趣味の園芸」に初出演してから20年ほどの間は、
迷わずに、いつもダンガリーのシャツを腕まくりして登場していた。
テレビの主役はハーブで、私は引き立て役。
ハーブがきれいに見えるには、無地で淡いブルー系がよい。
それなら、ダンガリーシャツがぴったりというわけだった。

はた目には、いつも同じ作業着に見えるらしく、
「広田さんの制服」などと笑われたこともあった。
実は、心意気として一回ごとにカルバン・クラインやスキャパ、ペンドルトンなど、好きなデザイナーやメーカーのシャツを新調していたのだけれど、ほとんどが同じタイプなので、気づいていた人は少なかったにちがいない。

さて、今年は7月の「グリーンフィンガーズ」出演の依頼を受けた。
これは「趣味の園芸」の終わりの5分コーナーで、1ヶ月を通じて、1つのテーマを一人で分かりやすく解説するという趣向だ。
「ハーブレッスンABC」と題して、ハーブの楽しみ方を紹介するのだが、
制作の都合上、5週続けて同じ服で出演を、とのこと。

さて、どうしたものか。
今までのようなダンガリーでは、年を重ねた分、みすぼらしく見えないでもない。しかも運悪く腰痛が辛いので、明るく元気な色で楽しげに見えるといいのだけれど・・・。

そうだ。あのリバティーの布で、ブラウスを作ろう。
ひらめいたのは、数年前、リバティー社のタナローンの生地で面白い柄を見つけた。
写真のように、深いワインレッドの地色に、ロゼの色の如雨露が連続模様になって浮き出ている。ちょうど、この柄にそっくりのブローチもある。
リバティーといえば、小花模様を連想しがちだが、幾何学模様もあればこうしたテーマ性をもつパターンもあるのだ。





これは、ガーデニング愛好家のためのSEED PACKETS という夢のシリーズにはいっていた。デザイナーの名前だろうか、Mack Evoyとよばれている。ほかにも色違いがあったが、私はこのワイン色の濃淡が気に入った。

思った以上に反響があった。
先ず、番組の中で司会者の柳生さんがシャツが素敵だとほめてくれた。
知人友人からも、内容はさて置き、シャツが似合ったとか、どこで買ったかなどの電話やメールが数多く入った。
傑作なのは、柄がよく見えなかったが、ティカップだったかしら、というメールもあった。なるほど、確かにそう見えないこともない。

ブラウスを縫ってくれたFさんも喜んでくれた。
今まで数え切れないほどテレビに出たが、着るもので問い合わせなどめったに無かった。
これはリバティーの生地が持つ、パワーのような気がしてならない。



「道の駅」は「未知の駅」



「アカジソをゲット!!! それから、道の駅でこんなものを見つけました。これは何ですか? 赤いオクラも珍しいので、入れておきますね」
 
今年作ったシゾジュースを飲みきってしまったので、知人たちに頼んでアカジソを探していたら、千葉方面で見つかった。嬉しいことに、こんなオマケまでついてきた。

これはナス科のTomatillo(トマティーヨ)という食用ホウズキで、メキシコ料理などによく使われる。日本のホウズキは、果実が緑色の頃はとても苦くて口にすることがむずかしい。しかし、この程度のトマティーヨなら、薄甘い味と少々の苦味やエグミがあり、サルサ・ヴェルデ(緑色のソース)には、欠かせない。煮てソースに使ったり、サラダに入れたり、メキシコの人たちには最もポピュラーな野菜だ。

外側の薄皮が黄色くなると、果実も熟して黄色になり、甘くて濃厚な味になってくる。数年前、借りていた畑にこれを植えていた時は、おやつ代わりによくつまんだものだった。

イタリアで食した思い出のトマティーヨは、何とおしゃれだったことか・・・。
デザートに出された冷たいチョコレートを、口に入れて噛んだとたん、中から熟したトマティーヨがとろり。チョコレートでティンパリングした、極上のドルチェだった。しかし、よく考えてみると、サイズがもっと小さかったので、園芸品種かもしれない。

道の駅には、いろいろ面白いものが出るようだ。
「道の駅」は「未知の駅」。
何処かで看板を見つけたら、ぜひとも立ち寄ってみよう。


三度目の親子写真展

新宿御苑前のギャラリー「円月」で、
夫と次男のコラボレーションによる写真展が開かれている。

タイトルは「2本のレールが語ること」。
夫は鉄道写真のジャンルを確立し、世界的に活躍している写真家だが、
次男も新進の鉄道カメラマンとして、作品を発表するようになった。
特別に教えたわけでもないのに、環境や血のつながりのせいかセンスに似ている点があったり、まったく逆の表現があったり、二人の間には興味深いものがある。
お互いの人生や美的感覚を2本のレールに託して、発表したのがこの写真展だ。



昨日の午後、夫とギャラリー「円月」を訪れてきた。
会場をいくつかの空間に区切り、個室的な感覚で展示された作品は今までの雰囲気とかなり異なり、距離を感じさせない魅力と迫力があった。

実はこの写真展は、これで3度目になる。
初回は、昨年の夏に品川のキャノンSタワーのギャラリーで開催された。
おかげさまで大好評で、そっくりそのまま次の写真展の申し込みがあった。
というわけで今年のゴールデンウイークは、北海道の東川町文化ギャラリーで、たくさんの方に喜んでいただいた。
そして、今回が東京の新宿だ。
3回とも家族で来られるように、夏休みや連休の日を当てている。

明日は、午後3時から二人によるギャラリートークがあり、夕方にはワインのサービスがある。無料なのでどなたでもどうぞ。

* *     *     *      *      *    

広田尚敬・泉 親子展 「2本のレールが語ること」

2,007年8月2日~8月22日  10:00~19:00  毎週水曜日は3:00終了
入場無料
ギャラり- 円月(えんげつ)
〒160-0022  東京都新宿区新宿1-9-5 大台ビル3F
TEL 03-3355-1066  FAX 03-3355-1077
URL http://www.g-engetu.com

紫蘇巻きを作ろう

夏が来るたびに、父が大好きだった紫蘇巻きを作っている。
紫蘇巻きとは、紫蘇の葉で辛味の利いた味付け味噌をくるみ、少量の油で焼いたものだ。ビールのつまみや、弁当の隅に入れたり、おにぎりの具にしても喜ばれる。辛いものに目が無かった父は、紫蘇巻きにトウガラシをたくさん入れ、頭から湯気をたてながら食べていた。


先ずは味付け味噌用に、タネを取った赤唐辛子を細かく刻む。


焦げ付かないフライパンにオリーブ油大匙2を熱し、味噌、刻んだ赤唐辛子、松の実、カツオブシ粉、酒、砂糖を入れて、よく練り混ぜる。


大き目の紫蘇の葉を広げ、味付け味噌をのせて、葉を畳む。


葉の合わせ目を下にし、オリーブ油大匙2を敷いたフライパンで、ゆっくりと焼く。


できました!!! 蛸唐草文様の長皿に盛ってみた。ちょっとミスマッチの感じ?

各材料の分量は、適宜。味付け味噌の残りは常備菜として卓上に。
松の実が香ばしくて美味しいので、早くなくなるかも・・・。


涼しげに香る花

昨日、待ちに待った「梅雨明け宣言」が出た。
とはいうものの、夜中にずいぶん降ったらしい。
今朝の庭は水浸しになっていた箇所が、いくつかあった。

朝から油蝉が、ジージーと鳴いて、まさに夏本番だ。
小さな池の金魚とメダカに餌をやり、食卓に飾る花を探してうろうろ・・・
暑くなりそうな日には、見た目にも香りも涼しげな花がよい。

何といってもこういう場合は、ミントがおすすめ。
こだわってみたければ、西洋系のミントよりもJapanese mint とよばれている日本の薄荷の系統のほうが、いかにも涼しげな香りで夏にふさわしい。

写真は薄荷の花とアケボノヨシ。トネリコの樹皮を編んで作ったアメリカ製
バトックス・バスケットに活けて。







今年最初のホットな収穫

私は初対面の人と会うときに、
名刺代わりに、小さな花束とか庭で採れたものを、
お持ちすることにしている。
これだけのことで、コミニュケーションが深くなり、
話がぐんぐんはずむような気がするからだ。

今日は朝日新聞名古屋本社のK氏から、インタビューを受ける日だ。
9月に名古屋で大大的に開催される、ガーデニングショウに先立ち、
「イングリッシュガーデンの魅力」を語ってほしいとのこと。
場所は有楽町のマリオン14階にある、朝日新聞社の倶楽部。

例によって、花束を作るにあたり、迷いが生じた。
名古屋へ帰る男性に、ミントの花束を持たせるのは、ちょっと気が引ける。
そこで、少しずつ色づいてきたトウガラシを今年初めて収穫し、ミックス・バスケットを、作ることにした。

お初のハバネロや、韓国の艶のあるクアンナラ(光)、タイのプリッキーヌ(ネズミの糞)、珍しい色のチョコレート・ベル、透明感のあるアヒ・クリスタル、黒い粒のブラックパール、薄紫のオーロラ・・・。どれもカラフルで美しい、宝石のようなトウガラシばかりだ。



左の方に写っているのは、トマト類。今年は雨が多く、日照時間が少ないため不作。アメリカのギャザリングバスケットに。



プレゼント用に、コレクションしておいた小さなバスケットに詰めて。
中央の深い場所に、折りたたんだジンジャーフラワーの葉を敷き、左右から
葉を差し交わした上に、トウガラシを彩りよく配置する。



トウガラシの上に、クロロウバイの葉を乗せて中身を隠し、左右から葉先をかぶせる。先をとがらせた黒ロウバイの小枝で、葉を止める。


インタビュー? トウガラシで話がほぐれ、時間が足りないほど話せたので
うまくいったのでは。

今頃、社では辛いものの食べ較べが始まっているのではないだろうか。


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