HOME:広田せい子のハーブガーデン

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嬉しいサプライズ

行きつ戻りつ・・・、という言葉をこの時期は何度も実感する。
ぽかぽかとした陽気が続くかと思えば、ダウンコートを着たくなるような夕べもあり、春の女神の足取りは千鳥足かもしれない。

家の前にある、ほかに先駆けて咲く目立ちたがりや(?)の染井吉野は、今年も見事に咲き誇り、昨日の日曜日には道行く人が必ず足を止めていた。
庭で草むしりをしていると、通りがかりの人の会話が聞こえてきて面白い。
「この樹だけが早咲きなのは、日当たりがよいからなのよ」 たしかに。
「これは染井吉野でなく、ほれ、伊豆のほうの、なんといったかなぁ。そうだ、河津桜だよ。うん」 まさか・・・・。
「ここは犬の散歩コースだから、おしっこの肥料が聞いているんじゃない?」うっそー。
みんな勝手なことを言っている。のどかな昼下がりだった。

今日は久しぶりに新宿まで出かけた。
急行電車はやり過ごし、各駅停車で車窓の桜をじっくり見ながら楽しんだ。
若葉になってしまうと、オールグリーンで気がつかなくなるが、田園都市線沿線には桜が多い。へぇ、こんなところにも、あそこにもというほど、ピンクに染まった箇所は数え切れない。
新宿での用事を済ませ、紀伊国屋書店をのぞいてみた。
6回の奥まったコーナーが実用図書のエリアだ。
出版したばかりの「フレグラントガーデン」が並んでいるかしらと、立ち寄ったのだが、自分の本のことは恥ずかしくて聞けたものではない。
たしか奥付は3月26日だったから,もう出ているはず・・・・・。
園芸コーナーにはシーズン開幕とあって、押すな押すなとばかりに新刊本が本棚に並んでいる。でも、残念、ないようだ。
平積みはどうかしら、目線を下に落とす途中で、思わずにっこり!!!
何とイーゼルに「フレグラントガーデン」がちょうど絵のように飾られているではないか。素敵! 嬉しい!!! もちろん平積みにもなっていた。

本の表紙は,花盛りの西洋菩提樹をスペースいっぱいに入れた爽やかなグリーンだ。香りが届くようにと思いを込めたのだが、シンプル過ぎてちょっと地味目かな? と心配したことも事実である。
内容は自信があるのだから、とにかく数多い本の山に埋もれないで、一人でも多くの人が手にとって見てくれたら、しめたもの。
その思いが伝わったのか、爽やかな緑のオゾンが店内にマッチしたのか、
選ばれて特別待遇をされていたとは・・・。
カウンターのところで店員の方にお礼を言ったが、とても照れくさくて、声がひっくり返ってしまった。あぁ、カメラを持っていなくて残念。
早速、お世話になった担当者とデザイナー、そしてカメラマンに伝えなくては・・・・。
それにしても、こんな嬉しいサプライズに本人が会うというのは、偶然というより本に呼ばれたのではないだろうか。

紀伊国屋さん、ありがとう。
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我が家の ”ど根性ローズマリー”

昨年の秋、人々の注目を浴びた大根があった。
たしか広島県だったと思うが、道路の端のコンクリートの隙間から芽生えた大根が、すくすくと成長していく様子が、連日のように報道された。
誰かが植えたわけでもなく、水や肥料をやって世話したのでもない。過酷な状況の中で元気に育つ命に、いつの間にか「ど根性大根」と名前がついた。
マスコミ調に表現すれば、「多くの人に勇気と感動を与え続けてきた大根」という美談になるはずが、心無い人の悪質ないたづらで、無残にも地上部だけ盗難に遭ってしまう。
今度は悲劇かと思いきや、その後のストーリーが、まだある。犯人がこっそり返しにきたのだ。しかし、接木というわけにもいかない。役場が乗り出して、組織培養でこのど根性の子孫を作る取り組みを始めた・・・・・・。

この辺からあまり詳しくは知らないが、何と役場の職員による絵本ができたのには驚いてしまった。さぞかし、全国から注文や問い合わせが殺到したことだろう。抜け目がないど根性商法だなどと、叩いたところもあったようだ。けれども、これを単なる事件で終わらせずに、緑の命の大切さと、自然環境、食の現場などについて人々と考えるきっかけを作ったことは、評価されるべきではないだろうか。

じつは、うちにも似たような話のローズマリ-がある。
今は枯れてしまったが、7年前に階段が接している隣家の駐車場の隙間で実生のローズマリーを発見した。出生の秘密をさぐってみると、おそらく6mほど離れた高さ3mの擁壁上に植えた、マジョルカ・ピンクとミス・ジェサップのハイブリッドでは?とにらんでいた。案の定3年目に咲いた花はややピンクがかった藤色で、立性でも這い性でもないなよなよしたタイプだ。しだれるくせがあるマジョルカ・ピンクの形質が出たのだろう。
地名にちなんで、’Viola Hills’と命名したが、この初代ローズマリーは夏の暑さによく耐え、香りも強い。

「2代目ど根性ローズマリー」は、玄関の階段横の擁壁から生えている。


photo by Naotaka hirota


photo by Naotaka hirota

写真のようにコンクリートの目地の割れ目に、1mほど下にあるローズマリーの種子が風で吹き上げられ、着地して発芽したのだろう。
それにしても、夏場のコンクリートの温度は半端ではない。おそらく50℃近いのによく枯れないものだ。
4年目に咲いた花は水色で、見ての通りタイプは這い性。手前のプランターボックスに植えてあるサンタ・バーバラとそっくりのようにみえる。
考えてみると、プロヴァンスの海辺の断崖絶壁や、山の斜面などに自生していたローズマリーも、ここと似た環境で元気に育っていた。この場所はきっとローズマリーにとって、ハッピーなハビタットといえるかもしれない。
手が届かない高さなのでまだ香りを確かめていないが、そのうち脚立を持って来て調べてみることにしよう。







飛び込んできた珍客

朝のテレビはどの局もWBCの決勝戦進出で盛り上がっている。
昨日の試合は、じつに素晴らしかった。何度VTRで見ても気持ちがよい。

天気予報によると富士山の山頂は真っ白。今朝も冷え込みが厳しい。
それでも庭に出れば寒さも忘れてしまい、毎日変化してゆく自然の姿にわくわくしている。
アンズの花は7分咲き、ベニスモモの蕾がほっこりとふくらんできた。
緑色を帯びた白のプラムの蕾は、枝だけでなく幹にもびっしりとついている。もう5分咲きになっているようだ。照手姫の名を持つほっそりとしたモモは、ほころびはじめた蕾の表情が、絵に描きたいほど愛らしい。


アンズ:photo by Naotaka hirota


プラム:photo by Naotaka hirota


モモ:photo by Naotaka hirota


ヒヤシンス、ムスカリ、スイセンの花数が多くなってきた。エフェイオン(ハナニラ)は、今日1輪だけ咲いた。

庭にいると時間があっという間にたってしまう。
今日は目黒にお住まいのA先生の庭に、バラとワスレナグサを植えて差し上げる日だ。9時半出発の予定で玄関にいたら、ドンという音がした。
アトリエから飛び出してきた夫が、「ガラス窓に鳥がぶつかった」という。
あわてて外に出てみると、ツグミがコンクリートの上にのびていた。このままにしておくと、猫やカラスに食べられてしまう。両手ですくいあげると、目を閉じて口をあけたまま、ぐったりとしているではないか。


photo by Naotaka hirota


幸い、心臓の鼓動はしっかりとしている。外傷がないので、軽い脳震盪を起こしたのだ、きっと。
出かける直前なので、小さなかごに入れ、さらに飛び出さないように段ボールの箱に入れた。


そういえば、松原湖の別荘が出来て間もない頃、ムシクイという小さな鳥が同じようにガラス窓にぶつかったことがあった。箱に入れて暗い所に置いたら2時間もたたないうちに回復し、元気に飛んでいったのを思い出した。

A先生の庭の手入れを済ませ、急いで帰宅。
気がかりだった「珍客」の状態やいかに? 段ボールの中で、がさごそと音
がするのは、元気になった証拠だ。あぁ、よかった。
「今度は気をつけるのよ。ちゃんと飛んで帰るのよ」
言い聞かせながら、箱から出したツグミは力強く足を踏ん張って、飛び上がった。次に、咲きはじめたウンナンオウバイの茂みの中へ入ったので、一安心。「でも、また来てね」
手のひらの中の、あの温もりと重みがどうも忘れられない。


photo by Naotaka hirota




さくら さくら

3月15日、高知市
3月17日、静岡市で開花
刻々と北上する桜前線のニュースが、挨拶代りの季節となった。

開花の目安となるのは染井吉野だが、この種類だけが桜ではない。
我が家の近くのエリアだけでも、気をつけていればずいぶん多くの桜を見ることが出来る。
トップバッターは家の前の河津桜で、2月中旬に開花。今はもう葉桜だ。
2番目は郵便局へ行く途中にある高台の家の、擁壁から道路に身を乗り出すうに咲く桜が、見事である。今日の昼過ぎに見に行ったら7分咲きで、濃いピンクの花の蜜をメジロが嬉しそうに吸っていた。明日にでも桜の名前を聞いてみよう。
おそらくこれと同じと思われる桜が、国道246の江田駅前交差点にある。
厚木方面に向かって左側の高い位置に、ピンクの傘を広げたように咲くのだが、スピードを落とすと危険なので、確かめることが難しい。昨夜関西と東海地方の撮影を終えて帰路についた夫が,「江田の桜、咲いていたよ」と、
高速道路を降りて246を通る際に,見てきてくれた。

3番目が,うちの1軒隣の庭にある山桜系と思われる桜で、ちらほら咲き始めた。明日の朝は3分咲きぐらいになるだろう。
その次はいよいよ染井吉野の出番だ。家の前の公園には桜と欅を交互に植えた並木があるが、ちょうど目の前の高さに桜が咲く。数本ある中で、最初に開花するの道路を挟んで、下の庭の真ん前にある大木だ。何とも豪華な絵屏風を数日間は独占できるのだ。散り際の「本物の桜吹雪」も、すばらしい。
続いて、枝垂桜から鬱金桜、御衣黄、普賢象、関山などなど八重桜の咲く家や公園も、近くにある。
遠くまでお花見に行くのもよいが、これだけでも全部見て回れるかどうか。
あぁ、春は忙しい、忙しい。



八重桜〈『フレグラントガーデン』より〉

春の嵐が去ったあと

昨日の天気予報では、夕方から荒れ模様とあった。
外出から帰った5時ごろからぽつぽつと降り出し、8時ごろには風と雨が荒れ狂う小さな台風状態となった。天窓に当たった雨音も強い。ふつうよりもばらばらという音がするので、雹が降っているのかもしれない。


ベッドに入ってから、先日種子まきをしたSweet violetのトレイが出したままになっていることに気がついた。下の庭の一坪ガーデンに置いてあるのだ。


photo by Naotaka hirota

しかし、真っ暗なこの嵐の中を傘を差し、足場が悪い石段を通ってトレイを持ち帰る自信がない。吹き付ける風に飛ばないように傘を右手でしっかり持つと、水を含んで重たくなっているトレイを両手で持ち上げることが出来ない。いや、どうせずぶ濡れになるんだから、傘なんていらない。けれども、途中で転んだらこれまでの努力も水の泡! 名札が取れたら一巻の終わりになってしまう。
それにしても、今年は例年に比べて発芽に時間がかかっている。
これまでは自分でブレンドした培養土を使っていた。だが、実験の意味からピートモスがメインの種子まき・挿し木専用という市販のものを使ってみたのが、よくなかったのか。酸度調整済みとあったので大丈夫のはずだが、それとも土を厚めにかけすぎたのか。
最初の4~5日はトレイを室内に置いて霧吹きで乾燥を防ぎ、その後外に出した。山鳩やカラスの餌、猫のトイレにならないように、上から大き目のトレイを逆さにしてかぶせてある。

種子は折り紙つきの新しいものだし、冷蔵庫でのバーナリぜーションも発芽寸前までいっていたのを、この目で確認している。
「待つことは祈ること」というフレーズを思い出した。この期に及んでくよくよしても始まらない。運を天に任せることにした。



4:30、起床。
雨は上がっているが、外はまだ暗い。そろそろと足元に気をつけながら下の庭へ。ほの暗くて、よく見えないが異状はなさそうだ。


5:05.
もう小鳥が鳴いてる。
再び、下の庭へ。「やったぁ!!!」緑の芽と言いたいところだが、薄黄色の丸い粒々が黒い土をもたげている。2枚のトレイのうち半分は、2~3粒ずつだが発芽していた。しっかりと水をもらったのが、よかったのだろう。


photo by Naotaka hirota

今日は午後から気温が上がりそうだから、もっと発芽も揃うことだろう。

植物と付き合うと一喜一憂は、日常茶飯事。
でも、この刺激がたまらないのだ。


今日もまたGOOD DAY !

またまた嬉しいことがあった。
昨年から手がけていた、新しい単行本の見本が届いたのだ。



タイトルは、「フレグラントガーデン」
”いつも香りの植物に包まれていたい”というネームが表紙に刷りこまれているように、私が長い間抱き続けてきた夢を実際に行動に移した内容だ。
ハーブの本は今までかなりの数を発表してきたが、これはカテゴリの垣根を取り払い、ハーブも含めて草花や野菜、潅木、高木、スパイスなどの芳香植物と取り組んだ初めての本である。
表紙は少しさっぱりしすぎだったかと思うぐらい爽やかな西洋菩提樹の緑で、眺めているだけで気分がよくなる。
そう、この本を開くたびに気持ちがよいのは、お互いを理解しあい、よりよい本を造りたいと願う人たちのチームで仕上げたのが、絶対に反映していると思う。
担当者のHさんとは4冊目の本だから、私をよく見ていてくださり、お付き合いも長い。コンセプトにせよコンテンツにせよ、とことん話し合ってお互いの考えを確かめ合うことが出来た。だから、カメラの夫も私も仕事がしやすかった。
アートディレクターのTさんも、ブックデザインのKさんも、知り合って20年は経っているだろうか。いつかチャンスがあったら、ぜひと思っていた願いが通じて、5人のチームができ、この本が生まれた。
私の原稿のスピードも、これまで最速の記録だった。確か12月21日に
第1稿を挙げ、クリスマスもお正月も返上。
そしてとうとう、1月27日の夕方に95パーセント脱稿。急いで支度を済ませて、28日の朝成田へ。昼過ぎにはスリランカへ出発!という強行スケジュールだったけ。原稿の見通しがつかないと、旅行どころではない。ほとんど諦めていたが、結果としてこれがニンジン効果を見せ、猛烈なラストスパートをかけて、滑り込みセーフ!!!

思い返せば時間的にはたいへんだったが、
書きたいように書けたのが、スピードに加速度がついたのだろう。
だから文体も内容もこれまでと変わっている。しかし、私はこちらのほうが好きで、私らしいように思える。なにはともあれ、今日はよい日だ。


photo by Izumi Hirota

New ハーブックが増刷に!

嬉しいことがあった。

それは昨年の9月に山と渓谷社から出版した「広田せい子のNEWハーブブック」が増刷となったからだ。かなりの数の1刷りが約半年の間に読者の手にわたったかと思うと、ありがたくてたまらない。
本を1冊書き上げるということは、正直なところた易いものではない。
1日は24時間しかない。
普通の人が普通に暮らして24時間だが、私の仕事は主婦のルーティンワークのほかに、本1冊のために何年にも渡る実験栽培、利用の実践、数多くの撮影に、参考文献で調べ、打ち合わせ、そして膨大な量の執筆がある。
この本は20年前に作った定番を、これから20年後まで読み継がれていくように、祈りを込めてほとんど書き直したものだ。

命を削りながら作った本だから、ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思う。



二つの黄色

タンポポ,ハルノノゲシ、フクジュソウ、スイセン、サンシュユ、ミツマタ、ロウバイ、ウンナンオウバイ、ギンヨウアカシア・・・・。
今咲いてる早春の花には、黄色が多い。冬枯れの景色は、黄色と共に緑色の絵筆を走らせ、キャンバスを塗り変えてゆく。
今日は黄色の話が二つ。

その1 ポメロの悲劇
朝から春*番?の強風。風の音もほこりもすざましいのでカーテンを閉めた
ままにしておいた。風も少し静まった10時ごろ、居間のカーテンを上げてみると、庭に黄色い点々がたくさんある。目を凝らしてよく見ると、ポメロが風で落ちて散乱しているではないか。ざっと見ただけでも30個はありそう。
ポメロとは文旦とザボンのハーフのような柑橘で、グレープフルーツより2回りほど大きな果実が房なりに実る。花の香りも味も素晴らしく、植えて7年目から果実がなり始めた。
よい花が咲くようにそろそろ全部収穫しなくては、と思っていたのだが、擁壁ぎりぎりに植えてあるので、手が届かない。これ幸いとバスケットを持ってきて、拾い始めるうちにあっと手が止まった。
道端に落ちていないだろうか。手すりにつかまって下を見るとあるある。
6個は無事だったが、残念ながら3個は車に轢かれて本当にぺっちゃんこ。遊んでいた子供の話では、数人の人が拾って行ったという。
誰かが喜んでくれてよかったものの、轢かれたのはかわいそうだったなぁ。
なんていいながらたらふく食べ,皮でママレードを鍋にいっぱい作っている
のだから、ポメロにとってはどちらも悲劇的な結末といえよう。
それにしても、ママレードが美味しく出来た。これではやせる暇がない。


ポメロの花〈『フレグラントガーデン』より〉


ポメロの果実〈『フレグラントガーデン』より〉

その2 幸せなミモザ
いつも行く近所のスーパーへの曲がり角はSさんのお宅だ。園芸好きな奥さんが、センスのよいリースを玄関の門扉に飾っていて、楽しい。先週から塀の角の、一般にミモザと呼んでいるギンヨウアカシアが満開になり、道行く人も幸せそうに足を止めて見上げている。
夕方に通ったら、作りたてのミモザの黄色いリースが飾ってあった。卵と羽毛をあしらったリースは、イースターのシンボルだ。復活祭は今年は何日にあたるのだろうか。

小鳥の来る日

窓際で本を読んでいると、ぎー、ぎーという鳴き声がした。
「あ、来てる!」 思わず目を上げると、案の定コゲラの番が西洋菩提樹の幹で虫を探している。7~8年前から庭に来るようになったコゲラは啄木鳥の仲間で、すずめよりひと回りほど大きい。淡い褐色の胸、背中は白と黒の横縞模様で、尻尾をぴたっとつけたまま樹の幹を垂直にツツツ・・・と器用に登っていく姿が、愛らしい。

昨日は鳥が来た日だった。
雨のそぼ降る肌寒い日の午前中は、小鳥たちがよく集まる。
私のデスクは東向きに建ったウイングで、庭に面した半地下にある。地面より50センチほど高い位置に大きな窓があり、デスクに座ると正方形の額縁の中に庭が絵となって収まる仕掛けだ。
絵柄は四季折々に変化があるが、落葉している今は裸木となった西洋菩提樹と、モックオレンジ、ネグンドカエデ、つるバラのポールズヒマラヤンムスクの枝、たわわに黄金色の実をつけた四季なりライムと、ゴージャスな房なりのポメロが見える。
この絵の中に現れた小鳥は、昨日と今日だけでもコゲラ、オナガ、シジュウカラ、ヒヨドリ、カワラヒワ、メジロ、ジョウビタキ、ツグミ、スズメ、カラスを数えた。
近所に大きなスーパーが出来る前は、この季節ならヒバリが天高く舞い上がって空の上でソプラノを歌ったり,「ちょっと来ーい」と鳴くコジュケイが雛を連れてパレードをする姿が見られた。しかし、今ではキジのケーンケーンという鳴き声も聞かれなくなってしまった。
環境は日に日に変化し、小鳥たちの棲むハビタットも限られてきている。
私たち人間の開発行為が、その最たる原因のひとつだと思う。
小鳥に象徴されるように、これは地球規模の大きな問題として世界中の人々が心しなければ……。



鎌倉・谷戸の春

T先生のお宅は、鎌倉の谷戸にある。
自然のたたずまいを残した山すそに建つ洋館は、年月の重みとあいまってぴったり周囲とマッチしている。
3000坪の庭の中央に立って周囲を見回すと、パノラマ状にせり上がる緑豊かな斜面が目に入ってくる。今は落葉の季節で、枝下ろしや剪定の直後なので稜線が見えるが、緑が繁茂する夏場は空が遠く見えるほどだ。

この庭にはなつかしい草花が伸びやかに育ち、いつ伺ってもしみじみと季節を感じて、幸せな気持ちになるのはなぜだろう。
きっと、確たる信念を持って毎日をていねいに暮らしておられる先生のお人柄と、スピリチュアルなものが庭にも反映しているのだと思う。

我が家の河津桜がちょうど七分咲きだったので、お持ちした。
「まぁ、広田さん。とてもよい桜でございますね。これは丈夫ですか。
育ちは早いほうでしょうかねぇ」と、気に入ってくださり、庭にどうかしらとおっしゃる。
「それはもう、これほど広い庭ですもの、どこに植えてもよく似合います。虫もつかず丈夫ですし、うちでは3年で4~5メートルに生長しましたの」
苗のお世話を約束して、庭をタンケンさせていただいたが、ここにも春が一杯。古典椿を愛されたお母様が植えられた名花の数々が花を開き、鎌倉幕府跡に植えられていたという鶯宿梅が香る庭には、日本桜草がそこここでピンクの色を添えている。庭中にあるバイモももうすぐ咲きそうで、栴檀の樹の下のタチツボスミレは文字通りすみれ色の花をつけていた。

帰宅してから河津町の苗木屋さんへ問い合わせてみると、覚えていてくれ、
「植え時はせいぜい1月までだから、12月頃に植えてはどうですか」とのこと。5本予約したが、あのお庭に早咲きの濃い目の桜色の花が咲くことを想像しただけでもわくわくしてくる。
今年のソメイヨシノはいつ頃開花するのだろうか。





Spring has come !

朝、玄関のドアを開けたとたん沈丁花の匂いに気がついた。
この花こそ春を告げるメッセージ性を秘めた、常緑樹の代表選手といえるのではないだろうか。いよいよ春の到来だ(何度も口にするが・・・)。
この名前の由来は、沈香と丁子(クローブ)を足した香りがするので沈丁花という説と、沈香の香りがする丁子の形の花が咲くからという説がある。
雌雄異株だが、原産地の中国から雄株だけを導入し、挿し木で繁殖したので国内ではどうも雌株がないようだ。雌株なら果実がつくので、一度見てみたい。よくある臙脂色の花も悪くないが、私は白が好き。かすかに象牙色を帯びた小花の玉房は、春の柔らかな陽光を反射して優しく輝くからだ。


先日蒔いたニオイスミレの芽は未だ発芽しない。
乾燥しないように毎日霧吹きで湿らせ、ビニールをトレーにかぶせて外に出してあるが、猫やカラスに悪さをされないかと心配でならない。
1日2~3回はじっと観察している。しかし、発芽の兆しは見えない。ちょっと白いものが土の中に見えたので、もしやと思ったらバーミキュライトの塊でがっかり。覆土し過ぎたか、種がよくないのか、いやそんなはずはない。いつものように自問自答を繰り返しながら、緑の芽が土を持ち上げて頭を出すのを待っている。
それに引き換え、レンテンローズの何と旺盛なこと・・・・・・。
植えて10年は超した白花と暗紫色の大株の周囲には、実生のかわいい苗が
びっしりと生えている。ポットに上げたら150ぐらいはゆうにある。
そんなにあっても困るし、ポット上げに時間もかかるが、このままにしておいてはかわいそうなので、悩んでいるところである。

土手のヨモギはだいぶ大きくなった。草餅用ならもう使える。ノビル、フキノトウ、ナズナ、カンゾウ,ツクシ、セリ、タネツケバナ、ヨメナ・・・・・。
日本のハーブは今が摘み頃だ。

オタマジャクシ VS セイコ

「ころころころ・・・・・・、ケロケロケロ・・・・・・」
優しい鳴き声が下の庭の方から、夜ごと聞こえてくる。この季節になると、小さな池にどこからともなく集まってくるヒキガエルの、睦言なのだ。
グロテスクな容貌に似合わず、鳴き交わす声は猫なで声でお世辞を言い合っているようで、面白い。

この鳴き声を聞くたびに「あぁ、春だなぁ」と思う気持ちと、「早くしなければ」という焦りが同時に沸いてくる。何をするかというと、水が腐らないように、オタマジャクシの卵の処理をしなくては・・・・・。
なにしろ、直径120cm、深さ80cmの土管を埋めた水溜りのような池に、ざっと数えただけで20カップルがうごめいているのだ。よくみると、1匹の上に2匹もおんぶしている組もあり、泥の中で見えない蛙もいる。
始末におえないのは、溺死した蛙だ。動くものはみな雌だと錯覚し、水草にでも抱きつくオスだから、3匹に抱きつかれた雌は浮上できなくなって、あえない最後を遂げることになる。毎年数匹のお墓を作っているが、まずは「愛の結晶?」のオタマジャクシが生まれる前に、あのどろどろを掬い取らなくてはならない。これがたいへんな作業なのだ。
ぬるぬるどろどろの太いトコロテン状は、スコップで掬うとどろりと逃げてしまう。フォークでも歯の間から抜け落ちて、なかなか引っかからない。


「そうだ!パスタの要領でいこう」
スパゲッテイを食べるときのように、フォークに巻きつけたのが大正解で、
今日は格闘技?を2時間も続けてしまった。
夢中になっているときは感じなかったが、何とも足や腰の痛いこと。
今夜は、ローズマリーのハーバルバスにゆっくりはいることにしよう。
痛みが取れるし、体はぽかぽか。シャンプーとリンスもローズマリーのお湯できるから、一石四鳥かな。

初秋から開花したローズマリーの花が、青みを増してきた。

快調なり、黄色のカブトムシ!!!

春は曙・・・、と思わず口ずさんでしまうほどの、おだやかな朝だ。
昨日から二男の住む千葉の家に来ている。
森の中にあるこの家はまことに気持ちがよく、黄金色の朝日が樹々の梢の間からテラスへ射し込んでくる。小鳥のコーラスもにぎやかで、まだ下手な鶯のさえずりに、何度か雉の鋭い鳴き声も聞いた。

昨日もよく晴れた朝だった。
「絶好の日和だな。展覧会の作品作りで小湊鉄道へ撮影に行くとするか」
夫の一声で、即、出かける用意をしたが、問題は車だ。夫のベンツは調整に出してあり、間に合わない。私の車はここしばらく遠出をしてないので、横浜から千葉まで、しかもハイウエイを通っていけるかどうか、心配だ。
車検をとった直後で、夫が大丈夫だといっても、正直のところ不安がある。何しろこのフォルクスワーゲンは1971年に我が家へ来たのだから、もう35歳。息子たちの幼稚園の送り迎え、ハーブを実験栽培していた市民農園
への往復などに、よく働いてくれた。
近いところへはこまめに走っていて特別支障はないが、ロングランはどうだろうか。しかし、これは杞憂であったことに気がついた。

滑り出しは上々。まさに春のうららのドライブ日和。1600ccの黄色いカブトムシは大喜びで走る走る。今まで住宅地の中をとろとろ走っていてごめん、悪かった、と謝らなくてはいけない感じさえする。

第三京浜からベイブリッジを通り、アクアラインへ。館山道を市原で降りて
小湊鉄道の小さな駅舎を数箇所撮影。夫の撮影中、私はいつものように近くで野草ウオッチングを。日当たりのよい土手では、オオイヌノフグリがサファイア色の花をつけ、ホトケノザのピンクの花もちらほら咲いている。
ハイウエイを100キロで走ってきたワーゲンはすっきりとしたらしく、音も軽やかで、ハンドルの切れもよい。
これまで2回のオールペイント、レストアを1回しているが、この調子ならまだまだ大丈夫。何しろ35年前からスポルトマチックというノークラッチで、サンルーフ付きなので、大事に乗っている。いいものを長く使っていきたいものだ。


photo by Izumi Hirota

さぁ、今日は二男と夫が互いに撮影し合って、キャノンの展覧会用の作品を
作る日だ。
よく晴れたいい朝のよう、よい結果になりますように。

弥生の節句の吊るし雛

3月3日は桃のお節句。朝の9時ごろだったろうか。
「もしもし、広田さん? とても愛らしいものをどうもありがとう。ここのところ毎日あわただしかったので、見ているだけで何だか気持ちが和みますね」と、鎌倉のT先生から、お電話をいただいた。
喜んでいただけて、ああ、よかった。

お礼を言われたのは、昨年の秋に伊豆の大沢温泉で求めた吊るし雛のことである。伊豆へ行ったのは、私たちの結婚40周年と夫の古希の祝いを、思い出の温泉でしようではないかと3人息子たちが企画し、ファミリーが全員集合した祝宴だった。
武田信玄ゆかりの豪族の館を旅館にしたたたずまいは、文人墨客に愛され、風格のある倉座敷や大広間、土間での餅つきも心に残る。ここの売店で目に留まったのが、この地方に伝わる吊るし雛で、私は迷わず注文した。小さくて美しいものが、お好きなT先生を思い浮かべたからだ。
上等な絹地で花や小鳥、薬玉などを作り、紐に吊るしたものだが、綿入れの技法でふっくらとした感じがよく出ている上に、優しい色使いが上品だ。
雛祭りに飾るだけでなく、インテリアとしてもモダンな部屋に似合う。
とにかく、気に入ってくださってうれしい。


photo by Izumi Hirotaphoto by Izumi Hirota


我が家では娘がいないので、お雛様を飾ってお祝いをする習慣がない。
そうだ、来年からは父が私の初節句のためにあつらえてくれた、あの掛け軸を飾ることにしよう。立ち雛に桃の枝をあしらった図柄で、お雛様はおっとりとした雰囲気の表情だったと記憶している。

雨が上がった夕方、ご飯のスイッチを入れてから、お使いに出かけた。
夕食のテーブルにのった献立は、焼きアナゴをたっぷり使った散らし寿司、蛤と三つ葉の吸い物、菜の花のおひたし、鮪と平目の刺身、香の物、昆布の佃煮。やはり、行事の食事には、ほのぼのとしたものがある。

早く芽を出せ, Sweet violet !

夜中までかかって、ようやくスミレの種子を蒔き終えた。
少女時代からSweet violetの甘い香りと可憐な花に魅せられた私は、毎年のように種子を蒔いている。
ことしは外国の原種のスミレ13種、ニオイスミレの栽培品種37種にトライしてみた。

50種類の種子をまくとなると、名札書きだけでもたいへんだが、下準備にもけっこう手間がかかる。というのは、発芽に関してスミレは気まぐれで気難しい部類に入るからだ。せっかく手に入れた貴重な種子の発芽率を高め、発芽時期をそろえるためには、下準備にも秘訣がある。
(1)10センチ4方に切ったキッチンペーパーを水で濡らし、軽く絞る。
(2)広げた(1)の中央にスミレの種子を置き、あればジベルリンをほんの少しふりかける。
(3)種子をペーパーで包み、ファスナー付のビニール小袋に入れる。
(4)冷蔵庫で7~10日間冷やしてから、蒔く。

こうした方法を春化というが、要はスミレに冷蔵庫で冬を経験させ、常温で春が来たと思わせるテクニックなのだ。
幸運なことに、ペーパーの中で7割ぐらいは発芽しかかっていた。よい土を入れたポットに蒔いたから、きっと元気な苗に育つだろう。
’Admiral Avellan' ’Baronne Alice de Rothechild’ ’Red Lion'
’Victoria Regina’ ’Elizabeth Lee' ’Kerry Girl'・・・etc.
ニオイスミレの名前を声に出して読んでみると、詩の朗読のようだ。
素敵な名前を持つスミレたちは、香りまで上等で素晴らしい。

春を運ぶ花たち

どうもパソコンの調子が悪く、2月中は3度もトラブルがあった。
コンピューターの中の電子の世界は目に見えないが、アウトドアの世界は、日に日に変わっていく自然の姿を見ることが出来て嬉しい。

家の前の土手にある河津桜は2月22日に最初の一輪がほころび、しだいに枝全体に咲く花数も増え、花色も濃くなってきた。
銀葉アカシアはつぶつぶだったつぼみがレモンイエローのホワホワとした花房に変わり始め、蛇の目エリカもピンクの小花を無数につけている。
擁壁から垂れて咲くローズマリーの青い花、ウィンタージャスミンンの黄色い花も少しずつ多くなってきた。
郵便局からの帰り道、わざと遠回りをしてみると、あちこちの家で梅が満開。農家の庭ではサンシュユが枝先までびっしりと黄金色の花をつけ、ボケも垣根で咲き始めていた。
これからの一ヶ月は、毎日がドラマチックな花の季節となる。出来るだけ歩き、きょろきょろしようと思う。

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