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牡蠣の燻製、決定版

3月24日のブログで、牡蠣の燻製の作り方を書いた。
しかし、後から考えると、反省点が多々ある。
そこを改良して、何とかこの線でどうか、というところまで行った。
数人の人に食べてもらったが、半分お世辞にしてもおおむね好評である。
さて、その作り方のコツとは。

★牡蠣の選び方

お腹がぷっくりとし、ひもというのかひらひらの部分を香ばしく仕上げるためには、大き目で粒が揃っている加熱調理用の牡蠣を選ぼう。
ちなみに近所のスーパーでは、広島産の牡蠣300gで450円(12個~14個)。

牡蠣を買ってきたら、すぐに取り掛かれる日以外は,いくら安くても買わないこと。冷凍すると、解凍する際に肝心のミルクが流出してしまうので。

1回の分量は私の場合、1・5キロが限度。楽しく作るのが美味しく作るコツ。義務感で作ると辛くなると思う。

★下拵え
大き目の容器に、海水よりやや濃い目の塩水を作り、ていねいに牡蠣を洗う。長く漬けておくと、浸透圧で身が痩せるので、手早く行うこと。
上等な日本酒に、生のゲッケイジュの葉を千切ったものを3~4時間浸して香りを移しておく。カップ0・5杯にゲッケイジュ2~3枚が目安か。

*上等な日本酒とは、夫が愛飲しているキンシ正宗を盗用。


★作り方
? よく洗った牡蠣を30分ほどざるに上げ、水気を切る。

? 牡蠣を容器に入れ、香りが移った日本酒をひたひたに注ぎ、
  1時間ほど  酒を吸わせる。

? ざるに上げて風を当て、水分を飛ばす。猫の好物なので要注意!

? フライパンに?を入れ、中火でゆっくりと炒めながら火を通す。
  箸でつまむと傷が付くので、木杓文字などを用いるとよい。
  このとき出たエキスは、出汁として使えるので取っておくとよい。

? 受け皿をつけたざるに上げ、水分を飛ばす。

? スモーカーがあればよし。無い人は要らなくなった中華鍋とか、深めの
  フライパンに粗く切った生のローズマリーとゲッケイジュの葉を軽く一  握り入れる。
  ハーブより上の位置に餅網をはめ、?の牡蠣を丁寧に並べる。

? 蓋をして、スモークする。蓋と鍋の間に隙間があるほうが、煙がこもら  ず、新しい煙でスモークできる。
  最初は強火にして煙を立て、1~2分、牡蠣全体に煙をまとわせる。
  中火にして2~3分煙に当てたら、弱火にして30分ほどスモークす   る。
  
? あめ色になったら、出来あがり。
   




今回のほうが、美味しそうでしょう。
明日から早くも4月。
牡蠣の入荷のあるうちに、ぜひ試してみては?

雨 のち 満開

天気予報のとおり、朝から雨が降っている。
8時ごろから横殴りの強い風で、嵐の前触れのようだ。

今日は10時から、雑誌社の打ち合わせがあるのに、
これでは庭へ出ることが、むずかしそう。

ところが、あれよあれよと思う間もなく、青空が見えてきて、目の前には満開の桜・・・・。



11時半には、風もやんですばらしいお花見日和となった。
庭のテーブルも乾き始めたので、
急遽、花を愛でながらのピクニックランチを、4人でゆっくりと楽しんだ。
近所のお寿司屋に海鮮散らしを頼み、昨夜作った牡蠣の燻製や、漬物、煮物
などをテーブルに運び、強い日差しを浴びながら、ビールで乾杯!
日頃忙しい仕事に追われている二人は、
「いい気持ち」を連発していた。

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お湿りのあった庭は、生き生きとした緑が冴えている。
案内してまわると、あちこちからいい匂いがして、編集者の方は大喜びだ。
今年はラベンダーのトライアルをしているが、早くも花をつけたストエカス系の‘キュー・レッド’(右)と‘ストエカス’(左)。

二人で見ていた桜だが、四人で見られてよかった、よかった。

牡蠣の燻製でペーストを

この春は、牡蠣料理に凝った。
オイル漬けから展開して、燻製までいった。
その後のひらめきと実践で、燻製はさらに美味しくできるようになった。
近日公開予定、乞うご期待!!!
というわけで、実験(?)のたびに牡蠣が冷蔵庫に残る。
何か保存が利いて、美味しい物をと考えたのが、
オイスター・ペイスト。



? 燻製にした牡蠣を粗みじん切りにする。
? みじん切りのパセリ(多め)、チャイブ(少し)、ディル(少々)、
  黒オリーブの粗みじん切り、エキストラ・バージン・オイル適宜を混   ぜ、塩、挽き立ての黒胡椒で味を調える。

これだけで簡単にできるペーストだが、
オードブルとしてクラッカーや薄切りのフランスパンにつけたり、
箸休めにも。
グルメの友達に味を見てもらったら、「たきたてのご飯にぴったりよ」

私も、同意見だが一つだけ欠点がある。
それは、お代わりが進むこと。
ダイエット中の人には、おすすめできない。

珍客現る!!!

レモンの樹の下で草むしりをしていたら、
視界を何かが横切った。

?  最初は、何か分からなかった。
背中のほうから見ていたので、動く岩のようだったが、動き始めたので納得。この庭の主のヒキガエルとみた。
私が近寄っても、逃げもせず、堂々としている。
昔からこの辺りにはこのタイプのヒキガエルがいたらしく、アマガエルやトノサマガエルなどのような他の種類の蛙をまだ見たことがない。



頭から背骨の終わりまで20センチはあろうか。両足まで入れたらもっともっと大きな数字となる。
この蛙は夜行性で、昼間は大きな植木鉢の下などで眠っている。
大きな鉢を片付けるために持ち上げたとたん、ギャーッと悲鳴を上げたことが何度かあった。

7月の梅雨の頃、1センチぐらいに育った真っ黒いあかちゃんガエルが、6メートル幅の道路を渡って四方八方へ散ってゆくのは、感動的だ。途中で干からびたり、車に轢かれることもあるだろう。
カエルは生まれたところへ戻ってくると聞いたが、本当かもしれない。

先日「華麗なる一族』の最終回を見た。
大きな池に棲む主は、祖父が可愛がった鯉だ。祖父によく似た主人公にもよくなつき、手を叩いただけで背びれを立てながら近寄ってくる。
種明かしは、リモコン操作だと聞いて、「やっぱりね」。

でも、うちのヒキガエルは本物だ。
カラスや猫に気をつけて、早く住処へお帰り。




今日の花束 ?

朝起きて、まだ顔も洗わないうちから庭へ出るのには、わけがある。

昨日の夕方、しっかりと見ていたはずなのに、どこかが違っているからだ。
樹や草たちが自然の大きなリズムによって、つぼみを膨らませて花を開き、実を結ぼうとしているため、一夜にして景色が変わることもある。
3日前の朝、庭に雪が降ったかと思うほど、白い花が一斉に花を開いた。
オニソガラムの仲間ではないかと思うが、正式な学名が分からない。
アメリカのハーブ友達からいただいた、たった一つの小さな球根なのに、増えること増えること・・・。
「スター・オブ・ベツレヘム」と彼女はよんでいた。





ユリのような白い小花が数輪まとまって咲いているのが「スター・オブ・ベツレヘム」。
すずらんの形をした白い花が下がるように咲くのは、「スノウ・フレークス」。
淡い緑や薄いピンクの5弁の花が、レンテンローズ、
冴えた黄色の小さな水仙が、高貴な芳香を漂わせるジョン・クィル。

白が基調の花束で上品だがさびしい感じがするので、香水水仙の異名をもつ
ジョン・クィルで、色と香りのアクセントを。

冬のなぐさめ

寒い季節に咲く花は数少ないが、
ユニークなフォルムのものは、かえって目立つ。

晩秋から冬にかけて、庭のあちこちから拾ったものや、
足を止めて見入ったものなどを、
テーブルの隅に置いた小さなかごに入れて眺めていた。



鉄砲玉みたいに硬い、真ん丸のマカダミアンナッツ、
追羽根そっくりのロウアガキ、
カボチャの形のブラジルのナス、
トウガラシらしいトウガラシと、トウガラシとは思えないトウガラシ、
オールドローズの果実も、イチジクも愛おしい。

外は春。
冬の間、きれいなフォルムでなぐさめてくれて本当にありがとう。



続けて インカのめざめ

「インカのめざめ」について調べてみた。
その前に名称のことで、今まで知らなかったことがあったので、記しておく。
ふだん何気なく、ジャガイモとか馬鈴薯、ポテトなどとその場に合わせた言い方をしていたが、植物学上の和名はジャガイモ、農林水産省では馬鈴薯とよんでいる。そのため、品種登録をする場合は、バレイショとなる。

ちなみにジャガイモの由来は、16世紀に原産地のアンデスからヨーロッパへ伝わり、観賞用として栽培されていた。日本へはオランダ人がジャガタラ(現在のインドネシア)経由でもたらしたので、ジャガタライモからジャガイモになったという。
一方、この芋は馬に付ける鈴の形に似ているので、馬鈴薯とよぶようになったそうだ。

イギリスやアメリカの通信販売用カタログには、100種類を越す色とりどりのポテトの品種が掲載されている。注文をしたくても輸入禁止なので、今まで何度となくがっくりしていた。

ところが調べてみると、かなりの数の品種が日本にもある。農林登録されているばれいしょは、1943年の農林1号に始まり、秋ごろに新じゃがとして出回るデジマが1969年、クリジャガの名で人気があるキタアカリが1987年、インカのめざめは2002年に農林44号として登録されている。

このインカのめざめは、故郷の南米アンデスの美味なる在来種を基に、北海道の夏用に創られた早生種だ。通常の栽培種は4倍体なのに、これは2倍体で、島系575の名称によりデビュー。その後、起源地と新しさを表現した「インカのめざめ」と命名された。



容貌魁偉な「インカのめざめ」の種芋。ピンポン玉より2回り大きい。



左キタアカリ、右インカのめざめ。黄色の濃淡を比べてみるとこんなに違う。

特徴はやや小さめの卵形で、ナッツや栗に似た味がある。鮮やかな山吹色のカロチノイド系色素ゼアキサンチンは、キタアカリの7倍も含有しており、活性酵素を消去するのに、効果があるという。
甘さは強く、滑らかな粘質なのでアイスクリームやビシソワーズなどもできそうだ。
調べているうちに、うれしいことを知った。地上部全体が小さいので、密植にも適しているらしい。それなら、狭いスペースにも適している。

雨も上がったし、明日は植えつけることにしよう。



インカのめざめ

「インカのめざめ」と聞いて、すぐにピーンと来る人は相当のグルメだ。
いや、この頃はだいぶ出回っているし、一度食べたら忘れられない味だから、知っている人も多くなっていると思う。

「インカのめざめ」とは、ジャガイモの名前である。
小さめのサイズで、切り口は卵の黄身の色、あるいは山吹色を想像してほしい。一番の特徴は、甘みのある味だ。
5年ほど前に、借りていた畑で20数品種のジャガイモの、比較研究を行ったことがあった。
その結果、一番収穫量が少なく、一番タネイモが高いのが、この「インカのめざめ」だった。



先週ガーデンセンターで、このタネイモを見つけた。
思わず、衝動買いをしてしまったが、借りていた畑を返してしまった今では
植える場所がない・・・・。

いろいろ考えた末に、ジャガイモ畑の場所を花壇の端に決定!!!
オリーブの若木と、緑色の花が咲く原種のバラの手前に、2列ほど畝ができそうだ。
嵐が去った明日は、まだ土が湿っているから避けて、明後日に植えつけることにしょう。

ジャガイモの美しい花は、花壇の花にけっして引けをとらない。


赤ちゃんサボテン物語 4

ワーイ、立った立った!!!

庭仕事に気をとられて、
しばらくサボテンの赤ちゃんにご無沙汰をしていた。

前にブログを書いたのが3月10日だから、
あれから数えて、ちょうど2週間ぶりということになる。
もしかして、倒れたままで・・などと不吉なことを考えてしまったが、
きっかけは立って歩く、レッサーパンダの風太君のニュースをテレビで見たからである。



サボテンの家というか栽培容器は、誰の手も届かない玄関と居間を区切るカウンターの上にのせてある。
落とさないように慎重に手にとって見たら、厚いガラス越しに短い緑の針のような物が飛び出している。
「やったあ」
思わず歓声を上げてしまった私は、中を点検。
いままで倒れていた赤ちゃんが、しゃんと立ち直っていたのだ。
緑の色も心もち濃くなったような気がする。

第2子は相変わらず、殻の帽子を脱がずにいるが目立った変化はない。
第3子が出る頃かなと、目を皿のようにして探してみた。
何のサインも知らせもない。

どうやら、スローな付き合いになりそうだ。

それぞれの春

24年前の夏、
15人の家庭の主婦が、評論家の秋山ちえ子先生と共に、アメリカへ旅立った。
観光が目的ではない。
外資系会社の小論文コンテストに応募し、難関を突破してきたメンバーが、
アメリカで福祉や生涯学習などを学ぶために、意気揚々と出かけたのである。
まだ主婦の海外旅行などは、経済的にも周囲の状況からもなかなか適わなかった頃だ。

ウイスコンシン州にあるジョンソン本社は、税引き前の収入の5%を社会のために還元することを社是としている。その一環として、意欲ある日本の家庭婦人を、アメリカへ招き、国際交流を通じて学習の場を与えるプログラムを続けており、私たちは最終回の11回生だった。
ありがたいことに、オールギャランティーで、お小遣いまでついていた。



あれからおよそ四分の1世紀が過ぎた。
15人のメンバーはその後、どのような道を歩んだのだろうか。

今日、久しぶりに11回生の集いがあり、11時半から4時まで積もる話に花が咲いた。
熊本からHさん、四日市のMさん、蓼科のKさんなど、遠くから駆けつけたメンバーがいて、参加者は8名。

脳梗塞で倒れたHさんの快気祝いも兼ねての集いで、Hさんの奇蹟的とも言える回復ぶりに、抱き合って涙する姿もあった。
15名のうち、残念なことに1名が旅立ち、メンバーは14名になってしまったが、近況報告を聞いていると、張り切っている方ばかりだ。

インテリアの勉強を続けていたMさんは、とてもチャーミングに進化(?)
していた。インテリアコーディネーターとして、仕事のほうも大きなプロジェクトにかかわっている。ダンスの趣味も彼女のセンスアップに、大いにプラスになっているようだ。



カントリーライフを送るために首都圏から信州へ越したKさんは、敷地の中にログハウスの工房を建て、織物を趣味としている。娘さんが青年海外協力隊でボリビアに駐在している間に二度かの地を訪れ、ペルーで亡くなった実の祖父の消息を探し当てたという。今度はペルーへ行くという彼女のバイタリティーに、脱帽!!!

外国人に日本語を教える教師のTさんは、ボランティアも一生懸命に続けてきた。数年前から太極拳に魅せられて習い出し、大きな大会に出場したり、本場の中国まで習いに行っているという。特に「扇」と「剣」が好きだと語る顔つきはいきいきとして、少女のよう。生き甲斐を見つけた人は、美しい。

家族を大事に考え、きめ細かい豊かな暮らしを実践しているのが、高校教師のHさん。孫の話をするときの実に幸せそうな笑顔は、天下一品だ。

プロ級のテニスで健康的に日焼けしたMさんは、長い間国際留学に携わってきたオーソリティーだ。そして熟達した日本語教師でもある。

Hさんは70代中盤に差し掛かっているとは思えないほど、きれいな方だ。病気を克服しようとリハビリに通いながらも、患者やお年寄りに笑顔の幸せを届けている。

この季節、さまざまな花が咲くように、人にもそれぞれの春が訪れているようだ。


ホームメイドの牡蠣の燻製

自画自賛で少々恥ずかしいが、
会心の作(?)と言いたいほど、美味しい牡蠣の燻製ができた。

今年はノロウイルスの影響のせいか、牡蠣をあまり見かけなかった。牡蠣ファンとしては、もの足りない冬が過ぎていく。
ところが、リニューアルしたスーパーに立ち寄ってみたら、加熱調理用の牡蠣が並んでいるではないか。
大粒のふっくらとした牡蠣で三陸海岸産。値段も安くなっている。フライにしたらボリューム満点だ。
いや、前から作ってみたかった燻製を作ってみよう。







? 先ず、牡蠣を海水より濃い目の塩水でよく洗い、ざるに上げて30分ほど水気を切る。
? フッ素加工のフライパンか平鍋でゆっくりと火を通す。美味しさの元のエキスがにじみ出てくるが、強火でガチャガチャかき混ぜると、身が破れたり硬くなるので、木杓文字などで丁寧に扱うこと。
? 十分に火が通ったらエキスを受ける容器の上にざるを置き、牡蠣を並べて水気を切る。後述するが、このエキスは捨てないように。
? スモーカーがあれば問題ないが、手近にある材料で燻製をする場合は、
こんな工夫で。
古くなった大き目のフライパンか中華鍋に、新鮮なゲッケイジュとローズマリーの枝を適宜入れ、餅焼き網をはめる。高さが合わない時は大根などを角に切って脚をつけるとよい。煙を逃さないように、蓋を用意しておく。もしも蓋が小さすぎる場合は、濡らしたタオルを絞り、隙間に当てると煙がよくまわる。
? あらかた乾いた牡蠣をていねいに網の上に並べ、蓋をして火をつける。最初は強火で煙を出して全体にまわるようにし、4~5分したら弱火にし、15分ほどスモ-クする。
うっすらと褐色に色が付いた頃が私は好きだが、何回かテストしてみると好みのテイストが分かってくる。
途中で蓋を開けてしまうと、せっかくの煙が逃げてしまうので、注意すること。この点、耐熱ガラスの透明な蓋は便利だ。
ゲッケイジュとローズマリーの分量も、それぞれのシチュエーションが異なるので、各自加減してみるとよい。
? 出来上がったら、冷めるまでおき、1個づつていねいに容器に詰める。
美味しいうちに食べてしまうのが一番だが、保存したい場合はまず、牡蠣を広口瓶にびっしりと詰める。次に、小鍋でオリーブオイルを静かに熱し、ガーリックとトウガラシ、ゲッケイジュの葉を入れて風味付けをした香味油を作る。これを牡蠣の上からひたひたに注ぐとオイル付けが出来る。
? オードブルはもちろん、炒めもの、サラダ、炊き込みご飯、パエーリア、スープなどに応用できる。?で取れたエキスは旨みの素。少し入れただけでも美味しさが出るので、製氷皿に入れてキューブにしておくと、少しずつ使えるので便利だ。

ENJOY!



種子を蒔く日々


お彼岸が近くなると、種子を蒔きたくてむずむずしてくる。
この日のために外国からもカタログを取り寄せたり、インターネットで注文したり、友達と種子を交換したり、あらゆる手を尽くして、準備してきたからだ。

種子を蒔くことは未来を約束すること。
ゴールに達するまでの期間、ことによったら数年、あるいは数十年も楽しむことが出来る。
そのよい例が、マカダミアンナッツの樹だ。
ハワイ土産としていただいた種子を蒔いたところ、なかなか発芽しない。
忘れた頃に芽が出て、13年目に実がなった。

昨日から今日にかけて種子を蒔いたのは、ニオイスミレの品種が31種、
香りのあるスミレ20種、
北米、南米、アジアのトウガラシが約30種、
タイの茄子が5種・・・・。
まだまだ蒔きたい種子があるのだが、もう植える場所がない。





以前にも記したかもしれないが、スミレの種子まきはトリックを使う。
休眠中でうつらうつらしているスミレに、冬の状態を経験させ、「あっ、春だわ。こうしちゃいられない。起きようっと」と目覚めを促すのだ。
それには、先ず、小さく切ったペーパータオルを霧吹きで湿らせ、中央に種子を置く。発芽を促すために植物ホルモンのジベルリン顆粒をほんの少しふりかけ、小さく畳む。
ラベルとともにチャックつきのビニール袋に詰め、冷蔵庫の野菜ボックスへ。この寒さを与えられたことで冬と錯覚するのだ。

およそ2週間が過ぎたら、冷蔵庫から取り出すと常温を春だと思い込む。
こうして、冬眠打破によって目覚めたスミレは、やがて発芽といきたいところだが、そううまくいくとは限らない。

これからが、一喜一憂のわくわくする日が始まる。








ひな菊のイヤリング

何と愛らしい花だろう。

この花が咲くたびに思い出すのは、高校生の時に持っていたスチヴンソンの詩集だ。
アメリカのイリノイ州に住むペンフレンドから贈られた本は、表紙が印象的で今でもはっきりと思い出すことが出来る。
いわゆるペーパーブックで、サイズは縦長。
表紙は、モスグリーンの地色の中央に首をかしげた少女の全身像が描かれ、ひな菊をつないだ輪がまわりを囲んでいる。
当時、ひな菊として売られていたものは濃いピンクの元気な品種で、このように可憐なひな菊はずいぶん探しても見つからなかった。

ローンディジーとよばれるこのひな菊は、イギリスでは雑草扱いをされている。
1985年の夏、ウインザーのB&Bの芝生に生えていた憧れのひな菊に感激し、花束を作っていたら、通りがかりの老夫人から、声をかけられた。
「あらあら、昔を思い出すわねぇ。小さな頃にはよくこの花で首飾りを作ったものですよ。でもね、芝生にこの花が咲くと、隣近所から雑草をはやさないようにと注意をされるのよ」



今、私の庭でローンデージーが咲き始めた。
雑草扱いではなく、れっきとした草花待遇である。
久しぶりに、昔スイスで求めたひな菊のイヤリングを出してみた。並べてみると大きさこそ違うが、よく出来ている。片方の金具が壊れていたので、直さなければ・・・・。

学名はBellis perennis。属名のbellisは、ラテン語で「可愛い」という意味である。
洋の東西を問わず、感じることは同じようだ。


思い出の果樹の花咲く

庭が出来たら、植えたい植物があった。

その一つがプラム、リンゴ、桃の果樹類で、今やプラムは毎年食べきれないほどの収穫がある。
なぜ、この3種にこだわるかとえば、私の誕生木として父がタキイから取り寄せてくれた、思い出の果樹だからだ。
昭和17年の春といえば、第2次世界大戦が始まり、世の中は騒然としていた頃である。父は長女の幸せを祈って、花も果実も楽しめる樹を注文したのだろう。

幼かった頃、果実が実り始めると、学校から帰るのが楽しみだった。
父の選んだ果樹には収穫時のタイムラグがあり、初夏のプラム、夏の桃、秋のリンゴと楽しみが重ならないように、プログラムされていた。
今にして思えば、父はプラムという総合的な呼び方でなく、「サンタローザ」とか「ビューティフル」などと品種名でよんでいた。こどもたちも自然と覚え、これも植物愛好者への手ほどきだったような気がする。







庭にあるプラムは昨日から花を開き始めた。
サンタローザともう1本は純白の小さな花でヒヨドリが食べ散らしている。
銅葉が個性的なハリウッドは、山桜のような花が咲く。
これは牛久のジョイフル・ホンダで1本680円で買ったものだ。
電車を乗り継いで帰宅しようと思ったが、ちょうどラッシュ時にぶつかり、途中からタクシーで帰ったため高くついてしまった。
それでも、植えてよかったと思っているのは、赤い実が毎年枝がしなるほどなり、11月遅くまでバーガンディー色の葉で庭を彩ってくれるからだ。

リンゴ2本は装飾的な植え方を楽しみ、桃は花を愛でる「照手姫」を植えた。果実は期待できないが、アセモが出来た時に葉の浸出液がよく効く。

思い出に浸っているうちに、杏の花もほころび始めた。
願わくは、ヒヨドリさん、枝に刺した蜜柑は全部あなたたちの物だから、どうかプラムや杏の花を食べないで・・・。

美しい枯れ葉

すがすがしい朝の空気が好きだ。
今朝も起きてすぐに庭へ。きりっとした寒さが心地よい。
昨日はデッキでローズマリーのポット上げをしたが、後片付けをしないまま
で台所に立ってしまった。

まず、デッキへと向かう途中、パープルの色が目に入った。
? 昨日はこんな色の植物やポット、包装紙もなかったのに何だろう。



近寄って拾い上げてみると、パイナップルセイジの葉だった。
半耐寒性のこのハーブは、例年なら鉢上げして暖かい場所で冬を過ごしているはずだ。ところが、暖冬のため生理が狂ったのか、露地植えのままで2メートルを超し、今頃真紅の花をつけている。
この2~3日の冷え込みで、紅葉、いや違った、紫葉(?)したのか、
何ともいえない渋い色の葉になった。

早速、参考書で調べてみると、蘇芳色(すおういろ)に近いような気がする。
南方アジア原産のマメ科の木の木材を染料として染めた、暗い紫み赤を表す伝統色名。後世に紫染めの代用になったとある。

それとも葡萄色(えびいろ)? これはヤマブドウの熟した果実のような色だそうだ。

色を言葉で表すのは、香りと同じように難しい。
こんな笑い話がある。
ある雑誌に、乾燥したマロウ(ウスベニアオイ)の花の色を、フランス語の「モウブ色」と書いた。ところが送られてきた掲載誌には、「毛布色」と直されていた!!!

やはり、言葉は難しい。

バジルとリンゴのパン

信号が青に変わる間、
反対側にあるレトロな書体の店が目に留まった。

「街のパン屋 キムラヤ」とある。
わざわざ“街のパン屋”と修飾語をつけたのは、銀座四丁目の木村屋チェーン店ではないことを、示しているようだ。
それとも、街の人々に愛されるパンを毎日焼く店、と言う気持ちが込められているのだろうか・・・。

用事を済ませ、駐車場に戻る帰り道に、誘われるようにキムラヤのドアを押した。
入り口の小さな案内ボードに、チョークで書かれた「バジルとリンゴのパン」の文字が、私の好奇心と食欲を刺激したからである。



店内には、甘酸っぱいパンの匂いが漂い、どれもみな美味しそうだ。
あったあった。興味をそそられた「バジルtリンゴ」のパンを先ずゲット。それから、ゆっくり店内のパンを見て歩くと、「バジルとウィンナソーセージ」に「バジルとチーズ」のパンもある。
たしかにこの取り合わせは想像がつく味だし、今までピザなどで使ったことがある。だが、リンゴとバジルは意外なコンビネーションだ。
一般的にバジルはハムやチーズなどの動物性の素材とか、植物系でいえば
トマトやガーリック、オニオン、パセリーなどで、フルーツ系はあまり聞いたことがなかった。

帰宅して、早速試食をしてみた。
切れ目を入れたパンの表面はこんがりと焼け、中からのぞく緑色のフィリングが食欲をそそる。バジルのピストゥとダイスに切ったりんごをあわせたものかと思ったが、ガーリックの香りがしない。
これは特別に作ったバジルソースなのだろう。オリーブ油に溶けた緑色が、
見た目にも新鮮だ。
リンゴはこの時期、この硬さと甘さでは、富士を使用しているのだろうか。
私には少し甘みが強いように思えた。バジルとの相性を考えても、レモン汁などで酸味を加えてはどうだろう。





勝手なことをいいながら、夫とバゲット形のパンをぺろりと平らげてしまった。紅茶はリプトンのレデイ・グレイにして正解。

日脚が長くなって、彼岸の入りももうすぐ。
庭のテーブルで、ちょっとヘビィなテイ・タイムを楽しんだ。

このパン屋さんは、大宮駅東口すずらん通りにある。



フキノトウのパテ

フキは日本在来のハーブということを、知らない人が多い。

友人のデニ・バウンが(イギリスのハーブ研究家。「ハーブ百科事典」の著者)東京へ来た時、ジャパニーズハーブのキノトウを撮影したいと言い出した。
真夏にフキノトウがあるはずがない。
そうだ、築地の青果市場へ行けばツマものとしてあるのでは・・・。
汗をかきながら、フキノトウをさがしたあの暑い日が忘れられない。



我が家の庭のフキは地下茎でひろがり、あちこちからフキノトウが顔を出した。花が咲くと食べられないというが、何の何の、私は花が咲くのを待って料理上手な知人の味をヒントに美味しいパテを作る。
作り方は、いたって簡単だ。



? 花が咲いたフキノトウを摘み取ったらよく洗い、ざるに広げて完全に水分を飛ばす。
? 少ししんなりするまで乾燥したら、粗みじん切りにする。
? ボウルなど入れ、オリーブオイルで合える。
? 塩で調味してできあがり。

ポイントはぐずぐずしていると色が変わりやすいので、手早く作り、瓶などに詰める。冷凍もきくので、たくさん作っておくと便利だ。

このパテは、火も使わず簡単にできるわりには香りがよい。しかもいろいろな素材とよく合う。
★ 薄く切ったフランスパンを軽く焼いて、つける。クラッカーなどにつけるとオードブルに。
★ 温かいご飯にのせる。
★ 天火で焼いたポテトに。
★ ピザのトッピングにベーコンなどと。
★ 日本酒の肴に。
★ 蒸し鶏のソースに。

うちのフキノトウもずいぶん食べつくしてしまった。
どこか摘めるところはないかしら・・・・。



桃源郷へ

毎年、桃の花の季節になると、
心を許した友人や身内ともに、「秘密の丘」へ通っている。
昨日は妹と夕暮れに、今日は夫とまだ明るいうちに行ってきた。

そこはまさしく「桃源郷」。
細い山道を登ると、突如パノラマのような空間が開け、目に入るのはゆるやかな丘に咲く桃の花、花、花・・・。
手前の斜面で彩りを添えるのが、風に揺れる房アカシアやほとんど白に近い
彼岸桜、淡黄色の土佐水木などだ。
暮れなずむ丘の光景は、まるで小磯良平が描くパステル画のよう・・・。

そこは、我が家から住宅地を抜けて4キロほどの場所なのに、
「小さな旅」をしている錯覚に陥ることがあった。
車でたった10分ほどで、日常とまるで異なる世界へ連れて行かれるのだから、タイムスリップといったほうが、適切かもしれない。

私がこの桃源郷を「発見」したのは、今から20数年前のことだった。
毎シーズン、初めて訪れる日は
「もしかしたら消えてしまったのでは・・・」と、いつもどきどきしている。
このあたりは開発の波が激しく押し寄せ、桑田変じて海となるどころか、大げさにいえば一晩のうちに山が消えてしまうこともあるからだ。











この写真は私が撮影した。
正直のところこんなにきれいに撮れるとは思いもしなかった。
やはり自然の偉大な力と栽培者の深い愛情が、この地に働いているおかげだろう。

今まではこの場所を教えることはしなかったが、美しいものを分かち合うことはよいこと。それに、いつの間に知れ渡ったのか、訪れている人の数も増えている。
そこで、理想郷シャングリアを探すためのキイワードをいくつか、記してみよう。

★ 田園都市線 ・ たまプラーザ ・ バス通り ・ 保木入り口

ただし、これだけは守って欲しい。
ここは観光施設ではなく、花屋の切花用圃場だ。エチケットを守り、けっして中に入ったり枝を折らないこと。酒や弁当などを持ち込んだり、大声で騒がないこと。ごみの持ち帰りも、忘れずに。

このやや寒い気候が続けば、18日の日曜日ぐらいまでは見ごろ。

ちなみに桃源郷の出典は、陶淵明の「桃花源記」に由来する。
晋の時代、ある漁師が道に迷い、美しい桃の花が咲く村にたどり着く。
たいへんなもてなしを受けて帰ってきたが、どこにあるか分からず、誰も2度と訪ねることはできなかった。
こうしたユートピア思想は中国では古くからあり、桃は悪霊を追い払う力がある美樹として、尊ばれているという。



あっ、ドクダミがの芽が・・・

連日のきもちのよい天気に誘われて、
今日も植え付けや草取りなどの庭仕事を、夕方まで続けた。
数年来腰痛で悩んでいるため、かかりつけの医師からは庭いじりのドクター
ストップがかかっている。
それなのに、庭に出たくてたまらず、「ちょっとだけ」が夕方まで続き、かなりの労働をしてしまう。
不思議なことに、草むしりやごみ捨て、植え込み、種子まきなどをしているときは、痛みを感じないのだ。夢中になるということはこういうことかもしれない。

この時期に草むしりをしていると、じつにいろいろな芽生えがある。
ゲッケイジュの垣根の下で、実生の10センチほどの苗を6本発見した。
アカザは細長い華奢な双葉で、小さな芽なのにもうきらきらの粒がはいっている。
カタバミは根が深く、指だけではなかなか抜けない。
スギナはしつこい性質で、平成元年に、ここへ越してきた時はまさに「スギナが原」のようであった。
スギナが生えていることは、酸性土壌の証拠だ。ハーブに適した酸度は、中性の7度かそれ以上の弱アルカリ性が理想的なので、苦土石灰で中和したり、深く掘って根を取ることを続けた。数えてみたら10年がかりで絶滅させた経験があり、今では1本も見つからない。

雑草界の東の横綱をスギナとすれば、対する西の横綱はドクダミ以外にはない。
スギナもドクダミも薬用ハーブなのだが、そのすざましいほどの繁殖力は、ちょっと目を離すと、地下茎ではびこり、大変なことになってしまう。
去年は何度となくスコップとフォークでかなり深く掘り、バケツに何杯もの根を取って捨てたことを覚えている。
今年も雑草は大きくならないうちに、と目を光らせてきたが、ドクダミはどうやら昨年の徹底攻勢で、終焉の時を迎えたようだ。



と思いきや、あの嵐の後の陽気で一斉に土から顔を出した。
あっちにもこっちにも・・・。石の階段の下やかなり離れた花壇の中から
も芽を出している。
ドクダミは先端をすぼめて地上に顔を出し、すぐに赤みを帯びたハート型の葉を開く。そして、地中に張り巡らした長い紐のような根のしたたかさも、類を見ない。

ドクダミ茶は昨年のストックがまだまだあるし、化粧水も売るほど残っている。
さあ、どうしたものか。
こうして考えている間にも、ドクダミは元気に育っているのだ。

着物バザー

私のシンセキ筋(うちの猫の嫁ぎ先)に当たるH夫妻が、
古民具ショップ「蔵の中」を開店して、もうすぐ2年目を迎える。
「お気に入り」に登録して、ほとんど毎日楽しみに読んでいると、
仕入れ状況や店主の好み、売れ筋、こだわりなどが夫人の巧みな文章で、手に取るように伝わってくる。

その「蔵の中」から、着物バザーのお知らせが届いた。

いつもは店に出していない着物を、2階リヴィングにて、ごらんいただけます。
期間3月17日(土)~18日(日)
時間10:30~17:30

前回も着物バザーを開いたが、よい品を安く売っていたので驚いてしまった。
興味のある方は、私のリンクにある民家再構か、
URLのhttp://www.kurano-naka.com/を開いてみよう。

住所や地図もわかるし、ちょっとでもブログを読んでみると、
ついつい引きこまれそうになるほど、文章が冴えている。
着物関連のブログをアーカイブスで読んでみるなら、
3/11, 2/17, 1/31, 1/4, 12/27, 10/25, 8/27, 8/20,7/30,
をおすすめ。
女性なら、誰でもわくわくしてくるはずだ。
それでは、グッドラック!!!

続々・春告げ花

今、庭のあちこちで青紫やライラックピンクのヒヤシンスが、
楚々とした風情で花をつけている。



先日、友人からこう言われた。
「ずいぶん貧相なヒヤシンスねえ。花のあとはどうしてるの?
掘りあげてないから、こんなに小さな花しか咲かないんじゃないの?」

言い訳ではないが、私は立派な球根から咲く立派なヒヤシンスが、以前から
あまり好きではない。
イスラエルの山中で出会った原種のヒヤシンスを見てから、はっきりと自分の好みが分かった。
イースターも間近な3月中旬。ヘルモン山だったと思うが、山の斜面の草原に淡い水色のヒヤシンスが2,3本づつ、肩を寄せ合って咲いていた。
誰に見せるでもなく、春の夕暮れの中でひっそりと佇んでいる光景には、
心打たれるものがあった。


今日、庭で見たライラックピンクのヒヤシンスがあの時とよく似た風情なので、パチリ。


こういう素朴でほっそりとした種類は、どこにも売っていない。
どうして手に入れたかといえば、植えたまま3~4年放っておくだけ。
球根があることを忘れて、シャベルでざくっとやってしまったり、もぐらに食べられなかったら、自然にダイエットして、こういう花が咲いてくれる。

ただし、薔薇色やオレンジ色のヒヤシンスはいくらダイエットしても、似合わないと思う。
有閑マダムがセーラー服を着ているようで、おすすめはできない。




可愛そうな花のイフェイオン



マートルの樹の下で、イフェイオンが咲き始めた。
粉をはたいたような銀緑色の細長い葉の間から、すっと首を伸ばして咲く青みがかった花。

すぐに近寄って摘みたくなるところだが、ぐっとこらえるのにはわけがある。
英語ではStar flower というきれいな名前があるのに、日本では花ニラとよばれている。ニラに似た異臭があるからだ。
花束に入れると、せっかく香りのよい薔薇やレモンの香りのハーブでまとめても、1,2本の花ニラでおじゃんになってしまう。
こうした可愛そうなハーブは、まだまだある。
カメムシの匂いのコリアンダー、ネギの匂いのチャイブも花束に入れたらたいへんだ。

学名のイフェイオンには、何となくギリシャ的な響きがある。
生まれ故郷の草原にも、星をふらせているのだろうか。





蛙の恋・その後

2月18日に、小さな池の中で蛙が産卵できないように、
ネットを張ったことを書いた。

今日はその後の報告を。

10日が過ぎた。
異常なし。
見たこともないネットに恐れをなしたのか、蛙が寄り付かないようだ。
やれやれ、これで今年は池さらいと蟇蛙のお墓を作らずに済みそう・・。
と思いきや、3月3日のひな祭りの夜、ころころころころ、というラブソングを聴いた。
ソロではなく、コーラスだ。

翌朝、一番に池を見に行くと、いるいる。
おんぶした形の4カップル(計8匹)は、ネットの上にうずくまり、微動だにしない。
ネット上には卵が点々と入った、黒いひも状のものが縦、横、斜めになすりつけられ、網目から水の中に落ちているのもあった。
金魚は今のところ大丈夫だ。

その後産卵を終えた蛙は2~3日池の周辺にいて、再び庭の枯れ草や植木鉢の下に戻っていくらしい。
どの蛙もこげ茶色のざらざらした背中に、アブストラクトな模様の腹部がグロテスクだ。
雌の大きさは、25cmぐらいはあるだろうか。、雄は2周りぐらい小さい。

なにしろみんな同じように見える蛙だから、入れ替わっていても判別が付かない。だから総数はつかめないが、分かっていることは、この池で生まれた
蛙が里帰りをしているのだそうだ。
そう考えると、池に落ちた卵は孵してやろうと思う。

蛙合戦は今夜も盛んで、まだまだ蛙たちは退散しないようだ。



あした咲く花


気をつけていたはずだったのに、
今年は沈丁花の花が咲いたのに気が付かなかった。

金木犀と沈丁花は、咲き始めによく香る花の双璧をなしている。
それでもおぼえがなかったというのは、外へ出なかったか、よくよく忙しくて気が回らなかったのかもしれない。

今年はサクラの開花予想日が、毎日のように報道されているが、早くなりそうなことはたしかだ。
考えてみれば、今やサクラの花見は、多くの人々の暮らしを左右するほど
の国民的行事となっている。自治体のサクラ祭りの企画が年度を挟んでいるため、実行と変更に苦労するのは毎度のこと。観光施設や交通機関から弁当関連まで一喜一憂する季節が、近づいてきた。

比較するまでもないが、
マイガーデンをいじっている分には、花が遅くても早くても WELCOME だ。

今日は朝から庭の草取りをし、新しく植え込む場所を耕していた。
しかし、こちらの都合で、せっかく花を開くまで生長している草花を、処分してしまうことに罪悪感を感じ、時々手が止まってしまう。
雑草の定義は、’「ここに無いといいなぁ」と思う植物’だそうだが、雑草の身になってみれば、「いじめ」どころか人間のエゴ以外の何物でもない。
あした咲く花なのに、命を絶つということにいつも悩んでしまう。

樹々の花芽は、今、命の水を吸い上げてつぼみをふくらませている。
朝のうちはまだ硬かったプラムの「サンタローザ」と「ハリウッド」が、夕方には数輪ほころんでいた。花桃の「照手姫」も、産毛の生えたがくが緩んできている。

せめて、あした咲く花をできるだけ見守ってやりたい。



プロヴァンス料理で姉弟会

私たち5人姉弟は、一人も欠けることなく、仲がよい。
両親が旅立ってからは、毎年旅行をしたり食事をしては、思い出やこれからのことを分かち合っている。
住所も職業もそれぞれ異なり、長女の私(65歳・横浜市)、次女(64歳・京都市)、三女(62歳・さいたま市)、長男(60歳・福島市)、四女(60歳・川崎市)が集まるだけでもたいへんなのに、これまでいろいろな楽しみを行ってきた。
旅行としては沖縄、鹿児島、淡路島、ベトナム、台湾、シベリア、スリランカなどを訪れたが、近年は義理の妹(弟夫人)も参加して、観劇や食事などを誘い合っている。

昨夜は銀座の三笠会館本店のフランス料理「榛名」で、プロヴァンス料理のディナーをいただいた。
幸運なことに、プロヴァンスのオーベルジュ「ラ・リポート・ドゥ・タバーン」からグランシェフ・シェフが来日し、3月8日まで南仏の味そのままのムニュが、出ている。
プロヴァンスといえば、夫と私のコンビで文化出版局から8年かけて作った「南仏プロヴァンスのハーブたち」を出版している。
果たして、どんな料理が出るのだろうか。

三笠会館は弟たちの婚約式をした思い出の場所でもある。
今回は弟の長女恵利子さんの大学卒業祝いもかねて、賑やかな酒宴となった。
まず、ビールで乾杯!

アミューズメント オリーブオイルでマリネした虹鱒のタルタル
マドラーの緑は、シブレット(チャイブ)



オードブル ズッキーニ、トマト、茄子のティァン オリーブオイルの香り。
野菜にセイジは強すぎるはずだが、よくマッチしていた。。



スープ ムール貝のスープ、サフラン風味
彩りが美しく、幸せな気分に。



魚料理(左) 手長海老のポワレ 香味ソース仕立て カマルグ産の赤米添え
ぷりぷりした新鮮なえびがすばらしく、ソースは海老味噌が入ってるらしい。ワイルドライスとも、古代米ともちがう小粒の赤米が、美味だった。



肉料理(右上) 子牛フィレ肉のステーキ 干し葡萄ソ-ス
干し葡萄のソースがおしゃれで、全員パンにつけてきれいに完食。パンも最高だった。


デザート カシスのソルベ フランボワーズミント添え
色もオ香りも鮮やかなデザートは、フィナーレにふさわしかった。


最後にプティフールとカフェ

空けたワインが3本。盛り上がったのはどこへ旅行しようかという話だった。
結局、近くて美味しい韓国はどうかという絞込みが有力で、実現すれば5月か6月頃になりそうだ。
肝心なプロヴァンス料理の味は、現地とくらべるととても洗練された味のような気がした。
青い青い空の下、うるさいほど蝉が鳴き、ちりちりと肌を刺すような太陽の下でゆったりと味わう料理と、純白のリネンに銀のカトラリー、ソムリエのサービスの銀座の料理では、違うのが当たり前。
どちらも美味しかったし、身内だけの、アハハオホホが何よりのごちそうだった。

どうぞ、来年もみんな元気で集まれますように。



春の嵐

ジャクリーヌ・ササール主演の、
「三月生まれ」というイタリア映画があった。

3月は天候が変わりやすく、
いきなり嵐がやってきたり、暗雲立ち込めたかと思えば夏を思わせるまぶしい日差しにとまどったり・・・・。
ゆえに、イタリアでは「3月生まれ」といえば、「心変わりのしやすい人」の意味だったことを記憶している。
彼女の大きな瞳に肩よりちょっと長めのストレートヘアー、そして、ササールコートという名前で流行した、春のトレンチコートがなつかしい。

春の嵐といえば何となくロマンチックな響きだが、昨夜の荒れ模様はすざましいものがあった。
夫は取材旅行に出かけているので、猫と留守番をしていても、窓を打つ横殴りの雨粒、吹き荒れる風の強さにびくびくしていた。
庭のハーブや草花は大丈夫だろうか。

朝一番で庭へ出て見たら、思いのほかダメージは少なかった。
早めに剪定をしていたのが、よかったのだろう。

今日は夕方6時から、銀座で毎年行っている姉弟会がある。
その前に、新百合が丘に住む末の妹の家に姉妹4人が集まり、妹手作りの昼食を楽しむことになっている。
まだ、天気は定まらないようだし、何を着ていこうか。
自慢のパッチワークのスカートの予定だったが、泥が跳ねたり、階段で引きずって汚したりしてはもったいない。
結局、青でまとめたリバティーのパッチワークのブラウスと、黒のパンツに決め、フードつきのコートを羽織ることにした。

残念ながら、「ササールコート」ではない。

薔薇苗の贈り物

3月3日、桃の節句に素敵な贈り物が届いた。
観音開きの大きな箱をあけると、中にはバラの大苗が5本。
いずれも、葉が出始めている立派な苗だ。

「ラプソディー・イン・ブルー」
四季咲き中輪の、シックな暗赤紫がかった
ブルー系の薔薇で、アンニュイな魅力がすばらしい。

「チャールズ・レイニー・マッキントッシュ」
イングリッシュ・ローズ
デヴィット・オースチンの傑作で、青みがかったライラックピンクの
カップ咲き。多花性でロマンチックな花が次々に咲く。

「ボウ・ベルズ」
イングリッシュ・ローズ
お姫様のドレスに描かれたような、
ピンクの珠を思わせる薔薇。
花束に加えると雰囲気がアップすると思う。

「ウイリアム・シェイクスピア」
イングリッシュローズ
花弁の多いクラシックなクオターロゼット咲き。
クリムゾン・レッドから紫に花色が変化する。
四季咲き系で、多花性。

「マダム・ヴィオレ」
ハイブリッド・ティー・ローズ
私の住所はすみれが丘。
前々からぜひ植えたいと思っていた薔薇だ。
半剣弁高芯咲きで、ラベンダー色の花がチャーミング。

さて、ぜ~んぶ私好みの薔薇ばかりなのは、なぜだろう。あやしい。

答え。
娘がいない私なので、節句の日を指定し、
私が私への贈り物として、プレゼントをしたからである。

単に「バラ苗5株購入」を、こうして遊んでみたら、ちょっと楽しかった。







続々・中華街でショッピング

新鮮な金針菜

市場通りの八百屋には、必ず寄ることにしている。
珍しいハーブや野菜がよく並んでいるからだ。
今日の「めっけもん」は、フレッシュな金針菜のつぼみ。
中華料理の食材に、金針菜という褐色の乾燥したカンゾウのつぼみがある。
もどして、炒めものやスープなどに用いるが、このように摘みたてというのは初めてだ。

カンゾウは萱草と書き、園芸品種のへメロカリス、あるいはデイリリーとよばれている球根植物の仲間である。
漢方の参考書によると、解熱、利尿、腫れ物に効果があるという。





さっと茹でて味わってみたら、ぜんぜんくせがなく、かすかに甘みを感じた。歯ざわりもさくっとしているので、天麩羅もいけそうだ。青みとしておつゆや、煮物、ラーメンにも使ってみよう。
写真は蒸し鶏と一緒に炒め、塩で調味しただけの一皿。さっぱりとした料理だけに色の美しさ、味のよしあしが問われる。

ちなみに、カンゾウの別名を忘憂草ともいうのは、心配事を忘れるほど美味ということから、この名がついたとか。





金陵酒家のモツミックスと蒸し鶏。詳しくは3月2日の日記を。



ピータンをばらで買うと1個50円。
近くのスーパーでは1個100円なので、10個ほど買おうかなと思っていたら、
「お姉さん、特別のサービスしちゃう。20個で1000円でいいよ」
と声がかり、1ケースを買ってしまった。
帰りの車の中で落ちついて考えたら、なあんだ。サービスでもなんでもないじゃないか。
横浜版・朝三暮四に大笑い。
何よりも損をしてなくて、よかった、よかった。




続・中華街でショッピング

苦丁茶

探したい中国茶があった。

2年前の今頃、3男夫婦と私たちで北京へ旅をしたときのことである。。
鳥インフルエンザの最中なのに、3泊4日の滞在中、えい、ままよと2晩も北京ダックのデイナーを楽しんだことが、思い出される。
中国茶のファンなので何軒もお茶の専門店を巡り、素敵なお茶を知った。
棚にずらりと並んでいるお茶壷には、流麗な筆づかいで茶銘が記されている。その中でも私のハートを捉えたのは「青山緑水」という、平和な光景を髣髴とさせる名前をもつ、文字通りじつに綺麗な緑のお茶だった。
店員の勧めで試飲をさせてもらった。
白磁の茶碗に一つまみの茶葉を入れ、お湯を注ぐと見る見るうちに緑色の葉が開き、エメラルドグリーンのお茶となった。
飲んでみると心地よい苦さが口中に広がり、あとくちが実に爽やかである。まさに青山緑水の境地といった感じで、これは体が喜ぶ飲み物に違いないと思った。
調べてみると、苦丁茶という由緒あるお茶で、グーティチャ、コチョウチャ、クウティチャとよぶ。
普通のお茶はツバキ科のCamellia sinensisだが、苦丁茶はモチノキ科の常緑高木とのことで、古代から高貴な身分の人々が健康維持のために用いてきた薬の茶だったという。

横浜の中華街にもきっとあるはず・・・。
見つけたのが隆記という店だった。

苦丁茶には三種類あった。
これは値段も張る、青山緑水。新芽の柔らかい先端だけをていねいに摘み取り、からからに乾燥させたものだ。
お湯の中でゆらりと身を反らせ、緑色のエキスに変わる様はスローモーションのシーンを思わせる。






野生の木の先端を摘み、三枚の葉を硬くねじって乾燥させた一葉茶。お湯を注ぐとゆるやかに葉がほぐれる。緑色のお茶は3~4煎までよく出るので、1回で捨てないこと。





お茶を飲む時は、一服するという。
この言葉は、昔からお茶は薬だったことを物語っている。



金木犀、ジャスミン・・・。
我が家に、また新しいお茶のレパートリーが増えた。






中華街でショッピング

魔窟の誘惑に負けて

湾岸ハイウェイで帰る途中、久しぶりに中華街に寄ってみた。
少し外れたところに駐車したのと、
脇道や裏道に店がたくさん出来たので、
土地勘を取り戻すのに少々時間がかかった。





どの道にもひしめくように中華料理の看板がある。なんと美味しそうな店だろう。それにエスニックな食材、雰囲気満点の生活雑貨など、そそられる店の数々があふれている。
それにしても昼食を済ませてから、この魔窟にやってきてよかった。
空腹だったら、とたんに誘惑に負けて、お財布は空っぽになっていたと思う。

というわけで、買い物の数はそう多くはない。しかし、いいものを見つけた。
~のつもりだったが、書き出してみるとこれこのとおり。

市場通りの八百屋で、新鮮なコリアンダーが1束100円。3束購入。
初めて見たフレッシュな金針菜、2パック300円也。



金陵酒家は昔からよく通った店だ。皮付きの焼き豚はここにしかない絶品で、皮の部分がかりっとし、塩味も極めて美味。それに脂ののった鶏の白蒸し(ショウガとネギのタレつき)とモツの盛り合わせで3200円。ここのモツはクローブやスターアニスなどのスパイスが適度に効き、すばらしい。
豚の耳、牛のセンマイ、鳥のレバー、豚のタンなどのミックスで1200円ぐらいだった。家庭では作れない味と素材なので、ぜひおすすめ。



隆記は初めて入ったお茶の店だ。
たどたどしい日本語の女店員から、気が付いたらずいぶん買い物をしていた。苦くて苦くて美味しい苦丁茶2種、金木犀のお茶、ジャスミンの花茶、干し無花果、ピータンなどで合計1万円を超えてしまった。

清風楼のシュウマイ1200円也。
翠香園では名物のチントイ(胡麻団子)が売り切れなので、黒胡麻餡の月餅を買った。500円。

「ちょっと見るだけ」をお題目のようにしていたのに、やはりここは魔窟だったのだ。

(夫には後悔したふりをして)さぁ、早く帰って晩ご飯の用意をしよう。
                                           続く                  

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